僕のヒーローアカデミア ─とある男の物語─(仮) 作:楽園の主
でも最近は他のものも書いてるので遅くなりがち。申し訳ないという気持ちは欠片ほどある。
でも自由に書いていきます。
雄英体育祭。ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル。
「どうせてめぇらアレだろこいつらだろ!?」
プレゼントマイクの声が全体に響く。
「敵の襲撃を受けたのにも関わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!」
大袈裟な説明だった。観客を沸かせるためだろうか。
「ヒーロー科!!1年!!A組だろぉぉ!!?」
ただでさえ大きな歓声がさらに大きくなる。やはり、A組の注目はかなり高いようだ。
また、クラスの数名が驚いたのは観客の人数だ。
多い多いと理解はしていたが実際の生徒として見るとかなり多く見えた。
大人数に見られる中、最大のパフォーマンスを発揮出来るか。
それも、ヒーローとしての素養を身につける一環なのだ。
その後も続々と生徒達が入場していく。
しかし、普通科の人間達の大半はモチベーションが低かった。
ヒーロー科の引き立て役だ、なんていう思いがあったからだ。
皆が会場に整列していく。
「選手宣誓!!」
そういって壇上に立つのは18禁ヒーロー"ミッドナイト"だ。
なぜ校長ではないのか、というと校長は例年から3年ステージに出ているからだ。
それは今年も例外ではない。
なお、高校生の体育祭に18禁ヒーローが出ていいのか、ということはツッコミ禁止である。
「選手代表!ヒーロー科1-A、爆豪 勝己!」
選手宣誓には合わない人間だ、と数名は思った。
しかし爆豪はヒーロー科の入試で1位を獲得している人間。
成績だけ見れば、これ以上に適材はいない。
「せんせー。俺が1位になる」
その言葉に他の生徒全員からブーイングが飛び交う。
それ全てに対して、たった一言。
「せめて跳ねのいい踏み台になってくれ」
と、そう言いつつ首を切るようなハンドサインをする。
みな、いつもの挑発や、他を見下したような発言かと思っていた。
しかし、幼なじみの緑谷だけはわかった。
自分を追い込んでいるのだ、と。
以前の彼ならば笑ってそう言うが、笑顔の欠片もなかったことから、そうだと考えついた緑谷だった。
「さーて!早速第1種目と行きましょうか!」
ピシャ、とミッドナイトが手に持つムチを叩くと、モニターに光が灯る。
「雄英って何でも早速だね」
そんなツッコミを麗日はしていた。
さておき。
第1種目はいわゆる、予選である。多くの生徒が毎年ここで涙を飲む。
実力のあるものをここでふるいにかけるのだが。注目のその競技は。
「これよ!!」
モニターには障害物競走、と表示されていた。
計11クラスの総当りレース。コースはこのスタジアムの外周4キロ。
雄英高校は自由が売り文句。コースさえ守れば何をしても構わない。
そういうルールだった。
皆が前へ前へとスタート地点のゲートに並ぶ。
香月に関しては、前集団よりも1歩引いたところにいたが。
「スタート!!!」
その言葉と共に、皆一斉に走り始める。
なお、外へと続くゲートは狭い。つまり、スタート地点が既に最初のふるいというわけだ。
前の方でいち早く前に出なければ人の波でなかなか動けず、先頭集団とかなりの距離を離されてしまう。
なお、先頭にいたのは轟だ。
この障害物競走は何をしてもいいというルール。
轟は地面を凍らせて後続妨害し始めた。
地面が凍っていく、それに巻き込まれたものは足が凍り、走行が不可能になっていく。
それは壁ともなり、さらに後方の者達の足止めも兼ねていた。
しかし。
「甘いわ轟さん!!」
「そう上手く行かせねぇよ半分野郎!!!」
前の方にいたヒーロー科1-Aの皆はそれを回避。
