Infinite・Genius 【インフィニット・ジーニアス】   作:EUDANA

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本格的にリアルで忙しくなってきたんで、ここから投稿スピードが落ちると思います。

なので初投稿です。


クラスメイトは女と天才

スマッシュの魔の手が今日も迫る!

そのスマッシュの脅威を前に、立ち向かう1人のヒーローがいた!

仮面ライダービルドであり、てぇんさい物理学者の桐生戦兎はIS学園の入学前に現れた新たなスマッシュたちを相手に、様々なフルボトルで変身し、鮮やか〜に撃破するのだった!

しかしホテル生活は意外と不便だな。

お陰でまだスパークリングもフルフルラビットタンクもフルボトルバスターも完全には修理の目処が立ってないからな!

かと思えば、俺のネット上の名前は仮面ライダー!…ならぬ仮面騎士(かめんライダー)に決定!一体どうしてこうなった!?

 

今日でとうとう入学式、波乱万丈な学園ライフがいよいよスタート!

どうなる!?第5話!!

 

あ、波乱万丈と言っても、万丈は出ないからな。

 

「いや、俺出ねぇのかよ!!?」

 

———————————————————

 

『巧…また背、少し伸びたか?……もうすっかり超えられたな………』

 

 

 

『死闘!渾身!!全霊!!!これが最期の……祭りだああああぁぁっ!!!』

 

 

 

『親父…少しは、近づけたかな……』

 

 

 

『戦兎!………ありがとうな。』

 

 

 

 

 

——前にも言ったはずだ…科学の行き着く先は破滅だと。

科学が発展して便利になるほど、人は考えることを放棄していく。

やがて何もわからないまま争いに身を投じる。

それが科学のもたらす…未来だ!——

 

 

 

 

 

「——ッ!」

 

椅子に座りながら眠っていた戦兎は急に目を覚ました。

あたりを見回したがそこには自分以外誰もおらず、窓から朝の光が差し込んでいた。

 

「夢か…」

(いや…夢なんかじゃない……新世界でなかった事に出来ても、忘れることのできない…決して忘れちゃいけない現実だ……)

 

エボルトとの戦いで散っていった仲間や父、そして行方不明の相棒……それは戦兎の中で掛け替えのない存在だった。

もし彼らもこの世界に居れば…と言う甘い幻想を戦兎は首を振って否定する。

 

(何期待してんだ……ネットでもビルドはそれなりに有名になった。けど、誰からも接触がない……そう言う事なんだろ…。)

 

朝から落ち込んでいた戦兎だったが、不意に目の前のトースターからこんがり焼けた食パンが飛び出した。

 

「…ああ、そうだメシ食べようとしてたんだっけ…?」

 

近くのバリスタからコーヒーを注いだ戦兎は、トーストをかじりながら考えに耽る。

 

(…っても誰からも接触がない、イコール誰も居ない…って決めつけるのも早いか。記憶喪失とかだってあるわけだし…あんまり期待は出来ねえのは事実だけど。)

 

そして戦兎は朝食を取り終わるとコーヒーを飲みながらビルドフォンを取り出そうとして…

 

——のんびりしてて良いのかい?——

 

不意に聞こえたその声…葛城巧の声に戦兎は少し驚いたが何とかコーヒーを吹くのを耐えた。

 

「お前ここ最近ずっと黙ってたと思ったら…いきなりなんだよ…?」

 

少し怒りながら言う戦兎に対し、しかし葛城はあくまで淡々と喋り続けた。

 

——今日は学校の入学式だったと思うけど?——

 

その言葉に戦兎は思わずビルドフォンに刻まれている日時と、カレンダーに『入学式』と書かれた日付を交互に見比べる。

 

「え?……ああぁっ!」

 

戦兎は叫ぶと急いで纏めていた荷物をひっ掴み、いつものトレンチコートの服ではなくIS学園の白を基調に赤のアクセントが付いた制服を着た。

急ぎながら時計を見てみると、既に集合30分前を指していた。

 

「やっべぇ!」

 

大急ぎで扉へ走っていた戦兎だったが、突如余裕を取り戻したかのように落ち着いた。

 

「と、お急ぎの貴方に……そんな時には、コレ!」

 

誰に対してなのか、そう言うと戦兎はポケットにしまっていたビルドフォン、そして黄色のフルボトル…ライオンフルボトルを取り出した。

 

——仮病の連絡でもする気かい?——

「そうそうそうそう……あ、もしもし?

