僕のヒーローアカデミア ─とある男の物語─(仮)   作:楽園の主

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1話ぶりに彼が出ます。

感想2つ目来ました。嬉しいです。


第11話 ー思い知れ敵ー

水難ゾーンにて勝利を収めた彼らは今、先程いた噴水の辺を目指していた。

くっついた敵達は、峰田によれば一日はくっついたままらしく、放置しても大丈夫のようだ。

緑谷考える。あれで敵が全部だったことは運が良かったと。

考えてみればそうだ。敵の状況を鑑みるに普通なら念の為、水中に何人かは伏せておくべきなのだ。

船は沈没、水中で身動きが取れない2人を抱えた蛙吹が複数の敵から逃げられるかと問われれば怪しいところである。

振り返れば、凄い博打を打ってしまっていた。

油断が敵にあったからこそ成功した一手。知らずのうちに危ない橋を渡っていたのだ。

 

「やめて緑谷ちゃん、怖いわ」

 

考えていたことがブツブツと口に出たらしい、蛙吹がそういった。

 

「次どうするかじゃないかしら」

「そうだね…とりあえず助けを呼ぶことが最優先、このまま水辺に沿って広場を避けて出口へ向かうのが最善…」

「そうね。広間は相澤先生が大勢の敵を引き付けてくれてる」

 

それにしては敵が多すぎる。

相澤先生はもちろん制圧するつもりなのだが、やはり生徒を守るために無理を通して戦っていた。

それに緑谷は今気づいたのだ。

緑谷は相澤先生の方を見て思案する。どうすれば相澤先生の負担を減らせるか、と。

 

「え…?まさか緑谷…バカバカバカ」

「ケロ…」

 

それを2人は心配して見ていた。

 

「邪魔になるようなことは考えてないよ!ただ隙を見て…少しでも負担を減らせればって」

 

初戦闘にして初勝利。それが勘違いの元だった。

彼らの力が敵に通用したんだと、錯覚してしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー土砂ゾーンー

 

「散らして殺す…か」

 

そう呟いたのは轟焦凍だ。

 

「言っちゃ悪いがあんたらどう見ても…""個性"を持て余した連中"以上には見受けられねぇよ」

 

周囲の敵をすべて凍結させた彼は、悠々とそう言い放った。

出入り口付近からワープさせられ、この土砂ゾーンに降り立った瞬間、敵がいることを認識するとすぐに"個性"を発動したのだ。

オールマイトを殺す。その言葉から初見では精鋭たちを揃えているのかと思ったが、蓋を開けてみれば生徒用のコマ、チンピラの寄せ集めのようだった。

実際、精鋭がいたとすれば突然の"個性"発動を予見して離れておくなり対策は立てるはずだ。

それがなかったということは、油断しているタダのコマということになる。

ただ誰も危険なやつがいないわけでなく、轟目線で、本当に危なそうなやつも数人いた。

それを4〜5人いたと仮定すると。

 

「なぁ、このままだとあんたらはじわじわと体が壊死していくわけだが…俺もヒーロー志望。そんなことはなるべく、避けたい」

 

なるべく、を強調して言った。

彼は思った。俺がやるべき事は何かと。

 

「オールマイトが殺せるっていう根拠…策は何だ?」

 

轟は1人、考えたことを粛々と実行に移していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー山岳ゾーンー

 

山岳地帯を模した場所に飛ばされたのは4人。

八百万、耳郎、上鳴、香月だ。

 

「うぅわ!!コエー!!マジ今三途見えたマジ!!」

 

敵の攻撃を避けながら上鳴は叫ぶ。

4人は背中合わせに敵に向かいあっていた。既に囲まれている。

上鳴は何故こうなったのかとパニックになっていたが、それは後回しにして今はこれをどうするか、と八百万に言われたところで段々と平静を取り戻していた。

耳郎と香月も八百万と同じく冷静だった。

 

「つか上鳴。あんた電気男じゃん、バリバリッとやっちゃってよ」

「あのな!戦闘訓練の時見ただろ?ペアだったじゃん!俺は電気を纏えるだけなんだよ!」

 

上鳴電気。"個性"帯電。

高圧な電気を体に纏うことが出来る。放電もできるが、操作を出来る訳では無い。

つまり、ここで放電してしまえば確かに敵は一網打尽に出来るだろうが、それと同時に味方も巻き込んでしまうのだ。

他には特性電子変換無線がコスチュームとしてあるのでそれで助けを呼ぼうにも、今敵がジャミングをしているらしく使えたものではなかった。

 

「いいか!俺は今頼りにならねぇ!3人とも頼りにしてるぜ!!」

 

親指をビッ、と立てながら自信ありげにそう言った。

 

「男のくせにウダウダと…じゃあさ、人間スタンガン!」

 

そう言いながら耳郎は上鳴の背中を強く蹴る。

 

「マジかバカ!!」

 

当然上鳴はその勢いで敵へと突っ込んでしまうのだが、帯電した上鳴に触れるということは即ち感電するという事だ。

その敵は感電した痛みに悲鳴を上げていた。

 

