魔法少年 ケンタ☆マグス 古の血を継ぐ者   作:unknown505

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第2話

健太「さて、どっから話そうか・・・。」

 

いろは「・・・私から言い出して申し訳なんだけど、話せないなら大丈夫だよ?」

 

健太「いや話せないわけじゃない、寧ろ壮絶さが多すぎてどれから話そうか迷ってんだよなぁ・・・。」

 

いろは「壮絶・・・なんだ・・・。」

 

健太「あぁっ、まぁ順当に幼少期から話そうか。その方が分かりやすいしな。」

 

いろは「うん・・・」

 

そう言って健太はぽつりぽつりと自分の過去を話始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        ――語り・健太――

 

 

 

 

 

俺の幼少期は、至って普通の家庭だった。

 

そこいらの家庭と対して変わりもない普通の家族だった。

 

父ちゃんの名前は「影信」母ちゃんの名前は「恵理子」妹は「由美」俺はこの家族の元に産まれてこれて幸せだった。

 

だが、あの日・・・俺の人生は一夜にして変わった・・・。

 

あの日、俺達家族はいつも通りで何気ない時間を過ごしていた。

 

事件が起きた日は天候が悪く雷雨だったが、突如家の中で停電が発生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

      ――数年前 高坂家 自宅――

 

健太「父ちゃん、母ちゃん・・・」

 

恵理子「大丈夫よ健太・・・私達の言う事をしっかり聞いて動くの。あなた。」

 

影信「あぁ、様子を見ながら家から出るぞ。」

 

今思うと、あれは誰かの策だったんだろうなって思う。あの停電は雷によるものじゃなく、犯人によって人為的に発生させられたもの・・・。

 

結果、父ちゃんと母ちゃんはその犯人を取り抑えようとしたが返り討ちに遭い、挙句の果てには放火された・・・。

 

健太「父ちゃん!母ちゃん!」

 

宗雄「影信!恵理子!健太!っ!これは・・・!」

 

健太「っ!おっちゃん!父ちゃんと母ちゃんがぁっ!」

 

宗雄「分かってる!影信!恵理子!聞こえるか!」

 

影信「・・・ぅ・・・宗雄さん・・・か・・・。」

 

恵理子「・・・宗・・・雄・・・さ・・・」

 

宗雄「良かった、まだ意識があるな・・・。火の手がかなり早い!お前達を順番にここから連れ出す!」

 

影信「宗雄・・・さん・・・ダメ・・・だ・・・。」

 

宗雄「なにっダメだと・・・?」

 

そん時の俺は父ちゃんと母ちゃんが宗雄のおっちゃんに対し何か耳打ちをしていたぐらいしか分からず、更に火の音も相まって何を喋ってるのかすら分からなかった。ただ、あん時のおっちゃんの顔は涙を浮かべながら歯を食いしばっていたんだ・・・。

 

宗雄「健太、出るぞ・・・!」

 

健太「えっおっちゃん・・・!ダメだよ!父ちゃんと母ちゃんも連れて行かないと!」

 

宗雄「・・・それは、できない・・・!」

 

健太「なんで!父ちゃんと母ちゃんが死んじゃうよ!」

 

恵理子「・・・健・・・太ぁ!」

 

健太「っ!母ちゃん・・・!」

 

恵理子「宗雄・・・さんの・・・言う事を・・・聞いて・・・・・・強く、生きるのよ・・・。」

 

そん時の母ちゃんの顔は、傷だらけになりながらも母として、そして一人の女性としての強さが垣間見えた・・・。そして・・・

 

健太「母ちゃあん!父ちゃあん!」

 

宗雄「駄目だ!近づいたら危ない!!」

 

健太「嫌だぁ!母ちゃあん!父ちゃあん!!ああああああああああ!!」

 

俺ははただ泣いて泣いて泣きじゃくる。この火災で俺の人生は、急降下していくようになった・・・。

 

 

 

 

 

         ――数日後――

 

 

 

 

その後、神浜市に住居のおっちゃんの元で生活をしていた。

 

