転生したけど普通に生きたい!!……え?ダメ?   作:紫蒼慧悟

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長くなりそうなので二つに分けます。


絶対に許さないから!!!《前編》

一夏と弾がISを動かしたことは直様世界中に知れ渡った。まぁ、これは仕方ない。

前代未聞の大事件とも言えることだからだ。ISとは女性だけが動かせることのできる最強の兵器というのが今の世界の常識だからだ。

だが、この二人のおかげでそれが崩れた。女性権利団体なんて発狂してるぐらいだ。

そして、予想通りにめんどくさいことになった。

一夏はIS開発者と世界最強の弟なので余計な接触はないに等しいのだが、弾は違う。あいつは何の後ろ盾もないただの一般人だ。

いろいろな組織が狙っていたが、互いが互いに牽制をしていて硬直状態になっていたところに日本政府のある人物がかっ攫っていった。

それも弾一人ではなく一家全員である。

ヌルからそれを聞いたのは事件の翌日、太平洋の海底に潜行している戦艦でだった。

既にこの戦艦の存在は一部の奴らに知られている。よって、迷いはない。

「ハッチ開放。俺が行く」

『よろしいのですか、御父様?』

リーゼを全身装甲(フルスキン)状態で展開した俺にヌルが通信で聞いてくる。

「どのみちあいつらのせいでバレるんだ。遅いか早いかの違いだ」

ヌルは何も言わなかった。戦艦の左舷側のハッチが解放され、海水が流れ込み空気が上に向かう。

「リーゼ、発進する」

真上へと伸びた電磁射出機(レールカタパルト)を使い一瞬にも等しい時間で海中から出て上空へと飛ぶ。

正直、気づいていなかった。この気持ちも久しぶりだった。

いつからだったのかわからないが、俺はあいつのことを《弾》と呼んでいた。

厳さんには何度も美味しい食事をご馳走になった。

蓮さんには何度もサービスと称して唐揚げなどのおかずを増量してもらった。

妹ちゃんは特にない。というか、流石は弾の妹。ヘタレすぎる。

「ちっ!リーゼじゃ遅いか…」

コアから苦情が来るがそんなのに構っている場合じゃない。

「換装。《紅蓮》!!」

リーゼが輝きそのカタチを変える。赤から紅へと。

リーゼとは少し異なった同色系統。だが、その姿はリーゼのような無骨な面影はなくシャープな姿だった。

背面より展開された紅い翼、鈍く輝く特徴的な銀色の右腕。

目指すは倉持技研第4地下研究所。

リーゼとは比べるまでもないほどのスピードで紅蓮は飛ぶ。

全方位ステルスシステム(天の羽衣)を使用していないので既に各国に紅蓮の存在はバレている。

登場者が俺だということまではバレていないだろうがそんなことはどうでもいい。

打鉄が2機こちらに止まるように命令をするが無視だ。だが、このままではめんどくさいので落とす。

「展開、呂号乙型特斬刀(紅月)

左手に展開したのは紅い短刀。それを逆手に持ち、すれ違いざまに打鉄に振るう。

2機のスラスターを狙い振るわれたそれは寸分の狂いもなく吸い込まれるようにスラスターを破壊した。

絶対防御というのは搭乗者を守るための機能であり、ISの機体本体を守るためのものではない。

特に俺の開発したこの《紅月》は機体破壊機能を有しているからできる芸当だ。

打鉄はスピードが出ず、こちらを追うのは不可能だった。

このままスピードを上げて振り切る。

政府からの回線がウザイのでその回線を強制的にカットし、目的地に到着する。

そこは小高い山の頂上だった。

倉持技研第4地下研究所とはこの山の内部をくり抜くように建造されたISの研究機関のひとつだ。

日本はその土地に限りがあり、新たに作るとなると上か下に伸ばすしかないのだ。

だが、こうゆう地下施設というのは防壁が固くちょっとしたシェルターなみの硬さがある。

「輻射波動機構、起動」

右腕の五指を広げて地面に、いや施設に向けて放つ。

爆音が響き地下への道が口を開く。周りの地面は吹き飛び、溶けた施設の壁面が見え隠れしている。

さっきので施設中に警報が鳴り響き隔壁があちこちの道を封鎖する。

紅蓮の役目はこんなところか。さて、リーゼ壊すのはお前の仕事だぞ?

こんなことなら最初から紅蓮でこればよかったな…

紅蓮からリーゼに再び換装しながらそんなことを考えていたが、過ぎたことは仕方がない。

弾達が監禁されているのは最下層。大体真下あたりか?

