~健太side~
俺はあるものを見ていた。そう、みふゆさんの記憶だ。その記憶には、5人の姿があった。一人は俺のよく知る人、吉田宗雄がいた。残りの4人のうち二人はみふゆさんとやちよさんだった。後の二人は誰だ?
みふゆ「それで、昨日逃がした魔女はどうしますか?宗雄さん。」
宗雄「まだ魔力反応が近くにあるため、早々に蹴散らしたい所だ。」
やちよ「そうですね、私も師匠の言う通りだわ。なるべく早く片付けないと危険になりますから。」
「そういややちよさん、大丈夫なんすか?」
やちよ「何が?立明君?」
立明「やちよさんのおばあちゃんのお見舞いですよ。」
やちよ「今日は容態が良いから見舞いは明日で構わないわ。」
「私は行っておいた方が良いと思うぞ?」
みふゆ「あら、かなえさんが気遣うなんて。」
かなえ「違う、そういう意味じゃない。私はおばあさんに世話になったからだ、それだけ。」
立明「へへ、なら魔女探しなんだが、放課後に集まって調べません?今回はあんまり単独で行動するのは危険だと思ってね。」
やちよ「そうね、立明君の言う通りにしましょう。とはいえかなえには関係ない話だけど。」
かなえ「うん...、私は単独の方が動きやすい...。拾ってもらった恩はあるけど協力するのは息詰まる....。」
立明「はぁ....かなえは相変わらすだなぁ...。まぁ俺とのお守りがあるから平気か....。」
かなえ「ん....///」
立明という少年はかなえという少女に対し、呆れながらも微笑みながら話す。どうやら二人の間は相当仲が良いみたいだな...。そして場所が変わり、夕暮れの工事現場に5人の姿があった。
宗雄「この辺りか....。」
かなえ「あ....じいさん....。」
立明「お、師匠、それにやちよさんとみふゆさんもか。」
やちよ「ええ、魔力を追ってきたらここに皆いたみたいね。」
みふゆ「この辺りを皆で探しましょうか。」
かなえ「ん....。」
みふゆ「そういえば、かなえは最近かなりいきいきしてるみたいですね。」
やちよ「ほんとにね、何か良いことあったの?」
かなえ「ん....何も...////」
立明「あー....、はい、先月くらいに誕生日にギター買って上げたんですよ.....///」
みふゆ「そうだったんですか!....という事はこの間は初ライブ何でしたっけ?」
立明「み、みふゆさん....、わかってたんすか....。」
かなえ「....///」
宗雄「ふ、そういやお前達は音楽が好きだったんだな、立明が俺に相談してきた時は驚いたぜ。」
三人「相談?」
立明「!?////」
宗雄「そうだ、立明がかなえがよろk」
立明「わぁー!そこまでです!///ほら!さっさと魔女をぶっ潰しましょう!」
立明はそう言って辺りを探す。おっちゃん達もやれやれと言わんばかりに魔女を探し始める。そして......
宗雄「....ここか。そらぁ!」ブゥン!
おっちゃんがその場に攻撃すると途端に魔女の結界が現れた。
宗雄「全く、手間掛けさせてくれたな。」
立明「早く潰してみかづき荘に帰りましょう。」
5人はその結界に入って魔女と対峙する。やがて戦いになり、最初こそ優勢だったものの、あとから徐々に劣勢に追い込まれてしまう。
宗雄「くぅっ....!この魔女なかなかやるじゃねぇか....。」
立明「し、師匠!くそ!どういうわけだ!?昨日とは偉い違いだぞ!?」
やちよ「この1日の間にかなりの人を捕獲したって可能性もあるわね....。」
みふゆ「そうですね、表沙汰になってないだけで0とは言い切れませんね....。」
立明「どうするんすか皆さん?ここはひとまず退却しますか?」
みふゆ「そうですね、今の現状ではワタシは対処しきれません....、他の魔女からグリーフシードを調達してからにしましょう。」
立明「了解っす!」
立明は一旦結界から抜け出す事を考え、後退するが後ろから来た使い魔によって退路を絶たれてしまった。
立明「おいおい、マジかよ....。」
かなえ「.....」
するとかなえは前に出る。何をするつもりだ....?
