魔法少年 ケンタ☆マグス 古の血を継ぐ者   作:マイスリッド

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第8話

~健太side~

 

続いて聞かされたのは魔女についてだった。

 

内容は、AさんBさんDさんEさんはソウルジェムが自分の命という事を受け入れた後を新たなる仲間を引き入れ、チームを組んだ。そしてCさんFさんGさんが増え、計7人となる。皆で互いを支えながら魔女を倒していた。そんなとき、他の領地から魔女が流れ込んで来た。Cさんは都合が悪くて6人になる。この日も彼らは倒そうとするが、かなり強力な魔女であるがために苦戦に陥った。 EさんはFさんが窮地に立たされた時、自分の身を呈してFさんは守り、Eさんもまたソウルジェムが砕けて死んでしまう。さらにFさんはその怒りで魔女を倒したもののボロボロになり、不幸なことにグリーフシードもなかった。そしてFさんのソウルジェムは黒く濁って動かなくなった。俺はこの話を聞いて暫く黙ってると鶴乃姉さんが声をあげた。

 

鶴乃「ねぇ....、この話って....!そのDさんとかって....!」

 

灯花「今は講義の最中だよ!私語は慎んで!知りたいなら後で教えるから今はこっちに集中してよ!」

 

鶴乃「......」

 

灯花「それでは、ここで第2問です!」

 

フェリシア「なんだまたかよ...、Fさんがどうなったかだろ?」

 

灯花「まぁ近いかな。正確に言えばFさんは何に変わったでしょう?」

 

フェリシア「何に変わっただぁ?んなのわかるわけないじゃん!」

 

灯花「もう、もっと頭を回転させてよ!神経細胞を活性化させよー!」

 

フェリシア「オレそういうの苦手なんだよ.....。」

 

灯花「ソウルジェムに溜まるのは穢れ、魔女が振り撒くのは呪い、穢れを貯める魔法少年と魔法少女、呪いを振り撒く魔女、そして黒く濁るソウルジェム、これで何か接点が繋がらないかにゃー?」

 

俺は灯花の言った通り、穢れと呪いとの接点を考える。やがて俺はある一つの答えが浮かんでくる。だがそれはあまりにも信じられない答えだった。それは皆も同じで驚愕していた。

 

さな「あっ....」

 

健太「......」

 

壮介「マジかよ....、信じらんねぇぜ....。」

 

いろは「そんな....」

 

俊「え....」

 

鶴乃「やっぱり....」

 

フェリシア「んだよ...?」

 

灯花「皆は気付いたみたいだね。傭兵さんも少しは察する事が出来たんじゃない?」

 

フェリシア「......」

 

灯花「正解わね....。」

 

灯花は話をつづける。聞けば倒れたFさんの手には黒く染まったソウルジェムがあり、Fさんが苦しみだすとソウルジェムはグリーフシードに変化し、魔女を生み出したという事だ....。

 

フェリシア「ま、魔法少女が....、魔女に...?んなのあるわけねーよ....。ソウルジェムが魂なら、オレ達も魔女じゃんか!」

 

灯花「でも残念だけど正解なんだよ、最初に言ったでしょ?ウソでもなくこれは真実なんだよ。」

 

フェリシア「うそだ....、だって、それなら....。」

 

フェリシアは何かを思い出すようなしぐさをする。そういえばあいつは魔女を倒しまくってたんだな....。ん?ちょっとまて....。それなら、俺が魔法少年になってマミがぶっ飛ばした魔女も....?

 

健太・フェリシア「あれも、魔法少女...?」

 

フェリシア「あれ、魔法少女なら、オレたくさん殺しちゃった....。」

 

健太「フェリシア.....。」

 

フェリシア「でも父ちゃんと母ちゃん殺したの魔女だし....!!」

 

灯花「うんうん、いっぱい殺したねー」

 

フェリシア「オレも魔女になっちまうのかよ.....」

 

健太「ちっ....、胸糞悪ぃ話だぜ....。」

 

灯花「うん、はなまるだよ!」

 

やつは皮肉をこめるようにそうフェリシアにいい放つ。

 

フェリシア「健太ぁ....、オレどうすれば良いんだ....?」

 

健太「はっきり言って俺は奴が嘘をついてるとは思えん、だが俺はこの目で見るまでは信じねぇって事にしてんだ。だからフェリシア、奴の言葉に惑わされるな。」

 

フェリシア「......おぅ、信じねぇ、オレはぜっっったいに!こんな話信じられるかよ!ふー....ふー....!」

 

灯花「もう.....、強情だなぁ....。」

 