な訳ねぇだろ!」

 

何時だかやったノリツッコミをしながら戦兎はビルドフォンのスロットにライオンフルボトルを装填すると、そこらへんに無造作に放り投げた。

 

【ビルドチェンジ!】

 

そんな音声が流れると、ビルドフォンがフルボトルの成分により質量保存の法則を無視して巨大化した。

前に歯車を、後ろに巨大化したフルボトルを装着した一台のバイク……マシンビルダーに変形した。

戦兎はコックピットに備えられているタッチパネルの真ん中のボタンをタッチした。すると光と共にヘルメットが出現した。そのヘルメットを装着して戦兎はノリノリで叫ぶ。

 

「よーし!それじゃ、レッツゴー!」

——ここホテルの中だろ?——

 

そんな葛城の呆れた声を聞いて戦兎は無言のまま静止するのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入学式前のSHR…その開始まで数分と言ったところ。

そんな中、IS学園1年1組の教室の前で1人の少年が教室に入る事を躊躇していた。

 

「………。」

 

名は織斑一夏(おりむらいちか)…この世界で最も最初に発見された、『男性でありながらISの操縦を可能とした人物』だ。

彼はしばらくの間その場で躊躇っていたが、時計がSHR開始5分前を示した時、意を決して扉の前に立った。

扉が開かれるとそこから幾多もの視線が一夏を貫く。

 

女、女、女、女女女女女……

 

見渡す限りの女子生徒の集団。

まるで獲物を見つけた肉食動物の様な鋭い視線を幾重にも浴びて、一夏は思わず一歩後退った。

彼はこの学園…女子しかいないこの学園で青春を過ごさなければならなかったのだ、それも3年間…。

 

しかし、そんな彼に1つの希望が…

 

(ん?…あれもしかして……箒か!?)

 

クラスメイトを見れば、そこには小学4年の頃に転校してしまった幼馴染、篠ノ之箒(しのののほうき)の姿が。

 

(身体つきは結構違うけど、あのリボンに髪型、それに顔つきも…間違いない!)

 

およそ5年ぶりに会えた喜びと、女子だけのこの学園でまさに地獄に仏とも言える喜び。

安堵の表情と共に救いの目を幼馴染に向けていた一夏であったが…

 

「——!」

 

そんな一夏の視線に気付いた箒は、ぷいっと明後日の方を向いて目をそらしてしまった。

 

(え!?な、何でだよ!なんか怒らせちまったのか!?)

 

幼馴染のそんな素っ気ない態度に、一夏は不安と焦りを感じた。

しかし、いつまでも立っていると余計注目を浴びるだけだった。

後ろから注がれる大量の視線を浴びながら一夏は自身の席…一番前の真ん中に座る。

 

(これは…想像以上に……キツイ…!)

 

クラスメイトからの視線、何故か冷たい幼馴染…

沈黙の中、一夏は一刻も早くクラスのみんなの視線を自身から離したいと考えながら教室に入って来るであろう担任を待った。

 

 

何時間もの間待ち続けたと思えるほどの時間が経過した…SHRまで残り1分、なので本当はまだ数分だけしか経っていないのだが…そんな中、教室の扉が開かれた。

やっと先生が来たのかと思いながら一夏は入り口に目を向けた。

 

「危ねぇ!セーフ!」

 

一夏の予想とは裏腹に、開いた扉に滑り込む様に1人の生徒がギリギリで入り込んで来た。

しかしその生徒は、この学園では一夏と同じく普通ではなかった…

 

(え!?男!?)

 

自分以外に男子生徒がいるという事を知らなかった一夏は心底驚いた。

先程まで一夏を凝視していたクラスメイトたちも視線をその生徒へと向けており、ざわめきが聞こえ始めた。

 

「嘘…例の2人目の男子!?」

「え、2人ともうちのクラスなの?」

「しかも結構イケメン!」

「き、奇跡……奇跡だわ!」

 

なんて声が辺りから聞こえていた。

何らかのコンテストでもグランプリを受賞出来そうな中々の美形だ。顔立ちからして日本人だろうか…

 

「えー…俺の席は……あ、後ろか。」

 

そんな事を言いながら彼…桐生戦兎は一夏の横を通り過ぎながら、自身とは逆の一番後ろの真ん中の席に着席した。

 

(俺以外にも男が居るなら、まだやっていけるかもしれないな…!)