かなえ「私が前に出る....!立明、後は任せる!」
みふゆ「かなえさん、前って....!」
立明「前に出るって....!それがどういう意味かわかってるのか!?」
宗雄「....こいつらの言う通りだ、かなえ、バカな真似は寄せ.....!」
かなえ「.....じいさんに拾ってもらった命、私は元々空っぽだった。けど学園で立明とあってから私は守らなきゃならない者を見たんだ。それが、じいさんやみふゆにやちよ、そして立明....。私は良い人生を送れた気がするよ。」
宗雄「......」
やちよ「かなえ!」
みふゆ「かなえさん!」
立明「かなえ!バカな真似は止すんだ!俺達は5人揃ってこそのみかづき荘だろ!?お前がいなくなったら何の意味もなくなるんだよ!」
かなえ「立明.....。」
立明「だからよぉ....、止めてくれよ....!お前が死んだらおれは...おれは....!」
かなえ「........私は、皆を守れるなら悔いはない。だから皆は私の分まで生きてほしい。だから....、ありがとう....。」
立明「かなえ....!よせ、やめろ....止めるんだ!かなえ!」
かなえさんは一人で魔女に立ち向かった。やがて魔女はボロボロになり、最後はおっちゃんが止めをさした。だがかなえさんはどこにも傷がないのに死んでしまっていた。立明は必死に彼女の名前を呼び続ける。
立明「かなえぇ!おい!しっかりしろよ!何で傷がどこにもないのに死んでんだ!俺と約束したじゃねぇかよ!二人でバンド組んで世界一になるって約束したじゃねぇか!それなのに....!おい!目ぇ開けろ!寝たフリしてんじゃねぇ!」
宗雄「立明、すまないがこれを見てくれ....。」
立明「.....え?これは....!?」
やちよ「師匠....。」
みふゆ「.....」
宗雄「かなえのソウルジェムだ。魔女に立ち向かった際に砕かれてしまったんだろう....。」
やちよ「師匠、それを貸して!」
やちよさんはひたすらにソウルジェムをグリーフシードに穢れを移すが、砕かれてしまったソウルジェムは元に戻らない。
やちよ「ダメだわ、全然戻らない....!」
立明「師匠、やちよさん、どういうことなんだよ....?体は傷がないのに目を覚まさない....。そしてソウルジェムが砕かれてるってことは....!」
宗雄「.....ソウルジェムが砕かれてたことにより、生命反応が切れたということか....。」
立明「そんな.....、くそ....!くそ.....!かなえぇええええええええええええ!!!」
立明は渾身の力でもう戻って来ないにも関わらず体の奥底から吠えるような感じで彼女の名前を叫ぶ。4人に減ってしまったみかづき荘は辛勝という結果に終わった。
立明「.....」
みふゆ「私達魔法少年少女は遅かれ早かれ死ぬ運命にあるかもしれません。」
立明「ふざけんな!んな納得の仕方....!」
みふゆ「私だって信じたくないですよ!」
立明「!?.....すまない。」
宗雄「だから、せめて割りきれず、降りきれないものは俺達の中で生かさないとな。」
やちよ「ええ、師匠の言う通りよ。かなえが教えてくれたことを教訓にして行かないと....、マグカップ、余ってしまったわね。」
立明「....そうっすね。....かなえ、俺達の生きざまを、あの世から見届けてくれ....!」
立明は自分に渇をいれ、再びいつものテンションに戻った。だが、更なる真実はここからだった....。
ーー1年後ーー
あれからどうやら一年が立ち、おっちゃんや立明、みふゆさんにやちよさんは魔女と戦い続けていた。その中で姉貴と鶴乃姉さんにもう一人の少女が加わり、七人になる。そして場所は変わり、みかづき荘に姉貴達が寄っていた。
2人「来たよー!」
やちよ「あぁ、このタイミングで....。」
宗雄「....また騒がしくなるな。」
鶴乃「ねぇねぇ、聞いてよししょー!この間の休みにね、万々歳のラーメングランプリに...」
ももこ「っとまてーい!」
鶴乃「ほ?」
ももこ「今は私がやちよさんとおっちゃんに話してるんだよ。ウマイ焼き鳥屋を見つけたから今度の晩飯にって。」
鶴乃「それよりうちのラーメンが50位になった話の方がすごいよ!ねぇ、やちよ!」
ももこ「分母が分からないよ!全体でいくつあるんだよ!?.....つか鶴乃はなんでやちよさんを呼び捨てしてんだよ?」
鶴乃「それはもちろん弟子だから!」
やちよ「違うわよ、ていうか二人ともうるさい。」
宗雄「やかましいから30分位口閉じてろお前ら。」
おっちゃんはうるさいのは嫌いだったな....。鶴乃姉さんと姉貴も災難だな。そしてまたもみかづき荘に誰かが駆け込むように入ってくる。
