Infinite・Genius 【インフィニット・ジーニアス】   作:EUDANA

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※長めなので注意※
前回、深夜のテンションで書いてたせいで至る所がガバガバに…特にエグゼイドのボトル関連
なのでエグゼイドのボトルの件は今後の展開によっては「究極の歴史改変ビーム」で入手の設定を変更します。
それ以外に関しても何とか後付け説明とかで補間していこうかと…
今回も夜中に書いてたんで誤字脱字ガバがあるかもしれないです。
今後もガバが出るかもしれないですが大目にみてください、何でもしますから!


今回は進むと見せかけてあんまり進まないです。短めの戦闘はありますけど。
後、こんな展開望んでなかったって声もあるかもしれませんのでご注意を…

なので初投稿です。


二度目のハイスクール

このISの世界で、市民の人々は突如現れたスマッシュの恐怖に脅かされていた。

しかし!そこに現れたのは我らがヒーロー、仮面ライダーだった!!

仮面ライダービルドに変身するてぇんさい物理学者の桐生戦兎は、その持ち前の天っ才的な頭脳による天っ才的な発想と、天っ才的なセンスで見事にスマッシュを撃破するのでありました!

いやでも前回はホントに大変だった…

下水道から様子見るためにマンホールから顔覗かせたら丁度来た通行人に顔蹴られるわ、パソコン弄ってたら一度エラーして爆発するわ、スマッシュを誘導してたけど近くに良さそうな場所無かったから仕方なくモノレールの柱の上をバイクで疾走する羽目になったわ。

ホントにもう散々で……え、何?そんなシーン見たことない…?細かいことは良いでしょもう!

かと思えば?逃げ込んだIS学園で隠れたら世界最強のIS操縦者である織斑千冬に見つかりかけるし…

そして何より……俺、IS起動しちゃいました!

26年目の真実、『桐生戦兎、女の子だったってよ』…いやそんな訳ねぇだろ!

しかもそのせいで結局見つかっちゃったし……俺、この世界に来てから最大のピンチ!

 

どうなる!?第3話!!

 

———————————————————

 

カチン…

金属がぶつかる音がこの部屋、IS学園の応接室に響き渡る

IS学園の教師、織斑千冬は目の前で音を立てながら自身に付けられた手錠を引っ張ったりしている不審者、桐生戦兎に対し鋭い眼で睨んでいた。

 

学園付近にて例の未確認生命体が出没し、もしもの時に備えて解放していた倉庫にこの男は無断侵入していた。それだけで本来ならば刑事沙汰なのだ、早々に警察に連絡して引き渡すのが当然……

だが、そうもいかない事情が出来てしまっていた。

 

…彼は『男性でありながらISの起動に成功した』のだ。

 

それは本来ならば絶対に不可能な事だ。

そもそもISは女性しか起動、操縦が出来ない…それは製作した篠ノ之束ですら原因不明としていた。

…本当にそうなのかは置いておくとしてだが。

ISは既存の如何なる兵器も圧倒的に上回り、男女間で戦争でも行おうものなら3日と持たずに女性が勝利するとも言われている。故にこの世界では女尊男卑が蔓延していた。

しかしそれも先日までの話、前例が出来てしまっていた。

 

織斑一夏…彼女の弟でもあるその少年が、入学試験において起動してしまっていたのだ。

 

前例の存在、そして何より証人が他でもない自分自身。

その為、渋々彼の面接という名の事情聴取を取ることになった…のだが……

 

ハァと小さくため息をついて、千冬は彼が書いた書類に目を通した。

 

『名前 桐生戦兎 男

年齢 おそらく16

住所 不明

経歴 たぶん物理学者(飛び級) 』

 

…たったこれだけしか書いていなかった。おまけに身分証も未所持、本人の口から直接聴くほかなかった。

 

そんな戦兎の太々しいとも飄々としたとも言える態度に、千冬は僅かに苛立ちを感じさせながら聴取を始める。

 

「早速だが……先程書いてもらった書類に目を通させてもらったが、貴様我々を馬鹿にでもしているのか?」

「イヤイヤイヤ、そんな訳ないじゃないですか!ブリュンヒルデ相手にそんなこと出来るほど俺大物じゃないですって!」

 

必死に首を振って否定する戦兎の言葉を千冬は一蹴する。

 

「元、だ。では逆に聞くが…これはどういうつもりだ?名前以外に確定している箇所が何1つとしてないが。」

 

