Infinite・Genius 【インフィニット・ジーニアス】   作:EUDANA

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初投稿です。
一体何番煎じネタか分かりませんが…
誤字脱字やご感想も貰えると嬉しいです


プロローグ
異世界から来たヒーロー


——黒い嵐が世界に吹き荒れている。

遠くに見える意識の無い相棒、万丈龍我(ばんじょうりゅうが)に必死に手を伸ばしながら、仮面ライダービルド<桐生戦兎(きりゅうせんと)>は叫んだ

 

「万丈おおおおおおお!!!」

 

しかしその手は相棒に届く事なく、彼の意識はそのまま闇に沈んでいった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………うっ…」

 

風が吹き、草が揺れる

そんな極々自然な音を聞きながら戦兎は目を覚ました。

まず目に入ってきたのは雲ひとつない澄み渡る青空だった。

草木が生い茂る広場で倒れていた彼は、ゆっくりと立ち上がりひとしきり辺りを見回してから呟いた。

 

「スカイウォールが……ない…。」

 

スカイウォール…彼が元いた世界において存在した、日本という国を3つに分け隔てていたその壁がどこにも見当たらなかったのだ

 

「という事はここは、新世界…なのか?」

 

自分たちの本来の世界に現れた、地球外生命体エボルトが最初から存在しない世界——すなわち本来人類が送る筈だった平和な世界を創造(ビルド)する…それが彼や仲間たちそして父、葛城忍(かつらぎしのぶ)が目指した新世界だった。

今目の前に広がっているのは、まさに『最初から戦争もスカイウォールも存在しなかった』世界そのものと言えた。

 

「やったのか…」

 

深刻な顔をしながら呟く戦兎だったが突如他の誰かから声をかけられる

 

——どうやらそうみたいだね…——

 

頭に響くその声に、しかし戦兎は驚く様子もなく語り始めた

 

「ああ。 父さんが、みんなが目指した世界が実現したんだ…」

 

戦兎は話しかけてくる張本人…自分の肉体の本来の人格である <葛城巧(かつらぎたくみ)> と話していた。

精神世界の中、額縁の向こうからこちらを見ようともせずに語る葛城。

 

——けど新世界がどういうものか、君はわかっている筈だろ?——

 

 

新世界…地球外生命体エボルトが関与しない世界そのものの創造、それはすなわち今までの戦いが全てなかったことになる

 

世界の人々の記憶も、かつての仲間たちとの思い出も全て……

 

さらに言えば、桐生戦兎はエボルト自身によって創られた偽りのヒーローだった。

葛城巧という1人の天才科学者の記憶を消し、佐藤太郎(さとうたろう)という売れないバンドメンバーの顔を付けられた存在…エボルトが地球にやって来たからこそ生まれた存在だった。

この<エボルトの関与しない世界>において、桐生戦兎という存在の居場所はどこにも無い。

 

——君は新世界の創造主として、かつての世界の記憶を持っているだろう。でも、所詮君は新世界にとっては異物でしかない——

 

配慮もなく、淡々と現実を語りかける葛城

しかし戦兎は、くしゃっとした顔で笑いながら答えた。

 

「俺って人間は、この世界に居場所なんてないかもしれない…けど、俺は後悔してない。こうして平和な世界を創ることができたんだからな」

 

確かに世界から外れた存在になった…誰からも記憶されなくなったかもしれない、それを寂しくないと言えば嘘になる。

しかしそれは正真正銘、心からの言葉だった

 

「とにかく、どこか人がいそうなところに行くか…俺たちが創った世界を見てみたいしな!」

 

そういうと戦兎は遠くに見える建物の方へと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ………最っ悪だ…」

 

辺りはすっかり暗くなり、見上げれば星々が輝き星座を描き出している…そんな夜空の下、戦兎は公園のベンチに腰をかけながら溜息をつきながら呟いた。

 