おっちゃんには色んな人との交流があり、そこで俺は初めて出会う人がいた。

 

宗雄「ももこ紹介する。俺の知り合いの息子だ。」

 

ももこ「初めまして健太君!あたしは十咎ももこ!」

 

それが、俺が「姉貴」と呼んで慕う少女「十咎ももこ」との出会いだ。

 

健太「・・・健太っす。」

 

宗雄「ちゃんと挨拶しろ健太。すまんな、健太は親を亡くしてずっとこんな調子なんだ。」

 

健太「おっちゃん、もう良い・・・?部屋に戻る。」

 

宗雄「っ健太・・・!」

 

ももこ「健太くん、すっごく辛い顔してたよおっちゃん・・・。」

 

宗雄「・・・親を亡くしてからずっとあんな感じでな、あの日行こう笑う姿を見たことがない・・・。どうにかしてやれんものか・・・。」

 

ももこ「・・・おっちゃん、あたし頑張って健太くんの心を取り戻してあげる!」

 

宗雄「っ!いいのかももこ・・・。」

 

ももこ「うん!あたしに任せてくれよおっちゃん!」

 

姉貴は昔から変わらず、その日以降から心を閉ざした俺との交流を深めようとしてくれたんだ。

 

ももこ「健太くん今日も来たよ!一緒に遊ぼー!!」

 

健太「・・・・・・」

 

当時、俺は二階から見下ろす様に姉貴を見ていた。またうるさいのが来たって思ってたよ・・・。

 

ももこ「あっ・・・・・・良いこと思いついちゃった・・・。」

 

健太「・・・・・・」

 

ももこ「健太くん!」

 

健太「うわぁああああああっっ!!?」 

 

ももこ「ニッヒヒ!健太くん!一緒に、皆で遊ぼ!大丈夫だよ!」

 

姉貴は、俺の不意を付いて二階の窓から驚かせてきたんだ。

 

そりゃもう驚いたさ、何せ姉貴があんなアクロバティックな動きができるなんて予想できなかったし・・・。

 

だが、同時に俺は直感したんだ。姉貴は信用できる人だってな。

ただ、姉貴にも慣れたそんなある日の事だ。

 

いつものように俺は姉貴と公園でいつもの様にボール遊びをしていたんだ。

 

ももこ「あっ!ボールが飛んでいっちゃった・・・」

 

健太「姉ちゃん、俺が取ってくるよ。」

 

そう言って俺はボールを拾いに向かった。

んで、ボールを拾って戻ろうとした次の瞬間だ。

 

健太「・・・・・・・・はっ?」

 

俺の目の前に現れたのは、公園の策を越えてきた暴走車だった。公園にいた時の記憶はそこまでで体に強烈な衝撃が走ったのを最後に公園の中で意識を失ったんだ・・・。

 

 

 

 

 

 

         ――病院――

 

 

 

 

健太「・・・・・・ここは・・・俺、確か・・・公園で、ボールを拾いに・・・」

 

そして、俺が次に目を覚ましたのは病院のベッドで頭には包帯、頬にはガーゼ、身体中に包帯といった形で横になっていた。

 

ももこ「健太くん!・・・っ!?」

 

宗雄「健太!っ!!」

 

健太「・・・おっちゃん・・・ももこ姉ちゃん・・・?」

 

姉貴とおっちゃんは病院に血相を変えて駆け込んできた。

 

ボロボロの状態の俺を見た2人の顔は今でも忘れらんねぇな。

 

俺もその2人の顔を見て、何か違和感があると感じて体を動かしてみたんだ。

 

すると、左腕が動く感じがしなくてよ、恐る恐る左腕を見たら・・・・・・

 

健太「っ!!?」

 

左腕の手から肩までの部分がすっかり無くなっていたんだ。

 

健太「なん・・・で・・・?俺の、左腕・・・どこに・・・いったの・・・?なんで・・・?」

 

宗雄「っ!まずいっ・・・!看護師!医者を呼べ!パニックの症状だ!」

 

