−洞穴−
龍二「・・・・・・」
北養区の洞穴で一人で佇む少年がいた。その少年に3人の部下が声を掛ける。
龍二「俺は一体・・・・・・。」
隆史「見つけた!」
龍二「・・・隆史、ゆきかに恵一か。」
隆史「いや〜探したぜ〜。」
龍二「・・・で、お前達は吉信のアジトを探ってたが何か進展はあったか?」
恵一「吉信のアジトであるものを見つけた。恐らく松井一族の巻物だ。」
龍二は恵一から受け取った一つの巻物を見る。
龍二「・・・・・・」
ゆきか「何か分かりましたか?」
龍二「・・・用が出来た、一度松井一族本部へ向かうぞ。会わなければならないやつができた。」
隆史「えっ?誰なんすか?」
龍二「着いてくれば分かる、行くぞ。」
隆史「へ〜い。」
そう言って四人は洞穴を出て焼けた松井一族本部へ向かう。
−旧松井一族本部−
ゆきか「この地下に松井一族の石碑があるなんて・・・」
龍二「さて、始めるか。隆史、奴らを出せ。」
隆史「りょうか〜い。」
そう言って隆史は6人の吉信一派の構成員を結界の中から出す。構成員達は気絶していた。
龍二「こいつらは「あの6人」を呼び出すための生贄になってもらう。「死者蘇生の陣」!!」
そう言って術を発動する。すると構成員は灰となり、変わりに新しく「6人」の体が構築される。
隆史「っ!?この人ら!?」
龍二「そうだ、こいつらはかつて百年戦争を戦い抜いた英傑「ジャンヌ・ダルク」達だ。」
恵一「これが伝説のジャンヌ・ダルク・・・フランスをイングランド連合軍を倒したあの・・・」
構築され、姿を現したのはフランスの乙女ジャンヌ・ダルク事「タルト」そしてタルトの友である「リズ・ホークウッド」そしてローマ帝国の「エリザ・ツェリスカ」更に「メリッサ・ド・ヴィニョル」歴史に埋もれた戦士「リーファ・オ・グラビカ」最後に高坂健太の父である「高坂影信」が現れる。
タルト「・・・・・・あれ?ここは・・・っ!?嘘・・・皆・・・!」
リズ「っ!?タル・・・ト・・・?」
エリザ「本・・・物・・・!?」
メリッサ「タルト・・・タルトォ・・・!」
リーファ「嘘だろ・・・?まじかよ・・・!」
タルト「皆ぁ・・・!」
目を開いたタルト達は互いに抱き締めあった。
メリッサ「タルト!会いたかったぁ・・・!」
リーファ「全くお前は!最後まで無茶しやがってよぉ・・・!」
タルト「私も皆に・・・会いたかったです!」
エリザ「一体、何がどうなっていますの・・・?」
リズ「あの世ってわけでも無さそうね・・・」
影信「この感じ・・・どうやら俺達はあの世から再び現世に蘇ったようだ。」
リーファ「あの世から・・・ってお前は誰だ?」
影信「ん?・・・あぁ、俺は高坂影信だ。」
リーファ「影信か・・・で、現世に蘇ったって事は・・・」
リズ「・・・術者が行ったのね。」
龍二「・・・・・・」
エリザ「術者はこの方ですわね・・・。」
龍二「俺は松井龍二、あんた達を復活させたのは俺だ。」
リズ「・・・何の目的で私達を復活させたの?」
龍二「俺はあんた達に、聞きたいことがあり復活させた。特にジャンヌ・ダルク、あんたにだ。」
タルト「へっ?私に・・・ですか?」
龍二「そうだ、あんたに聞きたいのは「守る価値があるか」だ。」
そう言って龍二はその思いを話す。
龍二「あんたはかつて百年戦争の時イングランド連合軍からフランスを守り抜いた。だが、あんたはその後、人々から「魔女」や「悪魔」だの言われ火刑となって死んだ。」
タルト「・・・・・・」
龍二「あんたの死後、当時の王太子であったシャルル公は「復権裁判」を行ってあんたの名誉を取り戻した。だが、あんたを罵った人々は手の平を返すように「乙女」だの「英傑」だのそう言った。あんたは何故復讐へと走らない?そうやって誹謗中傷をしてきた人々を守る価値はあるのか?」
タルト「・・・・・・」
龍二「俺の、姉もそうだった。あんたと似たようなもんだった。あんたは国一国を守るのとでは規模が違うが、姉は一族の未来を守る為にあんたが受けたのと同じ誹謗中傷をされ、挙げ句には一族の反逆罪で魔女に喰い殺された。」
タルト「お姉さんが・・・」
龍二「だから、俺は大切な姉を奪った一族へ復讐・・・一族を皆殺しにしたんだ。」
リーファ「なんだと!?」
メリッサ「一族を皆殺し!?」
龍二「全ては、姉の為にした。だが、その後、俺は再び姉に会い姉は一族に誇りを持ってこの世を去った。この世に、守る価値はあるのか?それをジャンヌ・・・あんたの口から直接聞きたい。あんたの言葉を聞いて己の答えを出す…。この世に復讐するのか、それとも・・・」
タルト「・・・・・・」
リズ「この世に復讐ですって・・・?」
リーファ「俺らの前でよくそんなことが言えたなぁこの野郎!!」
するとリーファとリズが自身の魔力を荒立てる。あまりの威圧で頑丈なコンクリートにヒビが入るほどである。
ゆきか「はわ・・・はわわわわわ!!?」
恵一「くそっなんて凄まじい魔力だ・・・!」
隆史「は、半端ねぇ・・・!!」
タルト「リズ、リーファ…落ち着いて。」
するとタルト自身も二人の魔力に対し相対させる魔力をぶつけ二人を静止させる。
エリザ「相変わらずですわねこの三人は!!」
メリッサ「す・・・凄まじい・・・!」
影信「(これが伝説のジャンヌ・ダルクの力か!!俺の十間モードでも通用するかどうかだな・・・)」
リズ「・・・分かったわ。」
リーファ「・・・しゃあねぇ。」
そう言って三人は同時に魔力を鎮める。
タルト「すいません、ご迷惑をおかけしました。」
龍二「いや、気にしていない。」
タルト「えっと・・・じゃあ私が考えた答えを出しますね。」
龍二「ああ。」
タルト「私は「守る価値はある」と思います。」
龍二「・・・何故だ?」
タルト「正直な所、私も完璧な人間ではありません。私がここまでの力を手にしたのは、リズやリーファ、そしてメリッサやエリザの力があるからなんです。」
龍二「・・・・・・」
タルト「多分、龍二さんのお姉さんが亡くなったのは龍二さんのような「未来に繋げる」事が出来る人を守る為に、龍二さんに託したんだと思います。」
龍二「託すか・・・。」
龍二は目を瞑り、夢乃の想いを考える。そして龍二の出した答えは・・・
龍二「俺は戦場に行く・・・!この世を、夢乃の想いを無にはさせん!!」
リーファ「戦場?一体どういう事だ?」
隆史「実は・・・」
隆史は第三次神浜東西戦争の事をタルト達に話しそれを聞いたタルト達は驚いた。
リズ「なるほど、確かに何やら北の方角から何やら強い魔力を感じるわね。」
影信「(吉信の他に別の魔力も・・・そうか、この魔力は健太、お前も戦っているんだな!)」
タルト「決まりですね!では、さっそく向かいましょう!!」