僕のヒーローアカデミア ─とある男の物語─(仮) 作:楽園の主
なぜでしょうか?誰か同じだよって人いませんか?
いませんね。
本編どうぞ。
2021.8/4 加筆修正
"淡い、黒い光"から"毒々しい瘴気"に変更
ー倒壊ゾーンー
ここへ飛ばされた人間は2人。切島と爆豪だ。
しかしながら会敵後、爆豪の圧倒的な攻撃力、切島の耐久力にて敵を既に行動不能にしていた。
爆豪は呆れたように弱いなと呟いていたほどだ。
「っし!じゃあみんなを救けに行こうぜ!」
そう言ったのは切島だ。
自分たち2人がこのUSJ内にいることから皆もいると考えたのだ。
もし外へと転送するつもりならば攻撃力が高かったり厄介な"個性"だとわかっている2人を遠くへと転送するはずだ。
だが彼らはUSJ内にいた。遠くに転送できないのか、そのほかの理由かは分からないがそれが予想を裏付けている、と切島は考えた。
彼は責任を感じていたのだ。
皆が飛ばされる前。爆豪と切島は黒いモヤの男に飛びかかっていった。
もし、仮に自分たちが先走っていなければ13号先生は後手に回ることなく、敵のモヤを吸えていた可能性がある。
要は、自分たち二人、いや、自分のせいで皆を飛ばしてしまったと。
だから、せめて自分が攻撃能力の低い"個性"をもつ皆を助けに行こうとしているのだ。
「行くなら1人で行け。俺はあのワープ野郎をぶっ殺す!!」
「はぁ!?」
爆豪は切島の提案を拒んだ。
黒いモヤの男、彼の"個性"は分かる通りワープだ。
彼の自由を許してしまえば味方が散らされるだけでなく、さらに敵を呼び寄せる可能性もあるし、敵が劣勢になった時、逃げられる可能性もある。
移動が自在となるだけで相手には大きなアドバンテージを与えてしまうことになる。
それを先に行動不能にすることで、敵に制限をかけ、こちらをさらに優勢に持っていこうと言うのだ。
「でもよ、あいつには攻撃は…」
「対策もねぇわけじゃねぇ」
彼にはなにか思い当たることがあったようだ。
(ぺちゃくちゃだべりやがって!!)
その時、背後に敵が忍び寄る。
爆豪に背に向けて持っていた刃物を突き立てようとした。
(その油断がッ!)
しかし、背を向けているはずの爆豪は容易にそれを避け、敵の後頭部を持ったまま地面に叩きつけながら爆発させる。
「つーか、生徒に充てられたのがこんな三下なら大概大丈夫だろ」
爆豪なりに仲間を信じていた。もちろん自分よりは下ではあるが、こんな三下にやられるクラスメイトではないと。
「…つーかお前そんな冷静な冷静な感じだったか?」
いつもと雰囲気が違うと思った切島。
「俺はいつでも冷静だクソ髪野郎!!!」
「ああ、そっちだ」
いつも通りの返答が帰ってきて少々安堵する。
「じゃあな、行っちまえ」
「待て待て!ダチを信じる…男らしいぜ爆豪!ノったよおめぇに!!」
二人は急ぎ向かう。未だ戦闘の行われている、やつのいる。その場所へ。
───────
ー山岳ゾーンー
「おぉッ!!」
庇うように動いたその時、ぐっと左腕を構え、伸びてきた5つの黒い何かを対して裏拳を叩き込んだ。
バキ、という音を立ててそれを砕き、攻撃を防ぐことができた。
叩き割った拳に傷がないことから恐らく"個性"で拳を補強していたのだろうと分かる。
「いやはや、驚きましたな。まさか第一陣が全滅、それに加え不意打ちまで効かないとは」
岩陰から姿を現した、1人の敵。その手元から先程香月を攻撃した5本の黒い物が伸びていた。それがだんだんと元に戻っていく。
「香月!大丈夫?」
「うぇい…」
「まだいましたのね…不覚…!」
八百万は敵を見ながら後悔していた。
目に見える集団を倒しただけですべて倒したと安心しきってしまったのだ。
