魔法少年 ケンタ☆マグス 古の血を継ぐ者   作:マイスリッド

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後半からは壮介sideになります。


第10話

健太「果てが見えねぇ......。」

 

マミが開けてくれた壁の先には果てが見えない位長い大階段があった。

 

いろは「暗闇に吸い込まれそうな階段ですね......。」

 

健太「そうだな...、んで気分も悪くなって来やがるしよぉ......。」

 

壮介「暗喩としているだけが理由じゃないみたいだな...。」

 

やちよ「そうね、降りれば降りるほど強い穢れを感じるわ。」

 

十六夜「おそらくマギウスの育てているイブとやらが原因だろう...。」

 

フェリシア「ぅぅ...」

 

悠太「どうした狂犬、さっきまでの勢いはどうしたんだ?」

 

フェリシア「なんか胸の真ん中辺りが気持ち悪ぃんだよ......。」

 

健太「あまり気にするなフェリシア、漂っているのは魔力じゃないし直接体に害はない。それに気持ちが弱ったら引っ張られるかも知れないしよ、元気出そうぜ。」

 

フェリシア「おう...、そうだな...、そうだな!ふんす!」

 

鶴乃「さなと俊君は平気?」

 

さな「はい...、何とか...。」

 

俊「僕も大丈夫です...!けど、何かの罠とかじゃないですよね?」

 

鶴乃「こんなに穢れが満ちているから?」

 

俊「はい、降りれば降りるほど、どんどん穢れが満ちているのにマギウスの方々は平気にしていると思うと何だか信じられないです......。」

 

鶴乃「でも隔離してまで隠そうとしていたもん。きっと間違いないよ。」

 

俊「そう、ですよね......。」

 

さな「もしかしたら、私達は試されてるかもしれません...。ここで折れたら私達はそこまで。この程度の穢れに負けない気持ちを持たないと...。」

 

俊「そうだね...、ここで負けたらマギウスの計画を止めることなんて出来ない...!」

 

健太「そうだな、この先何があるか分からん。みふゆさんと兄貴がこの建物自体を消してくれる手筈になっているがそれまで俺達は耐えないといけない。」

 

俺がそう言うとさなが何かを言った。俊は近くにいたためさなに聞いた。

 

俊「何が来たの?さなちゃん。」

 

さな「えっ...?私何も言ってないよ...?」

 

俊「え?おかしいなぁ...、確かに「来た、来ましたよ...」って聞こえたんだけど...。気のせいかな?」

 

すると今度は俊とフェリシアの声で何かか聞こえた。

 

フェリシア「誰だよ!「クッソヨエーやつ」って言ったの!」

 

俊「え!?今僕の声で「ダメダメだね」って言ったの誰!?僕じゃないですよ!」

 

十六夜「いや、今のは俊と狂犬自身の声だ。」

 

フェリシア「自分で自分を馬鹿にするわけねーじゃん。」

 

俊「そうですよ、僕引っ込み思案ですけどさすがに自分自身を馬鹿にはしませんよ。」

 

十六夜「それは困ったな...。」

 

やちよ「ただ、それが出来る相手がここにいるはずよ。」

 

今度は鶴乃姉さん、やちよさん、壮介、いろは、俺の声で俺達を煽る声が聞こえた。

 

いろは「間違いないですよ、やちよさん、健太さん。」

 

健太「さっきの三人組と同じやり方か...、悪趣味な野郎だぜ...。」

 

そして偽物の俺は偽物に皆に何かを指示する合図をしていた。

 

やちよ「リーダー、こっちはどうする?」

 

いろは「コピー達の言葉を聞くか、無視するか、どっちにしますか?」

 

健太「そんなもん決まってますよ。......コピー達の言葉は無視します。今更そいつらの話を聞いた所で俺達の思いは揺らぐ事はない。」

 

やちよ「そうね、こんな小手先を聞かせても無駄だと思うわ。たどり着くまでに自分も覚悟は決めたから。」

 

いろは「私もです。だから、私達の汚れたコピーを消しましょう。」

 

健太「ああ!」

 

ようやく偽物の俺達も姿を現し、対峙することになる。今、過去の部分との対峙で何を思うのか......。

 

 

魔法少女達の会話は本編にあるため魔法少年の会話のみとさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

BGM「対峙」--ナルト疾風伝--

 

ー壮介sideー

 

 

偽壮介「お前さぁ、何でマギウスに入らねぇんだよ?魔法少年になるときに言ったろ?織莉子とキリカ、そして自分が幸せになれる答えを探すって。」

 

壮介「...ああ、確かに言ってたな。」

 

偽壮介「だが実際はどうだ?織莉子は父親の汚職で表に出始めてから父親は死んで学校や世間から冷ややかな目で見られている。キリカは違う自分になりたいと願ったは良い。だがその代償としてアイツはキュぅべぇと契約した瞬間を忘れたんだ。キリカは未だに辛いもんを背負って生きてるんだ。」

 

