「んー通知まだかなー。ねぇかっちゃん、私受かってると思う?」
「筆記いけてんだから受かってるだろ。てか自分ちに届く合格通知を俺んちで待つのはどうなんだ?」
雄英高校一般入試の実技試験から一週間後。
友奈は実技試験を終えてすぐは「やりたいようなやり方でベストは尽くした」と言った雰囲気だったが、発表が迫るにつれて不安が増してきたようだ。
勝己は自分達の合格を全く疑っていないので、友奈を元気づけるため自作のお菓子を振舞う。本人が辛党なので甘いお菓子を作ることは多くはないのだが、今回は特別だ。
「だって同じ会場になった常闇君とかに比べたらポイントかなり少なかったし……」
「あの試験は面接も兼ねてっから多少ポイント少なくても問題ねーよ。ガチであれだけで合否決める気なら試験担当の正気疑うわ」
勝己としてはなかなか楽しめたアトラクションだったが、あれではトップヒーローの候補を選ぶ試験としては不備が多すぎる。
状況把握のための情報収集力や判断力、敵を倒しに向かう機動力、対物戦での戦闘力は判断できるだろう。だが「自由」を謳う雄英では、厳格な士傑と違って思想の矯正が困難だ。勝己のようにとび抜けて優秀ならともかく、半端な実力の問題児は弾きたいし、実力はまだ未熟でも精神面では優れた者は確保しておきたいはずだ。
なので事前に説明されたポイント以外にも、試験中の行動と言うふわっとした定義が上手くできないものを評価されることになるだろう。
そこが評価されれば友奈が不合格になるなどありえないと勝己は確信していた。
「勝己! 雄英から合否通知届いたよ! 友奈ちゃんちにも届けに行ってたし、向こうで見てきなさい!」
「うっせ、叫ばんでも聞こえとるわ! 行くぞ友奈!」
「待って! 先にこのお菓子食べ切らせて!」
「……緊張しとったんと違うんかい」
『私が投影された!』
「オールマイト!?」
「……もしかしてコレ合格者全員分やったんか? 最近連絡取れなかったのそういうことかよ」
『実は来年度から雄英で務めることになっていてね。一部受験者への通知を任せてもらえることになったんだ!
で結果だが、筆記試験は合格! 実技試験も24Pと結構な記録だ。
しかし先の試験! 見ていたのはヴィランPのみにあらず!
結城少女の行動で怪我を免れた受験生や、想定以上の脅威に勇気を持って立ち向かえた受験生の多いこと!
0Pが暴れ始めた時、転倒した少女を救けに引き返したのなんか試験官たち特にほめてたぜ!
人救けした人間を排除しちまうヒーロー科などあってたまるかって話だよ!』
「おー、かっちゃん、合ってたよ!」
「予想通りじゃ驚けねーし、喜べねーよ」
『
我々雄英が見ていたもう一つの基礎能力!!
結城少女、42P! 今年度の受験者で最高値だ!
合計66P 文句なしの合格さ! ようこそ
合格通知が終わり、投影されていた映像が消える。
友奈はようやく肩に入っていた力が抜けたようだ。
「良かったー。落ちたらどうしようって思ってたよ」
「だから問題ねーって言っただろうが。信じろや」
「かっちゃんは信じてるけど自分はねー。かっちゃんの方も早く見よ。何点取れてるかな?」
「見りゃわかんだろ。そら」
勝己の合否通知の投影を開始する。
こちらでもオールマイトが出てきて説明を始めたが、友奈の時の比べて表情が曇っている。
なんだこれと二人は怪しんだが、その理由はすぐに分かった。
『先の試験ではヴィランP以外に実はレスキューPも見ていたわけなんだが……
……すまない、君は0Pだ。まさか仮想敵の競合を恐れて、受験者が完全に君の周囲からいなくなるとは思わなかった。
救ける相手いなくちゃレスキューもクソもないよね!』
「あちゃー……」
「まぁそんなもんか。他がついてこれるペースで狩らなかったしな」
『しかしフォローを入れなかったのには理由がある! 君のヴィランPは113P!
ぶっちゃけこっちだけでぶっちぎりの首席合格だ! フォロー入れる必要性なしって判断された! おめでとう!』
「やったねかっちゃん! 首席合格だって!」
「当然だ。こんなとこで躓いてられっか。ま、ババアやおばさん達は騒ぐだろーし、久々にガチで晩メシ作ったるか」
「(あ、かなり喜んでる)じゃあお買い物しながらメニュー考えよう! 頑張るぞー!」