いろは「でも灯花ちゃん...、私だって信じられないよ....。」

 

壮介「というか信じられるか!それが真実だとしてもなぁ!ソウルジェムから魔女が生まれる?冗談じゃねぇ!」

 

俊「壮介さん落ち着いてください!とりあえず今は灯花さんの話を聞きましょう!」

 

壮介「ちぃっ!!」

 

健太「......俺のダチが取り乱してすまん、続けてくれ。」

 

灯花「うん、わかった!」

 

灯花はそう言って再び講義を開始する。3つめはドッペルと呼ばれる物の話だった。

 

内容は、Dさんは魔女化を目撃してから半年たってもなおショックを受けたままだった。考え方を変えようとしても出来ず、魔法少女になってしまった自分の行為を呪った。さらに神浜には大量の魔女が現れ始め、やがてキュゥベェを見なくなった頃にはそのDさんのソウルジェムは真っ黒に染まってしまった。そしてDさんは思った。Fさんと同じようになるのだと。だが結果として魔女にはならなかったという事らしい。

 

灯花「これはもう簡単だね。」

 

健太「.....ドッペルか。」

 

灯花「そういう事、正解!」

 

灯花は話をつづける。Dさんは魔女にならずドッペルを発動させた。この頃から魔法少年少女を解放するための動きがあったらしい。そして一人の少女はDさんに話す。「一緒に魔法少年少女を解放しよう」と.....。

 

灯花「これが、私達マギウスの真意だよ。少し余計な事を言ったかもしれないけど分かりやすかった?」

 

いろは「その一人の少女って灯花ちゃん?」

 

灯花「そう、マギウスの翼であるこの私!」

 

俊「もしかして、そのドッペルを発動させてるのもマギウスの翼なんですか?」

 

灯花「そうだよー。私ってすごいでしょ?マギウスの翼ってすごいでしょ?皆も入りたくなったでしょー?」

 

健太「.....悪いが、俺は断る。俺はお前らがどれだけご託並べようが入る気はない。そして何よりも気に入らねぇのがてめえらのやり方だ。」

 

いろは「私も同じです....。どれだけ説明されようと私は分かりたくなんてない。ソウルジェムの事も...、魔女の事も....。」

 

俺といろはは自分の意思を通して灯花に発言する。....だが予想外の事態が起こる。

 

さな「でも、本当だとしたら、目的は立派なのかも....。」

 

いろは「え....!?さなちゃん....!?」

 

さな「大丈夫です、私も信じません、アイちゃんはマギウスがやってる事は危険だって。」

 

俊「はい、彼女のやり方は間違ってますから、アイさんの言ってる通りだと思います。」

 

灯花「えー。魔法少女の話よりウワサの話を信じるの?」

 

フェリシア「で、でもさ、上手く行けば魔女がいなくなるんだろ....?」

 

灯花「そうそう、そうだよー!」

 

健太「フェリシア....!?こいつの話を信じるのか....!?」

 

フェリシア「だ、だってよー、オレや健太の父ちゃん母ちゃんみたいな人もいなくなるんだぜ....?」

 

鶴乃「フェリシア、ダメだよ....。」

 

フェリシア「鶴乃、お前まで....!」

 

鶴乃「言ってることは本当かもしれないけど、作り話が入ってるかもしれないんだよ?私達を誘い込むために....。」

 

フェリシア「作り話....?」

 

いろは「うん...。」

 

健太「鶴乃姉さんの言う通りだ、奴等の話してることが全て事実とは限らない。話を聞きながら灯花を観察していたら、奴は相当頭の切れが良い奴だから、辻褄を上手く繋げることが可能なんだ。」

 

灯花「むぅ....。」

 

どうやら灯花は観察されていた事が癪に触ったみたいだ。....これだから勘の良いガキは嫌いなんだ...。

 

健太「講義はこれで仕舞いか?なら帰らせてもらうぞ。」

 

灯花「....でも、一つだけあるよ。私の話を信じる証拠が。」

 

健太「何?」

 

灯花「ここは人の記憶が見れる場所だよ?」

 

みふゆ「つまり、先ほど聞いた話を本当に見れるんですよ。この奥にある記憶ミュージアムに。」

 

健太「み、みふゆさん!?いつからそこにいたんすか?」

 

みふゆ「灯花の講義が終わるのを見計らって来ました。ワタシは次に待つ体験学習の案内人ですから。」

 

健太「なるほどな、だが悪いな、俺は人の記憶を見るのは性に合わないんでな。帰らせてもらうぜ。」

 

