魔法少年 ケンタ☆マグス 古の血を継ぐ者 作:unknown505
偽俊「どうしてマギウスに入らなかったの?あのまま入り続けていれば魔女にならずに済むんだよ?」
俊「僕は、嫌なんだ...、多くの人を犠牲にして解放を望むのは僕の筋が通らない......。」
偽俊「筋とかそんなものどーでもいいよ。人間ってさ必ず一回は筋が通らない事を言ってしまうんだ。だからそんな無理に筋なんか通しちゃダメだって。」
俊「.........」
偽俊「あっ、話は変わるけど、健太さんには話したの?君が「隠してる事」。」
俊「......まだ。」
僕にはまださなちゃんはおろかみかづき荘の皆さんにも話せない事があった。
偽俊「まぁそうだよね。言えるはずないもん。だって......染谷俊って言う名前は「偽名」なんだから。」
俊「っ!」
偽俊「忘れてるわけないよね?本当の名前を。」
俊「......知ってるよ。忘れてなんかない。」
僕、染谷俊の本当の名前は「新城俊」これが本当の名前だ。
偽俊「それは良かった。僕が名誉ある新城家を忘れていたら先代から大目玉食らうはめになっちゃうよ。」
俊「......」
偽俊「どうして僕がわざわざ偽名を使わなければならなかったのか、もう一度君に聞かせてあげるよ。」
偽物の僕の口から出てくるのは魔法少年になる前にさかのぼる......。
2004年 6月19日 この日僕という存在が産まれた。産まれた場所は参京の小さな病院。
当時の看護師さんの話では父親と母親は泣いて喜んでいたそうだ。
僕の本当の名字である「新城」は当時の参京全体を管理していた大きな家であり、古来瞳術「真眼」を代々受け継いでいる家であった。
父親は当時の「真眼瞳術」後継者でありそれなりに頭も良かった。
母はとある田舎からの上京者であり父に惚れて結婚した。うっすら記憶には残っているが両親は優しくて何不自由ない生活を送っていた。
だが小学生に上がった時、僕の人生を変える事件が起きた。
新城家の中で下克上という名のクーデターが発生。新城家に従っていた家系の人達の不満が爆発した。
クーデターに加担した人達は新城家に属している人間を根絶やしにするため神浜市内全域で新城家と反乱者達が交戦した。僕達家族も例外ではなかった。
両親は僕を新城家の分家に逃がすために必死で反乱者達の目を掻い潜る。
当時の僕は何が起こっているのか理解出来なかった。
この時父の最後の言葉は「生きる事は、逃げない事」と言った。
僕は今でも父の言葉は覚えている。この時両親が僕を引き渡した人が父の弟であり、僕の「真眼瞳術」を教えてくれた恩師だ。
この日から「真眼瞳術」を受け継ぐため日夜稽古に明け暮れた。そして小学校を卒業して恩師の承諾を得て水名へ移り住んだ。
恩師は「新城家は基本表だって話すことは禁句である。故に名字も変えなければならない。」そう言われ、僕は「新城」から「染谷」と名乗った。
俊「.........」
偽俊「これが、君が魔法少年になるまでの話。間違ってないよね?」
俊「うん、全て合ってるよ。」
偽俊「そしてそのあと、僕は水名工業学園の兄妹校、水名女学園の生徒、二葉さなのいじめを知り、キュぅべぇに「二葉さなを僕の幼なじみにして、彼女を助けたい」と願って魔法少年になった。」
俊「うん、でもそれは単に僕の都合が良すぎた解釈だったのかもしれない......。」
偽俊「でしょ?だからあの記憶ミュージアムの時、マギウスに入ってればさなちゃんと魔女にならずに一生を過ごせたかも知れないのに......、もったいない......。」
俊「それでも、僕はマギウスのやり方には賛同出来ない。それに......。」
偽俊「それに?」
俊「一度決めた事は、絶対に曲げない!それが僕の進む日本の...、武士道だからだ!!」
偽俊「っ!?それは...!?」
そう、僕は密かに真眼瞳術の練習を続けていた。そして今、ようやく自身の力で開化させる事が出来た。
俊「驚いたかい?僕だってさなちゃんに任せっきりにしてきた訳じゃない。いろはさんを助ける時は体張って切り開いてきたからこそ、この真眼瞳術を体得出来た!自分を信じない者に努力する価値なんてないんだよ!それが僕の偽物でも!!」
偽俊「.........」
俊「どうだい?僕はもう昔みたいにヒヨッてばかりじゃないんだ。反論は?」
偽俊「......流石だよ。やっぱりすごいな、本物は......。」
俊「え?」
偽俊「......正直に言えば、さっき僕がマギウスに入れば良かったのにと言った時、自分の筋を通すのはすごいなと思ったよ...。......そのまま自分自身を貫き通して、さなちゃんやみかづき荘の皆を守って...。」
俊「......ああ、約束は守るよ。」
偽物の僕は光の塵になって消えた。そろそろ皆も終わった頃かな...。