書類を机の上に軽く叩きつけるようにして戦兎自身にも見えるようにする。

すると戦兎は困ったように笑いながら返す。

 

「それが、記憶喪失ってやつでして。」

 

その言葉に一瞬目を見開くがすぐさま元の調子に戻して再び問い詰める。

 

「くだらん…そんなものは口だけでもなんとでも言えるだろう。」

「いやまあそりゃそうですけど…。」

 

肩をすくめる戦兎に対し、千冬は他の所からも切り込んでいく。

 

「年齢はともかく、何故自分が物理学者だと言える?記憶喪失なんだろ?」

「あー…俺調べてみたんですけどね、記憶喪失って言っても全てを忘れてしまうパターンしか無い訳じゃないみたいなんですよね。実際、過去に『自分が一体誰かは分からないけど基本的な知識は欠落していない。』って例があるんですよ。

そう言うのって自身に何か嫌なことが起こって、それを守るために無意識の内に記憶を封じてしまうって言う現実逃避…つまり一種の自己防衛らしいんですよね、なんで俺もそのパターンかなーって…それにこのパターンって割と結構あっさり、ふとした拍子に記憶が戻るって場合があるんですよね。

で、物理学者の理由ですけど…色々試してみたんですけど、やっぱり俺どうも天才みたいなんですよねー。なんでこの時点で高学歴なのは疑いようもないわけで…

しかも目が覚めた時に持ってたのが物理に関する資料だったんですよ。だからこれはもう物理を習っていた天っ才か、或いは飛び級で物理学者になったとしか思えないんですよ。」

 

ひとしきり長い持論を語った戦兎に疑いの目を向けていた千冬は、目を閉じて溜息をついてから別の質問をした。

 

「ではこの学園に侵入した理由は?何故男が入ってくるだけでも問題になるこの場所にわざわざ危険を冒してまで来た?実際、今拘束されている訳だが。」

 

その質問…本来ならば最初にされるはずであろうその質問に対し、戦兎は面目なさそうに言う。

 

「だってほら、あの時近くにス…そう、未確認生命体。あいつらが出没してたじゃないですか。だからどこか隠れられそうな所ないかなーって。」

「………本当にそれだけか?」

 

目を開けると同時に、射抜くような視線を戦兎に向ける千冬。その様子に戦兎は驚いて少し身を引いて、改めて観念したように薄く笑っている。

 

「……まあ、それだけじゃないですね。確かに俺は別の目的でこの学園に侵入しました。…勿論今のも理由ではあるんですけど、これと比べれば建前だ。」

「目的だと…?」

 

そんな戦兎の言葉に警戒を強め、僅かに身構える千冬。

この男が危険な思考或いは目的を持っているのなら、これ以上この学園に置いておくわけには行かない…

 

「実は俺……………前からISに興味あって触ってみたかったんですよお!ホラカッコイイし、既存の科学をはるかに超越したそのシステム、装甲…全てが興味深い!!バラして一から調べたい!」

 

…思わず倒れそうになる衝動を抑え、千冬は手を額に当て呆れながら話した。

 

「…そのために侵入したのか?避難はともかく、たったそれだけの理由でか?確かに最先端技術の兵器ではあるが…」

「たったとは何ですか、たったとは!良いですか、まずあのISはさっきも言った通り既存の科学を超越していますけどそれらは全て………………あの箇所なんて…………それでいて今までの計算式には全く当てはまらなくて…………しかも自己進化システムなんて……………大体そもそも製作者である篠ノ之束博士自身の思惑さえ超えている所なんて………………」

 

いきなりベラベラと早口で話し始めたかと思えば自分の書いた書類の裏面に、手錠をされたまま何やら式をびっしりと器用に書き始めていた。

当然、千冬も教師を務めているのだから決して頭が悪いわけではない。だがそこには何やら得体の知れない文字や数字、記号が書き殴られていた。

 

「…オイ、誰がISの話をしろと言った。」

「なんでこの方程式を当てはめて………あ、何か言いました?」

 

目をキョトンとして、まるで今気付いた様な声を上げている戦兎に対し、千冬は天災と称される友人を思い出しながらさらに苛立ちを増し始めた。

 

(考えはまだ分からない以上ともかく、こういう科学にのめり込んでいるのはアイツと同じなんじゃないか…?)

