僕のヒーローアカデミア ─とある男の物語─(仮) 作:楽園の主
思いついて気が向いたら変えるかもしれません。はい。
2021.6/20 加筆修正
尾白が試合前及び試合中、意識があることにしました。
「お前らを選んだのは、これが最も安定した布陣だと思うからだ」
騎馬を共に組むことになった上鳴、八百万、飯田にそう言うのは、轟。
上鳴が左翼で発電、敵を寄せ付けない。
八百万は右翼で上鳴の"個性"に巻き込まれないよう絶縁体を作ったり、防御や移動補助のアイテムを創造。
飯田が先頭で機動力源。さらにフィジカルを生かした防御。
「そして轟くんは氷と熱で攻撃、牽制ということか」
飯田が説明してくれた轟にそう返す。
しかし、轟にしばらく返事はない。
そして、出てきた言葉は。
「いや…戦闘に於いて熱(左)は絶対使わねぇ」
観客席を見上げながら、険しい顔でそう言う。
目線の先にはNo.2ヒーローエンデヴァー。父親である。
何か、因縁のようなものがあるのだろうか。
「鉄哲、恨みっこ無しだぞ」
「おう!」
B組にも気合いが入る。そしてついにその時が来た。
「よォーし!組み終わったな!?準備はいいかなんて聞かねぇぞ!!行くぜ残虐バトルロイヤル!!」
プレゼントマイクからの放送が入った。
皆の目線が一つに集まる。狙いはもちろん一つである。
それを、彼ら自身も把握していた。
「狙いは1つ」
轟 205ポイント
飯田 185ポイント
八百万 130ポイント
上鳴 95ポイント
轟チーム 合計610ポイント
「速攻で終わらせてやる…!!」
爆豪 200ポイント
切島 170ポイント
芦戸 120ポイント
瀬呂 175ポイント
爆豪チーム 合計665ポイント
「READYィィィ!」
麗日 135ポイント
発目 10ポイント
常闇 180ポイント─────
「START!!!」
緑谷 1000万ポイント
緑谷チーム 合計10000325ポイント
「実質それの争奪戦だ!!」
「貰うよ緑谷くんー!」
いくつものチームが緑谷チームをいきなり狙ってくる。
当たり前だ。1000万を取り、保持すれば勝利が確定するのだから。
「いきなり襲来とはな。追われし者の運命」
「さだめ…」
「選択しろ!緑谷!」
「もちろん逃げの一手!!」
そう言われた下の3人は皆とは違う方向に走り出そうとした。
しかし。
「けっ…!!」
─ズブ…─
「!!!」
B組の1人が"個性"を発動した。その瞬間、緑谷チームの騎馬の足が地面に沈んでいく。
まるで突然沼の上に来たかのように。
「発目さん麗日さん!顔避けて!!」
ピ、と緑谷はなにかのスイッチを押す。
すると、緑谷の背負ったサポートアイテムからバーニアが出る。
瞬間、彼らは空中に飛び出した。
発目のサポートアイテムその1。
バックパックからバーニアで装備者を空へと飛ばすアイテムである。
皆は虚を突かれるもサポート科のアイテムのせいかと見抜き再び追う。
「耳郎ちゃん!」
「わってる」
葉隠チームの騎馬、耳郎が耳朶のプラグを伸ばし、空中に飛び出た緑谷を追撃しようとする。
しかし、黒い影の鳥のようなものが現れ、緑谷を追うプラグを迎撃。攻撃を防いだ。
「いいぞ、ダークシャドウ。常に我らの死角を見張れ!」
『アイヨッ!』
常闇の仕業である。
「すごいよカッコイイ!僕らに足りなかった防御力…それを補った上での全方位中距離防御、凄いよ常闇くん!」
「選んだのはお前だ、緑谷」
自分の"個性"がすごいのではなく、緑谷が立てた作戦と自身がそれに足るだけの"個性"を持っていると見抜いた緑谷の観察眼がすごいと謙遜する常闇。
「着地するよ!」
そう言うのは麗日。
チームが落下し、地面と接地する瞬間に麗日の足に装備されたサポートアイテムが空気をボワ、と噴出し、大きな衝撃なく着地した。
発目のサポートアイテムその2である。
大きなブーツのような見た目をしており、足の裏部分にファンがついていて風を出せる仕組みだ。
「どうですベイビー達は!?可愛いでしょう!?可愛いは作れるんです!!」
興奮気味に緑谷にそう告げる発目。
ベイビーとはもちろん、発目が生み出したサポートアイテムのことである。
「機動性バッチリ!すごいよベイビー!」
「でしょう!?」
緑谷はサポートアイテムを褒め、それを自分の事のように喜ぶ発目。
