Infinite・Genius 【インフィニット・ジーニアス】   作:EUDANA

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今回の流れは原作や漫画と大差無いです。
なので原作知ってる人は戦兎が出てるとこだけ見ても問題ないかもしれないです、ご了承ください。

また今回も一夏目線多めです。次回は戦兎目線多めにするかと。
最近戦闘、心理描写が少なめになってきた感。どうにかしなければ…

なので初投稿です。


プライドの戦い

てぇんさい物理学者の桐生戦兎がいるここIS世界の日本で、スマッシュの脅威が人々を脅かしていた。

そこに現れたのが、我らがヒーロー、仮面ライダー!

仮面騎士こと仮面ライダービルドは、学園生活を送りながらも現れるスマッシュを相手取り、超クールに撃破するでありました!

いやしかし学園生活も思った以上に大変だな。

俺を除いたら唯一の男子と談笑してたら高飛車なエリートに因縁吹っかけられるし、初日から散々だ。

さっさと和解して、ピッカピカの1年ライフを再スタートさせたいよ全く!

 

ところでそろそろこのナレーションのスマッシュ撃破のパターンが尽きかけてんだよな…超クールってなんか違う気がするしさ…どうすっかな?

 

こんな調子だけどどうなる、第6話!

 

———————————————————

 

HR

 

朝、教卓に立った織斑千冬がクラスに話を切り出していた。

 

「さて、再来週に行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めようと思う。」

 

そんな話を始めた。

話を聞いたクラスは、一斉にざわめき始めた。

 

「代表者とはその名の通りクラスを代表する人間だ。対抗戦だけでなく、生徒会の会議や委員会への出席もしてもらう——まあ、わかりやすく言えばクラスの委員長だな。自薦他薦は問わない、誰かいないか?」

 

クラス代表ねぇ…そんなことを考えていた一夏、さして興味もなかったのだが…

 

「はいっ!織斑くんを推薦します!」

「私もそれがいいと思います!」

 

とクラスの女子生徒から推薦されてしまった。

想定外の事態に一夏は戸惑った。

 

「ええっ!?」

 

そう叫んでいた一夏だったが、幸い(?)にも他の生徒も名前を挙げられるのだった。

 

「私は桐生くんが良いと思います!」

「天才って言うくらいだからやってくれると思います!」

 

もう1人の男子生徒の桐生戦兎も名前を挙げられていた。戦兎は嬉しそうな顔をしつつも、何処か困ったような表情を見せていた。

 

「他には居ないか?なら男子2人で…」

「ちょっと待った!俺はそんなの——」

 

手を挙げて千冬に抗議をしようとする一夏だったが、その言葉が最後まで続くことは無かった。

 

「納得がいきませんわ!!」

 

バンッと机を叩く音を響かせながら、ここまで他薦無しだったイギリスの代表候補生セシリア・オルコットが勢いよく立ち上がった。

 

「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表なんていい恥さらしですわ!このセシリア・オルコットに、そのような屈辱を1年間味わえと言うのですか!

実力、肩書きから行けば(わたくし)がクラス代表になるのは必然!それを物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!」

 

男と言うだけで見下し権威を振りかざす…そんな言葉に流石の一夏もカチンと来ていた。

 

「猿って…俺は万丈(ばんじょう)かよ……」

 

戦兎が何か言っているのが聞こえたが、そんな様子に気付いてか知らずかセシリアはさらに続けた。

 

「私はこのような島国までIS技術の修練に来ているのであってサーカスをする気は毛頭ございませんわ!大体、文化でも後進的な国に居ること自体、私にとっては耐え難い苦痛で…!」

 

そこまで言い終えて、遂に一夏が反論に転じるために口を開いた。

 

「イギリスだって大してお国自慢無いだろ!世界一不味い料理で、何年覇者だよ。」

「お、美味しい料理はたくさんありますわ!貴方、私の祖国を侮辱する気ですの!?」

 

徐々にヒートアップしていく両者、しかしここで言い争いに参加していなかったもう1人の候補が口を開いた。

 

「まーまー落ち着きなさいってオルコットも一夏も!後でバナナやるからよ!」

 

2人と同じように立ち上がって両手を使って両者をなだめ始める戦兎。何故かバナナを握って渡すジェスチャー付きで

 

「いや要らねえよ…ってか何でバナナ?」

 

さきほど猿呼ばわりされたとはいえ当然の疑問を口にした一夏だったが、なぜか戦兎はため息をついて呆れたように話した。

 

「あのねぇ、今のはすぐに拒否するんじゃなくて『ウッキー バナナだぁ!』って感じにワンクッション入れてからツッコミなさいよ。」

「いや、なんの話だよ!?」

「ちょっと!?さっきから私を無視なさらないで下さる!?」

 

困惑する一夏

呆れる戦兎

怒るセシリア

 

クラス代表候補のリアクションは3つに分かれ、混沌を極めていた…!