 

予想外の幸運を前に、一夏は何とかこの3年間に希望を見出せそうだと思いながら先ほどより表情を明るくするのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん、入学おめでとうございます!」

 

緑の髪をした眼鏡の先生が教卓で生徒たちに祝辞を述べていた。学園に不法侵入した際、織斑千冬の隣にいた先生だった。

確か…山田先生だっけ?と思いながら戦兎は挨拶を聞いていた。

 

「私はこのクラスで副担任を務める、山田真耶(やまだまや)です!皆さん、1年間よろしくお願いします!」

 

…………

 

眩しい笑顔でそう言う山田先生だったが、教室中の生徒は沈黙を貫いていた。

生徒たちの視線は目の前の教師…ではなくこのクラスに居るたった2人の男子生徒、一夏と戦兎に向けられていた。

 

「………えーっと…」

 

気まずそうな泣きそうな、そんな顔をしている山田先生。

クラスの生徒や副担任の様子を後ろから見ていた戦兎は頬杖をつきながら呆れていた。

 

(男子が珍しいからって、先生の事無視すんのはマズイでしょ…まーったくしょうがねえな。ここは1つ、人生の先輩として大人の対応ってヤツを披露してやるか。)

 

戦兎はそう思いながら、先生の挨拶に対して拍手していた。

大人というよりも常識的なその行動に合わせてか、クラスの他の生徒も少しずつ続く様に拍手をした。

パアッと明るい顔をした後、照れるように笑みを浮かべながら先生は話を続けた。

 

「じゃ、じゃあまずは自己紹介からお願いしますね!」

 

そうして1年間共に過ごすクラスメイトの自己紹介が始まっていった。

順番は出席番号順…入学早々のため名前順となっていた。

 

 

(挨拶ね、さてどうするか……いや、俺ならやっぱアレしかないでしょ!)

 

他の生徒の挨拶を聞きながらそんな事を思っていた戦兎だったが、前から山田先生と一夏が話しているのが聞こえた。どうやら次は彼の自己紹介のようだ。

 

(さて、この世界唯一の男性操縦者はどうやってアピールするんだ?)

 

他の女子生徒たちと同じように、期待も込めて起立した一夏を見守る戦兎…

 

「えー……えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします。……以上」

 

…………

 

(……いや、アレで終わりかよ。もう少しなんかあるでしょ…)

 

ため息混じりに心の中で一夏を駄目出しする戦兎。他の生徒たちもそれだけ?と言わんばかりの薄いリアクションだった。

頑なに視線を向け続ける者も居れば、『からのー』などと言って続きを促す者も居た。

そんな中、教室の扉が開かれる音が教室に響いた。

静まり返ると同時に、クラス中の一夏への注目が一斉に入ってきた人物へと向けられていた。

 

(げっ!)

 

戦兎は思わず身を引いて、入ってきた人物を見ていた。正直もうあんまり関わり合いたくないと思っていたその人物…織斑千冬(おりむらちふゆ)は教卓の前に立ちながら一夏を冷たく見下ろしていた。

 

(そういや山田先生、副担任って言ってたよな……と言うことは…)

 

戦兎がそう思っていると、クラスへと向き直っていた千冬は生徒へ名乗った。

 

「諸君、私が担任の織斑千冬だ。

君たち新人を1年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。私の仕事は弱冠15歳を16歳までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け——いいな。」

 

先程の一夏とは対象的な、そんな一方的な名乗りを終えると同時にクラス中の生徒たちが悲鳴とも絶叫とも言えぬ黄色い歓声で沸き立つ。

 

「「「キャー!!」」」

「本物の千冬様よ!」

「ファンなんです!!」

「お姉様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!」

「千冬様にご指導頂けるなんて嬉しいです!」

「お姉様の為なら私死ねます!!」

 

「……最っ悪だ…。」

 

頭を抱えながら戦兎は大音量の歓声の中つぶやく。

この歓声の中でその小さな呟きが聞こえたのか、千冬はこちらを一旦睨んで来た。

 

(え、アレで聞こえたのかよ!嘘でしょ!?)