「七海先輩!立明先輩!今日の僕は冴えてるですよ!」
やちよ「メルまで....、家計簿が進まない....。」
立明「ハハハ、七海邸は大人気っすね。」
やちよ「他人事だと思って....、おばあちゃんがいなくなってはじめて分かることがたくさんあるわね....。」
宗雄「ふ、やちよ、レシート分けぐらいは手伝うぞ。」
やちよ「ありがとう師匠、立明君とは大違いね。」
立明「お?なら俺もやりますよ!」
宗雄「立明、お前はこういうの雑だったろう?」
立明「ぐぅの音も出ないっす.....。」
メル「そんな数字より、僕の話を聞いてくださいです!」
立明「ごめんごめんメルちゃん....、話って何かな?また占いか?」
メル「そうです!今日の運勢タロット占ったらなんと!今日は僕のラッキーデイなんです!」
立明「へぇ....良かったじゃn.....って、メルちゃん!あれだけ占うなって言っただろ!?」
メル「我慢しきれず....、つい....」
宗雄「メルの占いは結果へ誘導するんだったな...、あまり過信しすぎるなよ。」
メル「でもラッキーデイです!」
やちよ「不幸中の幸いね。もう...、危なっかしいんだから....。」
やちよさんは何か嬉しそうな感じがする。それにしても、あのメルという少女はかなえさんのポジションになるのか....。場所は変わり、公園になる。
みふゆ「それじゃ今日は大東区から流れてきた魔女を狩るんですね。」
宗雄「ああ、工匠、中央、水名と突っ切って移動しているため俺達新西区で殺らねば市外に出て被害が拡大する可能性もある。」
やちよ「さすが師匠ね。どこからそんな情報を仕入れたの?」
宗雄「仕入れたというより、他の区内の魔法少年少女達から片付けてほしいと申請があったのでな。」
ももこ「そんな連絡網があるんだな....。」
みふゆ「安全策でもあるんですよ。例えば、鶴乃さんが他の区内に突撃して領地が奪われるなんて事態になったらこっちが悪者になりますからね。」
鶴乃「私そんなことしないよー!」
やちよ「昔はあれだけ魔法少年や魔法少女をみれば決闘を挑んでたのに?」
鶴乃「それは過去の話だよぉ....ってああ!?」
立明「ど、どうしたんだ?鶴乃?」
鶴乃「今日お店に出る日だったんだ....。どうしよ....、時間過ぎてる....。」
やちよ「本当、細かいところは抜けてるんだから....」
宗雄「こっちは大丈夫だ、親御さんが心配する前に早く行ってこい。」
鶴乃「ごめんね、皆...じゃあまた今度ね!」
鶴乃姉さんは店を優先するため先に帰り、7人から6人になる。
立明「一人減ってしまったなぁ....。他の区内でも苦戦してるってのに大丈夫だろうか....?」
メル「大丈夫ですよ立明先輩!この僕の占いではラッキーデイですから!」
立明「....まぁメルちゃんの占いは確定だから何とかなるかな....?」
みふゆ「それでその占いはどんな感じだったんですか?」
メル「内容は七海先輩と立明先輩から止められてるんで、分かることは運勢位で良いって。」
みふゆ「二人とも心配性ですね。」
やちよ「みふゆは被害にあってないからそんなことが言えるのよ....。」
メル「今でもお風呂が壊れたのは僕の占いのせいですか....。」
立明「....俺はそう思ってるけどな....、メルちゃんの占いがきっと鶴乃を寄公に走らせたってな。」
メル「ひどい言いがかりです!」
立明「ま、それほどメルちゃんの占いを信じてるんだよ。俺は基本幽霊とか宇宙人とか都市伝説とか信じない派の人間だからな。もちろん、ラッキーデイということもな!」
メル「立明先輩....、ありがとうございます!」
あの立明って奴、相当良いやつだな....。道理で仲間からも信頼されてることが理解できるな。でもおっちゃんと共に行動してるならなぜ今はいないんだ....?そして場所がまた変わり、魔女の結界で戦う6人の姿があった。
立明「ちぃ....!ここまで流れてきただけあってなかなか手強いな!」
宗雄「ああ、これは一筋縄では行かなそうだな!」
やちよ「師匠、ここは数もいることだしバラバラになってそれぞれで攻撃した方が得策だと思います。」
ももこ「やちよさん、それは難しいかも知れないよ....。相手にも余力があれば使い魔で動きを抑えられるかも知れない。」
メル「だったら、ここは僕の占いで....」
みふゆ「だめですよメルさん、あなたは動かないで下さい。」
立明「みふゆさんの言う通りだ、メルちゃんは魔力をかなり消耗してる....。」
宗雄「まさかメルの占いが外れるとはな....、これは予想外だった....。」
メル「うぅ....、情けないです....。」