「浮かしとるからやん…」
むぅ、となぜかそれに不満そうな顔をしながらそう呟く麗日であった。
「私達も追うよ!さぁ耳郎ちゃんリベンジ…」
「つーかおい!葉隠!ハチマキねぇぞ!?」
「はっ!?いつの間に!?」
B組がその背後で奪ったハチマキをくるくると回しながら一言。
「漁夫の利」
開始2分と経たずに早くも混戦。各所でハチマキの奪い合いが起きる。
1000万を狙い続けるのもいいが、それを狙う人のハチマキを狙ったり、1位を狙わずとも2位や3位を狙うのも悪くは無い。
「奪い合い?違うね!これは一方的な略奪よぉ!!!」
どこからか峰田のそんな声が響いた。
声の元を辿ればそこにいたのは障子が1人いただけ。
騎馬戦にも関わらず、だ。
「一旦距離を取れ!とにかく、複数を相手に立ち止まってはいかん!」
常闇のその言葉に麗日と発目が動き出そうとするもなぜか麗日は動かない。
「何!?取れへん!」
足に峰田の"個性"、もぎもぎの1つが着いており、足が地面と固定させられていたのだ。
一体どこから飛ばされてきたのか、と周囲を見渡す。
しかし、姿は見えない。
「ここからだよ緑谷ぁ...」
障子の背から声がする。
障子には腕の他に片方に2本、計4本の複製腕があり、複製腕同士は皮膜で繋がっている。
それらを利用し、背中に峰田を乗せ、背中側にテントを作るように空間を作りながら覆うことで戦車のように、騎手を守りながら攻めると言った芸当を可能にしたのだ。
さらに、長いムチのようなものが障子の背から発射される。
「蛙吹さんもか!すごいな障子くん!」
蛙吹と峰田は双方体が小さい。逆に障子は体が大きい。
圧倒的体格差を生かした策だ。他には真似ができない。
障子の背からもぎもぎと蛙吹の舌が襲い掛かる。
「緑谷、離れろ!!」
「ッ!!」
バキ、という音が響いたあと、バックパックによる飛行でその場を脱出。
もぎもぎのついた部分を壊して分離し、無理矢理逃れたのだ。
サポートアイテムが壊れたことにより発目はショックを受けていたが、逃げられるならば仕方がない代償と言えるだろう。
再び着地、と思われたその時だった。
緑谷チームが飛べる最大高度。その、さらに上から彼は来た。
「調子に乗ってんじゃねぇぞクソが!!」
爆豪だ。掌の爆発を推進力として飛行し、自分たちよりも上を取った。
「常闇くん!」
『オォットォ!!』
緑谷は咄嗟に彼に名前を呼ぶだけの指示を出す。
常闇の"個性"、ダークシャドウは爆豪と自分たちの間に現れ、盾のように体を引き伸ばす。
爆豪の"個性"による爆撃をするもそれに阻まれて不発に終わった。
「なんだこれッ!クソ!」
攻撃が不発に終わったあと、爆豪の体に瀬呂の"個性"のテープがくっつく。
そしてそれを巻き取り、爆豪を騎馬の元へと引き戻した。
爆豪は空中移動ができる"個性"を持っているため、騎馬戦の騎手でありながら自由に行動できる範囲がかなり広い。
騎馬から離れているが地面に落ちた場合アウト。落ちなければルール上問題ないと言う。
彼らしい、強引なテクニックを見せた。
「やるじゃねぇのA組の連中」
観客からそんな声が飛ぶ。"敵と戦った"と言うだけでこうも差が出るのかという驚愕によるものだ。
やはり集中的に狙われる1位と猛追を仕掛けるA組の面々共に実力者揃い。
現在の保持ポイントはどうなっているのか?とプレゼントマイクは実況しようとした。
しかし。
「…あら!?A組緑谷以外ぱっとしてねぇぞ!?」
そんな声がアナウンスされる。
同時に観客の目もそちらへと向いた。
緑谷は以前1位のままだが、2位3位4位とB組が独占、5位にポイントの変わっていない轟チームが鎮座。
6位もB組。それ以外の者は0ポイントで下位同列だ。
つまり、爆豪すらも0ポイントである。
爆豪のハチマキはまさに今、B組に取られたところであった。
「単純なんだよ、A組」
死角から、すれ違いざまにすっと取った。
「んだてめェコラ返せ殺すぞ!!!」
「やられた!」
怒りを表す爆豪。B組の男はさらに続けて言った。
「ミッドナイトが"第1種目"と言った地点で予選段階から数を極端に数を減らすとは考えにくいとは思わないかい?」
第1種目、というならば第2、第3と種目が続くことは予想できる。