 

頭を抑えながらそう考えると千冬は話題を変えようと、目線を戦兎から書類とは別に机の上に置いてある物へと向けた。

並べられた様々なものを見ながら問いただした。

 

「まあいい…で、これは何だ?一昔前に流行っていた男児向けの玩具の様だが…。」

 

机の上のソレ… ビルドドライバーとフルボトルを見ながら聞いた。

昨日の時点で解析に回していたものの、『パーツなどは貴重かつ強度の高いもので出来ている事は判明したが、中心の核となる部分は厳重にロックされていて解析不能』との事だった。

しかし見た限りでは良くて発電機か何か、最悪玩具としか思えない奇妙な形状をしていた。

 

「玩具って…俺の大事な道具ですけど!?」

 

心外とでも言いたげな表情をして戦兎は食ってかかる。

そんな戦兎に対し、千冬は目を僅かに光らせて聞く。

 

「ほう?大事な道具か。となると、これが一体何なのかは分かっていると?」

「えっ…あ、いやそれはですね……」

 

あからさまに狼狽する戦兎を追い詰めようとさらに質問を続けようとする千冬。

しかし同じタイミングで、応接室の扉がノックされる。

 

「織斑先生、少しよろしいですか?」

「……分かりました、すぐ行きます。…しばらく席を離すが、妙な真似はするなよ。」

 

そう言いながら千冬は部屋を後にした。

 

 

 

 

——良いのかい?自分が違う世界からやってきたって言わなくて。——

「言えるわけないだろ、大体言ってどうなる…」

 

葛城の言葉に、戦兎は深刻な顔をして返答した。

異なる世界でライダーシステムを公にする事を含めて危惧して、その件に関しては一切話していなかった。

この場は兎に角、早めに切り上げてもらってさっさと解放してもらうことが先決だった。

 

戦兎はチラッと時計を目視した。時刻は20:00を回っていた。

昨日拘束されて既に丸一日経とうといていた。いつまたスマッシュが出現してもおかしく無い…そんな焦りを覚えつつ、戦兎は状況を軽く分析する。

 

「学園はあらゆる国家や機関に属さず、国家や組織であろうと学園に対して一切の干渉が許されてない…となれば、解析されたビルドドライバーのデータも、そんなにあっさり第三者に渡されることもないだろ。

こんなに早く聴取が始まったのも、さっさと出て行って欲しいのもあるんだろうが、このドライバーのデータが解析できなかったのもあるんだろ。出来てたらもう少し時間がかかってただろうし…

昨日のうちにパソコンでデータのブロックを強化して正解だったな。…けど問題はフルボトルか……」

 

戦兎は机の上のフルボトルを見た。

置いてあるのはラビットとタンクのフルボトル……それ以外は解析されているのだろうか、置かれていなかった。

おそらくドライバーの解析が先に終わったのでフルボトルは後回しに、或いは聴取と並行して行われている…と言った所だろう。

 

(フルボトルの中身は地球上にはない物質で出来てる…得体の知れないものだし、慎重に扱うだろうからフルボトル内の成分が活性化する事はないだろう……後はその辺を気付かれずにスルーされることを祈るだけか…。)

 

そう思った戦兎は今後を考えた。

おそらくこの聴取が終わったら即解放…とは行かないだろう。警察、或いは施設に送られるのは想像に難く無い。

…逃走しても良いと言えば良いのだが。

 

——学園に打ち明ければ良いんじゃないか?自分がビルドだって。——

 

不意に葛城が発した一言を、戦兎は首を振りながら却下する。

 

「だめだ、打ち明ければ引き渡し時に警察や政府に伝えられる…そうなればビルドのデータが漏れる。

けど、八方塞がりと言っても良いのも事実だ。ビルド…ライダーシステムのデータを守り、国に属さず、かつ自由に動ける……どうするか。」

 

顔の中心を手錠されたままの両手で覆って考え込む戦兎。

するとその瞬間、応接室の扉が開き先程出て行った千冬が戻ってきた……先程まで以上に、これ以上なく不機嫌な様子で。

 

 

 

 

 

そして戦兎は、先程の葛城への言葉を自ら撤回することとなった…。

 

 

 

 

 

「学園の上層部からの連絡で処遇が決まったが……桐生戦兎、お前をこの学園で保護、ならびに入学させることとなった。」

 

「……は?……………はああああああぁ!?」

 

驚愕どころではない。

自分の年齢もあって学園に入学させられるなどと言う選択肢は一切考えていなかった。

まずどこかへ送られる、良くてそのまま解放されることを前提に考えていた戦兎は天才的なその頭をフリーズさせ、すぐさま考え込む。

 

(は?え?なんで!?入学って、俺中身26よ!?ダメでしょ!いや、知らないだろうけどさ!てかホントにどういう事だよ!?)