それは自分の存在が無かった事にでも、ましてや仲間に覚えてもらえていなかった事にでも無かった。

 

「結論から言って、この世界は新世界じゃない…」

 

どこか暗い顔をしながら、戦兎は心の中でその事実を認めるしかなかった。

 

——どうしてそうだと?——

 

珍しく葛城が額縁からこちらに顔だけを向けながら聞いてくる。

 

「お前ねぇ、俺がさっきまでずーっと色々歩いたり見たりしてたのに、全部スルーしてたのかよ…どれだけ興味ないんだよ」

 

もう1人の人格に呆れながら悪態をつく戦兎

 

——それはいいから…で、どうしてそう思うんだい?——

 

催促してくる葛城に先程と同じ様に溜息をついてから、自分達の本来の想定を話した。

 

「いいか、本来新世界は『エボルトが存在せず、地球にやってこなかった世界』を作り出すのが目的だった。そしてそこに広がるのは、その分岐点になった10年前の世界なんだ」

 

戦兎はベンチから立ち、近くの噴水まで歩いてその中を覗き込む。

水面に反射し、そこに映っていたのは確かに戦兎…ではあるが、かつてと比べてどこか若々しさが感じられた。

 

「だから最初この姿を見ても、例え異物みたいなものでも少なからず新世界の影響を受けたんだろうって思っただけに止まったんだ…いやまぁ、結構興奮して調べようとして周りの人に白い目で見られたけどさ」

 

そこまで言って戦兎は噴水の縁に座り、本題…すなわち本来の想定とかけ離れた現実を語り始めた。

 

「エボルトが宇宙飛行士の石動惣一(いするぎそういち)に憑依して地球に来て、パンドラボックスを使ってスカイウォールを形成したのが俺たちの世界から見て10年前…つまり多少の誤差はあっても、新世界はかつての世界の10年前までとは同じ歴史を歩んでいないとおかしいんだ。けど…」

 

そう言って戦兎は自分の携帯<ビルドフォン>を取り出してとあるページを広げる。

それは現在の日本における国会議員の一覧だった

 

「当時既に議員だった筈の氷室(ひむろ)首相、御堂(みどう)首相や多治見(たじみ)首相…それにげんさんの名前がどこにも載っていない」

 

かつての仲間の1人、仮面ライダーローグ<氷室幻徳(ひむろげんとく)>を始めとした人物の顔を思い出しながらそう話した。

 

——氷室さんも…?——

 

そう言った葛城に頷きながら、さらにページを変えながら話していく

 

「それだけじゃない、宇宙飛行士の石動惣一という人物は居なかったし難波重工(なんばじゅうこう)なんて企業も存在しなかった、それに…」

 

さらに暗い雰囲気を出してから戦兎は続けた

 

「葛城忍なんて科学者も……父さんも居なかった」

 

——…………——

 

無言になる葛城を尻目に戦兎は携帯をさらに操作する。

 

「それからもう1つ」

 

そう言いながら戦兎は携帯の操作を終える。

そこに映っていたのは彼らの世界で造られた人型兵器ガーディアンとも仮面ライダーとも似ても似つかないパワードスーツの様なものだった

 

IS(アイエス)…正式名は『インフィニット・ストラトス』。どういう訳かは知らないけど女性にしか動かすことができない、この世界で10年前に誕生した兵器だ。」

 

戦兎は図書館や電化店など街のいたるところで情報収集をしていたが、その中でも『IS』はこの世界において知らぬものはいない常識であった

さらに女性にしか動かせないため、この世界では女尊男卑が普通になっているのだ。

 

その言葉に反応して葛城は思わず聞いた

 

——インフィニット・ストラトス?なんだいそれ?……聞いたことがないけど——

 

「ああ、エボルトが来た時期と重なるんなら俺もあいつによって消された兵器なんだろうって思えた。けどさっきも言った通りこの世界が本来の新世界なら、このISが生まれたのは俺達の世界から見て20年前になるんだ。