しかしその混沌はセシリアの一言で終わりを迎えた…

 

「………決闘ですわ!」

「おおいいぜ、四の五の言うより分かりやすい!」

 

宣戦布告するセシリアに対し強気で受けて立つ一夏。

 

「えぇ…いや、て言うか俺はちょっと…」

 

戦兎だけはなぜか否定的だった。そのまま候補から降りると言わんばかりに椅子に座りなおした。

その戦兎の対応を見て鼻を鳴らした後、改めて一夏に向き直るセシリア。

 

「あちらの男子は情けなく逃げ出しましたけど、貴方も逃げなくてよろしいのかしら?」

「ああ…で、ハンデはどれくらい付ける?」

 

その言葉を聞いてセシリアは少し驚いた後、勝ち誇るかのような顔をした。

 

「あら、早速お願いかしら?どうぞ、お好きなだけ付けてもよろしくてよ?」

「いや、俺がどのくらいハンデ付けたらいいのかなーと」

 

一夏からすれば、それは真剣に聞いた質問だった。

しかし、その言葉にクラス中が笑いに包まれていた。

 

「織斑くんそれ本気で言ってるの?」

「男が女より強かったのって大昔の話だよ?」

「ねー今からでも遅くないよ、セシリアに言ってハンデ付けてもらったら?」

 

周りからも笑い声や引き止める声が聞こえる…

そんなクラスの笑い者にされている中、さっき座った戦兎が口を開く

 

「ま、良いんじゃねぇの?本人が要らないって言うんだし、男には男の意地ってもんがあるんだろ。それに一夏の登場で、ISに乗れるのは女だけじゃ無くなったしな。」

 

思ったことをそのまま口にしたと言った言葉だった。

取り方によっては無責任とも思えるその言葉に、しかし感謝しつつ一夏は改めて宣言する。

 

「ああ……じゃあハンデはいい。同じIS乗り同士だ、条件は五分だろ?」

 

「話はまとまったな。…では勝負は1週間後の放課後、第3アリーナで行う。織斑とオルコットはそれぞれ用意をしておくように。」

 

千冬がそう言い渡すと同時にHRは終了した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「専用機?」

 

次の授業中、ISの機体に関しての話の折に千冬は一夏にある話をしていた。

それはデータ収集を目的として、世界で最初に発見された男性IS操縦者である彼に専用機が用意されるという話だった。

 

「専用機!?1年の、しかもこの時期に!?」

「いいなぁ、私も専用機欲しいなぁ…」

「それって政府からの支援が出てるってことで…」

 

沸き立つクラスメイトたちだったが、その歓声は再び1人の少女によって途切れることになる。

 

「あら安心しましたわ、訓練機だから負けたなどと言い訳されても困りますもの。まあ、一応勝負は見えてますけど?」

 

例のセシリアが再び一夏相手に食って掛かっていた。

その言葉にムスッとしながら一夏は質問していた。

 

「なんでだよ、勝負はやってみるまでわからないだろ?」

「そんなの火を見るよりも明らかですわ。庶民の貴方にも理解できるように教えて差し上げます。この私、セシリア・オルコットはイギリスの代表候補生…同じ専用機持ちといえどもただの実験対象のモルモットの貴方と国の威信を一身に受ける私とでは全くその存在価値が違うのです!」

 

ペラペラと長い自慢が始まって一夏はまたウンザリし始めていた。

 

…モルモットと言う部分で最後尾の戦兎が何やら言いたそうな反応していたが、その様子には誰も気付いていなかった…

 

篠ノ之束(しのののたばね)博士が開発した、世界でたった467機しかないISの更に真の専用機を持つ者はエリート中のエリート…それがこの私、セシリア・オルコットなのですわ!」

 

ようやく自慢話が終わったのだろうと言うタイミングで生徒の1人が手を上げながら質問した。

 

「先生!篠ノ之さんってもしかして篠ノ之博士の関係者なんでしょうか?苗字も珍しいし…」

 

無視された事に涙目になりつつもセシリアは箒を小馬鹿にするように話す。

 

「篠ノ之博士といえば私に劣らず世界屈指の天才学者ですのよ?代表候補生にもなれず、専用機も与えられない凡人が身内のはず…」

 

天才の話題なのにしれっと戦兎を省いたな…

一夏がそう思うと同時に箒は机を叩きながら立ち上がって叫んだ。

 

「あの人は関係ない!!……私はあの人じゃない、妹というだけだ。一緒にしないでくれ…!」

 

暗くも迫力のある圧に圧倒されながらもセシリアは余裕を持って話題をそらした。

 

「ま…まあ、どちらにしてもこのクラスで代表にふさわしいのは、私セシリア・オルコットである事をお忘れなく!」

 

そんな捨て台詞と同時に授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休み時間

 

昼食をとるため食堂に来ていた一夏は一緒に来ていた目の前の少女、篠ノ之箒に頼み込んでいた。

 

「頼む箒!ISについて教えてくれないか!このままじゃ来週の勝負、何も出来ずに負けそうなんだ!」

 

