−現在−
アリナ「これが自分の過去ってワケ。」
壮介「それがお前の過去か・・・。」
アリナ「雪斗先輩が言ってた一流のアーティストになるの、そのためにマギウスの力になって神浜をペイントブラシの糧にするワケ。アッハハハハハハハ!!」
いろは「でも、だからって神浜を壊していい理由にはなりません!」
俊「ましてやその雪斗さんはそういった意味で死んでいった訳じゃない!貴方は雪斗さんの思いを間違えています!」
アリナ「アナタ達に何が分かるワケ!?チョーウザいんですケド!!」
鶴乃「私達がウザくても全然構わないよ!寧ろアリナがやってる事が悪い事って言うのを理解するまで私達は諦めない!」
フェリシア「こ、こぇーけど・・・やってやる!」
さな「アリナ!今貴方の目を覚まします!」
アリナ「アッハハハハハハハ!なら、アナタ達も纏めて雪斗先輩の元に送ってアゲル!!」
かりん「いい加減にするのアリナ先輩!!!!」
アリナ「なに?フールガール・・・うるさいんですケド。」
かりん「いい加減にして欲しいの!アリナ先輩!!」
かりんは必死に涙を堪えながらアリナに訴える。
かりん「アリナ先輩は・・・!私みたいな人でも怒りながらでもちゃんと指導してくれて・・・!尊敬できる先輩だったの!けど今は・・・!」
アリナ「あ〜もう・・・言いたいことは何なワケ?」
かりん「アリナ先輩は!雪斗先輩の思いを踏みにじっているの!!」
アリナ「っ!?」
かりん「雪斗先輩は・・・アリナ先輩に自分の本来の夢を託したはずなの!それなのに…それなのに!!多くの人を苦しめる組織に入って・・・雪斗先輩は絶対に望んでいないの!」
アリナ「アナタに雪斗先輩の何が分かるワケ!?勝手な判断しないで欲しいんですケド!!」
かりん「分かるの!雪斗先輩は死ぬ直前まで自分の日記に心情を書いていたの!」
アリナ「えっ・・・?」
そう言ってかりんはスカートのポケットから小さな手日記のページを見せそれを見たアリナは驚いた。
アリナ「これは・・・!」
−雪斗の手日記−
拝啓
誰かがこのページを読んでいるという事はもう既に俺はこの世にはいないだろう。これをアリナかかりんが見ている頃には遺書として残ってるかもな。
俺には夢があった。小さなガキの頃にある一つの絵画を見たことで俺はいつかこの絵と同格の上手さを手に入れたいと願うようになり、必死に絵画の勉強をした。
もちろん回りから馬鹿にされたり貶されたりと散々だった。現に俺の両親は回りからクズと称されるほど落ちぶれていたからだ。
親父は酒を飲んでは荒れ狂って暴力ばかり、母親はホストと浮気しては夜遊び、まぁクズと呼ばれても仕方ない。
はっきりいって俺は人を教えるような資格は無い。けど、そんな俺に近づいてきたのが「アリナとかりん」だ。
二人はこんな落ちぶれてた俺に上手くなる方法を教えてほしいといわれ、最初は嫌々ながらも二人に教えを説いた。するとアリナとかりんは俺を見習うと言って必死に美術の努力を重ねていった。
俺は嬉しかった。人に教えを説くというのはこんな嬉しいことなのかと思った。そのうち俺は俺の夢を継いでくれる者がアリナだと思った。
恐らくアリナは俺が死んだら他の連中とは違って違う道を進んで行くだろう。だからもし誰かがこれを読んだとき、アリナが道を踏み外しているなら正してやってほしい。そしてこう言って欲しい。
「俺みたいな人生を送り自分の人生を棒に振り回すな。自分の大切な仲間を無駄にするな、お前を尊敬している後輩が泣くぞ、夢を諦めるな。」と説教してくれ。
他人任せで申し訳無いが、アリナみたいな頑固者はこうでもしなければ道を正そうとしない。最後に・・・・・
「俺はいつでもお前を見守っている。」と伝えてくれ。
以上だ。
桂 雪斗
アリナ「雪斗・・・先輩・・・!」
アリナは涙を流して今までの自分がしてきた事の重大さ、そして雪斗の本当を実感し、かりんがアリナに近づく。
かりん「雪斗先輩は、最期までアリナ先輩を思っていたの・・・」
アリナ「うぅぅぅ・・・ぅぅ・・・!」
かりん「だからアリナ先輩・・・もう、終わりにして欲しいの・・・私はずっとアリナ先輩の味方だから・・・。」
アリナ「ぅぅ・・・ごめんなさい・・・ごめんなさいぃ・・・。」
壮介「その感情を最初から出してくれりゃあ相談乗れたのになぁ。」