20年前となるとエボルトが無人探査機に自身の細胞を載せて、万丈と1つになって数年経過した段階、エボルト自身は手出しできなかった筈だ。それにその時点で万丈をなんらかの方法で操るなり出来たとしても、3歳の子供に兵器をどうこうできるはずがない」

 

ひとしきり述べた戦兎は更なる矛盾を口にした

 

「そして最後、何より1番の問題が…今のこの世界の西暦は2022年……つまり10年前どころか4年先の未来なんだ。」

 

そう言う戦兎の携帯のカレンダーには、確かに2022年と表示されていた

 

——…そうだとしたら、この世界は異なる世界なんだろう…おそらくエボルトと決着をつけたのが世界同士の狭間、なんて不安定な場所だったからあの空間の消滅の際に新世界ではないこの世界に漂流してしまった…て所だろうね——

「一応、最上魁星(もがみかいせい)のエニグマって前例もあるしな……ハァ」

 

かつて自分達の世界と仮面ライダーエグゼイド達がいる異なる世界を『平行世界合体装置・エニグマ』によって繋げ、その世界にいるもう1人の自分と融合を果たし不老不死になろうとした男を思い出しながら、戦兎はやがて降ってきそうな満天の星空を見上げてまた溜息をついた。

 

かつてエニグマを一時的に操作したこともあったため、あらかたな造り方は把握できている。だが、エニグマの製造にはネビュラバグスターという新型ウイルスが必要になる。ネビュラバグスターはスカイウォール付近から漏れ出すネビュラガスからのみ確認されたウイルスであったため、今戦兎が所持しているガジェットから採取は出来ないのだ。

そもそもネビュラバグスターは危険なウイルスなのでそう安易に使うこともできないのだが…

 

「ここがエグゼイド達の世界なら代わりになるものをなんとか創る事も出来たんだろうけどなぁ…生憎、万丈から聞いてたエグゼイドが働いてる病院も無かったし……この世界ともまた違うんだろうな」

 

戦兎は噴水の縁に寝転がって、うつ伏せになりながらさらに呟く

 

「それに、万丈もどうなったか分からない……仮にエニグマが本来の用途である平行世界移動装置として完成したとしても、戻った先の新世界にいるのか、俺と同じようにこの世界に流れ着いてるのか、あるいは……」

 

そう言って戦兎は最悪のパターンを想像し…その不安を拭うように、首を振りながら勢いよく立った

 

「ダァメだダメだ、そんなケース考えててもしょうがない。あいつの事だからそう簡単にくたばる筈ないだろうしな!」

 

戦兎は一度大きく伸びをしてから、今後どうするかを考え始めた

新世界に渡る方法、その装置等を創るための資材調達、この世界に万丈がいるか探す方法…

だが今一番深刻な問題は

 

「とりあえずまずは金銭面をどうするかだな…持ってる金もドルクだけだし、この世界で使える筈ないしな…働こうにも今の俺、若返って未成年だしな…手近なところでアルバイトでも探すか。日給とか賄い付きの」

 

そもそも身分証も持っていない状態では仕事以前の問題だがそこは経験者、かつてと同じように記憶喪失で押し通すつもりだった。

しかし夜も遅いので今日はどこかで野宿するしかない、と判断して人があまりいない場所へと移動しようと思い公園の出口へと歩き始めた…が、

 

 

「うわあああああああああ!!」

 

 

後方から聞こえて来た悲鳴に、戦兎はすぐさま振り返った。

 

「な、なんだ…?」

 

首を傾げながらも、胸騒ぎを覚えた戦兎はその方向へと走り出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悲鳴をあげた青年は、後ろから歩いて追ってくる『異形』から必死に逃げようとする。だが恐怖から思うように脚が動かず、何度も転倒してしまう。

 

『………!』

 