手を合わせて頭を下げる一夏に対し、箒は呆れながら言って聞かせる。

 

「くだらない挑発に乗るからだ、馬鹿者め。」

「そこをなんとか!」

 

食い下がる一夏に対し箒は少し戸惑いながら話を続けた。

 

「大体、私よりも先にあの桐生という男子に頼んでいたではないか。あいつに頼めばいいだろう。」

「いや…それが戦兎のヤツ、自己紹介の時に『分からないことがあれば何でも聞いてくれ』なんて言っちまったせいで他の女子が詰めかけててさ、頼めそうにねえんだ…なあ、頼む箒!」

 

昼に見たもう1人の男子生徒が大量の女子生徒に揉みくちゃにされながら流されて行った光景を思い出して、身震いしながら再び箒に頼み込む一夏。

 

「………。」

(参ったな…相手は代表候補の専用機持ち……私で何か力になることが出来るだろうか…?)

 

「ねえ織斑くん、隣良いかな?」

 

そう思っていると2人の元に生徒が近づいてきた。視線を向けるとそこには3人の生徒がいた。

確か皆同じクラスだったはず…約1名着ぐるみみたいな感じのパーカーを着込んでいるが…

一夏が了承すると3人は横に座りながら、一夏も箒の関係を聞いていた。

2人は同じ小学校と剣道の道場に通っていた幼馴染であることを話した。

 

 

 

「幼馴染かーいいなぁー」

「ねえねえ、織斑くんのとっておきのエピソードとかない!?」

「私も聞きたい!」

 

そんな調子で聞いてきた同級生たちだったが、その席に更に近づく人物が1人いた

リボンの色からして自分たちより上の学年…3年だ。

 

「ねえ、君。君って噂の『代表候補生の子と勝負する男子生徒』?」

「はあ、多分そうですけど…」

 

2人のうち代表候補生と勝負するのなんて自分しかいない…そう思いながら肯定する一夏。

そんな一夏をよそに机の上に座りながら先輩は話しかけてくる。

 

「でも君、素人よね?良かったら…私が色々教えてあげようか?ISに…つ・い・て。」

 

どう見ても誘惑に来た先輩に戸惑っていた一夏だったが…

 

「結構です。私が教える事になっていますので。」

 

先輩の目の前に座っていた箒がキッパリ切り捨てる。

 

「あなた1年でしょ?3年の私の方がうまく教えられると思うけど?」

「………私は、篠ノ之束の妹ですから…」

 

顔に影を帯びながら暗くそう答えた箒に3年の先輩はあからさまに狼狽する。

 

「え、ええ!?」

「そうなんです!我が1年1組には!」

「男にしてISを操縦できる上、初代モンド・グロッソの覇者『ブリュンヒルデ』こと織斑千冬の実弟、織斑一夏と!!」

「世界屈指の天才科学者でありISの生みの親、篠ノ之束の妹、篠ノ之箒の2人の天才が居るのです!」

 

クラスメイト3人が畳み掛けるかのようにそう言うと、先輩はそれなら仕方ないわね、と足早に去って行った。

立ち去る先輩を見送りながらも、一夏はさきほどからの箒の様子を見て心配していた。

姉である束さんの話題を出したからだろうな…。

そう思って何とか励まそうとしたのだが…

 

「ちょっと待ったぁ!」

 

そんな叫び声がすぐ後ろの仕切りの向こう…隣の席から聞こえた。

そして声の主…桐生戦兎が腕を組みながら仕切りの裏からせり上がって来た。

テッテレテッテッテー…と何かのゲームの復活音でも聞こえてきそうだった。或いはなんとかバスターか…。

 

「このてぇんさい桐生戦兎を差し置いて、2人の天才呼びとは…いい度胸じゃあねぇか!」

 

汗を流しながらその光景を見ていた箒以外の3人ともう1人は戦兎が迫り上がるのが終わってから話した。

 

「ごめんごめん、桐生くんいなかったから…」

「そうそう!今この場にはって意味だよ!」

「いやー私はすっかり忘れてたよ〜」

「ちょっ…!…ていうか戦兎お前、あの中をよく抜け出せれたな…」

 

聞き終わって、全く…と呟いてから戦兎は暗い空気を漂わせる箒に声をかけた。

 

「篠ノ之だっけ?俺が忙しいばっかりに一夏の勉強見てもらっちまって、なんか悪いな。」

「……気にすることではない、幼馴染としてこれくらい…」

 

未だ晴れない空気を纏っている箒に対し、しかし戦兎は真正面から話題を切り込んでいった。

 

「あ、さっきの話聞いてて思ったんだけどさ…篠ノ之って授業の時は束博士との関係について『あの人は関係ない』って感じに、関わりたくもないみたいに言ってたよな?