同じくB組の人達など、轟が思うよりも多くの人間に避けられた。
そんな中。
「地獄絵図だな」
香月は悠々と皆の隙間を走って抜けていた。
そして、第1の関門が現れる。
障害物競走なんだから、障害物がなければ競技として意味を成さなくなる。
「さぁ障害物だ!まずは手始め、第1関門ロボ・インフェルノ!!」
入試の時の大小様々な仮想敵。あの時は0Pとして出てきたとてつもなく大きなロボも所狭しと並んでいた。
先頭に立っていた轟は思う。
せっかくなら、もっとすごいやつを用意して欲しかった、と。
─パキ─
そんな音ともに中央直線の仮想敵を完全に凍結。動きを封じた。
轟はそれの足元を走って通過。それに乗じてほかの人間も通ろうとしたが。
「不安定な体勢ん時に凍らしたから…倒れるぞ」
─ガシャアン!!─
音を立てながらいくつも仮想敵は倒壊。後続を妨害することとなった。
攻略と妨害を1度に行って1抜け。
轟は雄英高校の数少ない推薦枠を勝ち取った1人。
さすが、というところである。
この障害物競走は至る所にカメラが仕掛けられており、その様子を中継で会場に知らせる。
轟の行動は、ヒーロー達の心を動かせたのだろうか。
「おい!誰か下敷きになったぞ!」
「死んだんじゃねぇか!?」
「死人出んのかよこの体育祭!?」
後続の皆がざわざわとざわめく。
バキ、バキ、と音を立てながら何かが倒壊したロボから出てくるような音がする。
「死ぬかぁー!!」
そう言いながらボコン、と大きな音を立てながら瓦礫の上へ出てきた。
「1-A切島潰されてたー!!」
それを見ていたプレゼントマイクが笑いそうになりながらそう言う。
「轟のヤロウ!わざと倒れるタイミングで…俺じゃなかったら死んでたぞ!」
切島鋭児郎。"個性"硬化。
体がガチガチに硬化する。その際、指などが鋭くなる。
最強の矛にも盾にもなる。
単純ながら、極めれば強い"個性"である。
「A組のヤロウは本当に嫌な奴ばかりだな…」
その時、切島の横で再びバキ、と音がした。
「俺じゃなかったら死んでたぞ!!」
そう言いながら切島と同じように瓦礫から出てきた男がいた。
「B組の鉄哲も潰されてたー!これはウケる!!!」
先日、人混みの中にいた男の1人、B組の鉄哲 徹鐵である。
鉄哲 徹鐵。"個性"スティール。
体を鋼のように変化させられる。最強の矛にも盾にもなる。
2人の"個性"はとても似ていた。
「"個性"ダダかぶりかよ!!ただでさえ地味なのに!!」
彼らはそのまま、また走り出した。
1位になる。そう宣言した爆豪はというと。
(先行かれてたまるかよ)
爆豪は"個性"の爆破で仮想敵達の上を行くことを選択した。
両手の爆発をバーニアのようにして器用に飛び上がり、仮想敵達の頭上を飛び越えていく。
「1-A爆豪!下がダメなら頭上かよ!!クレバー!!」
実況が流れると、彼に注目が集まる。それに便乗した者がいた。
「お前こういうの正面突破しそうな性格してんのにな!避けんのね!」
「便乗させてもらうぞ」
瀬呂 範太と常闇 踏陰だ。彼らもまた、"個性"を使って仮想敵の頭上へと来た。
「こういうのなら俺は得意だ!」
瀬呂 範太。"個性"セロハン。
肘が"個性"特有の成長をしており、そこからセロハンテープ状の物を射出可能。巻きとって移動、切り離してトラップなど、汎用性に富む"個性"だ。
「着地」
「アイヨ!」
常闇 踏陰。"個性"黒影(ダークシャドウ)。
伸縮自在で実体化する影のモンスターを身に宿している。
どうやら返事をすることから"個性"にも意思はあるようだ。
一足先に行く者達にはA組が多い。
他の学科や同学科B組も悪くは無いのだ。ただ、A組の方が立ち止まる時間が短い。
上の世界を肌で感じた者。恐怖を植え付けられた者。対処して凌いだ者。
各々が、例の経験を糧に迷いを打ち消している。
緑谷も、その内の一人。
(こんな最序盤で確証のない力には頼らない!)