俊「今までしてきた事は許せませんが・・・アリナから謝罪の言葉を聞けたのでまぁ良しとしましょう。」
いろは「私も気持ちはよく分かります・・・だから責めることは出来ませんが・・・。」
鶴乃「アリナ・・・辛かったんだね・・・。」
さな「誰にも打ち明けられずにずっと抱えていたんですね・・・。」
フェリシア「まぁ俺も謝罪の言葉を聞けたからじゅーぶんだ!」
壮介「アリナ。」
アリナ「ぅぅ・・・・・。」
壮介「お前の気持ちは痛いほど分かる。自分を最期まで見てくれた先輩を亡くしたのは辛いことだ。けど、どんな理由であれお前は神浜を滅ぼそうとして多くの一般人、そして魔法少年少女達を傷つけたのは事実だ。」
アリナ「・・・・・・」
壮介「だからお前には・・・・・」
かりん「まっ、待って欲しいの!」
壮介「ん?」
かりん「アリナ先輩が罰を受けるなら私も罰を受けるの!」
壮介「えっ?」
いろは「かりんちゃん!?」
かりん「私もアリナ先輩を止められなかった責任があるの・・・だから私にも罰を受けさせてほしいの!」
壮介「待て待て待て、俺が言いたいのは罰の事じゃねぇよ。それに俺はあくまで代理だし健太がいない間に執行したら俺が健太にドやされるっての。」
かりん「えっ?」
壮介「さっき俺が言おうとしてたのは「生きろ」って事だ。」
アリナ「え・・・?」
壮介「雪斗さんのために「生き続けろ」俺は友達の親の死を間近で見た。その時俺は理解したんだ、人間はこんなにあっさり死ぬんだとな。だからこそ、死んだ人の分まで生きろ。」
アリナ「でもアリナは・・・極刑が妥当じゃ・・・?」
壮介「妥当もクソもあるか、そもそもまず健太が死ぬことを認めねぇだろ。あいつの夢は「全ての魔法少年少女達が互いに手を取り合う」事を目標にしてんだ。あいつなら誰一人欠けることは許さんとか言いそうだしな。」
アリナ「確かに・・・高坂健太なら言いそうだケド・・・。」
壮介「だろ?じゃあこの話はおしまい!な、皆もそれで良いだろ?」
皆「うん!(はい!)(おう!)」
かりん「アリナ先輩、帰ろう!また二人でいちごみるく飲むの!」
こうしてアリナを説得し平和になった。だがそれを遮るように3発の銃声が鳴り響いた。
壮介「っ!?」
アリナ「・・・えっ?」
アリナの腹に3発の風穴が開きその瞬間、アリナが倒れる。
かりん「アッ・・・アリナ先ぱぁああい!!?」
壮介「アリナァ!!」
いろは「アリナさん!」
壮介達は倒れたアリナに近寄り傷を見る。幸い全弾腹に命中したためソウルジェムに異常は無かった。
「やっぱり貴方も裏切るとはね、吉信様の予想通りだったわ。」
壮介「っ!てめぇは・・・!?天津・・・!」
アリナの背後で銃を発砲したのはネオマギウス幹部の天津岬だった。突然の不意打ちでアリナは成す術なく倒れた。
アリナ「ぅう・・・」
かりん「アリナ先輩・・・!しっかりするの・・・!」
いろは「背後からいきなり撃つなんて・・・!」
鶴乃「アリナは味方じゃなかったの!?」
岬「アリナさんはネオマギウスを裏切った、裏切り者は粛清。この意味が分からないわけじゃないよね?」
岬はそう言ってアリナに銃口を向ける。
岬「私はね、前々からあなたの事が気に食わなかったの!だからぁ、私の弾の餌食になってもらうわ!!」
かりん「させないの!」
すると銃を構える巧の前にかりんがアリナを庇う。
アリナ「かりん!!」
岬「邪魔をするならあなたから弾いてあげる!!」
いろは「かりんちゃん!」
壮介「させるかぁぁぁぁぁぁ!!」
壮介は全力で岬に向かって走り出し岬弾く直前に手を掴まれ上に撃ち銃を奪われ蹴り飛ばされる。
岬「くっ・・・!」
壮介「てめぇがアリナに気に食わないんなら俺もてめぇが気に食わねぇんだよ!俺はお前みたいな女が死ぬほどムカつくんだよ!」
岬「なるほど・・・それは私も同じ・・・奇遇ねぇ・・・!」
壮介「お互いに恨み節はあるって事だよ、タイマンで勝負しようや。」
岬「分かったわ・・・なら、殺す気でいかせてもらうわよ!!」
壮介「かりんちゃん、皆!ここは俺に任せてアリナを調整屋へ行ってくれ!」
かりん「わ、分かったの!」
そう言って皆は調整屋へ向かい、壮介は岬とタイマンをする。
戦闘BGM「Holy Ground」FE無双 風花雪月
「VS ネオマギウス幹部 天津岬」
岬「ハァァっ!」バァンバァン!