「あ通用するわコレ!俺強え!3人とも!俺を頼れ!!」

「軽いなオイ…」

 

敵を倒せたからだろうか、かなり調子に乗り、軽い発言をする上鳴。

それにカチンと来たのだろう、敵2人が上鳴へと攻撃を仕掛けんと飛びかかってきた。

 

「ふざけてんなよガキィ!!!」

 

片方は腕が長く、鞭のようにしなっており、腕の先端には岩が繋がっていた。

もう片方はコウモリのような見た目をしており、異形型"個性"だと見て取れる。

上鳴に迫る岩に向けて耳郎は"個性"を発動する。

突然、まるで強烈な衝撃を受けたように敵の腕の先端にある岩が砕けた。

岩が砕ければ中にあるのはただの拳。それが上鳴に当たったが大したダメージにならず、逆に電気によるダメージを受けていた。

もう片方のコウモリのような見た目をした敵はというと、既に香月による攻撃を受けていた。

戦闘訓練の時、尾白へと放ったレーザー。それを敵の顔へと放ち、怯んだところに腹に飛び蹴り、さらにくの字に曲がった敵の頭にかかと落としで地に叩きつけた。

 

「ふざけている場合ではないと思うが?」

「二人共!!真剣に!!」

 

香月と八百万は2人に注意をした。

いくら敵が弱かったとしても、油断をしていてはやられることもある。

たとえどんな状況でも真剣に取り組むことは重要だ。

 

「実際、いい案だと思ったんだけどな…」

 

耳郎響香。"個性"イヤホンジャック。

耳たぶから伸びるプラグを指すことで自身の心音を爆音で伝えることが出来、他にも微細な音をキャッチできる。

また、コスチュームである靴にスピーカーがあり、それから音を前へと爆音で放つことが出来る。

それによって彼女は多くの敵を行動不能にしていた。

 

「くっそ!なんだこいつ!!」

「あたんねぇ!!」

 

香月は3人ほどの敵を相手にしていた。

一人はパワー型、さらに一人が細身で長い腕を持つ異形型、もう一人が体から針を出せる発動型。

3人から攻撃を仕掛けられるも全て躱していた。

 

「そらよ!!」

 

パワー型の敵が香月に攻撃できないとわかったのだろうか、近くにいた耳郎に横から攻撃を加えようとしていた。

その攻撃に、耳郎は気が付いていなかった。

瞬間、香月は行動する。

一瞬だった。いつの間にか、その敵と耳郎の間に立っていたのだ。

敵も、耳郎も驚いていた。しかし敵の拳は止まらない。

その拳を、まともに顔面で香月は受けた。手応えに、敵はニヤつく。

 

「香月!!」

「油断は禁物だ」

 

デコに当たったものの、ダメージを受けていない様子で彼はそこに立っていた。

よく見れば打撃された部分のみ小さく障壁を張っていたようで、うまい具合にガードしたようだった。

敵もその一撃で倒せなかったことに苛立ちを覚え、再度攻撃をしようとしたその時だった。

 

「出来た!!」

 

そう言ったのは八百万だった。

その声とともに、香月と耳郎は八百万の元へと集まる。

 

「時間がかかりますの…大きなものを創造(つく)るのは」

 

そう言って、背中から大きなシートのようなものを出し、自身と香月、耳郎の3人を覆う。

敵たちも訳がわかっていなかった。盾のつもりにしては薄いし柔らかすぎる。一体なんのつもりかと。

八百万が知る情報の限り、生徒4人の中で一番範囲攻撃に秀でているのは上鳴だった。

なんとかして、敵のみに電撃を浴びせればかなりの一手だ。

つまり、彼女が創り出したものは。

 

「厚さ100mmの絶縁体シートですわ。上鳴さん」

 

そう言って、シートに完全に隠れた。

 

「なるほど…これなら俺は!クソ強ぇ!」

 

そう言って、強烈なまでの電撃を脅威の範囲で放出した。

群がっていた敵全員を感電させていき、敵達は皆バタバタと倒れていった。

 

「ナイスですわ、上鳴さん」

 

八百万百。"個性"創造。

生き物以外ならばなんだって創り出せる。

それを可能にするのは分子構造まで把握する彼女の膨大な知識。

 

「ふ、服が超パンクに…」

 

大きなものを作り出したからだろうか、八百万の服の大半が破れ、胸部が丸出しになっていた。

 

「…ま…また創りますわ」

「ちょ、香月みちゃダメだから!」

「?なぜだ?」

 

八百万の後ろで背中合わせになっていたため見られる可能性はほぼないのだが、念の為香月の目を抑える耳郎だった。

彼女の状況をわかっていない彼としては訳が分からなかったようだが。

八百万はすぐに服を創造して元の格好へと戻る。

絶縁体シートをどけ、四人は一旦集まった。

 

「うぇ〜い」

 

ちなみに、上鳴は"個性"で電気を使いすぎると脳がショートして著しく阿呆になってしまう。

まともに話すことも出来なくなるのだ。

 

「他の奴らは」

「そうだよね、心配だね」

「合流を急ぎましょう!」

 

そう言って、4人で合流を目指すことになった。

 

「避けろ!!」

 