健太「なんで・・・なんでなんでなんでなんでナンデナンデナンデナンデナンデナンデぇぇぇぇ!!!アアアアアアアアアッ!!!」

 

宗雄「健太落ち着け!!何も考えるな!!」

 

健太「アアアアアアアアアアアアッッッッ!!!」

 

俺は到底理解できなくてパニックになって病院のベッドで暴れまわっちまったよ。

 

そん時の医者と看護師、おっちゃんと姉貴には迷惑をかけちまった・・・。

 

特に姉貴にはトラウマを植え付けちまったみたいでな、姉貴は病院の入口で「ごめんなさい」と呟きながら膝から崩れて泣きじゃくってたらしい・・・。

 

あまりにも暴れるもんだから押さえつけられて鎮静剤撃ち込まれて、また暗闇に引き戻されていった。

 

公園に暴走車が入ってきた理由、それは何も失うものがない・・・つまり、「無敵の人間」が刑務所で死刑になりたいが為に当時公園にいた多くの人達に車で襲い掛かった。

 

そんな無敵の暴走車に一番近くにいた俺は強い衝撃で吹き飛ばされ左腕の骨はズタボロ、修復不可能と判断され命が危ういといった理由で切断された。

 

数日間は身も心もズタボロで誰にも口を聞くことさえなかった。

 

姉貴は悪くねぇのに頭下げてまで謝ってきて、そのくせ家族まで奪われて・・・まぁ、常人なら考えらんねぇほどの災難を連続で受けちまったもんだから俺は自分自身を嫌いになりかけていた。

 

挙げ句に心は完全に澱みきっていたから性格も卑屈になって、世話をしてくれてるおっちゃんや姉貴、医者や看護師達に暴言吐きまくっちまったよ。

 

それでも、おっちゃんと姉貴は俺の世話を止めずに献身的に世話してくれた。

 

そんなある日の事だ・・・。

 

 

 

宗雄「・・・突然呼び出してすまんな健太。」

 

健太「いいよ、おっちゃん・・・。それで、話って?」

 

宗雄「・・・お前、腕を取り戻さないか?」

 

健太「腕を、取り戻す・・・?」

 

宗雄「あぁ、その言葉通りだ。」

 

健太「・・・何言ってるんだおっちゃん・・・?腕なんて、取り戻せるわけないじゃん・・・。おちょくるなよ・・・!!」

 

宗雄「・・・・・・」

 

するとおっちゃんは、無言で一枚の小さなカードを見せてきた。

 

そのカードには「義肢装具士」と書かれた。

 

健太「おっちゃん、これは・・・?」

 

宗雄「「義肢装具士」義手や義足といった様々な義肢を取り付けられる国家資格の免許だ。」

 

健太「っ!国家・・・資格・・・!?」

 

宗雄「・・・お前の新たな腕を取り付ける為に、この歳になって必死で勉強した。腕を取り戻さないかと尋ねたのも、それが理由だ。」

 

健太「なんで・・・そこまで・・・」

 

宗雄「・・・あの日、家族から無理矢理引き剥がしてしまったのは俺だ。火災に見舞われていたとはいえ、影信と恵理子を助けられる猶予はあった。」

 

健太「・・・・・・」

 

宗雄「だが、2人は助けを断り命がけでお前を助けようとした。俺は、2人が必死で守り抜いた「宝」を安々と手放すわけにはいかなかった。だから、どんな事を言われようと俺がお前を守り抜くと決めたんだ。これを取ったのも、お前を守る為に必要な事だったまでだ。」

 

健太「おっちゃん・・・」

 

宗雄「健太、俺はお前に強く言うつもりはない・・・お前の人生は確かに散々ではあった。だが・・・、生きていれば必ず良いことも降りかかってくる。・・・「生きる事を、諦めるな」。それだけ伝えておく。」

 

健太「っ!」

 

俺は、おっちゃんの言葉に感銘を受けた。

 

あの日以降、その言葉をモットーにして俺は生きていく事を決めたんだ・・・。どんな苦難が待ち受けるとしても・・・。

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