少し考えればまだいるということも考えうることだったのに。
男の後には少ないながらも手練に見える敵が数人いた。数は少ないが、第2波、というわけだ。
「問題は無い。すまない、油断した」
「いや、ウチらも油断してた。ありがと!」
そう言いながら敵の方を向く。
先程よりも数は少ないが、広範囲攻撃の可能な上鳴が戦闘不能な以上先ほどのような短期決戦は望めない。
「…おや、あなたはリストにあった…"No.0"、ですか」
ああ思い出した、と言ったふうに香月のことを指で指しながらそういう。
ぴく、と。彼が反応した。
「お前ら、下がってろ」
3人の前に出て、敵から目を離さずに彼はそう言った
3人としてもクラスメイトを敵らの渦中においてただ見ているというわけにはいかない。
戦うのであれば自分も戦う、ヒーローの卵として。
「香月だけには任せらんないって!ウチらだって…」
「巻き込まない自信は無い」
彼は言葉を遮って、そう言った。
「おや、格好いいですねぇ…たった一人で何ができるか、という話ですが」
「そのたった一人に、お前らはやられるさ」
敵の発言にそう返す香月。
耳郎は敵から目線を外し、彼の方を見る。その時、彼の顔が視界に入り、その表情を見た耳郎は少しだけゾッと恐怖を感じた。
眉間に強く力が込められており、明らかに怒りを含んだ表情。
火山が噴火したかのように、我慢していたそれが爆発したかのように。
いつもとは違う、彼の顔。
「手加減はしない…頼むから、1人でやらせてくれ」
静かに、3人にそう告げる。その言葉に、3人は何も返せなかった。
「後悔させてやろう。ここへ来たことを…それを口にしたことを」
瞬間、重苦しい威圧感を発した。まるでここだけ空気が変わったかのような重圧。
それと同時に、ユラ、と彼の体から毒々しい、暗い紫色の瘴気を発し始めた。瘴気が虚空へ消えていく。
それは敵たちの恐怖を呼び起こした。
近くにいた3人も例外ではなく、気圧され、冷や汗が流れる。
怒れる男が、歩みを始めた。
────
ー出入り口付近ー
「くっ!」
「ちょこざいな…外には出させない!」
飯田が出入り口へと走り、黒いモヤの男が追いかける。
飯田が外へ出れば敵達は終わり、黒いモヤの男が飯田を捉えれば生徒達の危機。
2つの可能性がせめぎ合っていた。
その時、黒いモヤの男が最初に生徒達を拡散させた場所にいた麗日がふと、なにかに気づく。
飯田のためになにか援護はできないか。そう思っていた矢先に気づけたことだ。
麗日は走り出す。
「麗日どうしたの!?」
「みんなアレ!!」
指した先は、黒いモヤの発生地点だった。
黒いモヤの中心あたりだろうか。服が見えていた。
その間も飯田と黒いモヤの男の攻防は続く。
(自動ドア!蹴破るか!?蹴破れる厚さか!?)
蹴破れるなら開くのを待つよりもそちらの方が速い。が、もし分厚いならば勢いよく足を叩きつけることになり、"個性"である足が損傷してしまう。
飯田は判断を焦るからこそ気づけていないが、もちろんこんな重要な施設だ、扉は厚いだろうが。
扉へ到着する、とその時。
「生意気だぞメガネ…!消えろ!!」
黒いモヤが飯田に追いついた。飯田が、黒いモヤに包まれる。かと思われた。
スカッ
「「!?」」
なにかに引っ張られるように黒いモヤが上へと動いた。
黒いモヤの男の自身の意思ではない。麗日だ。
「理屈は知らへんけどこんなん着とるなら実体はあるってことじゃないかな…!!」
黒いモヤの中心あたりにあった服。それを引っ張っていた。
「行けええええ!!飯田くーん!!!」
そのまま、"個性"を発動させつつ斜め後ろ上空へと放り投げる。
麗日の"個性"が発動してふわふわと浮かび始めた。
(しまった…身体を!!)