 

「いやいやいや!いいでしょ!?要らないでしょ!もう男の操縦者1人いるんでしょ!?」

 

思わず叫ばずにはいられなかった。

そんな戦兎の様子を見て千冬は腕を組んだまま話す。

 

「学園の意向としては、やはり2人目の男性操縦者も決して見逃すことができないレアなケースだ。年齢も問題ない、記憶がない上当てもない、故の処置だ……私としても不服だがな。」

 

不服という部分を強調するように強く言う千冬。

戦兎は自らを落ち着かせるために頭の中で方程式や計算式を巡らせる。

 

「…まあ、それは分かるとして……俺どこで過ごすんです?家でも用意してくれるんですか?」

「いや、学園の寮で生活してもらうことになるだろうな。何せ世界で2人しかいない男性操縦者なんだ、世界中で目を付けられ、何をされるかわからん………誘拐などな。」

 

それを聞いた戦兎は考え込む。

 

(別に必要ねえんだけど…でもこれ割と結構良いんじゃないか?住む場所は用意してもらえるし、保護ってことだし資金もなんとかしてもらえるかもしてない…ビルドで戦ってても、まさか学園に居るとは思われないだろうし、最悪学園に避難してしまえば国にも属さない関係で踏み込まれることもないんじゃないか?そこは分かんねぇけど…)

 

中々の好条件に驚いたが、しかし戦兎はそこで1つの気になることができた。

それも非常に重要な

 

「夜間に外って出れます?てか授業中に早退とかは?」

 

仮面ライダービルドとしてどうしても必要な事だった。

しかし…

 

「出れるわけがないだろうが。只でさえ不審者だと言うのに、それを抜いても許可できん。」

 

そんな千冬の発言を聞いて戦兎は叫ぶ。

 

「ええ、そんな!?」

「何だ、やはりやましい事でもあるのか。」

 

(どうする…どうする!?割と結構良い条件じゃねぇかって思ったけど、外出禁止となると別だ!スマッシュが出て来るのは夜だけとは限らねえけど、少なくともこの世界に来てからは夜間ばっかりだし、緊急の時でも直ぐに駆け付けれるようにしておきたかったんだけどなぁ…)

 

そこまで考えて戦兎は拒否しようとしたが…

 

「すいません、やっぱなしって事d」

「拒否は認められん。どうしてもと言うなら、その場合警察に突き出すしかないとの事だ。」

「………うそーん」

 

………腹をくくるしか無いようだ。

 

戦兎は長考の末、大きなため息をついて手錠を掛けられた両手を差し出す。

 

「あの…ちょっとこれ外してもらって良いですかね?」

「何を言ってる、貴様は今拘束されてるんだぞ。」

 

相変わらずの鋭い視線を前に戦兎も引かずに答える。

 

「……ホントは嫌なんですけど…見せますよ、見せますとも!

何故夜間や早退してまでに外に出たいのか、何故自分についてあんまり語りたく無いのか、何故さっきの道具を大事にしてるのか!

なので外してください。」

 

その言葉に千冬は少しばかり考え…やがて仕方なくと言った様子で鍵で手錠を外した。

 

「下手な真似はするなよ。」

「わーかってますって!…あ、ちょっと机とか退けますね。後もう少し下がっててもらえると…」

 

解放された戦兎はそのまま机や椅子を部屋の隅に移動させ始める。

何をするのか皆目見当がつかない千冬は、とりあえず警戒しつつも部屋の隅の扉の前に移動した。

 

「…ハァ……最っ悪だ…。」

 

そう呟きながら戦兎は机の上に置いてあるビルドドライバー、そしてラビット、タンクフルボトルを手に取る。

そのままビルドドライバーを腰に当てると、黄色のベルトが自動装着される。

 

カチャカチャ…

 

そんな音を立ててフルボトルをしばらく振った戦兎は蓋を回し、二本のフルボトルをドライバーに装填した。

 

【ラビット!】 【タンク!】

R/T

 

