魔法少年 ケンタ☆マグス 古の血を継ぐ者   作:マイスリッド

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第2話

翌日、目が覚めた健太はマミに連絡しようとスマホを手に取る。

 

健太「ん、マミから不在着信?」

 

健太のスマホにマミからの不在着信が5件も入っていた。健太はそれが緊急の要件なのか気になりつつも電話に出る。

 

健太「・・・・・もしもし?」

 

マミ『・・・もしもし健太君。』

 

健太「・・・マミ、元気がなさそうだが大丈夫か?」

 

マミ『・・・・・・』

 

健太「・・・マミ?」

 

マミ『あ、あぁ大丈夫・・・風邪ひいちゃったのよ・・・ケホケホ・・・。』

 

健太「・・・風邪か。通りで最近元気なかったのか。」

 

マミ『そうなの・・・健太君悪いけど、学校に行ったら先生に休むって伝えてくれないかしら・・・?』

 

健太「あぁ分かった、お大事になマミ。」

 

マミ『・・・ありがとう、健太君・・・・・・ぅ・・・』

 

健太「ん?マミ、お前泣いtって切れた・・・。」

 

そう言って健太が電話を切ろうとするとマミの啜り泣く声が聞こえマミにそれを尋ねようとすると運が悪く電話が切れてしまう。

 

健太「マミ、泣いてたのか・・・?まさかな、風邪ひいてんだからもしかしたら鼻水啜った音かもしれねぇし。」

 

そう言って、健太はいつも通り準備をして学校に向かう。しかしこの日はいつものような晴天ではなく曇りであり雲が覆っていた。

 

健太「はぁっ曇りか・・・。」

 

そんな中で健太は学校に到着し教室に入る。すると先に龍二が座っていた。

 

健太「おっ珍しいな龍二、先に来てたのか。」

 

龍二「・・・・・・」

 

健太「・・・?どうした龍二?」

 

龍二「・・・少し、お前と話したいことがある。屋上に行くぞ。」

 

健太「えっ?あ、あぁ・・・」

 

そう言って龍二は健太を半ば強制的に屋上へ連れ出す。屋上に着くと雨が降りしきっていた。

 

健太「うわっ!雨が降ってる!」

 

龍二「そんな事でいちいち騒ぐな。」

 

健太「わ、悪ぃ・・・で、話ってなんだよ?」

 

龍二「・・・・・・」

 

健太「・・・?」

 

龍二「健太、お前が魔法少年になった時、どういう願いをキュゥべえに話した?」

 

健太「えっ・・・そりゃあ・・・正直、あん時は強盗に刺されて死にかけて、自分が死にたくないって思ったから必死に懇願したよ。」

 

龍二「ほぉ・・・」

 

健太「ただ、俺はただで命乞いした訳じゃあない。俺にはまだ行方不明の妹がいる・・・。だから妹の安否を知るまでは、俺は絶対に死ねない。そしてこの力で、俺は困ってる人を助けたい・・・そう言った意味でも俺はキュゥべえに頼んだんだ。一か八かの賭けだったがな。」

 

龍二「・・・そうか、ふっ・・・お前らしいな。」

 

健太「まぁな。」

 

龍二「だがな、お前のその大層な思いが崩れ落ちる「真実」があるとしたら、どうする?」

 

健太「・・・・・・はっ?真実だと?」

 

龍二「そうだ。」

 

健太「真実ってなんだよ?」

 

龍二「・・・俺達魔法少年少女の「存在意義」が問われる物と言えばいいか・・・。」

 

健太「・・・龍二にしては珍しく随分回りくどい言い回しするじゃねぇか。なんだよ?」

 

龍二「・・・・・・お前は、その答えを知る覚悟はあるか?」

 

健太「覚悟・・・?つまり、お前が言う答えが俺からすればかなりヤバい事になるって解釈で良いんだな?あぁ、あるぜ。どんな答えでもしっかり聞いてやる!!」

 

龍二「そうか、なら真実を教えてやる。その真実は・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺達魔法少年少女は魔女になる運命を背負わされたという真実だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