確証のない力、というのは"個性"ワンフォーオールのことである。
制御を間違えれば自壊。自壊すれば上位に残る可能性は低くなる。
彼は考えていた。なんとか"個性"を使わず突破できないかと。
そんな中、緑谷の目に付いたのは轟が倒した巨大な仮想敵の装甲の1部。長方形型のそれを拾い上げた。
その様子を見た人くらいのサイズの仮想敵は緑谷にターゲットを絞る。
(この仮想敵はターゲットを追従してくる!)
緑谷は走って逃げる。それを、仮想敵は追いかける。
(勢いをつけさせて…)
緑谷は方向転換し、仮想敵に向かう。
あちらからも向かってくる仮想敵の胴体に、すれ違いながら先程の装甲の1部を薙ぎ払うように振るう。
仮想敵は急には止まれず、その一撃を受けて真っ二つになった。
(盾にもなるし、汎用性高いぞこれ!)
巨大な仮想敵は他の"個性"持ちが破壊してくれる。
自分は自分に向かってくる仮想敵を処理すればいい。
そう考えながら彼も前に進んでいく。
体が動く。入試の時の、彼はもういない。
「チョロいですわ!」
そう言ったのは八百万 百だ。
いつの間にはそこには大砲があり、その砲弾によっていくつもの巨大な仮想敵を打ち砕いていた。
入試の時に皆が逃げた巨大な仮想敵。
今回は避けるべき障害ではなく倒すべき障害。
そう見てしまえばただの愚鈍な鉄の塊。着くべき隙も見えてくる。
「…そろそろか」
そんな中、そう呟いたのは香月である。
呟くと共に手を虚空へ伸ばすとそこに水に何かを落としたように波紋が現れる。
そこから何かが出てきており、それを彼は引き抜く。
見ればそれが刀であることがわかった。
「ハッハッハ!行くぞ!」
そう言いながら左手で刀を鞘から引き抜き、鞘を右手で持つ。
そして走り出した。もちろん、動ける仮想敵は彼を狙おうとする。
巨大な拳が、彼に迫った。
「食らうがいい!」
右手を左側の背へ持っていくようにぐっ、と構え、そのまま地を両断し、天を斬らんとするかのように下から上へと一閃。
すると、それと同時に強烈な衝撃波が発生。
あろう事か巨大な仮想敵を吹き飛ばして先頭集団の妨害をしたのだ。
「な、なんだぁー!?仮想敵が吹き飛んだぞ!?誰の仕業だぁ!?」
レースの模様を映すカメラは先程の香月を映していなかったのか、プレゼントマイクはそれの犯人をカメラ越しに探し始める。
少しの間の後、カメラは彼の姿を収めた。
「跪け!!」
彼は刀を幾度も振るう。1度斬ると数発の斬撃が仮想敵達を襲う。
数が多い上に剣閃は空を舞い、仮想敵達を切り刻んでるいく。
乱れる剣閃。それに仮想敵達は為す術もなかった。
「どうやらこいつの仕業だ!1-A香月!未だ謎の多い"個性"で第1関門を突破!!」
そのまま彼は第1関門を突破。
ガラガラと崩れる仮想敵。大半の仮想敵は倒され、さぁほかの皆も進めるか、と思いきや。
第2波である。さらに数体の仮想敵が追加された。
だが、後続の人間達は"個性"の威力が比較的低く、1人では突破できない者もいた。
そんな彼らは皆で1時協力して道を拓こうという作戦に出た。
先に行った者達は第2関門へと到達していた。
「第1関門はチョロいってか!?んしゃこいつはどうよ!落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!第2関門!ザ・フォーーール!!」
見えないほど下が深く掘られた穴の中に、そのしたから伸びる円柱状の足場がいくつもある。
それら同士が綱で繋がれているというもの。
要は大げさな綱渡りである。
