季節の移り変わりはどれだけ技術が進歩しようが変えることはできず、そして突然である。こないだまで半袖で過ごしていたと思ったら何時の間にか雪が降るまでになっていた。
人は自然に勝てないという暗示なのかもしれない。軽くだが風邪ひいたし…
まあ、今回は手術後の重いタイプではなく単なる微熱なので大事をとって安静にしているだけだ。明後日には高校入試なのでそれまでには何があっても治さなくてはいかん。
正直行かなくても死ぬまで遊んで暮らせるだけの金なら特許料とかで余裕すぎるぐらいあるんだが、姉さんが絶対に行けというので行かなくてはならん。
まあ、どこでもいいんだがどうせならってことで一夏と同じとこにしておいた。確か、『藍越学園』だったか…
名前が似ていて紛らわしいな…
『やっほー、しーくん。束さんだよー』
あ、面倒事が来た。この人のことだからまた予想の斜め上を大気圏突破するような悪戯なんだろうな…
「なんだよ、俺熱出てるんだけど…」
『入試会場に私のコアとしーくんのコアをそれぞれ搭載したISを置いておくの』
アレ?思ったよりマシだぞ?というかIS学園の入試もあそこでやるんだっけ?
起動試験と筆記試験だけで後日IS学園のアリーナで耐久試験だっけ?
『まあ、いろいろあると思うけど束さんはフラグ立てをしに来ただけだからこれで通信を終わるけど、しーくんはお大事にするんだぞ?』
「はいはい。フラグ立てお疲れさん」
またなんかするのか?にしてもなんで俺のコアまで?
俺のコアは使える人間が限られる。姉さんのは女性であれば誰でも使えるが、その人の適正に依存される。
だが、俺が創ったコアは違う。コア自身が扱う人間を選ぶため俺のコアは世間に出回っていない。
一度ドイツが無理を言って俺のコアで起動実験を行おうとしたことがあった。その時の搭乗者は二度とISには乗れなくなったが…
別に躰が一部欠損したとか生命活動が停止したとかではない。身体的問題ではなく精神的問題だ。
コアとのリンクで精神を侵食されかかったからだ。俺の造ったコアは起動するだけでも問題を抱えているため世間に出回らないように厳重管理している。
流石に代表候補生が一人いなくなったのでリスクが高すぎると納得したのかドイツはそれ以上何も言ってこなかった。
流石に俺のコアでの事故とも呼べることなので日本にあるIS関係の病院への紹介状を渡しておいた。
今はもう日常生活を送るぶんには問題ないほどには回復しており、もうじき退院するそうだ。
にしてもドイツめ…どうやって俺のコアを手に入れたんだ?どうせスコールだろうけど…
『御父様!!お風邪は大丈夫ですか!?』
今度はヌルかよ…
『御父様、死なないでください!!』
『御父様、大丈夫ですか?』
『看病が必要ならいつでもお呼びください、御父様』
『あ、御父様。今度デートしよ』
声の多さに思わず耳から遠ざけた俺は悪くないと思う。未だに姦しい。
『貴女達、いい加減にしなさい!!御父様が迷惑しているでしょう!!』
『なにさ、ヌル姉が原因じゃんか』
「いや、お前ら全員黙れ。頭痛い…」
これ、受験大丈夫かなぁ…
試験当日。なんとか微熱にまで下がったので駅前で弾を待つことに。となりには一夏がいるが、案の定逆ナンされている。仕方ないね。
弾からは既に連絡があって妹ちゃんと乳繰り合って遅れているらしい。まあ、遅刻しなければいいからどうでもいいけど。
隣の一夏は逆ナンを断り俺の心配をしてくる。嬉しいがそれを顔に出すほど俺は甘くない。
「大丈夫だから少し落ち着け。そんなんで試験は大丈夫か?」
「大丈夫だって、問題無い」
おいやめろ。フラグが立ったぞ。
ん?フラグ?まさか束姉のこの前の連絡ってこれに関することか?
あ、ダメだ。どうでもいいこと考えると知恵熱出そう…
ポケットに入れてある風邪薬兼頭痛薬を口に入れてそのまま飲み込む。一夏が水の入ったペットボトルを差し出してくれたのでありがたく貰う。
「ありがと」
俺のお礼の言葉に満足したのか微笑む一夏。周りの女共が騒ぎ出すが煩いのでシャットアウト。
「悪い。遅れた」
弾も来たので電車に乗って、隣の駅の近郊にある公民館へ向かう。なんでも去年の受験生が集団カンニングをしたおかげで会場が変わったらしい。まじウザイ。
その御陰でめんどくさいが隣の駅まで行かなくてはならない。去年の受験生ども灰になれ。
電車は何故か知らんが女性で溢れかえっていた。何、全車両女性専用ですか?