黒いモヤの男の"個性"はそれでワープさせられることだが、おそらく身体を中心にモヤを飛ばせる範囲が決まっているのだろう。
それが真なのであれば飯田から身体が離れてしまった今、飯田には届かないということ。
しかし、彼は彼自身をワープさせることも出来る。
自身を"個性"で包もうとしたその時。
服にぴたり、と何かが貼り付いた。そして、体は飯田から遠い場所の地へと叩きつけられる。
「行け!!!」
瀬呂範太と砂藤力道だ。"個性"で粘着性のテープを宙に浮く彼の体へ貼り付け、砂藤の"個性"で力を上げ、地へと叩きつけた。
時間と距離は稼いだ、あとは飯田が外へ出るだけ。
敵とてただでは見逃さない。自身を転移して追おうとするが。
ーガタンー
飯田が扉に手をかけ、外へと走って行った。
(応援を呼ばれる…ゲームオーバーだ)
転移の"個性"をもつ彼はそう考えたあと、自身を転移させてどこかへと行ってしまった。
残された生徒達は13号先生を気につつ周囲を警戒。
それでいながら、飯田が外に出たことで応援が来る、と内心少しだけ安心感を覚えていた。
─広間─
「"個性"を消せる。素敵だけどなんてことは無いね」
脳無と呼ばれた大男はイレイザーヘッドの折れていない方の腕を、小枝を折るように、パキリと折る。
「圧倒的な力の前では、ただの"無個性"だもの」
イレイザーヘッドの"個性"は分かる通り"抹消"。
体の一部でも見れば"個性"を封じることが出来る。
もちろんそれを彼は行使していた。しかし、その強大な力を封じることが出来なかった。
つまり、素の力でこれだ、ということだ。
脳無はイレイザーヘッドの頭を軽く持ち上げ、地に叩きつけた。
「緑谷ダメだ…流石に考え直しただろ…?」
湖の中に身を隠している峰田達。
峰田は恐怖によってガタガタを身体を震わせながら緑谷を説得。
緑谷も、目の前の圧倒的な力に絶句。
そんななか、主犯格であろう男の隣に転移の"個性"をもった男が転移して来た。
2人は何かを話している。脳無は指示がなければ動かないのか、イレイザーヘッドを拘束したまま動かない。
転移の男が何かを言ったあと、主犯格であろう男はイライラした風に首筋をガリガリと掻いていた。
おそらく、生徒を1人逃したことを報告されたからだろう。
「流石に何十人ものプロヒーロー相手じゃ敵わない…ゲームオーバーだ。あーあ…今回はゲームオーバーだ」
首筋を掻くのをやめ、項垂れる。
「帰ろっか」
その言葉は、小さいながらも緑谷達に届いた。
峰田は大いに喜び、蛙吹に抱きつく。蛙吹はそれくらいなら許すつもりだったが…
ーふにー
峰田は胸を揉もうと蛙吹の胸部に手を当てた。
それに気づいた彼女は峰田を湖に沈めつつ、緑谷と考えを共有する。
「気味が悪いわ、緑谷ちゃん」
「うん…これだけのことをしておいて…あっさりと引き下がるなんて」
2人には理解ができなかった。
もしここで引き下がってしまったら余計に雄英高校の危機意識を高めて次の襲撃は困難になるだろう。
こいつらは何を考えているのか。それを考えていると。
「けどもその前に、平和の象徴としての矜恃を少しでも…へし折って帰ろう!」
瞬間、主犯格であろう男はいきなり緑谷達3人に襲いかかった。
あまりにも突然の出来事で3人は反応しきれていない。
男の腕は蛙吹に伸びていく。緑谷は先程の、イレイザーヘッドの肘が崩れた瞬間を思い出した。
掴んだものを崩壊させる"個性"。それが蛙吹の頭部を捉えようとしていた。
3人は反応できず。蛙吹の顔に男の腕がひたりと当たる。
しかし、崩壊は始まらなかった。
「…本っ当かっこいいぜ、イレイザーヘッド」
脳無に捕えられながらも、傷だらけの体にムチを打って体を起こし、男を"視ていた"のだ。
(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!)
その隙に緑谷は水面から飛び出し、拳を振り上げて男へと向かっていく。
(さっきまでの敵とは明らかに 違う!! 蛙吹さん!! 助けて 逃げ…)
考えは、まとまっていない。しかし体は動いた。
「手っ…放せぇ!!」
無我夢中で"個性"を発動。全力で拳を振り抜いた。
攻撃は当たった。攻撃の反動で腕の骨が折れるはずが折れていなかった。
こんな時に力の調整ができた。上手くSMASHが、決まった。
かと、思われたが。
目の前に脳無が立ちはだかり、緑谷の拳を腹で受け止めていた。
ダメージは、ない。
(いつの間に… 速っ… というか 効いてない…!!)
その時、緑谷は蛙吹の言葉を思い出した。
"殺せる算段があるから、連中こんな無茶してるんじゃない?"
まさか、目の前にいる敵はオールマイトに匹敵するのではないか。
そんな考えが緑谷の頭をよぎった。
「スマッシュって…オールマイトのフォロワーかい?…まぁいいや」
脳無は緑谷に襲いかかり、主犯格であろう男は蛙吹に攻撃を継続。
蛙吹は緑谷を助けんと舌を必死に伸ばしていた。
緑谷と峰田は、動けない。
その時。
─バァン!!─
扉を破壊した音が響いた。その音に、皆は動きを止める。
「もう大丈夫」
その先には、男。
「私が来た」
怒りに打ち震える平和の象徴がそこにいた。生徒の心に光が指した。
「あー…コンティニューだ」
そして敵は、撤退の文字をかき消した。
毎回少し短いかなと思いながらもまぁいいかって思って投稿してます。
色々待ってます〜