魔法少年 ケンタ☆マグス 古の血を継ぐ者   作:マイスリッド

3 / 209
第2話

こうして、カツアゲをしてきた生徒達を完膚なきまでに叩きのめした健太はその場を去る。

 

健太「ん?」

 

すると健太が何かに気づいて辺りを見渡すが特に何も怪しい所は見つからない。

 

健太「・・・気のせいか。」

 

そう言って健太はその場を去っていく。しかしこの時、健太にとって人生の機転になる「生物」がいた事を健太は知らなかった。

 

 

 

その日の深夜、健太は家に帰り一人で夜食を取っていた。

 

健太「・・・・・・テレビでも見るか。」

 

健太「(あの火事からもう数年か・・・。親父とお袋が死んで、由美も行方不明か・・・。)」

 

夜食を取り終えた健太は徐ろに自宅墓に手を合わせ、両親、そして健太の妹である「高坂由美」の写真を見る。

 

健太「(もう一度、あの頃の幸せな生活に戻れたら・・・なんてな。そんな馬鹿みたいな願い事が起きるわけねぇ。)」

 

ドンドン!

 

健太「ん?・・・・・・はっ?」

 

すると窓から音が聞こえ、窓の外に謎の生物が健太をじっと見つめていた。

 

健太「なんだありゃあ・・・。猫?にしては白すぎる・・・。」

 

健太は謎の生物がじっと見つめていることに気味悪がりつつも窓をゆっくりと開ける。すると何かをするわけでもなく、直接喋りかけてくる。

 

「こんばんは、だね」

 

健太「っ!?喋った・・・!?お、お前喋れるのか・・・。」

 

キュゥべえ「うん、僕はキュゥべえ。君が高坂健太だね。」

 

健太「何で俺の名前を・・・?!」

 

キュゥべえ「あそこの鞄に君の名前が書かれているからね。」

 

健太「あっそうか・・・。ってそんなことよりてめぇ何者だ!?答えによったらこっから放っぽりだすぞ!!」

 

キュゥべえ「出会い頭第一声がそれだとは、君は今非常にパニック状態になっているんだね。」

 

健太「そりゃあなるに決まってんだろ・・・!目の前に謎の動物が喋りかけてきたら!!」

 

キュゥべえ「君は結構強そうだと思ったけど中身は結構な繊細者なんだね。でもボクが見えている君は「魔法少年」になる素質はあるよ。」

 

健太「はっ?魔法、少年・・・?」

 

キュゥべえ「混乱しているようだからまずは一旦落ち着こうか健太。落ち着いたら今言った「魔法少年」の事を話すよ。」

 

健太「・・・・・・」

 

健太は一旦落ち着きキュゥべえと名乗った生物の話を聞く。キュゥべえは魔女に対抗する魔法少女を増やすことを目的として活動しており、魔法少女になるための契約を持ちかけていた。

 

健太「つまり、その願いを叶える代わりに俺達にその「魔女」とかいう化物と戦う使命を課されるのか。」

 

キュゥべえ「そうさ、だからボクは君が強いと確信して契約を持ちかけたんだ。高坂健太、ボクと契約して魔法少年になってよ!」

 

健太「・・・・・・」

 

キュゥべえ「どうかしたかい?」

 

健太「・・・悪い、保留にさせてもらうわ。」

 

キュゥべえ「それは、どうしてだい?」

 

健太「昔の親の言葉でな「綺麗な薔薇にはトゲがある」ってのを聞いてたんだ。俺はそんな上手い話にホイホイ乗っかるほど馬鹿じゃねぇ。第一、俺はその魔法少年になった時の「デメリット」を聞いてねぇ。お前は多分、そのデメリットを分かってて言ってないだろ。」

 

キュゥべえ「もちろんそのデメリットも分かっているよ。ただ今まで聞かれなかったから答えなかっただけさ。」

 

健太「(こいつ、見た目とは裏腹にドス黒いな・・・。)」

 

そう言ってキュゥべえは魔法少年になった際のデメリットも健太に話し始める。

ソウルジェムが肉体から100m離れたら完全に行動不能になる点や

また、どんなに血が流れようが心臓を貫ぬかれようが死なないがソウルジェムが砕ければ問答無用で死ぬというデメリットを聞いた健太は尚更、警戒心を高める。

 

キュゥべえ「これが、君の言った魔法少年のデメリットだよ。」

 

健太「・・・だったら尚更保留だ。そんな危険すぎる職についてそんな簡単に命落としたくはねぇ。」

 

キュゥべえ「でも、君のその考えで多くの人々が命を落とすことになるかもしれないんだよ?」

 

健太「「なるかもしれない」だろ?俺もどっちかっつーとお人好しだけど、限度ってもんがある。それに・・・」

 

キュゥべえ「?」

 

健太「俺は行方不明の由美が生きてるかも知れないっていう淡い希望があるんでな。願いや契約は今の所不要だ。」

 

キュゥべえ「そうか・・・それならしょうがないね。まぁボクはその辺にいるから気が変わったら声を掛けてよ。」

 

健太「あぁ、多分無いと思うがな。」

 

キュゥべえはそういうと窓から飛び出してどこかへ消えた。

 

健太「何だったんだ・・・俺は、夢でも見てたのか?」

 

そう言って健太は徐ろに腕の肉を引っ張って痛みを確認する。

 

健太「痛てて・・・!やっぱり現実か・・・。魔法少年か・・・明日龍二とマミに聞いてみるか・・・。」

 

そう言って健太はベッドに入り、今日を終え眠りについた。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。