皆が綱の上を渡ろうとする中、妙にテンションの高い者がいた。
「フフフフ来たよ来ましたよアピールチャンスが!」
そこには全身機械や器具まみれの女性がいた。
"個性"によってのものでは無い。アイテムである。
通常アイテムの持ち込みは禁止だが、1部許されている学科がある。
それはサポート科だ。
普段からヒーローの訓練を受けているヒーロー科との公平を期すため、サポート科は自分が開発したアイテム、コスチュームに限り持ち込みすることが出来るのだ。
つまり、サポート科にとっては自分たちの発想、開発技術を企業にアピールする場となっている。
「さぁ見て出来るだけでかい企業ー!!」
意気揚々とサポートアイテムを使いながらザ・フォールを乗り越えていく。
それに負けじと皆も挑み始めた。
既に先頭集団は続々とザ・フォールをクリアしていく。
ずっとトップを突き進んでいる一人の男が会場の皆の注目を集めていた。
「1位のやつ圧倒的だな」
「"個性"もあるが、それ以上に素の身体能力と判断力がずば抜けてる」
会場のそんな声に、見ていたヒーローが言った。
「あの子、フレイムヒーロー エンデヴァーの息子さんだよ」
フレイムヒーロー エンデヴァー。現在日本でオールマイトに次ぐトップ2のヒーローである。
「ああ!彼の血か!」
「早くもサイドキック争奪戦だなー!!」
そんな声が会場から上がった。
多くの者が綱を渡る。だが空を飛べる者は実際のところ障害を無視して進むことが出来るため、他の者よりも早くクリア出来る。
"個性"の影響が大きく出る第2関門。先頭集団が一足抜けて、そして後続は団子状態となった。
なお、上位何名が予選通過するかは伝えられていないため、前の方にいる人間達も気は抜けない。
そして、最後の関門が立ちはだかった。
「そして早くも最終関門!かくしてその実態は!!」
そこには何も物はなく、ただ先程よりも広くなった道があっただけだった。
「1面地雷原!!怒りのアフガンだ!!」
あるのは地の下。よく見れば地雷の位置はわかる。しかし前にいればいるほど不利になる。
爆発の威力は下げており、派手なだけだがそれでもまともに受けるとかなり痛い。
これによって先頭集団は減速。地雷によって爆破される者も数々現れた。
「俺は関係ねぇぇぇ!!!」
そんな中、地雷とは違った爆発の音を立てながら現れたのは爆豪。
自身の起こす爆発で低空飛行をし、地雷を無視して進んでいた。
「てめェ、宣戦布告する相手を間違えてんじゃねぇよ」
1位の轟に並び、彼にそう伝える。
緑谷に宣戦布告していたことが気に食わなかったらしい。
そして。
「ここで先頭が変わったー!喜べマスメディア!お前ら好みの展開だぁぁ!!」
その言葉と共に会場が沸く。
「後続もスパートをかけてきた!だが引っ張り合いながらも先頭2人がリードかあ!!?」
そんな実況が流れる中、遠い。そう、緑谷は思った。
最終関門の怒りのアフガンに今たどり着いた緑谷。
既に先頭2人は7割ほど走り終えており、今から走っても追いつけない。
(でも まだ 追いつける!!!)
瞬間、入口で大爆発が起きた。
1つの地雷を踏み抜いたにしては大きすぎる爆発。
それと共に、緑谷は急速な勢いで飛んでいた。
「後方で大爆発!?なんだあの威力!!故意か偶然か!!A組緑谷!爆風で猛追ー!!?」
1位が誰か。まだ分からない。
そういえば評価をつけてくれた方がいらっしゃいました。
わざわざ読んだ上に評価までありがとうございました。
普通に嬉しいです。