異形はその場で人一人分は優に超える高さでジャンプし、青年の前へと降り立った。

常識を超えたその光景に完全に腰を抜かしてしまった彼は、尻餅をついたまま手足を動かし後ろに逃げようとする。

 

そんな光景を目撃した戦兎は彼と同じように…あるいはそれ以上に驚愕していた

 

「あれは…まさか…!?」

 

青いボディに大きな両腕、そしてメカニカルな見た目

見間違えるはずがない。幾度となく見て来た、しかし新世界においてもこの世界においても存在しない筈の…存在してはいけないその異形を前に、戦兎は動揺する。

 

「スマッシュ…!!」

 

かつてファウストやエボルトによって生み出された、人間にネビュラガスを注入した結果誕生するその怪物が、確かに目の前にいた

初めて万丈と出会った時、彼を消すためにファウストによって放たれたストロングスマッシュだ

 

(どういう事だ…!?なんでスマッシュが……いや、今は!)

 

心の中で思考を巡らせながらも、戦兎は手に持ったガジェットを腰に押し付ける

自動的にベルトが巻かれ、ハンドルの様なものが付いたソレ…<ビルドドライバー>を装着してから、さらに2つの小さなものを取り出し素早く縦に振り始めた

 

カチャカチャカチャカチャと音を立てて<フルボトル>を振る戦兎、その周りには幾多もの数式が飛び交い始める。

そして2つのフルボトルのフタを同時に回し、ビルドドライバーへと交互に装填した

 

 

【ラビット!】 【タンク!】

R/T

 

【ベストマッチ!】

 

音声を聞くと同時に素早く右手でハンドルを回し始める

機械で物を製造するような音を放ちながら、ビルドドライバーからスーツを生成する高速ファクトリー、スナップライドビルダーが展開し、戦兎を挟むように前後に赤と青の装甲を形取っていく

回し終わると同時に前後の装甲が完成した。

 

【 Are you ready ? 】

 

「変身!」

 

ベルトから流れる音声に答えるように叫ぶと、前後の装甲が戦兎を挟むように迫っていく。そして装着が完了、煙を放ちながら『赤と青の異形』が姿を見せた

 

【鋼のムーンサルト! ラビットタンク!】

【イエーイ!】

 

仮面ライダービルド・ラビットタンクフォーム、ビルドのベストマッチの1つにして初期フォームの姿だ

そのままビルドはスマッシュへと走り出した。

 

 

 

 

大きな拳を青年目掛けて振り下ろそうとするスマッシュ、しかしその拳が振り下ろされる事はなく突如現れたもう1体の異形のキックによって大きく吹き飛ばされた

 

『……!!』

 

「は…?え……?」

 

驚く青年の目の前には先程の異形とはまた違う異形が立っていた

その異形…仮面ライダービルドはウサギを思わせる左脚で地面を強く蹴り、吹き飛んだスマッシュの元へと跳躍した

 

「なんなんだよ今の……いや早く逃げないと!」

目の前で繰り広げられる常識を疑う光景の数々を前に、青年は思い出したかのように逃げ始める。それと同時に慌てて携帯を取り出し……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人気のない広い駐車場まで数十メートル程飛ばされ、体勢を崩したスマッシュは起き上がりながらこちらに向かってくるビルドに対し、威嚇をするような動作を見せ拳を大きく振って近くに止まっていた自動車を殴り飛ばした

バアァン!と大きな音を立て車が横に滑るようにビルド目掛けて突っ込んでくる

 

「よっと!」

 

迫り来る車をジャンプして躱しスマッシュ目掛けて降下、その頭を踏み台にして二、三メートルほど後ろに着地する

対象を失った車は近くの木に大きな音を立ててぶつかり、直後爆発した

 

『!!』

 

前のめりになりながら倒れたスマッシュ目掛けて走りながら、ビルドはベルトから自身の武器<ドリルクラッシャー>を取り出し、その背中を連続で斬りつけた

 