壮介「こいつ、前より速度が早くなってやがる!!」
岬「アッハハァ!まだまだこんなもんじゃないよ!!!」
壮介「ちぃっ!いちいちうぜぇ!」
岬「死になさい!」バァンバァン!
壮介「うぉっ!?」
壮介は交戦しながら岬の銃を躱して攻防を繰り広げる。その際岬が放った弾丸の威力が凄まじく木々を薙ぎ倒す。
壮介「・・・バケモンかよてめぇは・・・!?」
岬「魔法少年少女は元々バケモンみたいなもんでしょ!!」
壮介「そう言われたらそうかも知れないがな!オラァ!!」
岬「ぐふっ!!」
壮介は岬の銃撃を躱しながら接近しカウンターを浴びせる。強烈なボディーブローを浴びた岬は顔を歪ませながら後退した。
壮介「はぁはぁ・・・!どうだこの野郎!」
岬「フフ・・・ハッハハハハハ!面白いわ!なら私の本気を見せてあげる!」
すると岬はもう片方に拳銃を取り出し二丁拳銃を構え壮介を襲う。
壮介「ちぃっ!こうなったら奴の隙を着いてそこに一撃を叩き込むしかないな・・・!」
岬が拳銃を構えた瞬間の隙を壮介は見逃さずに一気に詰め寄る。
壮介「オラァ!」
岬「グハァ!?」
岬の腹に強烈なカウンターの蹴りを当て吹き飛ぶ。それと同時に拳銃も吹き飛び互いに素手になる。
岬「はぁはぁ・・・やるじゃん・・・けど、最後に勝つのは私なんだぁ!!」
勢いよく壮介に飛び掛かり岬は木に激突し拳を痛めた瞬間壮介は間髪入れずに連続で殴る。岬も必死で防ぐが意味はない。
壮介「ふん!」
岬「ガァッ!?」
敢えて脇腹に左フックを叩き込む事で岬の防御は一気に総崩れとなる。
壮介「これでぇ・・・!終いだぁ!!」
岬「ぐあぁぁぁ・・・!!」
渾身の力を込めて右パンチを勢いよく奴の右頬に浴びせ倒れる。
壮介「はぁはぁ・・・お前ら・・・ネオマギウスは、何をしようとしてやがる・・・!吉信の目的は何だ!?」
岬「ふっ・・・それは教えられない・・・仮にも私は吉信様の味方・・・裏切ることはしない・・・!」
壮介「・・・じゃあなんでてめぇらは健太の妹の由美ちゃんを誘拐した!?」
岬「吉信様は・・・普通の魔法少年少女達とは異質の魔力を持ってる・・・私はそこまでしか知らない・・・。」
壮介「ちぃ・・・!まぁ良い・・・てめぇを捕まえされすりゃあこっちのもんだ。」
岬「残念だけど・・・私は捕まらない!」
壮介「何・・・!?うぉっ!?」
岬「じゃあねくそ野郎!また会える日を楽しみにしてるよ!」
壮介「なっ!?待て!」
壮介は謎の衝撃波をくらい吹き飛ばされた。それを見計らって巧は闇に姿を消した。
壮介「くそっ!逃げられたか・・・とにかく調整屋に急ぐか。健太・・・妹を助けてやれよ!」