魔法少年 ケンタ☆マグス 古の血を継ぐ者   作:マイスリッド

100 / 209
第13話

灯花「皆で一緒にイブでも眺めながらお茶でもいかがかにゃー?」

 

このクソガキはあんな穢れの塊を他所に平気にしてやがる....。どうなってんだよ...。

 

鶴乃「信じられない......。こんな魔女を前にして平気でお茶を飲んでるなんて...。」

 

フェリシア「それにこの穢れ...、コイツらなんともねぇのかよ...。」

 

アリナ「アハッ、アリナ達が作ったベストアートワーク達はどう?イブを見るだけでぞっくぞくしちゃうよネ?」

 

健太「俺はそんな風に見えん...。こんな魔女を作品を見るような目で眺める事なんざ出来ねぇ...。」

 

ねむ「僕達だってこれが魔女だとしたら平気で眺めてないよ。」

 

壮介「いや、どこからどうみても魔女だろ。表に放ってしまったら一般人はどうなるんだ...。」

 

さな「はい...、それだけの禍々しさを感じます...。」

 

俊「こんな魔女を育て続けていたなんて...。」

 

ねむ「魔女だって言うのは否定したよ。聞こえなかったのかな?」

 

俊「じゃあこいつは何なんですか...?」

 

龍二「......半端者だ。魔法少年少女でもなく魔女でもない。こいつは狭間の中で揺らぐ「半魔女」だ。」

 

吉信「そういう事ですよ。だから我々は協力してこのエンブリオ・イブという存在を育て続けていたんです。イブが己の限界を超えることで完全な魔女という完成品にさせるんです。」

 

いろは「それが孵化という事ですか......?」

 

灯花「そーだよ!半魔女から魔女=孵化!魔法少年少女達が魔女になるときに発生させる総転移エネルギーを私達はずっと欲しかったんだよ。それが手に入れば神浜の奇跡が世界に広がるから!」

 

健太「そして、世界の魔法少年少女達は自分の宿命から救われる......。」

 

灯花「うんうん、はなまるだねー。」

 

やちよ「でも、それだけじゃないはずよ。あなた達は自分の欲望も叶えようとしてるはずよ。」

 

ねむ「それは副次的なもの、世界中を原稿にしたいという僕の欲望も、宇宙の全てを知りたいという灯花の欲望も、作品を永遠に飾り続けるというアリナの欲望も、そしてこの世界を一時的に作り直して魔女のいない世界を作るという龍二お兄さんの欲望も。」

 

灯花「そう、私達の目的はあくまで魔法少年少女の解放、イブの中にあるソウルジェムをグリーフシードに変えてそれを成功させる事だよ。」

 

健太「そのためにワルプルギスの夜を呼んだのか...!?俺はいろはみたいにお前の事をよくは知らねぇ。だがそんな最悪の魔女を呼べば民間人達も巻き込まれるんだぞ!!」

 

灯花「それだけ感情エネルギーも出る!もっとイメージしてみてよー」

 

俺の言葉にはやはり耳を貸さない...。それどころか死人が出るのにそれを感情エネルギーだとか抜かしやがる...!命をなんだと思ってんだコイツら...!

 

悠太「最悪の魔女というのはコイツらじゃないのか?それに、今だけの問題じゃない。魔女ではないが穢れの塊には変わりない。愚かすぎる。」

 

十六夜「自分も同意だ。どうする、やるなら今だ。魔女ではないからかイブは固定されて動けないようだ。」

 

健太「ああ、今は俺達の力でイブを消してマギウスの目的を根元から立つしかない...。」

 

壮介「余裕ぶっていられんのも今のうちだぜ!」

 

フェリシア「こっちは10人もいるんだからな!」

 

鶴乃「それに最強の私もいるからね!ただ、何かあるような......」

 

灯花「くふふっ、なーにがあるのかにゃー。でも流石最強さん!いくらそっちが頑張っても勝ち目なんてぜーんぜんないよ?魔力的にも体力的にもそして環境的にもねー。」

 

龍二「ふん、ただ見ているのも癪に障る。相手してやろう。灯花ひとりでも守れるかもしれないが俺に憑依したウワサの力を試したい。お前達は下がってろ。」

 

ねむ「魔力の方は平気?」

 

龍二「よほど魔力を使わない限りは平気だ。」

 

吉信「それで環いろはさん、あなたはここまで来て記憶に変化はありませんか?」

 

いろは「記憶にも気持ちにも変化はないよ。私にあるのはあなた達を止める決意だから。」

 

アリナ「はぁ~あ、つまんない...。こんなことになるなら最初からあなたを助けなきゃ良かったネ。」

 

吉信「仕方ありません。環いろはさん、あなたの意思は非常に見事です。ですがあなた方が勝つことは計算上無謀に近い。」

 

奴がそう言うと龍二が前に出た。

 

健太「龍二......。」

 

龍二「......相変わらずお前らしいな。」

 

健太「......」

 

龍二「お前はいつもいろいろな人間を焚き付ける。...だが、俺に取ればそれがムカついて仕方がなかった。」

 

健太「......俺自身それに対しては無意識だったんだ。知らない内に俺は色んな人を助けてやりたい...。そう思って小6の時、俺はお前に話しかけた。」

 

龍二「んなことはわかってる!わかってるんだよ俺は......!」

 

健太「何...?」

 

龍二「俺はお前に対してただムカついた訳じゃねぇ。負けたくなかった...。負けたくなかったんだよ...!」

 

健太「龍二、お前は...、何がしたいんだ?お前達がやってることは、解放という名の殺伐だ。ワルプルギスの夜の脅威はお前だって知ってんだろ?」

 

龍二「知っているさ、奴の脅威はな。だが、これは俺の転機なんだよ。」

 

健太「転機...だと?」

 

龍二「ああ、俺がどうしてもお前と対立してまで魔法少年少女の解放をしなきゃならねぇ理由がある。それはお前の家系に関わる事だ。」

 

健太「俺の、家系に...?」

 

龍二「そうだ。それはお前にとっても俺にとっても負の連鎖にしかならねぇ血塗られた過去がな。」

 

健太「......」

 

壮介「健太、今の龍二はお前の知ってる龍二じゃない。正気を保て。」

 

健太「っ!...ああ。悪いが今のお前の話を素直に聞くつもりはない!」

 

龍二「......まぁ良いだろう。ちょうど魔力がたまった所だ。見せてやる、お前達が勝てない切り札をなぁ!」

 

そう言うと龍二は両手を合わせた。

 

龍二「うぉおおおお!!」ゴゴゴゴゴ!!

 

健太「っ!?」

 

壮介「なっ!?なんだ!?」

 

鶴乃「みっ、皆!龍二君の体が!?」

 

龍二を見ると奴の体から紫色の魔力が現れていた。その魔力は次第に形となり、やがて上半身だけの巨大な骸骨となった。それを見て俺達は声もでなかった。

 

やちよ「なっ、何なの...あれ...。」

 

龍二「これが俺の切り札、「革命のウワサ」だ。さぁ、死にたい奴はかかって来るがいい。」

 

健太「皆怯むな!奴の思う壺だ!行くぞ!」

 

俺達は勢いを取り戻し龍二に突っ込む。絶対に龍二を倒す!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。