 

ギョッとして戦兎は動きをフリーズさせた。そんな姿に呆れながら千冬は出席簿で教卓を叩く。

バン!と言う音と共に先程までの歓声が一瞬で消えた。

静まり返ったクラスで千冬は続けた。

 

「…毎年よくこれだけ馬鹿者が集まるものだ、感心させられる…それとも何か?私のクラスにだけ集中させてるのか?」

 

そこまで言うと千冬は再び教卓のすぐ目の前の一夏を見下ろした。

 

「で…?挨拶も満足に出来んのか、貴様は。」

 

千冬にそう言われた一夏は抗議するように手を上げながら言った。

 

「いや千冬姉、俺は——」

 

そこまで言った後、大きな炸裂音がした。見れば千冬が持っていた出席簿が一夏の頭へと振り下ろされていた。

 

「学校では織斑先生と呼べ。」

「は、…はい織斑先生……」

 

そんな会話を聞きながら戦兎…否、クラスメイトの殆どが驚愕していた。

 

(え…あの2人って姉弟なのかよ!?確かに織斑って同じ名字だなって思っていたけどよ!)

 

クラスもまたざわついていた。

 

「え?織斑くんって千冬様の弟…?」

「男でISを操縦できるのと関係して…?」

「いいなぁ代わってほしいなぁ…」

 

クラス中が羨ましいやら妬みやらよく分からない呟きであふれた。

山田先生がクラスに自己紹介の続きを促していく中、戦兎は一夏へと合掌していた。

 

(女ばかりの中で数少ない男、しかもブリュンヒルデの弟…こりゃ嫌でも注目浴びるだろうな…)

 

しかしそこは戦兎、クラスメイトの話題を掻っ攫っていくその姿に少し妬けていた。

そして遂に…

 

 

「えーっと次は…あっ!き、桐生くん!桐生戦兎くん!」

 

いよいよ戦兎の番になった。

クラス中の視線が一斉に自分に向けられ、戦兎はテンションを上げていた。

勢いよく立ち上がり、そして満面の笑みで自信たっぷりの自己紹介をするのだった。

 

「どうも!ご紹介に預かりましたぁ、てぇんさぁい物理学者(予定)の桐生戦兎でぇす!!

好きな食べ物はアジの開き、飲み物は『何も恐れない気持ち!立ち向かう勇気!元気をフルチャージ!』オリナミンC!

もし分からない事があれば、成績優秀スポーツ万能、文武両道なIS学園に降り立ったこの最っ高の天才たる俺になんでも聞いてくれ!」

 

…………お、おお……

 

そんな声が聞こえていた。

若干困惑しているような、ドン引きしているような何とも言えない空気に包まれたクラスの中、しかし戦兎は我ながら完璧とばかりに上機嫌で座ろうとして…直後、後頭部に貰った衝撃で無理矢理着席させられた。

 

「あ痛ァ!」

「馬鹿者…誰がそんなふざけた紹介をしろと言った。」

 

涙目で振り返れば、いつのまにか来ていた千冬が一夏の時と同じように出席簿を構えていた。

無言で抗議する目を向ける戦兎を尻目に、千冬は山田先生に続きを促すのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン…

 

そんな割と普通なチャイムが流れる中、一夏は机に突っ伏していた。

 

既に最初の授業を終えて、今は3時間目の授業までの休み時間に入っていた。

しかし、授業の内容はほとんど分からなかった上、参考書も古い電話帳と間違えて処分した事を千冬に叱られ…と彼にして見れば災難な初の授業だった。

 

「これを1週間か…やっぱり流石にキツイだろ…」

 

2時間目の前に、再発行してもらっている間貸して貰った参考書のページを見ながら呟く一夏。

 

(大体他の女子はみんな中学から習ったんだから、今年からの俺には少しくらい猶予くれたって………そういえば、俺以外にも男子いるよな、確か桐生だっけ?あいつも同じ条件の筈じゃ…)

 

