僕のヒーローアカデミア ─とある男の物語─(仮)   作:楽園の管理者

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だいぶ遅めの投稿になります。そして短め。
ほかの作品も投稿してないだけで色々書いてたりします。
書いた作品とある友人と送りあったりしてます。
気が向いたら投稿するかもしれません。


第15話 ─各々の胸に─

敵連合の残党は増援のヒーロー達で全員撃破。1人ずつ捕縛されていっていた。

そんな中、生徒達は安否確認を急ぐ為か、外のゲート付近に集合させられていた。

 

「17、18、19…両足重症の彼と、重体の彼を除いて生徒はほぼ無事か」

 

皆、神妙な面持ちだった。そんな中、1人発言した者がいた。

 

「相澤先生は…」

 

蛙吹だった。目の前で、攻撃を受けているところを見た彼女は相澤先生が心配だったのだ。

相澤先生は両腕粉砕骨折に顔面骨折、という大怪我を負ったものの脳系にダメージは幸いなかった。

ただ、眼窩底骨が粉々になっており、命に別状はないものの目に何らかの後遺症が残る可能性があるらしい。

13号先生については背中から上腕にかけて裂傷が酷いものの命に別状無し。

また、オールマイトも同じく命に別状無し。彼に関してはリカバリーガールの治癒で事足りるとのこと。

 

「デクくん…」

「緑谷君は…!?」

 

麗日と飯田だ。緑谷についてもオールマイトに同じく両足を骨折しているもリカバリーガールの治癒で事足りる程度。

それを聞いて2人は安心した。

 

「香月!香月はどうなんすか!?」

「あいつ、すごい、血だらけで…」

 

上鳴と耳郎だった。彼らは中央広場へ向かっていたが、到着する頃には既に全てが終わっていた。

安否確認にゲートへ向かう途中、担架で運ばれていく香月を目にしていたのだ。

 

「…今、病院に向かっているそうだ。重体らしい」

 

詳しいことは伝えられなかったが、輸血は間に合ったらしく、今のところ瀕死の重体だが、助かるとのこと。

その後、簡単な事情聴取を終えて皆は更衣室へ。

この日はもう、皆は下校することになった。襲撃があったのだ、当たり前だった。

そして、運ばれた香月はと言うと。

病院に香月が運ばれてきた時、医者達は血が足りないということは伝えられていたためまずは輸血。

吐血をしていたということから体の内部にダメージがあると考え、検査をしたところそのような兆候は見えるものの目に見えて治癒していっていたという。医者も驚くほどの治癒能力で大事には至らなかった。

回復はしたが医者は暫く入院して様子を見ることを進めた。しかし香月はそれはを拒否。当日の夜に退院、彼は自宅へと帰った。

さらにその翌日も臨時休校となった。

しかし、誰一人として、気を休めれた者はいなかった。

そして、学校の日。

 

「香月くん!?もう大丈夫なのか!?」

「ああ、問題ない」

 

クラスの過半数が教室にいるくらいの頃に香月は平然と学校へやってきた。

皆は心配する。"重体だ"と言われていたからだ。

 

「本当に大丈夫なのか?香月」

「問題ないって言っているだろう?なんてことは無いさ」

 

クラスメイトのほとんどが集まる中、数名、皆よりもさらに心配そうに声をかける人たちがいた。上鳴、耳郎、八百万である。

香月が自分たちから離れた時、あの時に止めていられればこうはならなかったのでは無いのだろうか、と気に負っていたのだ。

 

「お前達がいてもいなくても、俺は同じ手を使った。気に負わないで欲しい」

 

そうは言っても、と3人はバツが悪そうな顔をしていたが言葉ではありがとうと言っていた。

もちろん、なんとなく納得していないのも香月は気付いていた。

わざわざ触れるほどでもないとそれをスルーしてまた皆と会話。

その後、しばらくすると他の生徒も教室にやってくる。

 

「皆ー!!朝のHRが始まる席につけー!!」

「着いてるよついてねーのお前だけだって」

 

飯田がクラス委員長として言ったことを誰かが突っ込む。いつも通りの朝だ。

みなも思うところはあるものの、いつまでも思いつめていても仕方が無いと思ったのだろう、日常を取り戻そうとしていた。

そしてしばらくすると。

 

「おはよう」

「「「「相澤先生早ええええ!!」」」」

「ご無事だったのですね!!」

「無事言うんかなぁアレ…」

 