でもさっきは『自分は篠ノ之束の妹だ』って言ってたじゃねぇか?あれってどういうことなんだ?よくわかんねえんだけどさ。」

「!……関係ないだろう!」

 

そう言うと箒は机を両手で叩きながら立ち上がると、早歩きで食堂から出て行ってしまった。

 

「あ、おい!箒!」

「あー…これはちょっとやっちまったか?俺てぇんさいだけど、なんて言うの?…そう、乙女心ってヤツはよくわかんねぇや…」

 

箒を追いかけていく一夏とその後ろ姿を見ながら呟く戦兎。

残っていたクラスメイト3人からも抗議の目を向けられていた。

 

「あーあ…篠ノ之さん怒っちゃった…」

「もうちょっとデリカシーを持って接しなきゃ…」

「嫌われちゃったねー」

 

「…やっぱり?」

 

 

 

 

 

「待てって箒!」

 

廊下を早歩きで歩く箒に追いつき、肩を掴む一夏。

姉である束の話題を嫌がっていた彼女自身が、何故その姉の話題を出してまで自分にISについて教えてくれようとしたのか…それは分からなかったが、心配なのは確かだった。

 

「ほら、戦兎の奴には後でキツく言っとくからさ。」

「………」

 

(さっきの三年生の彼女のほうがISに触れている時間は長い。間違いなく、私より一夏にISについて教えることができたハズだ……ましてや一夏はプライドを賭けてセシリアと戦わなくてはならないと言うのに……)

 

思い詰めたような様子の箒だったが、何かを決意したかのように一夏に告げる。

 

「…今日の放課後、剣道場に来い。腕が鈍ってないか見てやる。」

「え、いや俺はISについてだな…」

「見てやる!」

 

…反論も許さずに断言、決定された。

 

キーンコーンカーンコーン

 

同時に昼休みの終了を告げるチャイムが鳴り響いた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

「えーと…確か……こっちか。」

 

一夏と箒が放課後に剣道の道場で特訓する…そんな話を聞いた戦兎は、昼休みの件での謝罪もあり道場へと向かっていた。

 

(流石にありゃ言い過ぎたかもな。前から万丈や美空にも一言多いってよく言われてたからな、俺としちゃ別に普通に接してるだけなんだけどな…)

 

そんな事を思いながら道場の前にたどり着いた戦兎、見ると昼の3人組が入り口から中を覗いていた。

 

「おーい、一夏たち居るか?」

「あ、桐生くんだ。」

 

気付いた3人は扉の隙間から中を指差していた。

その隙間の中を覗いた戦兎、中では何やら箒が一夏に怒鳴っていた。

 

 

「どう言う事だ!どうしてここまで弱くなっている!?中学では何部に所属していた!?」

「帰宅部、3年連続皆勤賞だ。」

「鍛え直しだ!こんなものIS以前の問題だ!これから毎日放課後3時間、私が稽古を付けてやる!」

 

 

そんな会話が繰り広げられていた。

 

「え、一夏ってそんなに弱かった?」

「うーん…篠ノ之さんが強いって言うのもあると思うけど、少なくともISで通用するかと言うと…ちょっとねぇ。」

 

結構自信満々だったのに…そう思っていると説教が終わったのか、箒がこちらへ来て扉を開いた。

戦兎は思わず脇へ退きながら掌を合わせて謝罪した。

 

「あ、よう篠ノ之!いやぁ、昼はちょっとさすがに言いすぎた!悪かった!」

「あ、あぁ桐生か…いやこちらも少し感情的になり過ぎだったな、すまない。」

 

少し戸惑っていたが、すぐさまいつもの冷静さを取り戻したのか同じように謝罪した。

どこか不機嫌な様子も漂わせながら、そのまま更衣室へと歩いて行った。

 

「なぁ、アレって許してくれたと思う?」

「うーん…まだ怒ってるんじゃないかなぁ〜?」

 

ゆるい感じでそう言われた戦兎はマジか…と肩を落とした。

 

「あ、いやでも織斑くんに対してって可能性もあるし…。」

「……そうだといいんだけどなぁ…いや良いのか?」

 

そう言って戦兎は、今度は一夏が向かうであろう男子更衣室へと行った。

 

 

 

 

「で、篠ノ之にボロボロになるまでやられたって訳か…。」

「ああ、まあな。」

 

着替える一夏の向かいの端のロッカーに寄りかかりながら稽古の様子を聞いていた戦兎。

 

「仮にも相手は女子だし怪我させるわけにもいかないと思っちまってさ…

でも箒は剣道で全国優勝するレベルなんだから、手加減なんて考える場合じゃなかったな。」

「ふーん…」

 

幼少期のエピソードを軽く聞いていた戦兎だったが、ここであることに気付く。

 

(これ乙女心って言っても、恋愛とかそう言うアレじゃね?嫌ってる姉の話題を出してまで一夏と一緒に居たかったのはそう言うことか…)

 

1人で納得してうんうんと頷いている戦兎に首を傾げながら、一夏は思い出したかのように聞いた。

 

「そういえばさ、戦兎の方はどうなんだよ?」

「ん?」

「いや、俺まだあんまりお前のこと知らないしさ。ここに来るまでどんな感じだったのかなーって。」

 