そう思いながら自身の席とは反対の、真ん中の最後尾へと振り返った一夏、しかしそこには桐生戦兎は居なかった。

トイレにでも行ったか? そう考えている一夏だったが、

 

「俺をお探し?」

 

その声を聞いて前に目線を戻すと、黒板の前…目の前の教卓に肘をつきながら桐生戦兎がこちらを見下ろしていた。

 

「いつのまに…じゃなかったな。改めて…俺は織斑一夏、気軽に一夏って呼んでくれ。」

「俺はてぇんさいの桐生戦兎な、俺も戦兎でいいぞ。」

 

改めて自己紹介をする男子2人。

クラス中どころか廊下にまで押し寄せている大量の女子の視線を集めながら会話を続ける。そんな様子を見回しながら一夏は話し始める。

 

「しかし…女ばかりでやり辛いよな。」

「ん、そうか?俺は別に気にしてないけど…ところでなんか用だった?」

 

気にしてないとあっさり言う戦兎に驚きを抱きながら、一夏は答える。

 

「ああいや、戦兎はこの参考書の内容とか分かったのかって聞こうと思ってさ。」

「あったり前でしょうが、さっきも言ったけど俺天才よ?この程度の参考書やマニュアル、3日もあれば全部暗記して完璧にマスター出来るっての。」

「ま、マジかよ…本当に天才なんだな……。」

 

サラッと言う戦兎に困惑しつつも再び驚いた。

 

(すげぇな……しかし天才を自称するところとか独特なテンションとか、なんか束さんみたいだな…)

 

そんな一夏の心境など知らずに、戦兎は笑いながら話す。

 

「まったくしょうがねぇなー。このてぇんさいの桐生戦兎が、処分しちまって勉強まったくやってない可哀想な一夏君に教示してやるか!」

 

少し失礼な物言いだったが全て事実だった。

一夏はムッとするのを堪えつつも、教えてくれることに喜んでいた。

他の女子に頼むのは元より、幼馴染の箒も何故か冷たい…そんな中でこの天才に教えてもらえるなら良いんじゃないか?そう思った一夏…

 

「マジか、それは——」

 

そんな話をしていた時だった。

 

「ちょっと宜しいかしら?」

 

不意に声をかけられた。

振り返る一夏とそのまま目線を移す戦兎、視線の先には女子生徒が立っていた。

金髪の縦に長いロールが掛かったその少女は透き通るような青い瞳でこちらを睨んでるとも見下してるとも言える目を向けていた。

 

「ん?」

「は?」

 

2人はそれぞれ声を上げていた。

そんな様子を見てか少女はあからさまに狼狽しながら話してきた。

 

「まぁ!何ですのそのお返事!?この(わたくし)セシリア・オルコットに話し掛けられているのですから、それ相応の態度を取ってもらえますこと?」

 

そこまで言って目の前の少女…セシリアはどう言うわけかこちらに説教をし始めた。

 

「悪い。俺、君が誰だか知らないし…」

 

一夏がそう言うとセシリアは一夏に思わず食って掛かった

 

「し、知らない!?この私、セシリア・オルコットを!?」

「あー…俺知ってる!」

 

セシリアが叫ぶ中、戦兎が思い出したかのように手のひらを叩く。

 

「あら、物を知らないのは貴方だけの様でしたわね。日本の男子というものを完全に幻滅するところでしたわ。」

 

と言って余裕を取り戻したかの様に髪をかきあげてドヤ顔をするセシリア

戦兎は彼女の失礼な言葉を終えてから口を開く。

 

「あれだ、イタリアの代表候補生!」

「イギリスの代表候補生です!同じヨーロッパでも全然違いますわ!!イギリスの代表候補生にして入試主席の天才、セシリア・オルコットですわ!」

 

ボケなのか素なのか、違う国を言う戦兎とキレるセシリア。

そんな2人の会話を聞いて一夏に1つの疑問が湧く。

 

「あ!なぁ、少し聞いて良いか?」

「あ、あら!この私に質問ですこと?物を知らない極東の庶民にも真摯に教えて差し上げるのが貴族の誉れ…よろしくてよ!」

 

再び調子を取り戻したセシリアにアップダウンが激しいなと思いながら、セシリアや戦兎、固唾を飲んで見守っている生徒たちや幼馴染の視線の中、一夏はゆっくりと聞いた。

 

