魔法少年 ケンタ☆マグス 古の血を継ぐ者   作:マイスリッド

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第5話

待ち合わせから1時間後、喫茶店内に一人の少年が入ってくる。

 

「あっ!こっちだよ!」

 

少女が少年に手招きして少年も健太達が座っている方に来る。

 

「この子がさっき電話で話してた「染谷俊」って子です。」

 

俊「「染谷俊」です。それで、あなた方は・・・?」

 

健太「高坂健太だ。よろしくな。」

 

いろは「環いろはです。」

 

やちよ「七海やちよ、よろしく。実はこの女の子から聞いた話で・・・」

 

そう言ってやちよはこれまでの経緯を話す。それを聞いた俊も納得の表情を浮かべる。

 

俊「そうでしたか・・・。それで電波少女の噂を調べてるんですね。」

 

健太「ああ、この女の子の話じゃあ電波少女があんたの幼馴染なんじゃないかって事なんだが、心当たりはあるのか?」

 

いろは「どんな些細な事でもいいんで教えてください。」

 

俊「・・・まだ「電波少女」の噂が幼馴染と断定できる証拠はありません・・・。ですが、僕の幼馴染が行方不明になった時期には既に「電波少女」の噂はあったのでもしかしたら、その噂に巻き込まれたのかもって思ってるんです。」

 

「あの、お話の最中にごめんなさい。私そろそろ用事があって・・・」

 

健太「ん?ああ用事か。なら早く行きな。後は俊から聞くから。」

 

「はい、俊君あとはよろしくね。」

 

俊「はい。」

 

そう言って少女は喫茶店から退店し、引き続きその話を続ける。

 

俊「っていう事がありまして、僕も単独でその噂を調べてたんです。」

 

やちよ「なるほどね・・・。」

 

俊「ただ、幼馴染が行方不明になったのは噂だけじゃないんです・・・。」

 

いろは「噂だけじゃない?」

 

健太「なんだ?他にも何か理由があるのか?」

 

俊「・・・・・・」

 

やちよ「?」

 

俊「・・・・・・僕の幼馴染は「虐待」を受けてたんです・・・。」

 

いろは「えっ・・・・・」

 

健太「虐待・・・だと?」

 

俊の口から出た言葉は健太達を驚かせる。俊はその言葉を出した理由を提示した。

 

俊「これです・・・。」

 

やちよ「これは・・・ボイスレコーダー?」

 

俊「はい・・・。」

 

そう言って俊はそのボイスレコーダーの録音をスタートさせた。録音の内容は聞くに耐え難い罵詈雑言が事細かく録音されていた。

 

3人「「「・・・・・・」」」

 

俊「幼馴染は親や兄弟からもこんなに暴言を履かれていて、僕はなんとしてでも彼女を助けたかった・・・。」

 

3人「「「・・・・・・」」」

 

俊「僕のお父さんは「警察官」で正義感がとても強い人だったんです。僕はこのボイスレコーダーをお父さんに聞かせて、お父さんはこの件で幼馴染の親を起訴しようとしてくれたんです。でも・・・でも・・・!!」

 

そう言い続ける俊は両手を力強く握り、涙を溢した。

 

俊「僕のお父さんは・・・直前で、事故死してしまったんです・・・!幸いボイスレコーダーは無事だったんですが・・・でも僕は情けない事に、自分の保身に走ってしまったんです・・・!!その結果・・・幼馴染は行方不明に・・・!謝ることすら出来ないまま・・・!!」

 

健太「・・・そうか・・・会ってまだ数分くらいしか立ってねぇけど、お前の性格が分かったよ。」

 

俊「本当に・・・酷いですよね僕は・・・死ぬのが怖くて幼馴染n「違ぇよ。」・・・えっ?」

 

健太「お前は多分、性格的に優しいし律義者だ。」

 

俊「・・・止めてくださいよ。僕は、幼馴染を見殺しに・・・」

 

健太「見殺しにしたんなら、何で今更探そうとするんだよ。」

 

俊「・・・・・・」

 

健太「本当に見殺しにしようとする奴は、まず行方不明になった人間が幼馴染とか思わないし、謝りたいって気持ちを持つことすらしねぇ。それに、死ぬのが怖いのは当然だ。」

 

俊「・・・・・・」

 

健太「人間誰しも一度は必ず失敗しちまうのが人間だ。俊は幼馴染の虐待を助けようとして親父を亡くした・・・。だが、お前の親父ももしかしたら死期を悟っていたかもしれない。」

 

俊「死期・・・ですか・・・。」

 

健太「ああ、他人の親の死とかはあんまり知った口は叩けないから憶測でしかないけど、親はどんな事があっても、先に逝ってしまう・・・。俊。」

 

俊「はい・・・」

 

健太「お前は、生前の親父にどんな事を言ってたんだ?」

 

俊「・・・・・・「死んでも自分の思いは曲げるな」って言ってました。」

 

健太「そうか・・・俊の親父さんすげぇ立派な警察官だったんだろうな。それに・・・」

 

俊「・・・?」

 

健太「お前の目にはまだ火が宿ってる。建前じゃあ諦めかけているが本心はまだ諦めてないって感じがひしひしと伝わってくるぜ。」

 

俊「っ!!」

 

健太「幼馴染が行方不明になったから心の何処かで亡くなってるかもしれない・・・でも幼馴染のその姿を見るまでは諦めたくない・・・俊はこの2つの思いの葛藤を抱えたまま、幼馴染を探してたんだろう。だが、それも今から終わりにしてやる。」

 

俊「えっ?」

 

健太「俊、俺はお前に改めて問うぞ。お前は、どうしたい?今度こそ幼馴染を見捨て全てを忘れて生きていくか、少ない確率に掛けて生きているかすら分からない幼馴染を探し出して見つけるか!!・・・どっちだ!」

 

俊「・・・・・・」

 

健太「・・・・・・」

 

俊「・・・そんなの、決まってるじゃないですか・・・!」

 

俊は涙を流しながら力強く健太に決めた覚悟を言い放つ。

 

俊「僕は!僕はぁ!!少ない確率に掛けて!幼馴染を探し出して謝りたい!!もう一度・・・!もう一度だけでも・・・!!」

 

健太「・・・よく言ったな俊。その言葉待ってたぜ。やちよさん、いろは、俊の幼馴染探し、どうする?」

 

いろは「当然決まってますよ!」

 

やちよ「あそこまで言われたら見捨てる気にはなれないわ。」

 

俊「っ!皆さん、手伝ってくれるんですか・・・?」

 

健太「ああ、お前の幼馴染探しも含めて今回の電波少女の噂を解決するぜ!」

 

俊「っ・・・・・・ありがとう、ございます・・・!」

 

健太「泣くなよ、泣くのは幼馴染を見つけてからだ。」

 

俊「はい、はい・・・!!」

 

やちよ「泣いてる所、申し訳ないんだけど幼馴染の子の名前は分かる?」

 

俊「あ、はいっ幼馴染の子は「二葉さな」です。」


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