恋愛は下手すりゃ馬鹿な万丈の方が上だしな…そんな事を考えていた戦兎に不意にぶつかられた質問。

 

 

思い出すのは

 

正義のヒーローとして戦ったこと

戦争に巻き込まれ、しかしあくまで防衛に徹していたこと

結局そんな信念を貫き通すことが出来なかったこと

そして仲間や父、日本中の国民の大多数という犠牲が出てしまった、地球外生命体エボルトとの戦い……

 

 

アレから2ヶ月近く経過していた、しかし戦兎にとってはまるでつい昨日までの出来事のように思えていた。

 

「いや、大したもんじゃねぇさ。両親も知らないで、父親代わりの男に育てられて…色々あったっけな……」

「そうなのか……………実は俺も両親に捨てられててさ。まあこの話したら千冬姉…じゃなくて織斑先生に怒られるんだけどな。」

 

一夏の話を聞きながら、本当は自分は両親に捨てられたわけじゃ無いことに申し訳なさを感じる戦兎。

しばらく沈黙が続いたが、しかし着替えを終えた一夏が何か思い出したかのように戦兎に顔を向けて軽く詰め寄る。

 

「そうだ思い出したけどさ、何で戦兎はクラス代表の候補から外れたんだよ。俺は無理矢理やらされてたってのに。」

 

そんな一夏の様子を見て、重苦しい空気を振り払うように笑いながら戦兎は答える。

 

「俺はちょっと特別なんだよ、天才だからな。ちゃんと織斑先生にも言ってあるぞ。」

「そうなのか、なんかズルイ気がするな…いや天才だからってどう言うことだよ?」

 

そんな事を言いながら2人は更衣室を後にするのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラス代表決定戦当日、放課後

第3アリーナ Aピット

 

「結局、肝心のISについては一切勉強出来てなかったと…。」

「し、仕方ないだろう…一夏のISも無かったのだから……」

「いや知識とか基本的なこととかあっただろ?体力だけはバッチリついたけど、こっちはISの技術、知識ゼロだぞ。」

 

試合開始前のピットには一夏、箒、戦兎がいた。既にアリーナの上空ではセシリアがスタンバイしており、後は一夏を待つだけだった。

しかしこの1週間、箒は剣道を始めとした基礎鍛錬こそ施していたものの、ISに関する勉強は全く行っていなかったのだ。

戦兎もビルドとして戦うことも考慮していた他、開発する物もあったため、結局勉強を見ることができず箒に任せていたのだが…

 

こんな調子で大丈夫なのかよ…そう戦兎が思っていた時、山田先生が慌てた様子で、その後ろで千冬が落ち着いてピットへ入ってきた。

 

「お、織斑くん!来ましたよ、織斑くんの専用機!!」

 

息を切らして山田先生がそう言い終えるとピットの搬入口が音を立てて開かれる。

その中から純白の装甲をしたISが姿を見せた。

その機体…自身の専用機を見た一夏は真っ先に動いた。

 

「これが……俺の、IS…」

「はいっ!これが織斑くんの専用機、<白式(びゃくしき)>です!」

 

自分だけの、世界でたった一機の機体の装甲に触れる。

感慨にふけっていると、千冬が出撃を促した。

 

「織斑、すぐに準備しろ。アリーナを使用できる時間は限られているからな、ぶっつけ本番でものにしろ。

…この程度の障害、男子たるもの軽く乗り越えてみせろ一夏。」

 

その言葉を聞いた一夏はすぐに準備を開始した。

背中を預け、座るようにして搭乗した。すると白式は光だし、一夏へと装着されていった。

最初はどこか不安定ながらも、すぐにしっかりとした足取りでカタパルトへと歩んだ。

 

そして出撃する直前、すぐ後ろにいた箒へと振り返り笑顔を見せていた。

 

「箒…」

「!…な、なんだ?」

「…行ってくる!」

 

その言葉を聞いて少し戸惑った後、箒も笑って返事をした。

 

「あ、ああ!勝ってこい!」

 

返事を聞いてから一夏、そして白式はセシリアの待つアリーナの上空へと飛翔して行った。

 

「…青春だなぁ……。」

 

壁に寄りかかってそう呟く戦兎は、自身とは程遠い青春を謳歌している少年少女たちを見て僅かに微笑むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナ上空

 

「あら、逃げずに来ましたのね。ウォーミングアップする時間くらい差し上げますわよ?」

「いや、いい…ISまるで昔っから自分の手足だったみたいに馴染むんだ。」

 

上空で相見える純白と蒼の機影

セシリアは不敵に笑いながら一夏に話しかけた。

 

「それでは最後のチャンスをあげますわ。

私が一方的な勝利を得るのは自明の理、今ここで謝るというなら許して差し上げないこともなくってよ?」

「そういうのはチャンスとは言わないな。」

「そう?残念ですわ。」

 

一夏の返答を聞いてセシリアは笑みを浮かべながら——レーザーライフル、スターライトmkIIの引き金を引いた。

 