俺はそう言ってドアノブに手を掛け開けようとする。....が何故か開かない....。

 

健太「....どういう事だ?」

 

「悪いんやけどな、俺の魔法で開かんようにしとるんや。」

 

声が聞こえ、した方に向くと、一人の少年が立っていた。

 

健太「あんたは....。」

 

通「ヘリポートん時以来やな、藤村通や。ワシも体験学習の案内人やからな、最後までやってくれな困るんねや、堪忍して。」

 

健太「ち、マジかよ....。」

 

みふゆ「みなさんが信じてられないのなら次のステップに進みましょう。」

 

壮介「それってあからさまに俺達を洗脳する気だよな....?記憶ミュージアムは他の人の記憶に影響されるって聞いたぞ。」

 

健太「話してダメなら洗脳って手を使うのか....。呆れちまうぜ....。そんな姑息な手ぇ使うんならもっと堂々と来いや。」

 

すると灯花は懐からベルを取り出し鳴らす。そして景色が代わり、記憶ミュージアムの部屋へと連れてこられた。

 

健太「.....そういう事かよ....。」

 

鶴乃「やっぱり最初から私達を嵌めるために....!」

 

通「別に俺らはあんたらを嵌めようなんざ思うとらへんって...、体験学習の案内や言うとるやろ?」

 

藤村はそう言って本を取り出す。

 

フェリシア「なんだよ、その本、どこから出したんだよ....。」

 

みふゆ「彼の持つ本にはワタシの記憶が詰まっていて、講義で語られた記憶の物語です....。」

 

健太「よせ、やめろみふゆさん!!あんたも寄せ藤村ぁ!!」

 

通「話はみっちゃんの記憶を見てからにしようや。」

 

灯花「行ってらっしゃーい!」

 

健太「やめろぉ!!」

 

俺の叫びは虚しくも届かず、藤村が本を開いた瞬間光が当たり一面を照らし、俺達を光が包み込む。くそ....!

 

 

 

 

 

 

~藤村side~

 

 

 

 

通「....行ったみたいやな。」

 

みふゆ「ええ、そうですね。」

 

俺が開いた本の光に高坂はんらは包まれてもうた....。そして直後に博物館に何者かが来館する。もしかしたらやちよはんかも知れんな...。ほんまは構っとる場合ちゃうけど、やるしかないみたいやな。

 

通「みっちゃんはそこにおっとき、ワシと灯花ちゃんで見に行くしな。」

 

みふゆ「分かりました、くれぐれも気をつけて...。私は彼らの後を追います。」

 

灯花「通さん、早く行こう!」

 

灯花ちゃんの言う通り、足を早める。マギウスの翼を守る道は他にないんやろうか....?こんな洗脳まがいな事せんでも他にやり方はあるんちゃうか....。

 

 

 

 

 

 

 

 

~やちよside~

 

やちよ「はぁ、はぁ、はぁ....、ここね。」

 

私は健太君達の行方を追うために記憶ミュージアムに来た。確かここで講義をしていたはず...。いったいどこに....?

 

灯花「あれ?あなたベテランさん?」

 

通「......」

 

やちよ「あなたは....、それに通君も....。」

 

灯花「はじめまして、七海やちよ。私はマギウスの里見灯花だよ。」

 

やちよ「里見灯花....!?環さんが探していた...!?いや、そんなことよりも、健太君達はどこに行ったの!?」

 

通「安心せぇ、やちよはん。さっき灯花ちゃんの講義が終わって今は記憶ミュージアムで体験学習中や。」

 

やちよ「そういうこと....、私も行かせて貰うわよ。」

 

灯花「邪魔をさせるわけには行かないよー。」

 

通「いや、灯花ちゃん。やちよはんにも行かせたれ。」

 

灯花「....なるほどぉ、さすが通兄さま!頭良いね!」

 

やちよ「!?どういうこと!?」

 

通「体験学習の邪魔したかったら行ってきてもええっちゅう事や。」

 

やちよ「.....解せないわね。」

 

通「すまんのぉ、せやけどこの言葉には裏あるっちゅう事、忘れたらあかんで。それでも行くんか?」

 

やちよ「ええ。」

 

灯花「わ、あっさり。」

 

やちよ「裏だろうがなんだろうが構わないわ、その裏事潰してくるから。」

 

灯花「..........」

 

通「さすがやちよはん、根性座っとんなぁ。記憶ミュージアムに行くときはそこのベル押したら開くさかい。」

 

やちよ「そう、私に教えた事後悔するわよ。」

 

私はそう吐き捨て記憶ミュージアムの扉を開く。待ってて!健太君!皆!


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