壮介「......そうだった。キリカは確かに俺と織莉子の事忘れていた。それで当初は対立して互いに戦った。んで落ち着いたタイミングでキリカが話してくれたな。自分は契約する前の自分を忘れたって。」

 

偽壮介「そうだ。良く分かってんじゃねぇか。だったら何故お前はキュぅべぇに三人が幸せになれるって言って契約したんだ!?」

 

壮介「あ?」

 

偽壮介「あいつらは幸せにはなれずずっと苦しい思いを背負わせてはずかしくねぇのかよ?!お前の言った幸せになれる答えは見つかったのか!?」

 

壮介「......」

 

偽壮介「見つからねぇんだろうが!......だが一つだけ三人が幸せになれる答えが見つかった。」

 

壮介「......それがマギウス。」

 

偽壮介「ああ!マギウスに入れば魔女になることもないしあいつらだって幸せになれるんだ!」

 

壮介「確かにそう思って一度マギウスに入ったさ。でもな、俺は他人を不幸にしてまで幸せは手に入れん。」

 

偽壮介「何故だ?」

 

壮介「逆に聞くが何故他人を不幸にして幸せになりたい?」

 

偽壮介「決まってるだろ!他人の事なんざどうでもいい!今目の前にある幸せを取らないでいつ取るんだよ!?」

 

壮介「......何も分かっちゃいねぇな。」

 

偽壮介「何?」

 

壮介「そんな目先の幸せ手に入れた所で長くは続かない。そして何より、織莉子とキリカが泣くぞ。」

 

偽壮介「意味がわからない...、何故幸せを手にして泣く必要がある?」

 

壮介「それが間違いなんだよ。幸せってのはマギウスだけじゃねぇ。色んな方法だってあるんだ。だから健太達に会うまで織莉子とキリカは大分変わったぜ?」

 

偽壮介「......」

 

壮介「俺の記憶があるなら思い出してみろ。織莉子が初めて涙を流した時やキリカを説得した時の事を。」

 

偽物の俺は過去を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

~5ヶ月前 風見野 公園~

 

壮介「............」

 

織莉子「.........」

 

壮介「......何だよそれ、意味わかんねぇよ......。」

 

当時の俺は幼なじみの織莉子が何故回りから冷ややかな目で見られているのかが分からなかった。

 

織莉子「言った通りよ...。」

 

壮介「言った通りって...、お前はそれで良いのかよ...。」

 

織莉子「良いのよ..。私はやれるだけの事はした。魔法少女になって私は自分の幸せの為に多くの人を犠牲にした......。」

 

壮介「......」

 

織莉子「悔いはないわ。けど一つ心残りがあるとすれば、壮介君に会えなくなる事ね。」

 

壮介「っ!!」

 

織莉子「本当無様よね私。お父様の汚職も晴れずままで何も出来なかった......。だから私がこの世にいる意味なんてないの......。」

 

その時の俺は、耐え難い苦しみに包まれてたんだろう......。当時の俺はあまり怒ることがなかった。誰に対しても笑っていたからだ。

 

織莉子「私の下らない愚痴を聞いてくれてありがとうね。私はもう行くわ。」

 

壮介「.........」

 

その時の俺は思った。ここで言わなければ織莉子と二度と会えないと思って公園から去ろうとする織莉子の手を掴む。

 

織莉子「壮介君...?」

 

壮介「織莉子...、本当に悔いはないんだよな?」

 

織莉子「えっ、えぇ......。」

 

壮介「だったら、何で涙流してんだよ......。」

 

織莉子「っ!」

 

そう、織莉子が一瞬涙を流した所を俺は見逃さなかった。

 

壮介「......本当は、死にたくないんだろ?」

 

織莉子「......」

 

壮介「何で死にたくないやつが死ななきゃいけないんだよ!!」

 

織莉子「っ!壮介君......。」

 

壮介「俺は、織莉子の事が好きなんだ...。けど、今の今までずっと本当の事を言えずにいた...。でもそんな人がどうして死ななくちゃいけない!どうしてだぁ!」

 

織莉子「......」

 

壮介「今更言えた口じゃないが、俺は、今度こそ織莉子、お前を守りたい。お前が抱えてるもん、一緒に背負うから!だから...!死なないでくれ......!!」

 

織莉子「壮介君...、私だって...死にたくない...、死にたくないよぉ...!うあぁぁぁぁぁぁぁ......!!」

 

この時、初めて織莉子が涙を本気で流した瞬間だった。俺と織莉子は互いに抱き合って泣いた。

 

 

 

 

 

 

~現在~

 

 

 

 

 

 

壮介「......」

 

偽壮介「...何か、考えが変わったぜ......。」

 

壮介「そうか...。」

 

偽壮介「...これ以上俺は何も言えない...。静かに消えるよ...。ただ...。」

 

壮介「ただ...、何だ?」

 

偽壮介「二人を、幸せにしてやれよ。」

 

壮介「わかってる。二人だけじゃなく、見滝原、風見野、神浜の魔法少年少女達皆を幸せにして見せるさ。」

 

そう言うと偽物の俺は笑って静かに消えた。

 

 

 

他の仲間も終わったかな?


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