第1話
−とある場所−
とある場所の廃ビル内で吉信と巧が部下からの報告を聞いていた。
二人の後ろにあるパネルボードに吉田宗雄、藤村通の写真がありその写真に上から赤いバツがついていた。
部下「吉田宗雄、又藤村通の殺害を確認いたしました。」
吉信「報告ありがとうございます。引き続きマギアユニオンの監視をお願いします。」
部下「はっ。」
そう言って部下はその場を去っていった。それを聞いたレイゴウは笑いながら吉信に話す。
レイゴウ「ハッハッハッ!!お前もゲスいな全く!まさか高坂健太の精神的支柱を一気に崩すとはなぁ。」
吉信「マギアユニオンを潰す為にはリーダーである高坂健太の精神的支柱であった吉田宗雄と藤村通を殺害すれば彼の心は情緒不安定となり自滅してくれれば私も効率よく神浜を支配出来ますからねぇ。」
レイゴウ「ただ、あいつらは殺さなくて良かったのか?」
吉信「あいつら、とは?」
レイゴウ「里見灯花と柊ねむ、アリナグレイに梓みふゆ、そして天音姉妹に牧野郁美に観鳥令だよ。あいつらも裏切り者だろ?」
吉信「確かに彼女らはマギウスを裏切ったクズです。しかし彼女らは驚異になるような存在ではありませんし何より、救われたいとほざいておきながら脱退したクズに兵隊を差し出す気にはなりませんよ。」
レイゴウ「だから、お前に一番近かった藤村が選択されたって訳か・・・御愁傷様だぜ。」
吉信「全くですよ、私の事を勘ぐらなければ死なずに済んだのにねぇ、まぁ私は彼らのように人の死で稼ぐビジネスマンですから。それより、龍二さんの居場所は特定できましたか?」
レイゴウ「今捜索を続けてるが全く見つからない、多分いち早く俺達の計画に気がついた可能性が高いぜ。」
吉信「気がついたというより、既に勘付いていた可能性がありますね・・・これをマギアユニオンの連中に情報を横流しにされるとマズいですから至急捜索隊を見滝原、風見野そして近辺の街に送り込みましょう。」
レイゴウ「分かった、構成員にその事を伝えよう。」
吉信「大方何人かの構成員は龍二さんの方へ付いたと思われますね。構成員にも目を光らせておいて下さいね。この場所もそろそろ移動した方が良さそうです。」
吉信「ああ。」
吉信「さて「死者蘇生の陣」を発動する生贄の目標数に達し、「回復阻害弾」「強制魔女化弾」の配備は整った。後は「吉信一派」の復活に向け、最後の下準備です。もうすぐ私はキュゥべぇをも退ける力を手にすることが出来る!フハハハハ・・・!!」
第16章 登龍門
−みかづき荘−
健太はみかづき荘内の自室にいた、吉田宗雄に続き藤村通までネオマギウスの餌食になってしまい大切な二人を失った健太は引きこもってしまった。
スマホには色んな魔法少年少女達の心配のメッセージが送られてきていた。だがスマホを見る気にもなれずにいる。
健太「・・・おっちゃん・・・兄貴・・・なんでなんだよ・・・。」
その時、健太の頭の中に吉信の憎たらしい笑みを浮かべた顔がフラッシュバックする。
健太「・・・・・・」
健太は布団から飛び上がるように立ち上がり勢いよく自室の扉を開けると壮介がそこにいた。
健太「っ!?」
壮介「うぉっ!健太!?どうした急に?皆お前の事を心配して・・・」
健太「奴と話をつける。」
壮介「えっ?一体誰となんだ?」
健太「吉信と、話をつける。」
壮介「話つけるっていっても奴がどこにいるか分からねぇぞ・・・総乃助さんの話じゃあアジトを転々としてるみたいだし。」
健太「なら巧とかいう奴に聞く!奴はどこだ!?吉信の居所を吐かせる!」
壮介「多分だが、あいつなら確か参京区内の「連層ビル」って所で見たやつがいたらしいぜ。もしかしたら連層ビル内に奴らのアジトがあるかもしれない。」
健太「連層ビルか・・・今から行ってやる!」
壮介「えっ?お、おぉ分かった、後で俺達も行くからな。」
健太は怒り心頭で吉信と巧がいたとされたアジトへ向かう。
玄関を出ると既にネオマギウスがみかづき荘を包囲しやちよ達が臨戦態勢に入っていた。
俊「・・・健太さん、ちょうど呼びに行こうとしてた所です。」
由美「ネオマギウスの人達だよ、名乗るつもりはないみたいだけど。」
健太「連中・・・こっち見てるだけか?」
鶴乃「そうなんだけど・・・なんかどんどん数が増えてくるんだよ・・・。」
鶴乃の言うとおりネオマギウスの数がどんどん増えていき健太は更に苛立ちを覚える。
やちよ「何はともあれ私達が気に入らないのは確かなようね・・・。」
健太「そいつは、お互い様だぜ。おい、今から出かけるんだ、邪魔しねぇでくれや。」
健太は構成員達に話すが構成員達はその場から動かずに健太達を睨みつけていた。
健太「ケッ、そこに居たいんなら一生そこに居とけや。俺らは行かせてもらうぜ。」
そう言って無理やり構成員を突破しようとするが構成員達も攻撃態勢に入る。
健太「ふっ、いいねぇ!もう細かい理屈がいらないようだなぁ!遠慮しないでかかって来やがれぇ!!」
−数分後−
健太「ケッ!ざまあみやがれカス共!!そこで一生寝とけゴミが!!」
壮介「まぁまぁ落ち着け、ともかくこの先もネオマギウスの連中相手にすんのか?」
俊「キリがないですよ?」
健太「今の俺は殴るのも殴られんのも気分いいんだ。余計なこと考えないで前にすすめるんなら構わねぇ。」
壮介「そうか、ならその調子で連層ビルに向かうか。」
そう言って健太達は連層ビルへ向かう。その最中由美はあることを考えていた。
由美「(お兄ちゃんなんだが、いつものお兄ちゃんじゃない気がする・・・悪い予感が当たらなきゃいいけど。)」
うい「由美ちゃんどうしたの?」
由美「う、うぅん何でもないよういちゃん。お兄ちゃんに付いていこう。」
由美はそう思いつつ健太についていく。しかしこの由美の予感は悪い方向へ的中してしまう。
−参京区 連層ビル−
健太「この廃ビルか・・・」
いろは「とりあえず中に入りましょう。」
そう言って中に入ると、確かに廃ビルではあるが人が居たような痕跡があった。そして健太はあるものを見つける。
健太「っ!これは!」
由美「どうしたのお兄ちゃん?」
健太「このパネルボードにおっちゃんと兄貴の写真が・・・!」
由美「っ!」
二人が見たのは宗雄と通の写真にバツ印がついたものだった。
健太「ネオマギウスの奴ら・・・端からおっちゃんと兄貴を殺す気だったってのか・・・!!」
由美「っ!お兄ちゃん!外を見て!」
健太「っ!?ネオマギウスの奴らか!!」
健太「おい!巧はどこにいる!?」
構成員「初対面でそんな質問するなんて礼儀がなってねぇなぁ。」
健太「じゃあ丁寧に訪ねてやるよ、その体になぁ!!」
構成員「お前らやれぇ!高坂健太の首取ってやれ!!」