という訳でオルコッ党の皆様お待たせしました。
チョロインのご登場です
「ちょっと、よろしくて?」
「よろしくない」
いきなり声を掛けられたが3時間目が始まる前に職員室に行って整備科関連の資料を取ってこないとならない。あ、そうだ。次の整備科の授業は抜き打ちテストにしよう。そうしよう。
大して重くもない腰を上げて教室を出る。後ろから「なんなんですの、アレは!?」とか「ムッキーー!!」とか聞こえるが知らない。知らぬ知らぬ聞こえぬ見えん。いや、目は開けてるし耳栓もしてないけど。
にしてもあの金髪。女性権利団体みたいな思考してそうな顔だったな。アレはメンドクサイ。顔面に拳が飛んで行きそうなぐらいにメンドクサイ。
まあ、殴っても良かったとは思うけど姉さんに後で説教されるのが確実になるからやらないけど。あ、でも…。腹パンならギリセーフか?よし、腹パンにしよ。
「あ、四季君」
目の前に現れたのはシスコン生徒会長だった。腹パンしてやった。
「グホッ!?」
「無言の腹パン」
生徒会長は倒れた。特に何も手に入らなかったので額に「簪ちゃんLOVE」と書いて扇子を奪っておく。
あ、そういやコイツの扇子ってISの待機状態だっけ?まあいいや。序でに整備しておこう。あのあとの戦闘データも欲しいし。
「ちょっ…待って……」
俺は職員室へと急いだ。
後ろからの発言は咳き込んでてうまく聞き取れなかった。
そして、この時の発言を聞き取れなかったのを俺は後日後悔することになるがそれは特に語らない。
そう。せめて、一度振り返っておけば良かったと思うが特に語りはしない。あんなこと思い出したくもない。
この時の楯無の表情が恍惚の表情だったことを俺は知らない。
目の前の扉が音もなく開き、その内部へと歩を進める。
去年からそれなりに慣れ親しんだ光景だ。幾つものデスクが並びそれぞれのデスクで教師が次の授業の準備をしたり、談笑をしたり、抜き打ち用のテストを作ったりしている。
最初に俺に気づいたのはアリサちゃんだった。
「あら、どうしましたか四季?」
アリサちゃんの声に反応してか、職員室中の視線が俺を射抜く。こっちみんな。
「整備科の次の授業を抜き打ちテストにするから問題つくりに来ただけ」
アリサちゃんは興味が失せたのか「そうですか」と言って自分のデスクに置いてあるノートパソコンに向き直る。
因みに俺のデスクはアリサちゃんの正面にあり、俺の両隣は姉さんと山田先生になる。改めて思うがなんだこの配置。
自分のデスクに向かい、資料を探す傍らテストを作る。時折、部活棟管理担当の榊原や数学担当のエドワースがお菓子を持ってきたりお茶を淹れてくれたりするが、お前ら仕事しろよ。
「四季、授業はどうする?」
予鈴も鳴り、授業に向かうため準備をしている姉さんに聞かれ、考える。
「クラス代表決めるんでしょ?俺はなれないから居ても居なくても変わんないだろうし、テスト作り終わったら行く。」
姉さんの方を見ずに画面と睨めっこしながら答える。姉さんは「そうか」と一言だけ残し、俺の頭を一撫でして授業に向かう。山田先生もその後に続く。
アリサちゃんは保健室に向かい、俺と授業のない他数人が残る。轡木さんもいるし、ハーレム状態じゃないけどな。
授業のチャイムが鳴り、10分ぐらい経った頃、パソコンにメールが届いた。
差出人、織斑マドカ……
………無視でいいや。
この忙しい時に何がしたいんだ、あいつは?
後回しにして、テストを完成させる。またメールが届いた。
差出人、クロエ・クロニクル……
……後にしよう。授業に出なかったら姉さんに怒られるし。
俺はパソコンの電源を落として授業に向かう。
昼休みに戻った時にそれぞれ100通程来ていてウザくなるのはここだけの話。
「はぁ…」
思わずため息が出るこの状況。本当に人間が愚かしいと心の底から思える状況に遭遇した時、他の人はどんな反応をするのか少しだけ興味が湧いた。あ、姉さんが睨んでるから現実逃避するの止めよ。
「四季!お前も何か言ってやれよ!!」
「貴方も私の祖国を馬鹿にしますの!?」
もう、めんどくせえよ。こいつ等。
弾。目を逸らしてないでどうにかしろ。
「くだらねえ」
取り敢えず、こいつら馬鹿にはこの言葉がお似合いだ。
「「なっ!?」」
馬鹿共が心の底から驚いているがそんなのどうでもいい。これを馬鹿だと言わなくてなんて言えばいいのか俺は知らない。
姉さんの視線が若干和らいだけど未だに睨まれてる。俺、なんかしたっけ?
