魔法少年 ケンタ☆マグス 古の血を継ぐ者   作:マイスリッド

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第11話 悠太・健太side

ー悠太sideー

 

悠太「で、貴様は自分に何を語ってくれるんだ?」

 

偽悠太「少し、確認をしておこうと思ってな。」

 

悠太「確認か...、一体何だ?」

 

偽悠太「貴様がキュぅべぇに願ったのは歴史の抹消、そして町の壊滅。それを欲する灯火は消えたか?」

 

悠太「そんなことか...、消えてはいない。今だに自分の中で煮えたぎっている。令が言った通り、俺達は不当に不誠実で不公平な扱いをされ続けている。それはこの町が積み重ねてきた歴史が主因となり、他所の心証に影響を受け続ける思考が及ばん奴らが副因だ。」

 

偽悠太「ほぅ...、やはり変わらないみたいだな。」

 

悠太「心を読めば良いことをわざわざ訪ねる必要もなかろう。」

 

偽悠太「いや、自分はコピーだ。能力を真似るのは些か厳しいものだ。」

 

悠太「そうなのか。それで今言った意見で気に食わん所はあったか?」

 

偽悠太「ひとつだ。」

 

悠太「よし、なら徹底して聞いてやる。」

 

偽悠太「何故貴様はその煮えたぎる火を燃やそうとしない?一度街を崩壊させもう一度人々に手を取り合わせる、それが目的じゃなかったのか?」

 

悠太「歴史の抹消、町の壊滅、自分にそれほどの力があれは一人で行っていた。だが魔法少年一人だと手に余るだろ?実現しようがない青写真を眺めているほど自分に甘くはない。」

 

偽悠太「果たして、それは自分の本心だろうか......。」

 

悠太「偽物だろうが自分自身なら分かるはずだ。願いを叶えた当時の俺は青く中途半端だった。そもそも滅びで人々が手を取り合う未来があるなら、世界の歴史が既に証明していると思うが。現に過去の「神浜東西戦争」で経験している。」

 

偽悠太「確かに、この国は人を助けるシステムが出来すぎている。」

 

悠太「そうだ。歴史の抹消がなければシステムも出来すぎている。わかっているじゃないか。」

 

偽悠太「ああ、だからこそ貴様に情報を与えてやる。」

 

悠太「情報?」

 

偽悠太「マギウスの計画ならそれを成す事が可能なはずだ。」

 

悠太「マギウスの計画......、膨大なエネルギーをせしめようと言うことか......。ある程度は察していたがそれほどまでに強大な力か。」

 

偽悠太「それほど強大な力だ。興味が沸いたか、火が燃え始めたか?」

 

悠太「いや、残念だが煮えたぎったままだ。」

 

偽悠太「目の前に成せるものが合ってもか。」

 

悠太「ああ、少し大人になりすぎた。それに成せる可能性があっても自分に決断を下すことはないだろう。」

 

偽悠太「委ねるのか?」

 

悠太「委ねよう。自分以上に苦渋を味わって辛酸を舐めた男に納得出来ないか?」

 

偽悠太「......納得は出来た。なら自分は消えて事の成り行きを見守るだけだ。」

 

悠太「ふっ、是非そうしてくれ。」

 

奴はそう言って消えた。他の仲間も終わっただろうか......。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー健太sideー

 

 

偽健太「お前、親の仇取るの忘れてるだろ?そんな熱血脳じゃいつまで立っても魔女を倒せやしないぜ?」

 

健太「悪いが親の仇を取るのは止めたんだ。両親を殺った魔女は遠の昔に倒したかも知れねぇし。それに両親はそんなことを望んで死んだわけじゃないって思うんだ。」

 

偽健太「俺はいつからそんなに意見を言えるようになったんだ?そんな強い人間は高坂健太じゃねぇよ。」

 

健太「そんなことねぇさ。目の前にいるのは本当の俺。これが今の高坂健太だ。」

 

偽健太「だが俺は片腕が無いことで学校でいじめられて家族以外誰も信用出来なかったはずだ...。んで宗雄のおっちゃんやももこの姉貴には迷惑を掛けたくないって思って学校に行き続けて俺はヘラヘラばっかしていたんだ......。」

 

健太「だから俺は友達と呼べるような存在は一向に現れず、ただ自分の無駄な4年が過ぎていった......。」

 

偽健太「それでも、平穏な生活を送れていた...。」

 

健太「だが、俺の転機が訪れた。それが「松井龍二」という存在だ。最初こそ俺と龍二は犬猿の仲だったが喧嘩をしたことで次第に互いを知るようになって、共に見滝原中学に進学した。」

 

偽健太「そして、皮肉にもかつて喧嘩をした同じ場所で龍二と再び仲違いになり縁を切られた......。」

 

健太「ああ、あの時の俺は本当にどうかしていた......。だからもうあの時の俺に戻るつもりはない。それに龍二がいなくなって、初めてみかづき荘に入った時、自分の意見を貫かねぇといけなくなった時から俺の周りは変わっていった。色んな魔法少年少女達と出会い、掛け替えのない仲間と出会って、そんな仲間と苦しみや悩みを分かち合うようになった。だからよ、弱かった頃の自分とはサヨナラしなきゃならねぇ......。」

 

偽健太「......後悔は、ないんだな?」

 

健太「ああ、ねぇな。」

 

偽健太「そうか...、なぁ、一つだけ俺の願い、聞いてくれるか?」

 

健太「なんだ?」

 

偽健太「......タイマン、張ってくれねぇか?」

 

健太「......どうしてだ?」

 

偽健太「俺はお前のコピーだ。理由は、分かるだろ?」

 

健太「へっ、コピーといえど本能も一緒なんだな。」

 

偽健太「ああ、魔力はなくとも性格や細胞の隅々までお前と同じだ。」

 

健太「......龍二と初めて喧嘩して次第に互いを理解し合えるようになったんだ。お前ともできるはずだ。なにより俺がマギウスと反発する理由、それは俺をこうして変えてくれた神浜を危険に晒されているから俺は止めるんだ!」

 

偽健太「......他の魔法少年少女達の思いを踏みにじってでもか...?」

 

健太「踏みにじった分中途半端な事はしない。俺なら、後悔しない生き方を選ぶ!さぁ!来いよ!」

 

偽健太「......わかった、俺も本気でやらせてもらうぜ!!」

 

俺と偽物は互いに槍を構え、にらみ会う。

 

健太・偽健太「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

過去を断ち切るため、本物と偽物の一騎討ちが開始される......!!


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