【ベストマッチ!】

 

そんな音声が鳴った後、待機音が流れ始める。

戦兎はもう一度大きくため息をついてからドライバーのハンドルを回し始める。

機械で物を製造するような音を放ちながら、スナップライドビルダーが展開、戦兎の前後に赤と青の装甲が展開される。

目を丸くして見ている千冬の尻目に、戦兎はハンドルを回し終える。

 

 

【 Are you ready ? 】

 

「……変身」

 

装甲が戦兎を挟むように装着、煙と共に1人の異形が姿を現わす。

 

 

【鋼のムーンサルト! ラビットタンク!】

【イエーイ!】

 

両手を左から右へ、右手の親指を立てて人差し指、中指は伸ばす。

そして身体を少し反らして左手を腰に、右手は頭に当ててからフレミングの法則をしながら顔と同じ高さで固定する。

これもまた、【正義のヒーロー・仮面ライダービルド】としての決めポーズだ。

 

そんなポーズは無視して、その姿を見た千冬は呟いた。

 

「未確認生命体……2号か!」

「2号?…まあ似た様なものだし、しょうがないか。あでも俺厳密にはスマッシュとは別の存在ですからね?これはライダーシステムって言いまして、奴らと同じ力で戦ってる人類防衛システムて感じでして…」

 

否定する様に顔の前で手を振って詳細を語るビルド。

 

しかし、そこまで言ってしまったと後悔した…が、既に遅く……

 

「なるほど……スマッシュと言うのか奴らは。それに同じ力、つまり類似点があると。

なんだ、記憶喪失という割にはよく知っているじゃないか。これはもう少し事情が聴けそうだな…」

 

ゴゴゴゴ…なんて音が聞こえそうな悪い笑みを浮かべる千冬の姿がそこにはあった。

ビルドは思わず一方後退りして、逃げることも考えたが扉を塞がれているうえ想像以上の威圧感によってそれをすぐさま却下した。

 

 

「俺ってもしかして……バカ?」

 

ピンポーン!なんて音が聞こえた気がした。

 

そして戦兎はこの丸一日の問答が、自身の身の上を喋らない様に気をつけた行為が全て無駄になった事を理解して…再び呟いた。

 

「最っ悪だ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は21:00を指していた。だが、あれから更に1日経過していた。

学園だか政府からかは分からないが、ホテルの一室を入学当日まで泊まれる様にして貰っていた戦兎はパソコンのサーチャーをチェックしながらコーヒーを飲んでいた。

 

結局あの後、年齢や自分たちの世界の細かい情報…3つに分かれた日本や新世界、そして地球外生命体エボルトについては話さなかったが、それ以外の殆どを洗いざらい吐いてしまっていた…否、吐かされた。

こことは違う世界の事、パンドラボックスにスカイウォール、スマッシュ、そして仮面ライダー…

次々と出てくるこの世界にとっては意味不明な単語や状況のオンパレードには、流石のブリュンヒルデ(本人曰く、元)の織斑千冬でも頭を抱えていた。当然だが…。

 

とりあえずこの情報は(あまりにも電波すぎるからか)一部のみを学園の上層部に伝え、且つ政府には一切明かさないと契約された戦兎は今日の昼ごろ解放され、ホテルに送られたのだった。

 

 

——………話さないんじゃなかったのかい?——

 

「うるっさいな!俺だって話したくて話したんじゃねえよ!しょーがないでしょうが!いや俺が口を滑らせたせいだけどさぁ!」

 

逆ギレしつつも自身を落ち着かせる。

昨日はニュースやネットを見る限りではスマッシュは現れなかったらしい。

そのことに安堵しつつも戦兎はコーヒーを飲みながら別のことを考えていた。

 

(思えばどうして俺はISの操縦が出来たんだ?女性のみのはず…いや、例外は俺を含めて他にもいるけどな。)

 

ネビュラガスの影響か、こことは違う世界から来たことによるバグの様なものか、はたまた…

 

(仮面ライダーだからこそ…なんてな。確かに仮面ライダーにはパンドラボックスの光の影響を無効に出来る力があるけど…)

 

だがそこまで考えても答えは出ない。

何せISの操縦が出来るのが女性だけの理由は、開発者である篠ノ之束博士でさえ不明と言い張っているのだから。

 

そんなふうに考えているとサーチャーの範囲圏外ギリギリの箇所が反応した。

ここから5キロメートルほど先だった。

 

