昨日の戦いから一夜明け、健太と壮介は一足早く神浜の図書館へ向かっていた。二人は昨日手にいれた巻物の情報を入手するために神浜の文書や歴史など調べるためである。
健太「(俺の一族は一体なんでこの神浜市の東西差別に加担していたんだ・・・?恐らく上の利権問題か・・・また別の何か・・・か?)」
壮介「・・・健太!」
健太「うぉっ!」
考えていた健太に壮介が声をかける。
壮介「大丈夫か健太?めちゃくちゃ険しい顔してたぞ?」
健太「あ?そんなに顔が怖かったのか?」
壮介「俺は見慣れてるから平気だったが通って来る人が避けるくらいだぜ?」
健太「マジかよ・・・昔から目つき悪いからなぁ・・・」
壮介「おまえ、何悩んでたんだ?」
健太「悩んでるっていうより、あいつは今どういう気持ちなんだろうってさ。」
壮介「う~ん、難しいなぁ。確かにあいつの一族は数千年前から続いていて組織的に繁栄もしたんだろうが、龍二がそれほど恨み持つって事は高坂一族も何か悪い事はしたのかも知れねぇけど・・・」
健太「俺は両親からその「高坂一族」の事は詳しく聞かされなかったから自分の一族の事はよく分からないけど、龍二が言ってた「ワルプルギスの夜」を呼び寄せたのが事実なら俺は許す事はできないな。」
壮介「つーかそんな昔に神浜市にワルプルギスの夜を呼んだって事はそれだけの戦争だったんだろうな。」
健太「そん時になってみねぇと分からねぇ。一応俺は高坂一族とは無関係だから龍二の様に復讐に走るつもりはないし寧ろ俺はなるべく穏便に話をつけるつもりだ。」
壮介「だよな、お前が龍二みたいに復讐に進むって言ったら殴ってでも止める所だったぜ・・・。」
健太「壮介・・・。」
壮介「仮にも俺は健太の親友だ。だからお前を裏切るような真似は絶対にしねぇよ。」
壮介はニカッと歯を見せて笑う。
健太「(そうだ、俺には心から信頼出来る大切な仲間達がいる。)ありがとう壮介。よっし!ならちゃちゃっと調べ物して帰りますか!調べ終わる頃には夕方だろうしな。」
壮介「ああ、後竜真館で集まりあるから忘れんなよ?」
健太「おう!」
そう言って健太と壮介は図書館へ向かう。
健太「ここか......。」
二人は大通りをしばらく歩いてようやく目的地に着いた。
壮介「でっけぇ図書館だなぁ......。」
健太「つい最近に出来た図書館らしい。ここには様々な本が置いてあるらしいからいろはの腕輪とか俺の巻物に関する書物も置いてあるだろう。」
壮介「まぁそうだな。よし、入ってさっさと探して解決しようぜ!」
健太「ああ。」
そう言って健太と壮介は中に入る。そして入り口のすぐ手前のサービスセンターらしき所で職員と思われる女性に止められる。
職員「あの、すいませんがこの図書館はメンバーズカードをお持ちではない方はご入室出来ないんです。」
健太・壮介「メンバーズカード?」
職員「どちらかお持ちではありませんか?」
健太「…持ってねぇな…。」
壮介「俺もだ…。なぁあんた、メンバーズカードは今すぐ登録出来るか?」
職員「メンバーズカードの登録はかなり時間がかかりますが、大丈夫ですか?」
壮介「ああ、大丈夫だ。2人分で頼む。」
職員「了解しました。では三時間ほどお待ちください。」
健太「助かる。」
そう言って職員は奥の部屋に入っていった。
健太「…って言ったものの……」
壮介「三時間もこんな所で待ってらんねぇっての…。」
健太「どっかで時間でも潰すか。」
壮介「だな、ちょうど昼時だし。」
そう言って外に出た瞬間、健太は横から走って来た女の子とぶつかる。
健太「うわっ!?」
女の子「キャッ!」
ぶつかった反動で健太と女の子が倒れる。
女の子「ご、ごめんなさい!」
健太「いや、大丈夫だが、急いでるのか?」
女の子「はい!すいません!」
そう言って女の子は走ってビルの隙間に入っていった。
健太「何だったんだ…?」
壮介「………」
健太「ん?どうした?」
壮介「さっきの女の子、魔法少女だ。」
健太「え…?」
壮介「あの女の子…やけに急いでたな…。」
健太「とりあえず、追いかけてみるか。」
壮介「ああ。」
そう言って二人は女の子の後を追いかける。バレないよう後をつけると二人の男の子と一人の女の子がいた。健太と壮介は静かに会話を聞き取る。
女子1「はぁ…はぁ…ごめんなさい、遅れて……!」
男子1「大丈夫だよ、俺達も今着いた所だし。」
女子2「それであかり、誰にもバレてない?」