「それなら——お別れですわね!」

 

【警告】

【高熱源反応あり】

 

白式のモニターにロックオンの警戒アラートが出たが時すでに遅く、閃光と共に放たれたレーザーが白式に直撃する。

 

【ダメージ46】

【シールドエネルギー残量521】

 

「チッ!」

 

開幕から直撃を貰った一夏は正面に見えるセシリアが放とうとしている第二射を回避するため、加速した。

 

「さあ踊りなさい、私セシリア・オルコットと<蒼い雫(ブルー・ティアーズ)>の奏でる円舞曲で!」

 

第二、第三射を放ち続けるセシリアとビット状の自立機動兵器ブルー・ティアーズ、それに対し一夏の白式は武器すら出さずに回避に専念していた。

 

(サンキュー箒、特訓のおかげで避けるのが上達したよ。とは言え…)

 

【ダメージ12】

【シールドエネルギー残量413】

 

相手は代表候補生、正確無比な射撃を回避する白式に命中させていく。

本体のレーザーライフル、そしてビット兵器…交互に放たれる攻撃によって徐々に、しかし確実に白式のシールドエネルギーが削られていく。

何とか戦うためにも、一夏は白式の武装を確認した。

拡張領域(バススロット)の量子化させて保存している武器のデータを見ると、そこには一本の近接戦闘用のブレードがあった。

 

「武器は…近接ブレード、これだけか!」

 

一夏は叫びながらブレードを呼び出し、そのままセシリアへと突撃した。

 

「遠距離射撃型の私に近接格闘装備で挑もうなんて、笑止ですわ!」

 

 

 

 

 

「随分一方的な展開になりましたね…」

 

モニターを見ながら山田先生が呟く、その後ろで見ている千冬は無言のままだった。

 

「一夏……っ!」

 

モニターを見ながら、ただ祈るしかできない箒。

そんな中、不意に千冬が口を開いた。

 

「桐生、何秒だ。」

「はい?…あぁ、まあ大体4秒くらいですかねぇ…乱戦ならともかく1対1であれは致命的でしょ。ましてや一夏の白式は近接戦闘特化みたいですし、撃った後に纏われたら…まあ最近ロールアウトしたばっかの機体ですし、オルコットも完全には慣れてないんでしょうけど。」

 

話しかけられた戦兎はモニターを見ながら客観的に答えていた。

 

「? あの、一体何の話を…?」

「あのビット兵器の弱点。」

 

疑問に思って千冬に聞いた箒に対し、代わりにあっけらかんと答える戦兎。

何!、と驚く箒を尻目に、戦兎は淡々とブルー・ティアーズの欠点を述べた。

 

「まあ簡単に言うとだな、あのビット兵器は操縦者…オルコットの指示で自在に操れる。けどアレを動かすには高い集中力がいるんだよ。で、オルコットには『ビットを動かしながら自分も攻撃する』って動作ができない…

つまり、あのビットを動かしてる間…時間にして約4秒の間オルコット自身はガラ空きになるって訳よ。」

「な、成る程…」

 

そう問答している間に、モニター越しで一夏もその弱点に気づいたようだった。

セシリアに肉薄した後、振り向きざまに後ろに飛んでいた1機を、再び接近してビットを釣り、更にもう1機…

 

「知識がないから大丈夫かと思ったけど、なんだ一夏のヤツやるじゃねぇか。…これも箒との鍛錬の賜物かもな!」

 

あえて箒に聞こえるように言う戦兎。

 

「あ、ああそうだとも!やはり私のやり方は間違ってなかったな!」

 

若干調子に乗ってるような様子の箒を苦笑いしながら見た後、モニターに視線を戻す。

一夏が4機目…最後のビットを撃退するのは同時だった。

 

 

 

 

「残るはセシリア本体のみ!」

 

叫びながら幾度目かの突撃を行う一夏。

ビットは全て撃墜、故に釣りで無く正真正銘のアタックだった——だが、セシリアは笑みを崩さずに…腰に装着されたままの2機のブルー・ティアーズを展開、そこからミサイルを1発ずつ接近していた一夏の白式へと放った。

 

「おあいにく様、ブルー・ティアーズは6機あってよ!」

 

直後、爆発。

ドガァン!と大きな音を立てて、アリーナ上空に爆煙が広がった。

 

 

 

 

「一夏っ!!」

「ま、動かしてる本人が一番弱点を把握できるもんだよな…」

 

モニターに爆煙に飲まれる白式が映る。叫ぶ箒と納得するかの様にそう言う戦兎。

しかし千冬だけは呆れつつも笑いながら呟く。

 

「——機体に救われたな、馬鹿者め。」

 

 

 

 

【初期化と最適化が終了しました】

 

爆煙が晴れると、そこには白い機体——白式が佇んでいた。

ウイングは展開され、全体的により鋭くシャープに変化していた。

しかし何より大きな変化は、手にしていた近接ブレードが大型化していた。

刀身が展開され、その隙間からエネルギーの刃が形成されていた。

 

雪片弐型(ゆきひらにがた)

【特殊技能『零落白夜(れいらくびゃくや)』】

 

(雪片弐型…千冬姉の雪片と同じ武器……世界を制した一振りと同じ力…!)

