僕のヒーローアカデミア ─とある男の物語─(仮) 作:楽園の主
原作のシーンを文字にしただけとなっております。
原作を知らない方はどうぞ。
知っている方はスルーでも大丈夫です!
そういえば感想に返信することが可能なことに気が付きました。
ーゲート付近ー
「皆は!?いるか!?確認できるか!?」
飯田が叫ぶ。その時、障子が動いた。
障子目蔵。"個性"「複製腕」。
複数ある腕の先に自身の耳や口を複製できる。
複製されたものは力や感度が数倍になる。
皮膜で繋がったそれを広げ、先を耳に変化させた。
感度の高い複数の耳で広域を音探知。
複数ある腕の一つを口に変化させて結果を皆に伝える。
散り散りにはなっているが施設内に全員いる。外にワープされていることはないそうだ。
爆豪と切島の攻撃が当たらなかった。物理無効の上にワープさせる。最悪な"個性"だ、と誰かが言った。
「…委員長!」
「はッ!!」
13号先生は飯田に言った。
「君に託します。学校まで駆けてこのことを伝えてきてください」
その言葉に、飯田は驚愕の表情を浮かべる。
警報鳴らず。そして電話も圏外になってしまっている。
警報機は赤外線式。イレイザーヘッドが"個性"を消して回っているのに無作動だということを考えれば、恐らくそれを無効化する"個性"をもった者がいて即座に隠したのだろう。
と、するとその"個性"の敵を探し出すよりも飯田が駆け出して学校に伝えた方が早い。
「しかし!!クラスを置いていくなど委員長として風上にも」
「行けって非常口!!!」
責任を感じて皆を置いていく選択をできないでいた飯田に、砂藤は言葉を遮るように彼に言った。
外に出れば警報がある。だから敵連合はこの中で事を起こしているのだ。
外にさえ出てしまえば追っては来れない。
彼の足ならば、黒い霧を振り切って行くことも可能だ。
「救うために、"個性"を使ってください」
13号先生のその言葉が、飯田に響く。それは、決意を固めていく。
「食堂の時みたく、サポートなら超できるから!ね!」
麗日も、そう言った。そして、最後の一言。
「お願いね!委員長!!」
その言葉が、迷いを吹き飛ばした。
委員長が、クラスを信じ、助けるために駆ける。
その覚悟を、彼は決めた。
「手段がないとはいえ、敵前で策を語る阿呆がいますか」
「バレても問題ないから語ったんでしょうが!!」
13号先生、黒い霧の敵と衝突。
飯田を逃がすための戦いが始まった。
ー水難ゾーンー
孤立した船上。緑谷、峰田、蛙吹。
「何が戦うだよ馬鹿かよォ!!オールマイトをぶっ倒せる奴らなんだろ!?矛盾が生じてるぞ緑谷!!雄英ヒーローが来るまで大人しく待ってるのが得策に決まってるだろ!?」
オールマイトをを倒せるかもしれない相手に戦って勝ち、阻止するといった緑谷の発言。
傍から聞けばもちろん矛盾している。それを峰田は指摘した。
「峰田君。下の連中、明らかに水中戦を想定してるよね」
「無視かよぉ!!!」
その指摘を無視して緑谷は推測を話し続ける。
水難ゾーンにいる相手が水中戦を想定した敵達ばかりだという点で分かることは、この施設の設計を把握した上で人員を的確に集め、配置した、ということ。
しかし、そこまで情報を仕入れておいて周到に準備してくる連中にしてはおかしな点がひとつあった。
「この水難ゾーンに、蛙すっ…つっ…梅雨っ…ちゃん…が!移動させられてるって点!!」
推測を話す緑谷。しかし、蛙吹を呼ぶ場面で大きくミスをした。
梅雨ちゃんと呼んでほしいと言われたものの、緑谷には今まで女性と話した経験などほぼ無いに等しかった。
そんな彼に名前で呼ぶということはとても緊張してしまうのだ。
「自分のペースでいいのよ」
「あ、そうなんだ…」
「だからなんだってんだよー!!」
ほのぼのとする2人に答えを焦る峰田であった。