「よし、行くか。」

 

そういうと戦兎はすぐさま外へと走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海が目の前に広がる広場…港のような場所に複数のIS、打鉄が飛び交っていた。

既に何機かは撃墜され、今残っている機体もダメージが多い様子だった。

 

「この化け物が!」

 

闊歩する異形に対し、アサルトライフル、焔備が火を噴く。

しかし異形…スマッシュはダメージが無いのか、意にも介さず接近し続ける。

 

「ハアッ!」

 

後ろから接近してきたもう一機が近接戦用ブレード、葵でその背中を斬りつける。しかし手応えないどころか、その強度によって弾かれてしまう。

そしてそのブレードを掴んだスマッシュは、ブレードを細かなきらめく破片にしてしまった。

 

「何なのコイツ…幾ら何でも硬すぎるでしょ!」

 

愚痴をこぼしつつ、刃が砕けてしまったブレードの柄をしまって後方に下がろうとする操縦者。

 

『!!』

 

しかし、そんな彼女を逃がさないとばかりにスマッシュは近くにあったゴミ箱を掴む。

するとゴミ箱は突如バラバラに砕け…まるでダイヤモンドのようなソレを散弾のように殴り飛ばして攻撃する。

 

「くっ!」

 

遠距離で攻撃していた機体は何とか避けるも、距離を取ろうとしていた機体は回避が間に合わず直撃する。

 

「嘘…キャアッ!」

 

直撃を受けて吹き飛び、ダメージの影響かISが解除されてしまう。

 

 

 

 

そんな戦場と化しているこの場所に、誰にも気付かれることなく1人の青年…否、今は少年が到着していた。

 

「ちょっと遅れちまったか!」

 

少年…桐生戦兎はその様子を見ながらビルドドライバーを腰に装着した。

 

 

「さあ、実験を始めようか!」

 

 

手に赤と青のフルボトルを握って素早く振り、ドライバーへと装填した。

 

【ラビット!】 【タンク!】

R/T

 

【ベストマッチ!】

 

素早くハンドルを回す戦兎

スナップライドビルダーが出現し終わると素早く構える。

 

【 Are you ready ? 】

 

「変身!」

 

【鋼のムーンサルト! ラビットタンク!】

【イエーイ!】

 

叫ぶと同時にその姿は赤と青の異形、仮面ライダービルド ラビットタンクフォームに変身した

そしてすぐさまスマッシュへと飛び込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

残る一機のIS操縦者は全神経を目の前の異形に向けていた…しかし、視界の端にその異形に向かって走る赤と青の影が映った。

 

「え?何?」

 

一瞬何が起こっているのか分からないからか呆然としてしまっていた操縦者…

その目の前で、異形と異形がぶつかり合っていた。

 

 

 

 

青い拳を胴体に打ち付けるビルド、砲弾の勢いを乗せたその一撃は先程までダメージさえ見せなかったスマッシュを大きく後退させた。

 

『!!!』

 

膝をついたスマッシュは近くの柵をまるで柔らかい物でも手に取ったかのように引き千切り、先のゴミ箱のように小さなダイヤモンドの破片に変化させた。

そしてそのまま拳を破片へと叩きつけ、散弾として打ち込んだ。

 

「うおっ、危ねえ!」

 

取り出したドリルクラッシャーで自身に当たる斜線のダイヤを弾き飛ばす。

弾いたダイヤが後方に停まっていた車に命中、爆発を起こす。

 

「え!?あれ俺のせいじゃないでしょ!?」

 

背後で起こる爆発に一瞬目を向けたビルドはすぐさま目の前のスマッシュに意識を向ける。

 

「ダイヤモンドか…となると劈開性(へきかいせい)……よし、あれで行くか!」

 

そう言うとビルドはオレンジのフルボトル…タカフルボトルを取り出し振り始め、蓋を回してドライバーへと装填する。

 

【タカ!】

 

ハンドルを回し変身準備を完了させた。

 

【 Are you ready ? 】

 

「ビルドアップ!」

 

ウサギの装甲を塗り替えるように、オレンジの翼がついたハーフボディが装着され、トライアルフォーム タカタンクに変身した。

そしてビルドは新たな武器、【ホークガトリンガー】を取り出した。

 

「勝利の法則は…決まった!」

 