 

一次移行(ファーストシフト)…!?今まで初期設定の機体で戦っていたと言うの!?)

 

白式の形態移行(フォームシフト)——一次移行を目の当たりにして驚愕していたセシリアだったが、すぐに余裕を取り戻す。

 

「それがなんだと言うのです?これで対等の条件になっただけですわ!最後に勝つのはこの私です!」

 

そう叫ぶと再び2機のブルー・ティアーズでミサイルを発射した。

一夏は白式を加速させ、ミサイルとの距離を離していった。

 

「千冬姉の名前を守るためにも、俺は負けない!」

 

振り向きざまに近接ブレード——雪片弐型で2発のミサイルを一撃で斬り伏せる。

 

(さらに動きが軽い!速度が上がったのに、さっきより意のままに飛べる!いける!!)

 

斬り伏せたミサイルの爆煙を背に、一夏は白式をセシリアの駆る蒼い雫へと疾走させた。

 

「うおおおおっ!!」

「くっ…インターセプター!」

 

迫る白式に対応するため、セシリアはここまでまだ使っていなかった待機状態の近接ショートブレードをとっさに取り出した。

そのまま縦に振り下ろされる雪片弐型を防ぐように構える…

しかしその動きを見た一夏はすぐに攻撃の軌道を変え、セシリアが持っているブレードを弾き飛ばした。

そしてそのままガラ空きとなったセシリアへと雪片弐型を振り下ろし——

 

——絶対防御 ISに備わっている搭乗者保護機能

搭乗者は絶対防御というフィールドに守られている。

しかしそのフィールドを上回る威力の攻撃を受けた場合、搭乗者はダメージを負い、最悪死に至る…——

 

あと僅かに触れれば直撃する…その瞬間に、授業で習った絶対防御のことを思い出す一夏

目の前のセシリアの恐怖した表情を見て、ついその動きを止めてしまった。

 

(俺は、このまま彼女を切っていいのか…?)

 

「…いやっ!来ないでっ!!」

 

直後、セシリアはレーザーライフルを取り出しその引き金を引いていた。

そして白式の胴体に閃光が直撃した。

 

【シールドエネルギー残量0】

 

 

 

 

「白式エネルギー0、模擬戦終了です。」

「まあ、一夏のヤツの優しさ故にってことだな…」

 

山田先生と戦兎がモニターを見ながらそう言う。

戦兎は笑っているとも困惑しているとも言える微妙な顔をしていたが。

 

「聞いたか2人とも、試合はオルコットの勝利だ。」

 

千冬は2機に対し試合終了を通達していた…。

 

 

 

 

「落ちなさいっ!!…この!!」

 

さきの戦いの影響か、セシリアは恐怖したまま錯乱したように一夏の白式目掛けてレーザーライフルを乱射していた。

一夏は白式で射撃を回避していく。

 

『織斑撤退しろ、シールドの無い状態で攻撃を受ければどうなるかわかっているな?』

 

千冬が通信で撤退を言い渡していた。だが

 

「クラスメイトがこんな状態なのに、見捨てて逃げるなんてできない。ましてや原因が俺だとしたらなおさらだ。」

 

そう言って一夏は撤退命令を拒否した。

 

 

 

「あのばか…」

「最っ悪だ…。」

 

千冬と戦兎は同じように呟いた。箒も不機嫌なようで、どこかむっとしていた。

 

 

 

「さっさと落ちなさいっ!」

 

パニックに陥ったまま一夏へとレーザーライフルを発射していくセシリア。しかし代表候補生だけあってかその狙いは正確だった。

動きを制限された一夏、さきほどまでと違いシールドが無くなっている今一撃でも貰えば命の危険に迫る状況だった、が…

 

「何躊躇してんだ、行くしかないだろ!」

 

そう叫ぶとセシリアへと加速して行った。

 

「いやああっ!来ないでえぇ!!」

 

セシリアのすぐ目の前へと迫った所で彼女が放ったレーザーが自身へと飛んできた。

咄嗟に腕の装甲で直撃を防いだ一夏はセシリアの腕を掴んだ。

 

「落ち着けセシリア!お前の勝ちだ!」

「え………わ、私が勝ちましたの?」

「ああ、エネルギー切れで俺の負けだ。」

 

それを聞いて落ち着いたのか、セシリアはISを解除した。その様子を見て安堵したように一夏もまたISを解除していた。解除した一夏の腕には、最後の一撃を防いで出来た傷が残っていた。

 

「た、大変!怪我なさっていますわ!?」

「ああ、平気だって。かすり傷だから。」

 

(シールドバリアが失われている状態で私のために……命がけで!?)