「だからつまり!奴らには僕ら生徒達の"個性"はわかってないんじゃない?」
レスキュー訓練だ、と教室で言っていた時のこと。
蛙の"個性"をもつ蛙吹は水難なら独壇場、と言っていた。
もし敵連合が蛙吹の"個性"を知っていたのならば水難ゾーンを避け、火災ゾーンにでも強制的に向かわせるだろう。
生徒達の"個性"が分からないからこそ、バラバラにして数で攻め落とすという作戦を取った。
数も経験も劣る彼らの勝利の鍵は一つだ。
彼らの"個性"が敵連合にとって未知であること。
敵は船に上がってこようとしなかった。それが仮説を裏付けている証拠だ。
だがそれは、向こうも決して油断をしていないということでもあるが。
取り敢えず、なにをするにもお互いの為せる手を知る必要がある。
彼らはお互いに自分の"個性"で何が出来るか話し合い始めた。
「私の"個性"は蛙よ。跳躍と壁に貼り付けるのと、あと舌を伸ばせるわ。最長で20m程。あとは胃袋を外に出して洗えたり、毒性の粘液…と言っても多少ピリッとするのを分泌できるわ」
「分…泌…!!」
分泌に対して何か峰田は思うところがあるようだが、一体なんなのだろうか。
「後半二つはほぼ役に立たないし忘れてもいいかも」
「分…泌」
「薄々思ってたけど…強いね」
まだ、言葉を繰り返す峰田を放置して緑谷も続く。
「僕は…超パワーだけど使った先からバッキバキになる…諸刃の剣的なアレです」
そのまま緑谷と蛙吹は次は君だよ、と言わんばかりに峰田の方を向く。
それに気づいた峰田は無言で頭の玉のようなものを手に取り、もぎっ、とちぎった。
そのままそれをぐにっと船室の壁に押し付けると、それはくっついた。
「超くっつく。体調によっては1日くらいくっついたまま。もぎったそばから生えてくるけどもぎり過ぎると血が出る。オイラ自身にはくっつかずブニブニ跳ねる。」
くっついたそれをブニブニを触りながらそう言った。
言い終わった後、無言で見る蛙吹と考え込む緑谷で静寂が流れた。
「「「……」」」
水の音だけが辺りに流れる。じわ、と峰田は涙ぐみ始めた。
「だから言ってんだろ大人しく助けを待とうってよおオイラの"個性"はバリバリ戦闘に不向きなああああああああ!!」
「ち、違うってば!すごい"個性"だから活用法を考えてて…」
大声で嘆く峰田のフォローに入る緑谷。
しかしそれを言い終わる前に1人の敵が行動を起こした。
一体どんな"個性"なのだろうか、船の底になにかしたのだろう、船の底からとてつもない音ともに大きな衝撃が起き、船が割れた。
じれったくなったのだろう、さっさと終わらせるつもりだ。
なんて力だ、と緑谷と蛙吹がそう思ったその時だった。
「うぅぅぅ…うわあああああ!!」
ヤケになったのだろう、峰田が頭の玉のようなものを多量に敵たちに向かって、否、海を模した水面に投げ始めた。
ポチャ、パチャ、といろんな水の音を立てながら水面に浮かぶ。
なんてことを、これでは"個性"が敵にバレた。
緑谷はそう思い、次の一手を考え始めようとしたその時。
水面に浮かぶ峰田のもぎった玉を触れようとしない敵達を見た。
敵達は何があるかわからないため、警戒して触らなかったのだ。
「船が沈むまで1分もかからねぇ…水中に落ちりゃ100%こっちの勝ちだ」
「ひあああ確かにいいい!!!」
敵が言ったその言葉に怯える峰田。
「峰田ちゃん、本当にヒーロー志望で雄英に来たの?」
「うっせぇよ!!」
蛙吹が、純粋な疑問を言い放つ。
「怖くない方がおかしいだろうが!!ついこないだまで中学生だったんだぞ!?入学してすぐ殺されかけるなんて誰が思うかよ!!」
至極、当たり前で当然の事だ。
雄英高校にきて、ヒーロー志望だというだけで、彼らはまだ中学から上がりたての15、16歳。
本来ならば峰田のように怯えるのは普通なのだ。
