『ハッハッハ! もう大丈夫! 何故って? 私が来た!』
平和の象徴、オールマイト。名前や個性、その他諸々が一切不明のナンバーワンヒーローだ。彼を目指してヒーローになる人は多いらしい。
今まで彼の戦闘を記録した映像を見てきたが、パワー、スピード共にあちらが圧倒的に上だ。何だよ天候を変えるパンチって。物理的ウェザー・リポートじゃねえか。
は~、やっぱオールマイトは格好いいなぁ。ヴィランはどうも暴れたいだけと言うか、そう! 信念が感じられないんだ。けど、それは他のヒーローや、それこそ俺にも当てはまる。
前世から、俺と言う生き物は常に無気力だ。あれが欲しい! だとか、これがしたい! なんてジョジョのスタンドに対してしか思ったことは無い。他人からもよく言われたよ。「お前は何がしたいんだ」って。あのハゲ(※1話参照)にこの言葉を言われたときは悔しかった。
ああ、今となってはどうでも良いことなのに、なぜこんなにもあのバーコードが懐かしく感じられるのか。いや、あれはバーコードを通り越して消えかけの横断歩道か。
駄目だな、今の俺。ようやくテンションが元通りになってきたと思えば、今度は一気に急下降だ。そもそもこの世界、何でジョジョが無いんだよ! と言うより漫画そのものが少ない。
何故か、俺の天才的な頭脳でとある仮説を立ててみた。ヒーローだ。それも、オールマイト等のヒーローが、漫画をつまらなくさせているのだ。そりゃそうだろう。止まってるモノクロの絵を見るよりも、実際の戦闘を見た方が盛り上がる。
これが超常社会の欠点。フィクションがつまらねぇ! だって日常的に超常を目にしているのだ。飽きも来る。
フムフム。今日はちょうどヒーロー特集とか言う番組があったので、情報収集も兼ねての個性の確認をしている。見る限り、結構通用しそうだと言うのが俺の結論だが、プロには経験と言うものがある。ザ・ワールドを使いこなせていない今の俺では、一対一で戦った場合、十中八九敗北してしまうだろう。通用しそうだと言ったのは、俺がザ・ワールドを十分に扱えるようになったらの話だ。
「あう~」
さ、今日もザ・ワールドの操作練習と洒落混みますか!
【数分後】
「あら?寝ちゃったの?...ウフフ、かわいい寝顔。どんな夢を見てるのかしら?」
「ヒーローの夢を見てるんじゃない?」
「そうかもしれないわね。この子、ヒーローが大好きだもの。今日もおとなしくテレビをじっと見てたの」
「ああ、お利口さんなのさ。流石は僕らの息子だ」
「子育ては大変って聞いていたけれど、この子が特別おとなしいのかしら?」
「そうかもしれないね」
◇◆◇
いつの間にか寝ていたらしい。
早く成長してくれないか、マイボディよ。
ごめんよ、ザ・ワールド。俺が不甲斐ないばっかりに、お前を退屈させてしまう。
そう心の中で謝ると、俺の意思がわかるのか、ザ・ワールドはそっと頭を撫でてくれた。
お、お前...! 意思があるのか!?
...そういえば、スタンドは意思を持つものも多くいる。ホワイト・スネイクがいい例だ。もしかしたら、原作のザ・ワールドにも意思があったのかもしれない。
ところで、近くでザ・ワールドを見てて思ったことがある。ザ・ワールドってイケメンじゃね?
冷酷な感じの見た目をしているが、うん、やはりイケメンだ。
お前に出会えて良かった。お腹ユルユル、頭もユルユルな俺に、お前はついてきてくれるのか?
教えてくれ、ザ・ワールド。お前のその固く閉じられた口じゃ、俺にはわからない。お前は、俺の事、どう思ってるんだ?
DIOの方が良かったかな。俺がお前を望んだばっかりに、お前が嫌な思いをしているなら、俺は...
俺は―――
その時、ザ・ワールドは首を横に振った。多分、それ以上何も言うな。って言ってるんだろう。ハハ、優しいんだな。
そっと、割れ物でも扱うように、またザ・ワールドが俺の頭を撫でた。優しい、どこまでも優しい手だった。
ずっと思っていたんだ。俺が死んだとき、俺の前に現れたあの存在が俺に与えたこのスタンドは、退屈してるんじゃないかって、アヌビス神より切れる剣みたいなDIOの方が、お前は好きなんじゃないか? 俺じゃあ、お前の持ち主として不適切なんじゃ...
でも、違った。ザ・ワールドは、俺の目を見て、俺に触れて、俺を認めてくれた。
俺、頑張るよ!お前にふさわしい男になれるように!
この日、俺にはじめて目標ができた。窓から顔を覗かせる月が、俺を祝福してくれた気がした。
月が輝く深夜の事だ。
それが彼の、本当の始まりだった。
彼の瞳は、月のように輝いた。
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