故に、B組はおおよその目安を仮定し、その順位以下で予選を走った。
そして後方からライバル達の"個性"や性格を観察することに徹したのだ。
クラスぐるみの作戦。もちろん全員の総意という訳では無い。
「だけど、いい案だろ?人参をぶら下げた馬みたいに頂点を狙い続けるなんて、仮初の優位を執着するなんてさ」
フッ、と人を嘲笑うかのようにそう言った。
「あ、あと君有名人だよね?"ヘドロ事件"の被害者!」
ヘドロ事件とは、彼ら1年生が雄英高校に入学する8ヶ月ほど前に合った事件。
全身ヘドロの"個性"を持った敵が爆豪の体にまとわりついて動きを乗っ取り、暴れ回った事件のことである。
決着はオールマイトの一撃によるものだった。
「今度参考に聞かせてよ!年に一度、敵に襲われる気持ちってのをさ!」
笑いながら、爆豪にそう話しかける。
話し方からわかる通り、最初から爆豪を煽る目的で話していたという節もあった。
怒りを煽って冷静な判断を失わせようとする作戦なのだろうか。
「切島…予定変更だ…」
「お、おい…」
「デクの前に…こいつら全員殺そう…!!!」
B組の男の狙い通りというかなんというか。
爆豪は激昴した。時間はまだあると踏んでいるのか、それともただムカついただけか。
目の前の男のポイントを奪い取って緑谷の元へと行くつもりだ。
(B組は予選を捨てた長期スパンの策ってわけか!)
体を動かしつつも話を聞いていた緑谷。たしかにB組の作戦は合理的だと思った。
次の戦いの前に、戦う相手の"個性"と性格を知って情報での優位を取り、さらに勝つことで上位の者を倒したと、観客により強い印象を与えられる。
しかし、その発送から察するにB組は緑谷の1000万に固執していないということ。
「皆、逃げ切りがやりやす…」
やりやすい、と言いきろうとしたその時だった。
─ザッ…─
「そう上手くは…行かないか」
目の前に現れた者達を真剣な表情で見つめつつ彼はそう呟いた。
「そろそろ…奪るぞ」
轟チームが、目の前に立ちはだかった。
「もう少し後に来ると思ったが…随分買われたな、緑谷」
「時間は残り半分…!周囲に気をつけて、足止めないでね!仕掛けてくるのは1組じゃない!!」
轟チームは走り出す。前が飯田のため、かなり早い。
騎馬である後ろの八百万と上鳴がなぜ飯田の速度について行けるのか、と言うと八百万が"個性"で創造したローラーシューズを2人が履いているからである。
さらに他の数チームもこちらへと走ってくる。
後ろへ逃げようとしたその時。轟がシートのようなものを自分の身に纏うように翻したかと思えば。
「無差別放電!130万ボルト!!」
上鳴の放電が辺りのチームを襲う。
緑谷チームはダークシャドウにより放電をガード。
さらに追撃と言わんばかりに轟チームは辺りを"個性"を発動する。
轟の手から発生させられた氷結が手に持っていた鉄パイプ─恐らくこれも八百万が創造したものだ─から地面を伝って周りのチームを凍らせ、行動不能にした。
正面戦闘を避けるため、バックパックによって退避行動を行おうとした。しかし。
「…!バックパックがイカれてる!」
「ベイビー!!改善の余地アリ…!?」
先程の上鳴の"個性"の余波でだろうか、バックパックが壊れてしまい、使用できない状況になっていた。
さらに先程、峰田にやられてやむを得なく壊したサポートアイテムは着地に必要だったものであり、2つのことから上空へ逃げるという選択は出来なくなってしまった。
その状況で目の前の轟チームの機動力は飯田の"個性"によって高速。
このまま逃げ切れるわけはない。
「あかん!逃げきれへん!」
「牽制する!」
逃げ切れないことが分かった常闇はダークシャドウを出現させ、轟チームを牽制するため鋭い爪を振るう。しかし。
「八百万!」
「はい!」
八百万の創造の"個性"によって鉄の板を発生させてそれは防がれる。
「八百万さんの創造…厄介すぎる!」
「…いや、それよりも上鳴だ。あの程度の装甲、太陽光ならば砕けていた」
緑谷の思考は巡る。その時、チームを組んだ時のことを思い出していた。
───────
「君だ!」
そう言って緑谷は常闇の肩を叩く。
緑谷が常闇にして欲しいことは牽制と防御。
今回の作戦はあくまで逃げに徹すること。