女子1改めあかり「うん、今の所バレてないよ。隆君はどお?」
男子2改め隆「俺の方も今の所マギアユニオンの連中にはバレてねぇぜ。」
女子2改めエリカ「それで、幹部の人達が探してる「巻物」は見つかった?」
男子1改め雄二「それが、そう簡単には見つからねぇんだ。全く、何で巻物なんか……。」
隆「それでも、「マギウス」が復活するための作業だ。やるしかないだろうな。」
健太「っ!マギウスだと…?」
壮介「あいつら、元マギウスの羽根か……だが、何で俺達が持ってる巻物を探してるんだ?」
健太「どうやら、あいつらの幹部とやらが欲しがってるらしいな。尚更見過ごす訳にはいかねぇ。」
そう言って二人は元マギウスの四人の前に立つ。
健太「おぅてめぇら!」
4人「っ!?」
壮介「こんなとこで何してるかと思えば元羽根の悪巧みか。そうはさせねえぞ。」
あかり「さっきぶつかった人!?」
エリカ「あかり!こいつらマギアユニオンのリーダー格よ!」
あかり「えぇ!?」
隆「つけられてたのか……!」
雄二「くそっ!つけられてたなら仕方ねぇ!やるぞ!」
そう言って羽根達が攻撃体制に入った。どうやらやる気満々みたいだ。
健太「壮介!俺達もやるぞ!」
壮介「ああ!さっきの会話の内容しっかり聞かせてもらうぜ!」
そう言って二人は変身して攻撃体制に入る。そして秒足らずで元羽根は一瞬でkoとなった。
健太「さて、さっきこそこそ話してた内容、聞かせてもらおうか?」
壮介「あ、だんまりは無しだぜ?きっちりボロ出してもらうからな?」
4人「うぅ・・・」
四人のマギウスらしき魔法少年少女達健太と壮介にあっさり返り討ちにされ尋問をされた。
壮介「まずひとつ、お前らは元マギウスの羽根か?」
隆「あぁそうだ、俺達は元マギウスの羽根だ・・・」
健太「なんで巻物を狙ってる?あれとお前らに何の関係がある?」
エリカ「あ、あたしたちに聞かれても・・・」
壮介「お前らの幹部とやらの命令だろ?」
雄二「確かに幹部の命令だけど、俺達はただその幹部の人に巻物をとってこいとしか言われてないんだ!」
あかり「そもそも私たち、幹部の人がネットで募集しててその話に乗っただけなんです!」
壮介「ん?ネットで募集?どういうこった?」
健太「というかそもそもお前らマギウスの羽根だろ?そんな情報俺達に流していいのか?」
雄二「ほんとは俺達、マギウスの羽根じゃないんです・・・。その幹部の人にマギアユニオンって組織の一味に出会した時はマギウスって名乗れって言われたんです。」
健太「なるほど、つまりお前らはネットでその幹部が募集してる奴を見て、俺達の巻物を奪おうとしてたのか。」
壮介「なんだ、マギウスじゃねぇのか・・・」
健太「いや、こいつらに募集したその幹部って奴がマギウスの残党だろう。それが分かっただけでも充分だ。もう良いぞ。」
そう言うと四人は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
健太「おいおい、逃げ足だけは早いな・・・」
壮介「まぁ喋ってくれただけでも十分だ。さぁ昼飯食ってさっきの図書館に戻ろうぜ。」
健太「ああ。」
そう言って昼飯を済ませ図書館へ向かう。二人は図書館の中に入るとそこには膨大な数の本が並べられていた。
壮介「すげぇなこりゃあ・・・」
健太「かなりの数だな、これは区分分けされてなきゃ分からんぜ・・・」
壮介「高坂一族の歴史は神浜の歴史の区分になるのか?」
健太「多分そうだろうな。神浜の歴史の本をくまなく調べるぞ。」
健太と壮介は「神浜の歴史」のエリアを高坂一族と松井一族の関係をくまなく探した。するととある本の中身にその二つの一族の関係を記した所を壮介が見つける。
壮介「っ!健太、見つけたぞ!」
健太「本当か!?」
健太は壮介の開いていたページを一枚ずつ読んでいく。その内容はかなりの量がかかれていた。
健太「・・・・・・」
壮介「・・・思った以上にヤバかったな。」
健太「まさか、ご先祖様の喧嘩が今の時代まで続いてるとはな、しかも神浜市で有名な「水名露」と「千鶴」そして「栄千十郎」の事もほんの少しだけあった。」
壮介「腕輪の事は分かんなかったが、健太と龍二の事は少し分かった気がするな。」
健太「後はあいつからしっかり理由を聞かねぇと・・・ってそろそろ時間だな。」
壮介「そろそろ竜心館で集まる頃だな、行こうぜ。」
健太「ああ。」
そう言って二人は図書館を後にし竜心館へ向かう。