「わからないか?今は授業中だろうが。常識的に考えて授業中に喧嘩するなって話だろうが。国を侮辱?知るかそんなもん。放課後にでも言い合っとけ、このアホども」
俺の言葉に弾は頷くだけ。いや、まずはお前が止めろよ。アホ共はグウのネも出ないのかぐぬぬ顔してる。姉さんはやっと終わったかという感じの顔で鼻で冷笑する。
「くっ「殺せ」…って誰ですの!?私のセリフをおかしくしたのわ!?」
ナイスだダブ子。俺はお前を賞賛しよう。
「貴方も所詮は愚かな男…。育ての親の顔が見てみたいですわ!!」
金髪の発言に俺の事情を知っている者は顔を青くし、それ以外は顔をムッとさせた。
幾ら女性優位の世の中になったとはいえ、金髪の言い方は反感を買うものだ。親兄弟を悪く言うのはどの時代でもNGということだ。
それに、この金髪は俺が来る前にも人種差別系の発言というより暴言をしているらしい。お前が先に言ってんじゃねえか!!
「俺と一夏の育ての親ならそこにいるぞ」
俺は迷わずに黒板を指差す。正確には教卓に立って額に青筋を浮かべながら殺気の漏れ出ている姉さんを…
この瞬間、金髪は自分が殺されたと錯覚した。
歯がガチガチと震えによって打ち鳴らされ、恐怖で身がすくみ、自分の全身から血の気が引いていくのが手に取るようにわかる。
他のクラスメイトも短い悲鳴を上げて震え上がる。
俺は迷わずに言葉を続ける。
「ほら、文句があるんだろ?言ってみろよ。俺たち兄弟の育ての親であり実の姉。世界最強のブリュンヒルデに言ってやれよ。『貴方の育て方は間違っている』とでも言いたかったのか?まあ、なんでもいいが…。言わなくていいのか?」
一夏の方を見ると一夏と弾の二人がもうダメと視線でメッセージを送っていた。え、もう?この程度でダメ?
姉さんの方を見ると、殺気がさっきよりも漏れでていた。俺に向けて。
あ、やべ。チビリそう。
ブリュンヒルデって言ったからスッゲェ怒ってる。姉さんこの二つ名嫌いだからな…
「四季、四季!落ち着け!!オルコットさんのライフはもうゼロだから」
「オルコットって誰?」
「………」
何故黙ったし?おい、そこで金髪に同情の視線を向けるなよ、可哀想だろ
「わ、私をしし、知らない…ですって…」
足をガクガクと震わせて俺に指を向ける金髪。顔が青いぞ。大丈夫か?
「知らねえよ。ウィキペディアに載ってから出直してこい!」
「何故ウィキペディア…」
「ん?ニコニコ大百科の方が良かったか?」
「ちがう、そうじゃない」
弾のツッコミが姉さんの殺気に当てられて冴え渡らない。微妙なツッコミにしかなってない。
「姉さん落ち着け」
「織斑先生だ」
「じゃあ、織斑先生落ち着いてください」
「ちっ…」
なんで舌打ちしたのかはわからないが、殺気は収まったのでよしとする。
「さて、話は纏まったな。勝負は一週間後の月曜。放課後に第3アリーナで執り行う。織斑弟と五反田とオルコットは各自準備をしておけ。では授業をはじめる」
何一つ纏まっていないが姉さんが無理やり纏めて決闘が成立したらしい。
「せ、先生。そこの男は何故参加していないんですの!?」
「ソレが出るとソレの一人勝ちで決まる。そうでなくても一応教師に一人だからな。クラス代表になることはできん」
金髪の質問に姉さんが答え、絶句する金髪を残して授業が始まる。
何故か当てられるのは俺。いや、IS関連だから教科書見る必要ないのは確かだけどさ…
姉さん、八つ当たりですか?それともブリュンヒルデって言ったこと怒ってる?
え、また俺?あ、はい…
次回は寮の話と多分簪ちゃんの話。
7割の確率で来年になると思う。
という訳で先に言っておきます。
皆様、良いお年を。