「ハァッ!」

 

スマッシュは何発か攻撃を受けてから、振り返りつつ大きな両腕でガードし攻撃を防いだ。

そして攻撃が途切れた僅かな隙をつき腕を大きく振ってパンチを放とうとする

しかしビルドは小さくジャンプし、迫り来る巨大な拳を再び踏み台にしてさらに跳躍、バランスを崩したスマッシュの後ろに回り込みながらドリルを真っ直ぐに突き立て無防備な胴体を貫くように攻撃し、無理矢理吹き飛ばし後退させた。

 

『!!!』

 

「今更普通のスマッシュに負ける訳ないだろ!」

 

後退した勢いで姿勢を崩したスマッシュに追い討ちをかけるようにビルドはドリルクラッシャーのドリル部分を取り外して逆に取り付けることでブレードモードからガンモードに変形させ、そのまま無防備になったボディに銃弾を打ち込んでいく

 

『…!!』

 

連続で攻撃を受け、背中から倒れダウンするスマッシュ

起き上がろうとするも蓄積したダメージからかすぐには起きることができない様子だった

 

「勝利の法則は…決まった!」

 

ビルドは右眼の戦車の砲身を思わせるアンテナをなぞり、そのまま手を開いた…彼なりの『正義のヒーロー・仮面ライダー』の決めポーズだ。

すかさず右手でハンドルを回し始める

 

【 Ready Go ! 】

 

音声が鳴ると同時にビルドは右脚で強く地面を踏み抜いた

すると硬いアスファルトの地面に穴を開けながら地中深くへと掘り進んで行った

ビルドが地中へと姿を消した頃にスマッシュはどうにかといった様子で立ち上がった

辺りを警戒するスマッシュだったが、突如左右に白い巨大な方程式グラフが形成された

スマッシュは両サイドから迫り来るその方程式のx軸部分によって拘束される

拘束完了と同時にビルドは先程潜った場所から地面を隆起させながらグラフの頂点まで上昇してきた

 

【 ボルテックフィニッシュ! 】

 

緩やかなカーブによって描かれた放物線のグラフはスマッシュを通り過ぎるように形成されていた。

飛び蹴りを放ったビルドはその放物線に乗り、そのグラフの上を滑るように移動、頂点から少し降った先にある点mを通過した時点でさらにスピードと威力を増してスマッシュへと突っ込んで行く

右足に付いているキャタピラがスマッシュに当たり、ガリガリと音を立てながら抉るようにダメージを与えてる

そしてビルドが貫通して行くと同時に、スマッシュの身体は緑の爆炎の中に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほいっ、と…」

 

戦兎は懐から取り出した成分の入っていないボトル、エンプティボトルを倒れたスマッシュへと向け成分を採取した…だが、

 

「ん…アレ?」

 

成分を採取されたスマッシュはそのまま粒子に囲まれて消滅してしまった。

 

本来スマッシュは人間がネビュラガスの影響で変化した姿だ。その為通常のスマッシュから成分を採取した場合、被害者自身が元の姿に戻る形で現れるはずなのだ

しかし今のスマッシュには被害者の姿は影も形もなかった。

かつて消滅してしまった万丈の恋人、小倉香澄(おぐらかすみ)も遺体こそ消えてしまったものの一度は元の姿に戻ったのだから尚更である。

…もっとも、エボルトが内海成彰(うつみなりあき)<仮面ライダーマッドローグ>らに造らせた人間を必要としないクローンスマッシュという例もあるのだが

 

「どういう事だ…?今のは普通のスマッシュだっただろ……威力が強過ぎて元に戻る暇もなく…いやそんなはずは」

 

困惑する戦兎は手に持っていた成分を採取したボトルを見てさらに困惑する

 

「え、フルボトルになってる!?」

 