「ああせめて八百万のヤオヨロッパイに触れてから」
「敵が勝利を確信した時が大きなチャンス」
続けていう峰田の言葉を遮って、一言緑谷は呟いた。
「昔、情熱大陸でオールマイトが言ってた」
「緑谷、なにを…」
「勝つには…これしかない!!」
震えながらも、覚悟をしたような表情で緑谷は言った。
峰田にはそれが目に付いた。
「ピーピー喚きやがって。やっぱガキだな」
「おい、油断だけはするな」
相手が子供であろうとも油断はしてはいけない。
歳で見ないで"個性"で見る。この世の中の常識でもあった。
水中なら敵連合の方が有利。油断さえしなければ殺せるという確信が敵連合にはあった。
それ自体が油断だということには彼らは気付かない。
「あああ!!」
突然、緑谷が声を上げながら船から体を乗り出した。
それに気付いた敵連合らはそちらに注目する。
「死ぃねぇぇえ!!」
そう叫びながら船から飛び出す。緑谷らしからぬ、どこか爆豪に似た言動だった。策があるからだ。
緑谷の最大威力の攻撃はSMASH。かなりの広範囲に超攻撃力を誇る一撃だが、腕を犠牲にしてしまう。
たとえそれを放ったとしても船を中心にして円形に陣取られていては敵連合を全員仕留めることは出来ない。
爆豪の性格に似せて大声を出すことで敵連合の意識を自分に集中させ、自身の着水点の近くに敵達を集めたのだ。
「着水してから」
「わーってら」
策は通じたようで、敵たちが集まってくる。
しかし。たとえここを突破できたとしてもまだ敵は沢山いる。
だから腕は犠牲に出来ない。故に緑谷がとった選択は。
「卵が爆発しないイメージ…!!」
中指を親指に引っ掛け、"個性"を発動する。デコピン、だった。
イメージを張り巡らせ、集中し、腕全体に"個性"が発動しないように調整しながら彼は水へと落ちていく。
その体は、未だに恐怖で震えていた。
(震えながら…!オイラと同じくせに!怖いくせに!何で…!何で!!)
峰田も同様に恐怖に体が震えていた。
なのにも関わらず、彼はなぜ行動に起こせたのか、峰田には不可解だった。
「DELAWARE…SMASH!!!」
もうすぐ着水する、というところで力を炸裂させた。
その一撃はまるでそこで爆発が起きたかのように水が爆散し、水面にクレーターを作り上げた。
予測していなかったその衝撃で周りにいた敵連合は驚愕し、動きを止める。
「梅雨ちゃん!峰田くん!!」
その合図で峰田を抱えた蛙吹は船から飛び、舌で緑谷を掴んだ。
緑谷の指は、中指と親指が内側から爆発でもしたのか、というくらいにボロボロだった。
自傷してでも、勝利への活路を拓く。その姿に峰田は悔しさを覚えた。
お前だけかっこいいことしやがって。それが峰田の思いだった。
「うわあああ!!オイラだってええええ!!」
蛙吹に抱えられていながらも頭の玉を、両手でできる限り多く敵たちに投げていく。
当たらないものも多かったが、それは構わなかった。
先程、緑谷は水面に大きな衝撃を与えた。
物理法則だ。水面に大きな衝撃を与えたら、戻ろうとする力が働く。
広がって、また中心に収束する。故に。
「くそっ!引きずり込まれる!!」
「なんだこれ!取れねぇ!」
中心に収束する流れに巻き込まれ、敵達は集合させられる。
そこに、大量の峯田の"個性"がある。敵達は段々、隣の者とひっつき、それがまたほかの敵達とくっつき、を繰り返していき、やがて全員を巻き込み、一網打尽にした。
収束する力のせいで波が水という壁にぶつかり、逃げ場を失って上に、噴水のように吹き上がる。
その隙に蛙吹は2人を抱えたまま泳いで逃げていく。
「とりあえず、第一関門突破って感じね。凄いわ、2人とも」
水難ゾーン 緑谷 蛙吹 峰田
勝利───
上手いこと地の文を書きたいのですが難しいものですね。