「…………代表候補生って…何?」

 

直後、大きな音を立ててクラスメイトの殆どがひっくり返っていた。

その場で倒れる者や机ごと倒れる者など…

目の前のセシリアは顔を青ざめさせ痙攣し、戦兎に至っては黒板側に教卓ごと倒れて潰れていた。

…視線をずらせば箒も頭を抱えていた。

 

「え?」

「し…信じられませんわ!?日本の男子と言うのはこれ程知識に乏しいものなのかしら!常識ですわよ、常識!」

 

一緒にすんな!と倒れた教卓の下から戦兎が抗議するがスルーされた。苦笑いしつつも改めて聞く一夏。

 

「まあまあ…で、代表候補生って?」

 

その言葉を聞くとセシリアは目を光らせながら自信満々に自身の称号たる代表候補生について語った。

 

「国家代表IS操縦者…その候補生として認められたエリートの事ですわ!単語から想像すれば、それくらい解るでしょう?」

 

そう言い終わると同時に、潰れていた戦兎が教卓を元の位置に直しながら目も向けずにセシリアに尋ねた。

 

「で、その俺の次に天才なエリート代表候補生がなんか用?マウント取りに来ただけなら要らないし、帰ってくんねえ?」

「あ、貴方ねぇ!…ま、まあとにかく…そう、エリートなのですわ!本来ならば私のような選ばれた人間とクラスを同じくするだけでも奇跡!そう、幸運なのよ!…この現実をもう少し理解していただける?」

 

へー…それは凄いな…と素直に感心する一夏だったが、ここで戦兎が手を上げながら口を開く。

 

「はいっ、俺からエリートさんに質問!」

「今度は一体何ですの…」

 

突如叫んだ戦兎は頭を抑えているセシリアの言葉を聞いてから大きな声で質問した。

 

「エリートな代表候補生は各国に数人ずつ存在してるけど、その代表候補生と世界で確認されている男性IS操縦者の比率を教えてくださーい!」

「な!?」

 

代表候補生であることを鼻にかけていたセシリアに、割とキツイカウンターを喰らわせる戦兎。

少し涙目になりながらワナワナと震えるセシリアの姿を見て一夏は少し同情していた。

 

「な、なあ流石にちょっと言い過ぎじゃないか…?希少かどうかはともかく、その…代表候補生ってヤツになるほどのエリートってのは事実な訳だし…」

 

思わずセシリアを援護してしまう一夏、これ幸いとばかりにセシリアも本来の調子を取り戻した。

 

「え…ええそうですわ!その通りですわ!なにせ私、入試で唯一教官を倒した、エリート中のエリートですから!」

 

しかし、その言葉を聞いた一夏はさっきまで援護していたセシリアに逆にトドメを刺してしまった…。

 

「あ、俺も倒したぞ教官。」

「ハァッ!?」

「いや倒したって言うか…避けたら勝手にぶつかって、そのまま動かなくなったって言うか…」

 

そんな一夏の話を聞いたセシリアは呆然としていた。

 

「わ、私だけと聞きましたのに…!」

「? 『女子では』ってオチじゃないのか?」

 

そこまで言うとセシリアは凄い顔をしながら一夏に顔を近づけて怒鳴り始めた。

 

「あ、貴方も…貴方も教官を倒したと言うの!?」

 

凄んで顔を近づけてくるセシリアに圧倒されながら慌てて答える一夏。

 

「いや、落ち着けって…な?」

「こ、これが落ち着いて…!」

 

キーンコーンカーンコーン…

 

丁度いいタイミングで3時間目のチャイムが鳴り響いた。

 

「!…この話の続きはまた改めて、よろしいですわね!」

 

そう言うとセシリアはさっさと自分の席へと戻って行った。

 

「え、また来んの?つーか勉強教えれなかったんだけど。」

 

そんな戦兎の愚痴に心底同意しながら、一夏は急いで次の授業の用意をするのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

「えーと、ここか。」

 

1025号室…

その番号が書かれた部屋の前に一夏は立っていた。

学生寮で生活することになった彼の部屋だ。同じ男子の戦兎はここより離れた部屋へとさっさと走って行ってしまった。

曰く、『俺の大事な発明品に傷が付いてないか急いでチェックしねえと!』とのことだ。

 