健太「・・・・・・おい龍二、今なんて言った?魔法少年少女は「魔女になる」運命を背負わされただと・・・?」

 

龍二「そうだ。」

 

龍二の唐突のカミングアウトは健太からすれば到底理解し難い話であった。

 

健太「いや待て待て・・・魔法少年少女が魔女になるだって?冗談は止してくれ、お前らしくねぇよ。」

 

龍二「この顔を見ても冗談だと思えるのか?第一、お前は短期間ではあるが魔女と交戦していて気になる点はなかったか?」

 

健太「気になる点・・・?・・・そういや、魔女ってどこから現れてるんだ・・・?・・・まさか・・・!」

 

龍二「やはりお前は変な所ではしっかり頭が働くんだな・・・今お前が思った通りだ。」

 

そう言って健太と龍二は互いに自分のソウルジェムを見て健太はゴクリと唾を飲み込む。

 

健太「まさかこの穢れってのがMAXになったら・・・。」

 

龍二「そうだ、そのソウルジェムを媒体にして魔女は生み出される。要は俺達はキュゥべえの実験体なんだ。」

 

健太「確かに、キュゥべえは肝心なこの穢れが最大まで溜まった時どうなるかを言わなかった・・・。やってくれんなあの白だぬきがぁ・・・!」

 

健太は魔法少年少女がいずれ魔女になる事を理解し、それを言わなかったキュゥべえに怒りを覚えた。その最中健太はあることを思い出した。

 

健太「っ!・・・ちょっと待て・・・って事は、これまで倒してきた魔女は・・・!」

 

龍二「お前が倒してきた大多数の魔女の元になった魔法少年少女は既にこの世にはいない。お前が背負う必要もない。」

 

健太「・・・・・・」

 

龍二「・・・どうした?」

 

健太「それに関しては分かった・・・。ただあと一つ、気になる事がある。」

 

龍二「なんだ?」

 

健太「今日、学校に来る前マミに電話したらマミが元気ないように聞こえてな。てっきり俺は風邪でも引いたのかと思った。でもな、電話を切る直前マミが泣いていたように聞こえた・・・。お前まさか、今聞いた内容・・・マミに話したのか・・・?」

 

龍二「・・・・・・ああ、話した。」

 

健太「っ!!・・・なんて事しやがったんだ馬鹿野郎がぁああ!!」

 

龍二「ぐっ!!」

 

一連の内容を聞いた健太は龍二の返答に激怒し殴りかかる。龍二は敢えてそれを受けきり、殴られた衝撃を躱した。

 

健太「なんでだ龍二ぃ・・・!なんで・・・なんでマミにそんな話をしたぁ!!?」

 

龍二「・・・いずれこの事はマミの耳にも入る。後から知って絶望するよりも、今知っておけば魔女化するリスクも下がる。それに・・・」

 

健太「・・・・・・?」

 

龍二「・・・俺はこの世界に復讐を誓って魔法少年となった。復讐をするのに巴マミという存在は障害になる。だから縁を切るという意味でもマミに真実を話したまでだ。」

 

健太「っ!?復讐だと!?それに縁を切るって・・・!」

 

龍二「この世界は残酷だ。そう、キュゥべえという存在が現れてから人類は繁栄の一歩を辿った。しかしだ、その裏では数多くの魔法少年や魔法少女が犠牲となっている。俺の一族もそうだが繁栄の一歩を辿れば辿る程、人類は欲に満たされ破滅を及ぼすんだよ。」

 

健太「な、何を言ってんだ龍二・・・」

 

龍二「まぁ今の話をした所でお前には分からん。だが健太、俺は今日を以てお前との縁も切る。そして・・・」

 

健太「なっ!?ちぃっ!」

 

すると龍二はいきなり、健太に襲いかかる。

 

龍二「お前を魔女化させないためにも、今ここでお前のソウルジェムを砕く!」

 

健太「くそっ・・・やるしかないのか・・・!?」

 

そして健太も身構え、見滝原中学校の屋上で殴り合いが始まる。


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