やちよ「ここは私が囮になるわ。私が隙をついてる間に師匠と立明君とみふゆとももこは背後に回り込んで。」
みふゆ「ですが!それではやっちゃんが!」
宗雄「やちよは大丈夫だ。何年魔法少女やって来てると思ってるんだ?」
みふゆ「....分かりました。」
立明「やちよさん、気をつけて下さい。」
やちよ「大丈夫よ私は。」
やちよさんは言った通り、囮になり、そしておっちゃん達は魔女の背後に回り込むことに成功する。
みふゆ「やっちゃんが魔女を引き付けました、宗雄さんと立明君とももこさんはワタシに続いてください!」
立明「だが、馬鹿に突っ込んでたらいつか返り討ちに合うぜ?」
宗雄「俺の手榴弾攻撃で時間を稼ぐのにも限界がある。」
ももこ「みふゆはどうするんだよ?」
みふゆ「ワタシは相手の背後に回った瞬間に幻覚魔法を使います。長くは持ちませんが隙を作るのに充分です。」
ももこ「なるほど、そこで逆転してやちよさんに撃破してもらうって訳だな!」
みふゆ「そうです!ではワタシに続いt」
立明「ん?......!!ヤバい!メルちゃん!避けろ!」
メル「ふぇ?」
立明は何かに気付いたのか速攻でメルの場所に向かう。
みふゆ「立明さん!?」
宗雄「ちぃ!どうやら使い魔がメルを殺る気みたいだ!くそ!間に合わない!」
立明「くそ!間に合えぇええ!!」
立明は全速力でメルの元に向かう。魔女は無情にも槍をメルにつきだした
かに思えたが魔女が突きだした槍を貫いたのはメルではなく、立明だった。しかも一番即死に近い心臓辺りを貫いていた。
立明「ぐ....うぅ.....、だ、大丈夫か....?メルちゃ....ん....。」
メル「え....?立明先輩....?なんで....?」
みふゆ「立明さん!!」
ももこ「あれは流石にまずい!!」
宗雄「このやろう!!」
おっちゃんはすぐに使い魔を切り槍を引き抜く。そして立明は倒れてしまう。
宗雄「立明!しっかりしろ!!」
メル「立明先輩!」
立明「ハァ....ハァ....ハァ....、俺、死んじまうの....か....?」
みふゆ「立明さん!しっかりしてください!貴方はまだ死んでは行けません!気をしっかり持って下さい!」
立明「ハァ...ハァ...、いや、もうわかってるんだ...、俺はかなえが.....死んでから俺は....何かが抜け落ちたようになってしまったんだ....、けど、ももこさんや、鶴乃に、メルちゃんと出会って、俺は守らねばと思って....、そして俺は、最期に...メルちゃんを守れて良かった....。」
メル「立明....先輩....。」
立明「師匠....、みふゆさん.....、ももこさん....、やちよさんにも、ありが....とう....、ござい....まし....た....。」
宗雄「立明....。」
みふゆ「......」
ももこ「......」
メル「う....うぅ....、うわぁあああああああああ!!」
立明はメルを庇い、この魔女の結界で命を落とした。そういう事かよ....。
メル「うぅ....ヒグッ.....立明先輩ぃぃ........。」
宗雄「立明、お前は立派だった....。最期まで俺の側についてくれたことを、感謝する....。」
みふゆ「.....そういえばやっちゃんは!?」
ももこ「.....!!やちよさん!危ない!」
みふゆさんと姉貴は辺りを探し、やちよさんを発見するが、使い魔に不意討ちされる寸前だった。
やちよ「!!しまった!!」
メル「!!七海先輩!!」
メルはすぐに飛び出し、やちよさんを庇う。だがそれがきっかけでメルも大ダメージを負ってしまう。魔女はおっちゃんの攻撃で倒れ、結界が解かれる。
みふゆ「立明さんに....、メルさんまで....」
やちよ「あなた動かないでって.....!」
メル「ご、ごめんな....さい....、ななみ...せん...」
宗雄「お前....ソウルジェムが....!」
メル「たぶん....立明....さんが...しんで....う!うぅ....!!」
やちよ「メル!」
みふゆ「メルさん!」
ももこ「そんな....!ソウルジェムが.....!」
姉貴が驚いている間にソウルジェムがグリーフシードへ変化し、魔女を探し生み出した。どういうことだよこりゃあ....。
ももこ「な、んだよ....これ.....」
みふゆ「ウソ....ですよね....。」
やちよ「ええ、おかしいわ....、だって....メルから....」
宗雄「..........」
俺は確かにこの目で見てしまった.....。ソウルジェムからグリーフシードに変化し、さらには魔女を生み出した所を....。そしてまた視界が真っ暗になる。