「どんな隔壁だろうと、壊し尽くすだけだ」

右腕に付いている大型の杭打ち機。それを真下の床に向けて放つ。破壊という名の暴力を振りまきつつ下の階層へと到達する。

流石に防衛システムはあるよな?

周りから出てくるのはドラム缶のような防衛システム。それ等を左腕のチェーンガンと左手に展開した99口径超大型自動拳銃《不知火》で一掃する。

そのまま下へと突き壊し、無力化し進んでいく。目指すは最下層。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

倉持技研第4地下研究所の最下層には五反田一家の他に複数の人間がいた。

まずは日本政府の高官が一人、秘書の女性が一人、そしてISを装備した女性が一人。

政府の高官。この男が五反田一家をここに連れてきた張本人だが、日本政府がこの指示を下したというわけではない。寧ろこの男の独断だ。

秘書に関しては完全なとばっちりである。

ISを装備した女性に関しては何故この高官に協力しているのかは謎だった。

この高官の目的はISを動かした弾を研究することで男でもISを使えるようにすることだ。

だが、どこの誰が喜んで実験材料になるのか?

一家ごと攫ってきたのはつまりは人質だ。

協力しないならお前の家族がどうなってもしらないぞ?

この高官は弾に向けてそう言っているのだ。弾はこの意味をなんとなくだが理解していた。

自分のせいで家族を危険な目に遭わせている現状に弾は悔しくて泣いていた。祖父に父に母に妹に向けて何度も何度も泣きじゃくりながら謝っていた。

だが、誰も弾を責めることはなかった。そんな余裕がないのもあったが、誰も弾のせいだと思っていなかったからだ。

「さてさて、いい加減認めてくれないかね?君はこの歴史的な瞬間に立ち会える貴重な体験をしているのだよ?」

高官の言葉に弾は反応すらしなかった。いや、その余裕が無いと言ったほうが正しい。

弾一人だけがパイプ椅子に座らされ手足を縛られている。弾の家族は弾が座っている後方にある檻の中だ。

檻の格子を掴み弾の祖父である厳は高官に向けて力の限り叫ぶ。

だが、その声を意に介さぬように振舞う高官に厳の怒りはさらに高まる。

何の反応も示さない弾に向けて高官は左手を振りかぶり平手を弾に向けて繰り出した。

乾いた音が空間内に響き渡り一瞬無音になった後、椅子が倒れる音がした。

椅子に縛られている弾は受身も取れず床に叩きつけられた。それでも反応しない。

高官はゴミでも見るような目で弾を見下ろすが、その視線に晒されても弾は反応しなかった。

檻を突き破らんばかりの怒声を厳が上げるが、檻が破れることはなく今の厳には何もできない。

厳の怒声しか響いていなかった空間内に警報が鳴り響く。

「なんだ?」

高官の一言に反応してかはたまた偶然か大型仮想ディスプレイが開き、空間内の全員がその画面に注目する。

画面に映っていたのはリアルタイムでの研究所の一角で起こっている映像だった。

赤い未確認のISが警備ロボットを破壊している映像だった。

空間内の全員がその画面に注目する中、ISを展開していた女性が通信で未確認のISがどこから来たのか調べる。

最下層にまで振動が鈍く響く。

「な、なんだアレは?」

画面に映っている赤いISは右腕を振り上げて床を破壊して徐々に最下層(ここ)へ近づいている。

高官の顔は恐怖に染まっていた。

弾はそのISが誰かわかっていた。全身装甲で顔はおろか声すらも発していないのにわかった。

直感だったのかもしれない。ただの希望だったのかもしれない。

だが、弾の思いは通じた。

「四季…」

弾の独り言のような呟きに高官が反応した。

「まさか…」

織斑四季という男の恐ろしさを高官は知っていた。

過去に違法人体実験をしていた外国の施設が一人の男から現地の政府へと通報された。

だが、その施設は国営の施設だったため国はその発言を無視した。その結果、施設はたった一人の男によって制圧された。

防衛装置は動かず、内部の人員は男の傍にいた赤い獣によって無力化され、人体実験されていた者は全員が家族のもとへ返された。

そして、追い討ちをかけるようにその国の所有していたISのコアが全て数ヶ月の間動かなかった。

それを行ったのが織斑四季。

音は徐々に近くなってくる。高官にとっての死神は徐々に近づいていた。

そして…

爆音とともに最下層の天井が破壊されて真上から赤い死神が最下層へと降り立った。

「死ぬ準備は出来ているか?」

その赤はまるで怒りの色だった。




という訳で四季君激おこです。

次回は…アレです。
地獄?
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