 

セシリアはすぐさま一夏の傷を無言のまま応急処置した。

呆然とする一夏に対し、セシリアは顔を赤くしながら謝罪を口にした。

 

「あの、その……勝利を求める余り、つい夢中になり過ぎて……傷つけてしまったお詫びですわ。」

 

こうしてクラス代表決定戦は幕を閉じた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏。その、なんだ…負けて悔しいか?」

「そりゃ悔しいさ。」

 

アリーナから学生寮へと戻る道中、不意に箒は一夏に今日の試合の話を切り出した。

同じタイミングで外に出た戦兎は『俺、整備課でやる事があるから先帰るわ』と言って猛ダッシュで去って行ってしまった。

…その直前に箒に対し意味深なサムズアップをしていたが、一夏はそれが何を意味しているのかは分かっていなかった。

 

「なぜあの時躊躇したのだ、勝機を見過ごすなど甘すぎるぞ!」

 

どこか先のセシリア同様、顔を赤くしながら問う箒を見て一夏は内心首を傾げたくなりながらも答えた。

 

「それはそうだが…怯えてる相手にやっぱり刀は振るえないだろ?」

 

(…さすがは一夏だ、あの状況でよくも冷静に相手を見極めたものだ……やはり男子たるものこうでなくては——)

「ば、馬鹿者!それで負けていてはしょうがないではないか!あ、明日からはISの訓練も入れないといけないな!」

 

その言葉に一夏は苦笑いして聞いていたが、ふと気になったことを聞き返した。

 

「え?ISの操縦教えてくれるのか?」

「む、無理にとは言わないが…桐生から教わるでも良し、先輩に教わるというのも悪くない。」

「いや戦兎は忙しいらしいんだけどな…まあ箒がイヤだっていうなら——」

 

そこまで言うと箒は強い剣幕で叫ぶ

しかしすぐに真剣な表情で一夏に問いただした。

 

「イヤとは言ってない!

…その…一夏は私に教えて欲しいのだな?」

「そうだな、箒なら他の女子より気も楽だしな。」

 

その言葉を聞いた箒はさきほどよりも更に顔を赤くし——傍目で分かるほど照れながら、一夏の言葉に答えた。

 

「そ、そうか…なるほど…!ならば仕方ないな!ではこの私が特別に教えてやろう!次はあのセシリアの鼻をあかすぞ!」

「ああ、頼りにしてるぜ箒!」

 

そうして2人の少年と少女は寮への帰路を並んで歩いていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サアァァァァァ——

 

(もしあの時、彼が躊躇することなく剣を振り抜いていれば…確実に私の負けでしたわ)

 

シャワーを浴びながら、セシリアは今日の試合を思い返していた。

 

彼女の家族はイギリスの名門貴族の出自だった。

母親は実家発展に尽力しておりセシリア自身も尊敬していた。しかし婿養子だった父親は立場の弱さから母に対し卑屈になっており、そんな姿を見ていた彼女は父には憤りを感じていた。

 

しかし数年前に、その両親を列車の事故で亡くした。

両親の遺産を周囲の大人たちから守るために彼女はたった1人で勉強を重ね、家を守る努力してきた。

 

…同じ時期にイギリスの国家代表操縦者である当主を失った、オルコット家と同じくイギリスの名門貴族であるディスカビル家がその当主の弟の代になってから瞬く間に没落していったこともセシリアにとって大きなプレッシャーとなっていた。

 

それと同時に彼女は両親やもう1つの名門の後継の件で、男という存在を蔑視していた。

 

しかし、

 

あの試合、迷わず自身を斬っていれば間違いなく一夏が勝利していた。しかし、彼はそうはしなかった。

あまつさえ命の危機、さらには『代表候補生でありながら無名の新人相手に負けること』を恐怖し錯乱していた彼女を相手に、バリアが失われている状態で勇敢にも突撃した彼——織斑一夏に、セシリアは心奪われていた。

 

(あの時、彼の中にあったのは…勝つことよりも私の身を案じる優しさ…)

 

そうして彼女は、一夏にいつかの自分が描いた理想を重ね合わせていた。

 

(織斑…一夏……彼のあの腕に抱きしめられたい…あの胸に包まれたい——まるで、子供の頃読んだ物語の騎士様みたいに———知りたい…あの人のことをもっと……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、セシリアがクラス代表候補を辞退した。

その結果、一夏が晴れてクラス代表に決定したのだった。

突然のセシリアの態度の豹変っぷりを疑問に思いつつ、一夏はなりたくなかったクラス代表の就任に大きく項垂れた……。

 




ご覧の通り、今回ビルドはお休みです。

セシリア関連はアニメだとチョロイン過ぎる…
まえがき通り戦闘描写は特に弄りようが無かったので戦兎の解説以外はほぼそのまま。

ちなみに当初は『錯乱時に撃った攻撃の一部をバレないように戦兎が撃ち落とす』という形にしようかなと思ってましたが、その為にアリーナのバリア破壊するのも流石にどうかと思ったんで無しに。
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