プロすぎる!という声も上がった。

包帯でぐるぐる巻きにされていたが、教師としての活動はなんとか復帰出来たようだ。

無事、というのかどうかは不明だが。

 

「俺の安否はどうでもいい。何よりまだ戦いはまだ終わってねぇ」

 

真剣な雰囲気で、そう言う。まさかまだ敵がいるのか、とそう思う者が数名。

しかし、それは否であった。

 

「雄英体育祭が迫っている!」

「「「「「「クソ学校っぽいの来たぁぁぁ!!」」」」」」

 

雄英体育祭。日本のビッグイベントの一つだ。

かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ、全国が熱狂した。

今は"個性"の発生により規模も人口も縮小し、形骸化。

そして日本に於いて"かつてのオリンピック"に代わるのが雄英体育祭だ。

一般の客はもちろん、プロのヒーローも雄英体育祭をスカウト目的で観に来るのだ。

生徒としても、外せないイベントである。

敵に侵入されたのに、大丈夫なのか?という質問もあった。

それについて学校側としては、逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す、という方針。

警備は例年の5倍にする。

そしてなにより、生徒達の最大のチャンスでもあるからだ。

中止にするわけにもいかないわけだ。

 

「当然、名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる」

 

会社でも、大きな会社が何かをすれば目立つ。

それと同じく、ヒーロー事務所も名があればあるほど注目される。

要請も多く入るだろうし、業績も積みやすいのだ。

つまり、プロに見込まればこの地点で未来が拓ける、と言っても過言ではない。

 

「年に一回、計3回だけのチャンス。ヒーローを志すならば絶対に外せないイベントだ!」

 

このチャンスを掴みきれず、名があるとはいえない事務所に行ってしまうことで独立しきれず、万年サイドキック─雇われ弁護士に近い─になってしまうものも多い。

皆に、緊迫した雰囲気が広がる。

相澤先生の話はそこまでで終わり、その後1限目に突入した。

授業は恙無く進み、4限目まで終了し、昼休みになった。

 

「あんなことはあったけど…テンション上がるなオイ!!」

 

USJにて敵の襲撃は受けたもののやはり雄英体育祭は燃えるというもの。

相澤先生が言っていたように、活躍して目立てばプロへの大きな一歩を踏み出せる大チャンス。

誰一人として、燃えていない者はいなかった。

麗日も、そのうちの一人。

 

「頑張ろうね、体育祭」

「顔が全然うららかじゃない!!」

 

眉間にシワが寄り、いつもの表情はそこになかった。

決意の表れだろうか。

 

「皆!私!!頑張る!!」

「おおー!けどキャラがふわふわしてんぞどうした!?」

 

決意の表明の後、昼食をとるために緑谷、飯田、麗日に香月は食堂へと向かっていた。

その時、緑谷は麗日のヒーローを目指すきっかけを聞いていなかったことを思い出した。

それを、道中に聞いていた。

 

「お金が欲しいからヒーローに?」

「うん、まぁ、究極的にいえば…」

 

そう、麗日は言った。

 

「なんかごめんね不純で…飯田くんとか立派な動機なのに私恥ずかしい…」

「何故!?生活のために目標を掲げる事の何が立派でないのだ!?」

「うん…でも、意外だね…」

「まぁ、そうなるな」

 

麗日の実家は建設会社をしている。だが、実際のところ仕事は少なく、貧乏な節が多いという。

だが、もし麗日が"個性"の許可を得てそれを使えば、建設にあたって資材を運ぶコストが0になるのだ。

父と母を助けたいが故に、そこへ就職すると決めていた麗日だったが、父と母はそれを断った。

父と母は、気持ちは嬉しかったがそんなことよりも麗日自身の夢を叶えてもらうことの方が嬉しいのだ。

 

「だから…私は将来ヒーローになってお金稼いで、父ちゃんと母ちゃんに楽させたげるんだ」

 

決意であった。そこにいた3人はそれを賞賛した。

緑谷は次に香月のことを聞こうとしたが、その時。

 

「おお!緑谷少年が!いた!!」

 

そう言いながらオールマイトが現れた。

 

「ご飯…一緒に食べよ?」

「ブファッ!!乙女や!!」

 

お弁当をもって緑谷にそう言うオールマイトに対して麗日は吹き出すように大笑いした。

ぜひ、といって緑谷はオールマイトについていった。

場に残された3人は引き続き食堂を目指す。

 