扉を開けた一夏は部屋の中を確認した。

 

「おおっ!」

 

大きいベット2つにパソコンも完備、パッと見ても広々とした部屋だった。

一夏は早速、着替えも後にベットに倒れこんだ。

 

「やっと落ち着けた…女子校の寮だからどうかって思ってたけど、部屋の中なら静かなもんだな…」

 

そうやってくつろいでいると入り口以外の扉がひらかれた。

 

「誰かいるのか?…ああ、同室になった者か。」

 

初めて聞いたような、しかしどこか懐かしい声が聞こえてきた。

だがあの部屋は確か……、一夏がそう思っていると扉の奥からバスタオル姿の女子が…

 

「こんな格好で済まないな、シャワーを使っていた。」

 

顔を赤くしつつ強張る一夏の目の前で少女…篠ノ之箒は相手も女子だと思いながら声を掛けていた。

 

「私は篠ノ之…」

「ほ、箒…!」

 

直後、両者ともに硬直。

しかし箒はすぐに顔を一夏以上に赤くし狼狽した。

 

「い、い、いいい…一夏…!?」

「お、おう…」

 

苦笑いしている一夏

そんな様子の一夏を前に箒はさらに顔を真っ赤にして大声で叫んだ…。

 

「見るなああぁ!!」

 

そして竹刀が床や扉に炸裂する大きな音が寮に響き渡った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

23:00

 

【ハリネズミ!】 【掃除機!】

 

【 Are you ready ? 】

 

「ビルドアップ!」

 

無人の倉庫の分厚い天井に大きく開かれた穴から飛び降りながら、仮面ライダービルドはトライアルフォーム ハリネズミ掃除機へと変身していた。

ビルドよりも先に落ちていた青い先端の尖った異形…スマッシュは、その尖った頭をビルドへと向けるとそのままロケットのように勢い良く突っ込んだ。

 

「危ねぇな!」

 

そう叫ぶとビルドは転がりながらその突撃を避けた。

避けられたスマッシュは大きく曲がって再び突撃を試みる。

 

「やっぱすぐには振り向けねぇか!」

 

その様子を確認したビルドはビルドドライバーのハンドルを勢い良く回した。

 

【Ready Go!】

 

再び突っ込んで来たスマッシュの攻撃を避けるとすぐさま掃除機を模した左手を通り過ぎたスマッシュへと向ける。

スマッシュは加速している方向とは逆からの吸引力によって引っ張られていく。

ビルドは徐々に引き寄せられていくスマッシュを前に、ハリネズミの針が付いた右手の拳を大きく構える。

 

【ボルテックアタック!】

 

「ハァッ!」

 

目の前に来たスマッシュの腹部を右手で思い切りアッパーした。直撃すると同時に拳の針が巨大化し、さらに鋭くなってスマッシュの体を何箇所も貫通した。

少しの間スマッシュは手足をバタつかせていたが、その体はすぐさま爆発に包まれた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やー…やっぱり学生と正義のヒーローの両立はキッツイな…初日でこれだぞ。

ま、今までが結構フリーだったのもあるけどな……研究所に就職してた時の感覚で行けばなんとかなるか。いやでもあれ途中で抜けてたりしてたから体力や集中力が………」

 

などと言いながら変身を解いた戦兎は採取したロケットフルボトルをしまって学園へとマシンビルダーを走らせていた。学生服の上にはいつものトレンチコートを着ており目立たないようにしていた。

 

学園についた後、近くの茂みの中でマシンビルダーをビルドフォンに変形させ、羽織っていたコートも仕舞って何食わぬ顔で学生寮へと歩いて行った……。




読んでわかった方も居るかもしれませんが、原作の流れを汲みつつアニメや漫画の展開にもしています。
授業の内容は前回で参考書捨てたと書いちゃったんで泣く泣くバッサリカット、本当に申し訳ない。(B博士)
戦闘でハリネズミを出した理由は活躍所が少ないから無理矢理です、本当にry

「万丈は出ない」がこの話ではなのか、この作品にはなのかは…まだご想像にお任せします。
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