魔法少年 ケンタ☆マグス 古の血を継ぐ者   作:マイスリッド

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第4話

健太「な、何だこりゃあ・・・?!」

 

結界内に入った健太はその異様な景色に驚きを隠せなかった。

 

龍二「健太、これが魔女という化け物の巣窟だ。こいつらは人に「魔女の口づけ」という印をつけて人を死なせて、それを餌にするんだ。」

 

健太「その魔女ってのは厄介だな、そりゃキュゥべえも対処してくれってなるが・・・」

 

龍二「細かい話は事が終わった後でだ。マミ、杏子!付いてこい!」

 

マミ「えぇ、貴方達も送れないようにね!」

 

杏子「んじゃ先に行ってるぞ!」

 

まどか「私達も行こう!」

 

ほむら「健太先輩、私達が付いてますから安心してください。」

 

さやか「あたしらが先輩に近づく手下共、ぶっ飛ばしてやりますから!」

 

健太「それはありがたいんだが、やっぱり後輩に守られるのは慣れねぇなおい・・・」

 

そう言って先に向かった3人をまどか達も追いかける。その間、魔女の手下が健太目掛けて攻撃を仕掛けるも、まどか、ほむら、さやかの奮戦で攻撃が失敗する。

 

龍二「ふんっ!!」

 

マミ「はぁっ!」

 

杏子「でぇりゃあっ!!」

 

健太「すげぇ・・・マミは銃、龍二は刀、杏子は槍で魔女の手下を蹴散らしまくってらぁ・・・。」

 

さやか「あの3人は魔法少年少女歴が長い大ベテランだからねぇ。」

 

そうして先発隊である龍二、マミ、杏子が手下を難なく蹴散らしていき、本命の結界の主である魔女の部屋の前に着く。

 

健太「うわ、何だこの禍々しい扉は・・・」

 

マミ「この先に魔女がいるのよ、念の為に健太君はここで待ってて。」

 

健太「お、おい・・・ここまで来たんなら俺も行くよ。どっかの隅に隠れてっから・・・」

 

龍二「そうは言うがな健太、お前・・・足震えてるぞ。」

 

健太「あっ・・・?む、武者震いだ!あんなんにビビるかよ!」

 

龍二「・・・分かった、なら付いてこい。健太・・・。」

 

健太「ん?」

 

龍二「・・・・・・何があっても隠れておけよ。いいな?」

 

健太「わ、分かった・・・。」

 

龍二「よし、行くぞ。」

 

そう言って龍二は扉を開け、中にいる魔女の結界部屋に入る。結界部屋には頭がどろどろで背に蝶の羽が生えた異形の怪物がいた。

 

健太「あ、あれが・・・魔女・・・グロテスク過ぎんだろ・・・。」

 

龍二「俺はもう慣れた。奴らを殺すことに躊躇はしない。」

 

ほむら「っ!健太先輩っ!」

 

健太「っ!!」

 

すると魔女は一般人である健太に目を付け、地面に生える触手を伸ばし攻撃を仕掛ける。だが間一髪健太は攻撃を避ける。

 

健太「〜〜っ!危ねぇ・・・!」

 

マミ「健太君隠れて!あれは私達がやるわ!皆行くわよ!」

 

まどか・ほむら・さやか「「「はいっ!」」」

 

杏子「オーケー!!」

 

龍二「あぁっ!!」

 

そう言ってマミを筆頭に龍二達も続き、魔女に攻撃を仕掛ける。そんな中、健太は隠れて龍二達の動きを見ていた。

 

健太「あれが・・・魔法少年少女になった時の能力なのか・・・。」

 

マミ「はぁああっ!!」

 

龍二「うぉおおおっ!」

 

さやか「やっ!はぁっ!」

 

健太「・・・・・・」

 

健太は心の中で自分自身の弱さの為に契約をしたい考えと、魔女と戦う責務を負わねばならない考えで板挟みとなっていた。

 

健太「(俺は、このままで良いのか・・・?俺は、このまま行動に移さず、ただただビビる事しかしないのか・・・!?)」

 

マミ「龍二君今よ!!」

 

健太「っ!」

 

龍二「うぉおおおおっ!!」

 

6人の攻撃で極限に弱りきった魔女に龍二がトドメの一撃を食らわせ、魔女は跡形もなく消える。

 

