第1話
~第8章 侵攻せしマギウス~
ー健太sideー
目が覚めると、俺は自分の部屋の布団で寝ていた...。あの激戦の後から記憶がなく、思い出そうにも思い出せなかった。
健太「......」
そして体を起こすと上半身だけ裸になっており、それに義手も汚れていたはずが綺麗になっていた。
健太「何で裸なんだ...?服を脱いだ覚えはないが...。」
そう思ってしばらく考えるとある答えにたどり着く。
健太「...多分、義手を見られたな...。」
いずれは皆に言うつもりではあったから別に残念がる必要はないのだが、姉貴が全部話したかも知れんな...。
健太「まぁいい、下に降りるか...。」
部屋の布団を片付け、下に降りる。
~リビング~
下に降りると皆揃っていた。俺の姿を見るとフェリシアが走って飛び付いてきた。
フェリシア「健太ぁ~!」
健太「うわわわ!?」
無論重力に勝てるはずもなくそのまま倒れこむ。
フェリシア「あ、やべ。大丈夫か?」
健太「大丈夫だが...、いきなりどうした?」
フェリシア「何となく飛び付きたかっただけだ!」
健太「何となく飛び付いてくるな!」
壮介「朝っぱらから激しいなおい...。」
やちよ「キレーションランドの件があって間もないのに...。」
俊「そうですね、鶴乃さんがウワサだったなんてウソみたいです...。」
さな「でも、無事で本当に良かったです...。」
いろは「ふふっ、でも私はこの方がいいかも。みかづき荘が明るくて楽しくなるから。」
壮介「確かに、この方がみかづき荘らしいな。」
いろは「それに、あの件から少し、寝つきが良くなくて、騒がしい方が気持ちも紛れるんです。」
健太「ん?寝つきが良くないのか?」
いろは「はい、実は......。」
ーー魔法少女説明中ーー
健太「確かにやつらは手段を選ばないと言っていたな...。」
壮介「そのエンブリオ・イブって存在も気になるし...。」
いろは「あの二人は、何を考えてるの......。」
健太「奴等が何を考えてるのかはわからん。だが俺達から動いて止めねぇと......。」
やちよ「ええ、彼女達は一般人を巻添えにしてまで目的を果たそうとしたんだもの...、次の一手を打たれる前にこっちから先手を仕掛けないと...。」
俊「ですが...彼らのアジトすら分かりませんし、何より僕達だけじゃあどうにも...。」
鶴乃「大丈夫だよ俊君!そのために今日は作戦会議に行くんだから!」
さな「そうですね、まずは十六夜さんのメイドカフェに行きましょう。」
フェリシア「だな!」
壮介「んじゃこの間のお礼を含めて行くとしますか。」
皆が十六夜さんの働いているメイドカフェに行く事を決めた。行く時間は昼に決め、それぞれ学校で時間を潰した。俺は義手の調整を施してもらうため、調整屋に向かった。
ーー調整屋ーー
健太「ちぃ~っす、お久しぶりです。みたまさん。」
みたま「あら、健太君!ずいぶんねぇ~。」
健太「おっちゃんいます?」
みたま「ええ、あそこにいるわよ。今日は何の用なの?」
健太「こいつの修理っす。」
そう言って片腕をみたまさんに見せる。
みたま「健太君、義手だったのねぇ。確かに宗雄さんなら修理が出来るわ。案内するわ。」
健太「助かります。」
案内され、部屋のドアを開けるとおっちゃんが何かしているのが見えた。
健太「おっちゃん、何してんだ?」
宗雄「むっ?おおっ、健太か。今お前の新しい義手を作っていた所だ。」
健太「新しい義手?」
宗雄「ああ、多分だがお前はいずれ強大な敵と戦うことになる。今の義手だと魔力に耐えられなくなり壊れてしまうかも知れん。」
健太「んで、その銀色に光ってる義手が多量の魔力に耐えられるわけか。」
宗雄「そういう事だ。鎧の義手で鎧義手(オートメイル)と言う。前より耐久性が上がっていて尚且つ多量の魔力にも耐えられる構造に改良した義手だ。」
健太「んじゃ物は試しだ。おっちゃん頼むぜ。」
宗雄「わかった。所で健太、お前作戦会議をするんだってな。」
健太「ああ、奴等に対抗しなきゃならねぇしよ...。それにキレーションランドの件で一般人が巻き込まれそうになったしこれ以上奴等が何を仕出かすかわかったもんじゃねぇ...。」
宗雄「ふっ、お前らしいな。よし、出来たぞ。」
健太「おおっ、すげぇなこりゃあ......。」
俺は義手が変更され銀色に光り輝く鎧の義手になって圧巻された。試しに片腕を動かす。特に以上はなく、これまたしっかりした優れものだ。
健太「おっちゃん助かったぜ!すげぇや!」
宗雄「例はいいから早く行け。」
健太「おう!ありがとう!」
おっちゃんに例を言ってメイドカフェに向かった。
調整屋から少し離れた小道を歩いていると茂みから音が聞こえた。
健太「ん?」
少女「ぅ...、ぅう...。」
そしておもむろに横を見るとボロボロになった一人の魔法少女がその場に倒れこんだ。
健太「魔法少女!?おい、大丈夫か!?」
俺はすぐに側に向かい安否を確かめる。そして傷口を見て、どこかで出来た傷ではないことがわかった。
健太「まさか...!魔女か...!?」
そう思い魔女の気配を辿る。だが魔女の気配は感じる事が出来ない。
健太「何も感じない...、にげたか...?」
少女「ぁの...、ごめんなさい...、はぃ...。」
健太「大丈夫か?動けるか?」
少女「はい...。」
健太「あんた、魔女にやられた訳じゃなさそうだな...。」
少女「はい...、黒ずくめの人達に突然、襲われて...、一緒にいた男の子ともはぐれてしまって...。」
健太「他に何か特徴はなかったか?」
少女「えっと...、あ、首からペンダントをぶら下げてました...。」
健太「(黒ずくめでペンダント...、まさか...)そのペンダントは金色だったか?」
少女「あ、はい...、そうです...!」
健太「やはりか...(マギウスの野郎が動き始めたか...。)すまない、概ね状況がわかった。」
少女「えっと...、どうするん...、ですか...?」
健太「偶然俺も奴等を追ってた所だ。だがなぜ奴等があんたを狙ったのかはわからんが、とりあえずあんたは調整屋に向かってくれ。」
少女「調整屋さん、ですか...?」
健太「ああ、あそこは中立地帯なんでね、奴等も迂闊には手を出せん。」
少女「わ、分かりました...。った...。」
健太「無理はするな。俺が連れていくからよ。」
少女「すいません...。」
健太「気にするな。同じ魔法を使えるもの同士だからさ。(...奴等め、何故関係ない魔法少女まで襲うんだ...?)」