フェントホープの内部に入り、階段を上がって行くと途中でさっき逃げた黒羽根と途中で合流した白羽根がいた。
白羽根「もうここまで!?」
健太「おぅ、来てやったぞ感謝しやがれこの野郎。」
白羽根「えっ!?」
白羽根は俺達を見るやかなり驚いた。いや、正確には俺を見て驚いたってところだ。
悠太「......羽根が二匹、手間は掛からんな。」
白羽根「......」
白羽根はその言葉で警戒した。すると俺はふと白羽根の髪が気になった。
健太「(ん...?あの白羽根の髪の色、どこかで見たような......。)」
レナ「ちょっと、そんな言い方したら話し合いが出来ないじゃない。」
悠太「もしもの時だ、値踏をしておくのも必要だろう。」
白羽根「......」
健太「......」
やちよ「っ?どうしたの?」
健太「いやっ、あの白羽根、どこかで見たような気がするんすよ...。」
やちよ「もしかして、知り合い?」
白羽根「っ!」
健太「かも知れないっすね......、......あっ。」
様々な記憶を探している内に一つの記憶にたどり着いた。その記憶は俺の中で忘れ去られていたものだった。
健太「そうか......、思い出した。あんたが誰かを......!ちくしょう...!何で忘れてたんだ!俺が家族と思える大切な人を!」
鶴乃「大切な人?この白羽根の子が?」
健太「ああ、さっき顔を見たとたん驚きを隠せんくらいの表情で俺を見ていたからな。そうだろ?「郁美姉ちゃん」!」
郁美「.........大きくなったね、ケンちゃん。」
暫くの沈黙から先に口を開いたのは郁美姉ちゃんの方だった。
健太「やっぱりそうか......、何年ぶりの再会だろうな。」
郁美「5年以上は立つね......。」
健太「そうか......、早ぇもんだ......。」
健太・郁美「.........」
健太「なぁ、郁姉、一つ聞いてもいいか?」
郁美「......」
健太「何で、マギウスに入った?」
郁美「.........ごめん、これ以上話すことはない......。あなたは他の羽根に連絡を!私はここを死守します!」
黒羽根「はっ、はい!」
郁姉の指示で黒羽根は他の羽根を呼ぶためこの場を離れた。
十六夜「一朝一夕とはいかないみたいだな。」
健太「......」
郁美「ここは絶対に通さない!たとえケンちゃんが相手でも!!」
健太「郁姉......。」
壮介「健太!俺達も加勢n「いい。」......えっ?」
健太「郁姉とは、俺がやる。」
壮介「だが...。」
健太「頼む......。」
壮介「......わかった。」
そう言い、俺は郁姉の前に立ち、槍を構える。
健太「......はっきり言って俺は家族と認めた人には手を出さない。」
郁美「......それが何?」
健太「だから俺は....、ふんっ!」
郁美「っ!?」
俺は槍を横の壁に放り投げた。今の状態は素手だ。
健太「この護身術で郁姉を倒す。」
郁美「......本気で言ってるの?」
健太「ああ、本気さ。」
郁美「怪我するかも知れないよ?」
健太「何だ、敵の事を心配してくれんのか?」
郁美「別に心配なんてしてない。」
健太「ヘイヘイ、んじゃやりますか。......こい!郁姉!!」
戦闘BGM「wirepuller」--龍が如く2--
「VS マギウス幹部 牧野郁美」
郁美「やぁああ!」
健太「ふっ!」
郁姉は武器である箒?を振り下ろすが俺は受け止め、右腕を思い切り郁姉の腹に当てる。
郁美「うっ!?」
健太「はぁっ!」
郁美「あぅっ!まだまだ!やぁっ!!」
健太「っ!?はぁっ!」
箒?を盾にして蹴りを浴びせてくるところを上手く見切り両手で往なす。
郁美「きゃあああ!!」
往なしたおかげで郁姉を背負い投げしたような形で地面に突っ伏させた。
高坂健太VS牧野郁美 健太winner
郁美「くぅ......はぁっ、はぁっ......。」
健太「郁姉......、頼む、武器を下ろしてくれ。このままじゃあ郁姉を怪我させちまう......。」
郁美「それでも、ケンちゃん達は私達の解放を阻止する......。魔女を狩ることからも、魔女になることからも逃れる事ができるのに...。ケンちゃん達はそれを奪おうとする......。だから戦うしかないの!!」
健太「マギウスの翼ってのはそんな信用に値する存在なのか?」
郁美「信用するとかしないとかそんなんじゃない!私達は、私達の未来の為に戦ってるんです!」
悠太「横入りすまない、郁美さん、それはおかしいぞ。俺の見方では羽根達がマギウスの未来のために身を呈しているように見える。言うことを聞いてきた挙げ句にゾンビみたくうわさで操られからだ良く使われているだけだ。」
郁美「あれは、互いに利用し合っているだけです......!あれも自分達の為なら......!」
壮介「自分の為だってんなら、もうマギウスに従うのは止めといた方が良いっすよ?郁美さん。魔女やうわさを利用して人を苦しめて自分が救われても良い気はしないっしょ?それに後で自分が苦しむことになる...、因果応報って風になっちまいますよ?」
健太「それに、あいつらは郁姉達に計画を伝えない。甘い言葉で誘って今後も利用し続けるだけだ。それは呪縛から解放されて救われた所でこれからも変わりゃしないんだからさ。郁姉、あんたは目先の解放に捕らわれて自分の未来を売ってんだぞ!」
郁美「っ!?私が、自分を売ってた......!?」
健太「追い詰めるような事を言ってんのはわかってる。けど、今からでも自分の未来を変える事が出来る。」
鶴乃「マギウスを止めたら解放もなくなるかも知れないけど利用される事もなくなるんだよ!そこからは大変だけど今度は一緒に話し合おうよ!」
フェリシア「健太と鶴乃の言う通りだぞ!一緒にマギウスを止めようぜ!」
郁美「そんな...、簡単に...、言わないでよ......。」
ももこ「盲目に解放を求めた結果が自分の視野を狭めてんだよ。ちょっと考えたら描けそうな未来だけど......。」
郁美「そんな、そうかも...、知れないけど......。」
健太「......わかった、もうこれ以上は何も言わない。ただ、一つだけ良いか?」
郁美「......」
健太「環いろは、二葉さな、染谷俊、梓みふゆの居場所は知らないか?」
郁美「......知らない。」
健太「......そうか、すまん、ありがとう。」
そう言って俺達は先へ進む。すると郁姉が大声で言い放つ。
郁美「知らないけど......!!......二葉さなと染谷俊は私を襲った後で、環いろはを連れ戻しに行った。みふゆさんはわからない。ここ数日見てないから......。」
郁姉が言ったのはマギウスに対する実質的な裏切りに近いものだ。それを省みずに俺達に告げ口してくれた事は実に有り難かった。故に俺は心底驚いた。
健太「郁姉......。......いろはの居場所、分かるか?」
郁美「私の知らない所よ。」
健太「そうか...、ありがとう、恩にきる。」
俺はそう言って再び歩きだす。奴らのせいで羽根達が苦しい目に合っているってのに負けらんねぇぜ......!