龍二「ふぅ、手応えはあった。結界も崩れるだろう。」

 

そして魔女を撃破したことで魔女が展開していた結界が消え、元の風景に戻った。

 

健太「・・・・・・」

 

マミ「健太君。」

 

健太「っ!」

 

龍二「これで、分かっただろう健太。魔法少年少女になれば願いは叶えてもらえる。しかしその代償として俺達はあの怪物を倒さねばならん宿命を背負わされた。」

 

マミ「私のように命の危機に瀕した時や、特別な事情がない限り魔法少年になることはおすすめ出来ないわ。」

 

健太「あぁ、皆の戦ってる姿を見て理解した・・・。だが、俺は・・・」

 

龍二「「俺達の為に力になりたい」それが今考えてる事だろう健太。」

 

健太「っ!・・・あぁっ。」

 

マミ「私達の力になりたいのはわかるわ健太君。でも、その為に貴方まで自分自身の人生を潰す必要は無いの。」

 

龍二「健太は今後どうするかは分からんが、お前には「長生きして、いつか行方不明の妹を見つける」という目標がある。キュゥべえは今の目標ですら簡単に叶えてもらえるが、そういった目標は自分自身が苦労して達成するほうが余程嬉しい。健太もそれは分かってるだろ。」

 

健太「・・・・・・」

 

マミ「まぁでも、それは貴方が決めることだからこれ以上私達は口出しは出来ないけど、龍二君の言ってる事には私も同感。」

 

龍二「まだ時間はある、ゆっくり考えておけ。それにキュゥべえは願いを叶える気がないと分かれば勝手に消えてくれる。」

 

健太「・・・・・・そう、だな。確かにまだ早まる必要はないな。」

 

マミ「えぇ。さて、魔女を倒した事だし皆で私の家でお茶でもいかがかしら?」

 

さやか「えっ!良いんですか!」

 

まどか「わ〜い!私も行きたいです!」

 

杏子「久々にマミのお菓子食えるからな。あたしも行くぜ!」

 

龍二「ふっ、なら俺も行く。久方ぶりにマミの紅茶を飲みたくなった。健太とほむらはどうする?」

 

ほむら「あ、私はこのあと用事があるので行けないです・・・。」

 

健太「あっ、俺もだ!悪い!」

 

マミ「あら、用事なら仕方ないわ。それじゃ二人は気をつけて帰るのよ。」

 

ほむら「はいっ!さようなら!」

 

健太「ハハッ、マミはお母さんかよ。おぅ、じゃあな。」

 

そう言って健太とほむら、龍二達はそれぞれ帰路につく。健太はこのまま銀行へ向かい、金を下ろした。

 

健太「よし、とりあえずこれでいいか。」

 

そして健太が銀行を出ようとすると黒いフードを被った男が銀行に入ってくる。

 

健太「(・・・?なんだあの野郎・・・。)」 

 

するとフードを被った男は懐から拳銃を取り出し、それを銀行員に向けて脅した。

 

「おいコラ!金を用意しろ!早く!」

 

銀行員「ひぃぃっ!強盗だぁっ!」

 

「金を用意しろって!早くしやがれ!!」

 

銀行員「は、はいぃっ!!」

 

健太「(おいマジか・・・!銀行強盗に出会しちまった・・・。)」

 

銀行に入って来た強盗を見るや否やそこにいた多くの人が逃げ惑い、警察を呼ぶ者もいた。しかし、健太だけは逃げずに強盗に話しかける。

 

健太「おいおっさん。」

 

強盗「あぁっ!?」

 

健太「いい歳こいて犯罪に手ぇ染めてんじゃねぇぞコラ。」

 

強盗「黙れクソガキ!俺は今忙しいんだ!あっち行ってろ!」

 

健太「なるほど、殺す気は無いと見た。なら・・・!」

 

強盗「なっ!?ぎゃあっ!」

 

健太は身体の小ささを活かして銀行強盗を組み伏せ拳銃を奪い取る。

 

健太「おっさんさぁ、金に困ってたんだか知らねぇが、人に迷惑掛けてまで金を得ようとすんな、働け。」

 

強盗「この・・・!」

 

健太「あっ?まだやるk・・・えっ?」

 

強盗を取り押さえていた健太はふと背後から銃声と同時に衝撃が走り、振り向くともう一人のフードの男が立っていた。

 