見ればボトルの形状は戦兎が使っているフルボトルと似た状態だった

フルボトルも本来なら採取をした段階では全体的に丸みを帯び棘が描かれたスマッシュボトルになっており、専用の装置そして石動美空(いするぎみそら)の力…すなわち火星の王妃ベルナージュの力によって浄化しなければ、使うことはおろか開けるだけでスマッシュの成分が解放されてしまう。

しかし今手に持っているボトルは紛れもなく浄化後のフルボトルの1つ、ゴリラフルボトルだった

 

「何故かこの異なる世界に存在しているスマッシュ、浄化する事なくフルボトルになる成分、しかも実験にされた人は誰もいない……一体どうなってんだ?」

 

頭の中に多くの疑問が浮かぶ。

いくら天才でもこうまで立て続けに異変が起こっては対処しきれなかった。

 

しかし、そんなビルドの思考は徐々に聞こえてきた大量のサイレン音によって打ち消された

見れば遠くから警察車両らしき車が何台もこちらへと向かって来ていた。

 

「やっべ、警察来ちゃった?」

 

そう言ってさっさと逃げようとするビルドだったが、上空からこちらへと接近している何かを見てつい足を止めてしまう。

ヘリコプターや戦闘機よりも静かに、しかしそれらを上回る速度でビルドの数十メートルほど前方に5機のパワードスーツが舞い降りて来た

暗いためよく視認できないが黒に近い機体色、かつて共闘した仮面ライダー鎧武(ガイム)と同じく武者鎧を思わせるシルエット、そして動かしているのはいずれも女性ばかり…

 

「おぉ!?アレが噂の…!」

 

ビルドは思わず食い入るように前方のパワードスーツに注目した。

 

 

<インフィニット・ストラトス>…この世界を変えた、最強の最新鋭兵器

目の前にいるのはおそらく日本純国産の第2世代型ISの打鉄(うちがね)、近距離遠距離を満遍なくこなし拡張性にも優れて初心者にも扱いやすくISを学ぶ学園にも多数配備されている名機だ。

 

数時間ほど前に知識にインプットした詳細な情報を頭の中で巡らせ、傍目から見ても不気味なほど興奮するビルドだったが…

 

「…ん?てかスマッシュはもう倒したよな…?それにいくらスマッシュが元々の兵器じゃ対抗できないからって、ISがそんなすぐに出撃出来るのか?」

 

やけに早い対応に首を傾げつつ様子を見ていたが、目の前の彼女たちはこちらのそんな態度など知ったことではないとばかりに、なにやら通信していた。

ひとしきり通信した後、5機の打鉄が持っていたアサルトライフルの焔備(ほむらび)を一斉に構えた…寸分たがわず、こちらに向けて

 

「………………え?」

 

彼は、桐生戦兎は忘れていた…かつての世界において仮面ライダーは、正義のヒーローだった

だがこの世界において仮面ライダーは、スマッシュと大差無い未確認生物でしか無いことを…

 

アサルトライフルが一斉に火を噴き、ビルド目掛けて弾丸が迫り来る

 

「嘘でしょ?嘘でしょ!?うっそでしよおおお!!??」

 

叫びながらビルドは回れ右して全速力で駆け抜けた

自分の足元やすぐ横を弾丸が通っていく

その時、後方で何かが発射される音が聞こえた。

頭だけを後ろに向けて見るとそこには今まさに自身へと迫り来る小型ロケット弾の姿が…

 

「あっぶねぇ!」

 

目の前の停車されていた青い車を飛び越え逃げようとするビルドだったが、ロケット弾は車に命中、先程スマッシュが殴り飛ばした車とは比較にならない大爆発を起こした。

 

「うわああああああああ!!!」

 

その爆発に巻き込まれたビルドは、大きく吹き飛ばされたのだった…。




第1話で早速爆発オチ
終盤までIS全く出番がなかったので気づいたらこうなった。
申し訳ありませんが入学まで後1、2話ほど挟みます。
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