最後尾には男どもすし詰め状態だったのでそこに乗って隣駅へ移動することにした。
弾が文句言っていたので弾だけ残して最後尾に行くと弾が渋々付いて来た。一人じゃ乗れねえのかよ、ヘタレめ。
まあ、隣の駅だから少し我慢すればいいだけだしな。因みに女性のいる車両に乗った場合ほぼ100%の割合で痴漢扱いされて警察行きだ。
そのせいで男は電車に乗る場合最後尾の車両ですし詰め。女は残りの車両で伸び伸び。
2分ほどすし詰めされて駅に着き次第全力で電車から降りる。男のすし詰めなので汗臭いし、加齢臭がするわで本当にひどかった。そして、禿の割合も多かった。
こんなことならヌルか誰かに車の運転させるんだった。まあ、防弾用のバギーしか格納庫にしか無かった気がするけど。
「死ぬかと思った」
「新鮮な空気だ」
「俺たちも歳食ったらああなるのか…」
各々が文句を垂れつつもなんとか試験会場である公民館へ足を進める。疲れたので一夏に道案内を任せる。ああもう無理。疲れた。
公民館へは労せずに到着したが、試験会場の場所がなにやら複雑らしい。
そのまま一夏に任せてついて行くと、広い場所に着いた。暗いしここじゃないだろ?
一夏と弾が黙っているので不思議に思って前を見ると、そこには2機のISがあった。
両方共『打鉄』のようだが、片方には俺のコアが使われていることがわかった。とゆうか、なんでこんなところにISが?
ちょっと待て…
フラグ?俺のコア?まさか、束姉の狙いって…
いや、有り得ない。ISが使えるのは女性だけ。俺は唯一の例外のはず。製作者以外に女以外で使えるはずはない。そのはず…
この考え自体に理論的根拠はない。ただ、俺がそう思い込んでいただけだとしたら…
「おい、二人共それに触るな!!」
俺の叫びは時すでに遅く、二人が俺のことを振り返るのとISに触るのは同時だった。
一夏が束姉のコア。弾が俺のコア。そして、両方共起動した。
「は?」
誰の声だったのか…。俺か?一夏か?弾か?もしかしたら全員だったのかもしれない。ただ共通しているのは訳が解らないということだけ。
異常を感じて室内に飛び込んできたのはIS学園の教員だ。彼女たちはこの光景を見て困惑していた。そりゃそうだ。
男がISを動かしている光景なんて前代未聞な光景だ。思考が停止してもおかしくない。
一夏と弾を操縦者にして何がしたいんだ束姉は?相変わらず理解できない思考の持ち主だぜ…
しかも弾が俺のコアを動かしたなんてことがしれたら『亡国企業』も黙ってはいないな…
積極的に勧誘してくるだろうな。人質とったりは普通にするだろうし、薬物も平気で使うなアイツ等のことだし。
再起動したようにIS学園の教員の一人が恐らく姉さんに連絡する。
まあ、想定外の事態だしな…
当然姉さんにも連絡が行くわな…
ああ、これからめんどくさくなりそうだ…
「四季!!」
一夏は未だに混乱し、弾は流石に自体の深刻さを自分なりに理解し顔を青くさせている。
IS学園の教員も流石にどうしていいか分からず俺に視線を向けてくる。おい、俺の指示待ちかこれ?
「はあ、二人の身柄を確保。どこにも渡すな。IS学園で保護するしかない」
俺の言葉に教員が動き、一夏と弾はISから離され一時的に拘束される。
一夏と弾は俺の方を見るが、俺は目を瞑りこれからの展開をシュミレートしているので知らない。みえない。バカの相手をしている暇はない。さっさと連れて行かれてことの重要性を理解しろ。
「お、織斑博士…」
声に反応して目を開けると目の前に特大のオパーイがあった。これは山田先生か。
姉さんからの指示だろうな。俺に説明しろというところだろう。
ヌルに各国の動きを監視するように指示を出しながら山田先生のあとをついて行く。
「動かした男は2名。内一人は
明かりのない暗闇に声が響き、室内で反響する。
「もう一人は何の後ろ盾もない一般人です。」
人の気配は全く無い空間に何人もの声が響く。
ヒソヒソと。ザワザワと。空間中に響き渡り、消える。
「その一般人を家族ごと
この言葉を最後に空間内に声はしなかった。
だが、声の主たちは知らなかった。
怒らせてはいけない存在がいることに…
その逆鱗を触れていることに…
という訳で次回が原作前最後の事件だと思われます。
この事件を解決(物理)してから原作開始となります。
という訳で原作まだ?という方々はもうしばしお待ちください。