そう言うとビルドは背中の翼、ソレスタルウイングを展開して夜空に飛翔、そのままホークガトリンガーの中央に設けられたマガジンを回して弾丸を装填していく。

 

10(テン)!……20(トゥエンティー)!……30(サーティー)!……40(フォーティー)!……50(フィフティー)!……60(シックスティー)!……70(セブンティー)!……80(エイティー)!……90(ナインティー)!………100(ワンハンドレッド)!!】

 

1度に10発ずつ装填出来るホークガトリンガーに10回分…即ち100発分の弾丸を装填した。

 

「よし、これで行けるでしょ!」

 

叫ぶと同時に地上のスマッシュへと突撃して行くビルド

 

『!!!』

 

それに対し、スマッシュは近くにあった他の柵や石といった様々なものをダイヤに変化させ、ビルド目掛けて次々と打ち込んで行く。

 

「よっ!ほっ!あらよっと!」

 

自身目掛けて放たれたダイヤの雨を素早く躱しながら飛翔し、そしてスマッシュのすぐ目の前に姿勢を低くして着地した。

 

『!!!??』

 

すぐさま左手で戦車の砲弾を模したストレートの勢いをつけた拳を胴体に叩き込む。殴られた箇所に僅かにヒビが入る。

そのまま素早くスマッシュの右手を殴りつけたばかりの左手で掴み、胴体に右手で持ったホークガトリンガーを突きつける。

 

「この距離なら、防げねぇだろ!」

 

【フルバレット!】

 

次の瞬間、ホークガトリンガーから100発のタカを模した弾丸が連続で接射される。

 

ガガガガガガ!!!

 

大きな音を立ててスマッシュに次々弾丸が爆ぜていく

 

ダイヤモンドには劈開性と言う一定方向から掛けられる強い力に弱く、割れやすい特性がある。

それを利用し、まず一撃目に強い破壊力を持つタンクで殴り、そこ目掛けて連続照射が出来るホークガトリンガーによるフルバレットを放ったのだった。

 

『!!!!』

 

100発目を撃ち終えると同時に、スマッシュは緑の爆炎を上げるのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほいっ」

 

煙の中、ビルドは倒れていたスマッシュの成分を採取した。

同時にスマッシュは消え、手にはダイヤモンドフルボトルが握られていた。

 

「よーし…!」

 

ダイヤモンドフルボトルには硬質化やダイヤへの還元能力がある。還元したダイヤは先の戦いでスマッシュが行ったように相手に放ったり、竜巻のように飛ばして拘束したり出来る攻守共に優れたボトルだ。

更にゴリラフルボトルと組み合わせることで今のビルドにとっては3つ目となるベストマッチフォームに変身できる。

月に透かせながらカチャカチャとダイヤモンドフルボトルを振るビルド。

そして思い出したかのように、先程までスマッシュと戦っていたIS部隊を探した。

しかし自分が戦闘している間に撤退していたようだった。

戦いが終わり、静寂に包まれた広場の真ん中でビルドは大きく伸びをした。

 

「うーん……と」

(これでスマッシュの相手は俺に任せてもらえるといいんだけどな…)

 

なんて事を思い、ビルドはその場を後にするのだった…




※長めなので注意※
最初の長い問答は結局なんだったのか…。
じつは第1話書く直前まで悩んでいて、正体を明かさない前提の問答自体は考えていたのですが、千冬さん相手に誤魔化し切るのは無理だろうと判断してこうなりました。

オリジナルのスマッシュとしてダイヤモンドのスマッシュを出しましたが、果たしてそれらしく出来ていたのかどうか…
ゴリラで殴っほうが早くね?は禁句。ゴリラ以外も出したかったし、前回入手したタカも活躍させたかった。
また、ガトリングハーフボディでは無くタカハーフボディでホークガトリンガーを召喚したのは半オリジナルです。4コマ忍法刀が両方のボトルのハーフボディで召喚してたんでそれに合わせました。フルボトルの能力で生成されてると言うより戦兎自身が制作したものなのでその気になれば出せるかなと言うのが理由ですが。
ガンバライジングでもタカコミックで召喚していたので行けるかなと。
また、同じくカイゾクハッシャーもガンバライジング同様海賊、電車の両方で出せるようにすると思います。
ご了承ください。

平成ジェネレーションForeverでアナザーWとアナザー電王ですか…そして本編では檀黎斗王と国会議員のオエージ……混沌を極めてますねこれは…。

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