健太「(あっ・・・マジか・・・。強盗、単独犯じゃ無かったのか・・・。)」

 

強盗2「おい、金は良いから逃げるぞ!」

 

強盗1「お、おぅ・・・!」

 

健太「くそっ!まtぐぅっ!?」

 

健太は正気を取り戻すと同時に身体の中から焼けるような痛みが広がる。

 

健太「くそっ・・・!背後から撃たれたのか・・・!」

 

銀行員1「中学生が撃たれたぞ!」

 

銀行員2「早く警察と救急車を呼んで!!」

 

健太「うぅっ・・・!こんな、所で・・・死んで・・・たまるか・・・!」

 

銀行員2「ちょ、ちょっと貴方!動いちゃ駄目!」

 

焼けるような痛みと出血が止まらない中、健太は立ち上がって歩く。それを見た銀行員が止めに入る。

 

健太「救急車待ってたら・・・出血多量で死ぬっての・・・だから、このまま病院へ、行く・・・。」

 

そう言って健太は病院へ向かうために歩き始める。途中、多くの通行人が驚いていたが健太はいつしか裏路地へ向かい、近道をしようとするが出血が多すぎるせいでまともに歩く事も出来ず、最終的には壁に背を預け座る。

 

健太「はぁ・・・はぁ・・・やべぇな・・・目がぼやけてきた・・・。」

 

キュゥべえ「やぁ高坂健太、大変な状況みたいだね。」

 

健太「・・・大変な状況だって分かってんなら、何で来た・・・?」

 

キュゥべえ「君が魔法少年になるのか確かめに来たんだ。」

 

健太「・・・・・・」

 

キュゥべえ「ボクは君が松井龍二達と一緒に結界内に入った所を見ていたよ。もう察してると思うけど君は魔法少年としての素質は十分にあるんだ。」

 

健太「・・・あんな化け物相手にするために願いを叶えられるか・・・。龍二やマミ、まどかやほむら達はああやって何とか生き残ってるが大多数は、無残にも殺されてるのがオチだろ・・・。」

 

キュゥべえ「・・・・・・」

 

健太「俺は、由美を探さなきゃいけないんだよ・・・。だから、死ぬわけには・・・ぐぅっ・・・!」

 

キュゥべえ「そうは言うけど、君はもう風前の灯火だ。願いを叶える以外に助かる道は無いと思うよ。現に君は今、大それた事を言っている様だけどボクからすればそんなのお見通しさ。」

 

健太「ちぃ・・・・・・なぁ、キュゥべえ・・・。」

 

キュゥべえ「なんだい?」

 

健太「・・・お前の言った願いってのは本当に何でも叶えられんのか・・・?」

 

キュゥべえ「もちろん、どんな事もね。」

 

健太「今、死にかけてる俺の傷も、全ても治せるのか・・・?」

 

キュゥべえ「もちろん。」

 

健太「・・・・・・」

 

健太は風前の灯火の中、走馬灯が流れていた。そんな中走馬灯の記憶の内、一つの記憶が現れ、健太の父はあることを言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「健太、いつか・・・何かを成し遂げたい時、大きな障壁が立ち塞がる。」

 

「だが、その障壁は越えられない壁ではない。だから、たとえどん底に落ちても・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   「這い上がれ。」

 

「這い上がって、命ある限り這い上がり続けろ。」

 

「そうすれば、いつか夢は叶えられる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

健太「(そうだ、そうだよ・・・。なんでこんな大切な言葉を忘れていた・・・!俺は死ぬ・・・?冗談じゃねぇ!俺は、由美を見つけるまでは死なねぇ!這い上がってやる・・・!由美を見つけるまで・・・どんな運命をも食らってやる・・・!!)」

 

死にかけの健太は心の中で風前の灯火だった炎を再び焚きあがらせ、業火の炎となる。

 

健太「決めたぜキュゥべえ、俺を、魔法少年にしてくれ!」

 

キュゥべえ「分かった。なら君の願いは?」

 

健太「俺の願いは「運命を破る事」だ!!こんなくだらない運命なんざ食らいつくしてやるぜ!!」

 

キュゥべえ「よし、契約は成立だ。その願いは叶えたよ。」

 

その瞬間、健太の視界は真っ暗になり気絶した。


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