『世界』のヒーローアカデミア   作:ハルキゲニア

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初の別視点……!


No.7 憧憬

 僕、緑谷 出久には、2人の親友がいる。いや、いた。と言うべきだろう。

 そう、今はもう離ればなれになってしまった。

 

 いつも僕の味方でいてくれた強くて優しい人。さだくんこと、神田 定時君だ。初めてさだくんと出会ったきっかけはもう一人の親友、かっちゃんが理由だった。

 

 

 あの日も僕はかっこいいかっちゃんの後を追っかけてたと思う。そんな時、かっちゃんが僕に言った。

 

 「デク! きょうはあのすかしたやつをぶっとばしにいくぞ!」

 

 デクとは僕のことだ。そしてすかした奴って言うのはさだくんのこと。今思えば、あの出会いが僕たちの運命だったんじゃないだろうか。

 かっちゃんがいきなりさだくんの背中を蹴った時は驚いた。でも、そのすぐ後にまるで効いてないみたいにゆらりと立ち上がったさだくんにも少し恐怖を抱いたのだ。何て言うか、そう。『スゴ味』があった!

 多分、かっちゃんもそれを理解したんだろう。あの時は何時もより勢いが無かった。

 

 これが、僕たち3人の出会い。

 

 

あれからはよく3人で遊んだ。いつしか友達も増え、家でオールマイトの動画を見ながら毎日楽しい時間を過ごしていた。

 だけど、それは唐突に崩れ去った。病院で無個性と判断され、その噂が広まったからだ。いつも遊んでた友達がどこか馬鹿にするような目で見てくるようになった。

 

 

 

 でも、さだくんだけは僕を対等な存在として見てくれた。

 それが堪らなく嬉しかった。僕を何時も庇ってくれる彼を見てると、辛い毎日をなんとか過ごしていけた。かっちゃん達を宥める彼は常にビシッとしてて、本当にかっこよかった。なんだか一歩引いて僕たちと接してたのは少し寂しかったけど、それでも僕はさだくんみたいな人になりたい。

 

 

 彼から違う小学校だと聞いたときはかなりショックだった。止める人が居なくなって、かっちゃんのちょっかいは日に日に酷くなっていったけど、あの背中を思い出せば自然と我慢出来た。

 

 さだくんやオールマイトみたいな、なんにでも立ち向かっていけるヒーローになりたい。例え無個性の僕でも、夢に向かって進もう。

 

 

 

 そう、決意したんだ!

 

 

 

   ◇◆◇

 

 

 

 今日、進路のプリントを返された。かっちゃんは何時も通り自信満々に雄英を目指すと豪語していて、皆かっちゃんを見ていた。

 やっぱりかっちゃんは凄い。性格はまあ…なんとも言えないけど、才能も勇気もあって、人が自然に目を引かれるような人だ。ヒーローとして、必要な才能だと思う。でもまさか急に僕に話の矛先が向くとは思わなかった。かっちゃんが僕を無個性の癖にと馬鹿にしたら皆が僕を笑った。少し反論すれば無理矢理黙らされた。

 

 「ハァ……」

 

 その後も、僕のヒーローノートを馬鹿にして爆破したり、来世を見込んでワンチャンダイブなんてとんでもない事を言ってきた。それでもなにも言い返せなくて、そんな僕が嫌になった。

 そんなとき、後ろから不気味な声が聞こえた。

 

 

 「Mサイズの、隠れ蓑ぉ……!」

 

 それは突然と現れた。

 どろどろの体で、僕を捕まえた。

 

 「ヴィ、ヴィラン!?」

 

 「ヘヒヒ、体借りるよぉ……」

 

 「グッ……ムグゥ!?」

 

 こいつ、口の中に!?

 く、苦しい……!

 

 「ハァ、ハァ……クソォ、あのバケモンめぇ!」

 

 悔しがる声が聞こえた。

 

 「う、グウゥゥゥ…!」

 

 「無駄無駄、大人しく支配……」

 

 

 

 

 

―――SMASH!!

 

 

 その声が聞こえた時には、全てが終わっていた。気付けば誰かの腕のなかで、僕に纏わりついていた泥のようなものも吹き飛んでいた。その腕の持ち主は、そっと僕を立たせてくれた。その人を見てみると、なんと僕の憧れ、ナンバーワンヒーローのオールマイトだったのだ。

 

 「お、オオオオオールマイトォ!?」

 

 「ハッハッハ! 遅れてしまって申し訳ない! でも、もう大丈夫。何故って? 私が来た!!」

 

 

 うわぁぁ! 本物だぁ……!!

 

 「あ、あのよかったらサインを……あれ? ノートが…」

 

 「はい、落ちてたよ」

 

 「あ! ありがとうございまってもうサインが!?」

 

 す、凄い……!

 

 「それでは機会があれば、また会おう!」

 

 あ! き、聞きたいことが!

 マズイ、もう行ってしまう…!

 

 そのときの僕は、どうかしていた。咄嗟にオールマイトの足に掴まってしまったのだ。

 気付けば遥か上空にいた。僕の存在に気付いたオールマイトが、慌てて僕をビルの屋上に下ろした。

 

 「……おいおい、流石におじさん怒っちゃうぞ」

 

 「お、オール…ゼェ、マイトは、おじさんじゃ……ハァ、無いです……!」

 

 「どうして着いてきたんだ。一般市民には、越えちゃいけないラインがある」

 

 言い聞かせるようにオールマイトは僕の行動を注意する。普通なら怒鳴られても仕方ないのに、やっぱりオールマイトは優しい。

 

 「ごめっ、なさい……でも、聞きたいことが」

 

 唐突に辺り一体が蒸気に包まれる。いきなりのことで声を出せずにいると、そこにはオールマイトに似たゾンビがいた。痩せ細った体に、しなしなの髪。口の端からは赤い血が垂れている

 

 「えええぇぇぇ!? に、偽者!?」

 

 「……仕方ない。今から君に、平和の象徴の真の姿を語ろう」

 

 彼から語られた真実は、僕の常識外のことだった。

 なんとか理解出来た僕は、この秘密を語らないと固く誓った。そして、その真実を知った上で、僕はオールマイトに聞きたかった。

 

 

 「ぼ、僕みたいな人間でも、ひ、ヒーローになれますか!? 無個性で、なにも力が無くても、貴方みたいな、カッコいいヒーローに!!」

 

 ……遂に言った。僕の一番の憧れの人に。願っちゃいけない道だと知っている。それでも、聞かずにはいられなかった。

 

 「無個性、か。夢を信じることが悪いこととは口が裂けても言えないが、それでも限度というものがある。君は……ヒーローを目指すべきではないよ」

 

 

 

 

 「そう……ですか」

 

 

 

 プロで、一番で、最高のヒーローがそう言うのなら、僕はもう、この道を諦めるしか無いのだろうか。そんな人が、こんな姿になるような危険な職業だと知れただけでも、意味はあったのかもしれない。

 

 「代わりと言ってはあれだが、警察という道もある。立派に市民を守る職業だよ」

 

 オールマイトなりの慰めだろう。何時も気遣いを忘れない人だ。

 

 「ありがとう……ございます。迷惑を掛けて、本当にすみませんでした……!」

 

 

 オールマイトは去っていった。

 

 風が吹いていた。少し肌寒く感じてしまう風だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まだ緑谷視点は続きます。ちなみにこの時、主人公は自分に似合うカッコいいジョジョ立ちの練習をしていました。




……母親に見られているとも知らずに

これからもアンケート機能を使うべきでしょうか

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