「ところで、デクくんなんだったんだろね」

「超絶パワーも似ていることからオールマイトに気に入られてるのかもな」

「確かに、飯田の言うことに同感だ」

 

その後、食堂にて注文を終わり、食事をしている時のこと。

 

「香月くんの"個性"、結局全貌が見えないな」

「本当やー、玲ちゃん教えてくれないしね」

「…?ちゃん?私は女ではないぞ」

「まぁまぁ、なんとなくだよー」

 

そんな話があったとか。その日の、放課後。

皆が帰ろうとした時、事件は起こった。

 

「何事だあ!!?」

 

ドアから出て帰ろうとした時、そこには人だかりができていた。

クラスや学科を問わず、大量に人で、まるで壁のようにそこにいた。

敵情視察だった。敵の襲撃を耐え抜いた連中、体育祭の前に見ておきたかったのだろう。

 

「意味ねぇからどけモブ共」

「知らない人のことをモブと呼ぶのはやめよう爆豪くん!!」

 

爆豪が皆に言い放つ。それに対して注意をする飯田。

そして、その言葉を聞いた一人の男は声を上げた。

 

「どんなもんかと見に来たけど、随分偉そうだなぁ。ヒーロー科ってみんなこんななのかい?」

 

人混みをかき分け、前に出てきた。普通科の男だった。

 

「こういうの見ちゃうと、幻滅するなぁ」

 

彼は言う。

普通科の人たちにはヒーロー科を落ちたから普通科に入ったって人達は意外と多い。

体育祭のリザルトによってはヒーロー科の編入も考える方針を学校は持っている。

また、その逆もまた然りと。

 

「敵情視察?少なくとも普通科(おれ)は…調子乗ってっと足元ゴッソリ掬っちまうぞって、宣戦布告しに来たつもり」

 

大胆不敵に、そう言った。

それについて何かを言う前に、また一人の男が出てきた。

 

「俺は隣のB組のモンだけどよォ!!敵の襲撃を受けたって言うから話聞こうとしてきてみればエラく調子づいてんじゃねぇか!!本番で恥ずかしいことになんぞ!!」

 

同じヒーロー科の隣のクラスの男だった。

たった一言だったが、爆豪の発言で大いにヘイトを集めてしまった。

皆に、これについてA組からも発言を受ける。

だが、爆豪は言う。

 

「上に上がりゃ関係ねぇ」

 

その発言に、さらに燃え上がるものもいた。

参加種目の決定、それに伴う個々人の準備。

2週間はあっという間にすぎた。

 

そして、雄英体育祭、本番当日。

 

雄英高校の正門では多くの人間が群がっていた。

一般の客はもちろん、報道陣まで多くの人間が押し寄せる。

例年まではラストチャンスにかける情熱や経験値からなる戦略などで3年ステージが注目されていたのだが、今回に関しては1年ステージも大注目だった。

警備に呼ばれたヒーローもそれは同じだったのだが、警備に呼ばれたことを悔やんでいた。

1-A控え室にて。

 

「みんな準備は出来てるか!?もうすぐ入場だぞ!」

 

皆、体操服を身にまとってその時を待っていた。

コスチュームに関しては公平を期すために着用不可。

故に皆体操服なのだ。

 

「緑谷」

「轟くん…何?」

 

突然、話しかけられた緑谷。何事かと身構える。

 

「客観的に見ても、実力は俺の方が上だと思う」

「へ!?う、うん…」

 

この時点では全く意図がわからない。

しかし、それの意味がこのあとわかった。

 

「お前、オールマイトに目をかけられてるよな?」

「!!」

「別にそこを詮索はしねぇが…お前には勝つぞ」

 

オールマイトに目をかけられていることから、彼に対抗心を燃やしたらしい。

 

「おお?宣戦布告か?」

「突然喧嘩腰でどうしたんだよ?直前にやめろって…」

「仲良しごっこじゃねぇんだ、なんだっていいだろ」

 

緑谷は、それに対して返答する。

それは轟の方が上だ。実力なんて大半の人には叶わない。客観的に見てもわかる。

しかし、ヒーロー科だけでなく、普通科の人もみんな本気でトップを狙っている。

自分だって遅れをとる訳には行かない。

だから──

 

「僕も、本気で獲りに行く!!」

 

緑谷の意思も硬かった。そして、その時はやってきた。

 

「1年ステージ生徒の入場だァ!!」

 

そのアナウンスとともに、彼らは入場した。

ついに、雄英体育祭が始まる───




とりあえず楽しくかけたらいいかなって思います

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