その時、香月が叫んだ。皆の回避が間に合わないと考えたのだろう、皆をかばうように、動く。

 

「ッ!香月!!」

「香月さん!!」

 

どこからか、5本の黒く鋭い何かが飛来、いや、伸びてきて香月の体へと真っ直ぐに向かっていた───

 

 

 

 

 

 

ー広間ー

 

相澤先生、いや、イレイザーヘッドは大量の敵と相対していた。

まだ敵は残っていたが、敵連合の親玉らしい手のたくさんつけた男がここに来て初めて動き出した。

 

「…23秒」

 

そう言いながらイレイザーヘッドの方へと走り出していた。

 

「本命か」

 

有象無象の敵達よりも危険度の高いだろう手を沢山つけた男に捕縛用の武器を伸ばす。

しかしそれを彼は掴み、捕縛されることを避けた。

 

「…20秒」

 

捕縛できなかったことに舌打ちしつつそれならばとイレイザーヘッドも武器を掴んだ彼へと走っていく。

近くなってきたその時を見計らい、捕縛武器を強く引っ張った。

当然、捕縛武器を掴んでいた男は勢いよくイレイザーヘッドへと吸い寄せられる。

男がイレイザーヘッドへと吸い寄せられる力、イレイザーヘッドの走っている力。

二つのエネルギーを使い、肘打ちを男の腹へと叩き込んだ。

 

「動き回るから分かりにくいけど、髪が下がる瞬間がある」

 

男は、怯まなかった。

イレイザーヘッドの放った肘打ちを、捕縛武器の持っていない方の手で防いだのだ。

 

「ワンアクション終える毎にだ。そしてその間隔はだんだん短くなっていってる」

 

イレイザーヘッドは肘に痛みを覚えた。

 

「無理をするなよイレイザーヘッド」

 

ボロボロ、と肘がまるで砕けたように表皮がバラバラになっていく。

咄嗟にイレイザーヘッドは逆の手で男の顔面を殴り、転倒させて距離をとる。

確認してみると、やはり肘が崩れていくように傷を受けていた。

どうやら奴の"個性"は手に持ったものを崩れさせる"個性"なのだろう。

距離を取った先にいた敵からの攻撃を避け、さらに敵との交戦を続けていくイレイザーヘッド。

 

「その"個性"じゃあ長期決戦は向いてないんじゃないか?…普段の仕事と勝手が違うんじゃないか?…君が得意なのは奇襲からの短期決戦じゃないか?」

 

転倒した男が、ゆっくりと立ち上がっていく。

 

「それでも真正面から飛び込んできたのは…生徒に安心を与えるためか?…かっこいいなあ、かっこいいなあ」

 

君の悪い話し方で、そう言っていた。

 

「ところでヒーロー」

 

わざとらしくなにか思いついた風にそう、聞こえるように言った。

 

「本命は、俺じゃない」

 

そう言った瞬間、イレイザーヘッドの後ろに敵が1人、ぬう、と現れる。

巨大で、おぞましい風貌だった───

 

 

 

 

 

 

ー出入り口付近ー

 

「13号…災害救助で活躍するヒーロー。やはり戦闘経験では一般ヒーローと比べて半歩劣る」

「「「先生!!!」」」

 

黒い霧の男と13号先生は戦っていた。その結末は意外にも早くついた。

 

「自分で自分を塵にしてしまった」

 

決着をつけようと13号先生が距離を詰めたその時、黒い霧の男は13号先生の真後ろにワープゲートを設置、ブラックホールを13号先生の背に当てたのだ。

戦闘経験の少ない13号先生ではその手を予測できず、甘んじて受けることになった。

それを見て、また飯田の足が止まる。

彼の身を案じた。そして自分の速さなら助けれるのではないかと迷った。

 

「飯田ぁ!!走れって!!」

 

迷いはあった。でも、駆け出さないわけにも行かない。飯田はまた走り出す。

 

「教師達を呼ばれるとこちらも困りますので…」

 

その飯田の目の前に黒い霧の男が現れる。そのまま走ればどことも分からない場所に飛ばされてしまう。

 

(皆を!僕が!任された!クラスを!!僕が!!!)

 

思考がまとまっていなかった。目の前の男の出現に冷静を保つことが出来なかった。

このまま終わりか、と思われた。しかし。

 

「行け!!早く!!」

 

黒い霧を、障子目蔵が腕を広げ、皮膜をうまく使うことで自身の中に閉じ込める。

密閉できているわけでもないのですぐに出てきてしまうが、飯田が走り出すだけの時間は稼げた。

 

(皆!!待っててくれ!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー広間ー

 

水辺にいた緑谷、蛙吹、峰田の顔が絶望の色に染まる。

現れた敵に、ものの一瞬で、イレイザーヘッドが倒されてしまったからだ。

後ろに現れた敵の巨腕に掴まれたイレイザーヘッドの腕は折れ、ありえない方向に曲がっていた。

 

「対平和の象徴 改人 "脳無"」

 

敵。プロの世界。

彼らはまだ、何も見えちゃ居なかった───




この先の展開に悩み中の梓さんです。
どうしよう。
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