とにかく防御して欲しい、と伝えた。
サポートアイテムと麗日の"個性"浮遊による機動力、緑谷のパワー。
それらに足りないのは射程距離と防御力、そして索敵能力。
それらを全てカバーできるのは常闇の"個性"ダークシャドウである、と考えたのだ。
「だから、その…」
「ふ、面白い…」
彼は"個性"の概要を続けて言う。
常闇の"個性"ダークシャドウは自我を持つ存在だ。
闇が濃いほどに攻撃力は増すものの、凶暴性が強まり、制御が出来なくなっていく。
光が強ければ攻撃力や獰猛性は失われるが制御がしやすいのだと言う。
「知らなかった上で俺の"個性"に攻撃不要とは…そうとうに特殊な選択だ」
そう言いながら、強い眼差しで緑谷を見つめる。
「いいだろう、この俺を使って見せろ。託したぞ、緑谷」
常闇は、信じた。彼の作戦と、指揮能力を。
こうして、緑谷、麗日、発目、常闇のチームが出来上がったのだ。
────────
「そうか…上鳴くんの電光…!」
「あれが輝く以上攻めでの相性は最悪…ダークシャドウも及び腰になっている」
『ウゥッウッ…暴力反対…』
そんな話をしている間に轟チームは行動を終え、こちらへと向かって走ってきていた。
周囲をチラ、とみれば氷壁により他のチームと分断、及びスタジアム化しており、逃げることの出来ない1VS1の状況が出来上がっていた。
「光による攻撃力低下…それ、相手には知られてないよね?」
「おそらく、な。」
ダークシャドウの性質を知るのはUSJでの敵襲来時、口田に話したのみであり、その本人は無口で情報がバレるとは考えにくい。
故に、相手にはこの情報が握られているとは思えないのだ。
常闇の話を聞きながらも思考を回転させ、作戦を立てていく。
「…知られてないなら大丈夫…なんとしても1000万を持ち続ける!!」
作戦が思いついたのか、決意のこもる瞳で目の前の轟を貫く。
騎馬戦。残り時間は、半分─────
その頃、香月はと言うと。
「ま、あの受験のシステムじゃあ心操が落ちてしまうのも仕方がない。ヒーローとして考えるなら強力な"個性"なんだが。なぁ、2人とも」
「確かに…敵からすれば初見殺し。かかれば終わり…かなり有効だ」
「………」
「あ、こっち洗脳状態か。忘れてた」
チームメイトと雑談(?)に興じていた。
相手は返事を返せない状況故に1人で話している形になってしまったが。
「ま、この編成と作戦なら騎馬戦を突破できる。さて、誰を狙うことになるかな」
「…彼には悪い気はするけど…まぁ、そうだね。うん」
「……」
上に乗っている心操は何も話さない。
香月が洗脳出来ておらず、彼から協力を持ちかけられ、結果的に協力している。
それが複雑な思いなのだろう。
開始前────
「悪いようにはしないが?」
声をかけられた心操人使は苛立つ。
宣戦布告をした相手に無警戒で話しかける神経も分からないし、それに対して腹が立った。
警戒するほどでもないとでも見られているのか、と感じたのだろうか。
─パチンッ─
「待て、まずは俺の話を聞いて欲しい」
なにか言葉を話そうとした瞬間、香月は指を鳴らす。
すると首と手首に巻かれるように光のチェーンが発生、腕の動きを止められる。
首のチェーンはぐっと上へあげられ、言葉を中断させられた。
その後、首のチェーンだけ外される。
「俺は心操の"個性"を洗脳だと思っている」
それを踏まえ、チームを組みたい、と彼は言う。
"個性"が洗脳である、と予測を立てたのは障害物競走序盤のこと。後ろから見ていた彼は、心操が人の上に座り、下の者に運ばれるようにレースを進んでいたのを見たからだ。
彼を迎えることが出来た時の作戦としては序、中盤は目立たず動かず、終盤に上位の者を洗脳、ポイントを頂くと言ったものだ。
香月側からは洗脳の補助、"個性"によって不安要素の排除。勝利の確率を限りなく上げる。
心操側へはチームを組み、その上で自身を洗脳をしないことを求める、という訳だ。
「それにあたって質問…いや、違うな。洗脳を回避して話をするためとはいえ腕の拘束と言葉の中断をしたことを先に詫びよう。すまなかった」
そう言いながら腕の拘束を解除した。
なぜ腕を拘束したか、というと。
香月は心操の"個性"を洗脳だと予測していたが、肝心のトリガーを知らなかった。
目を合わせることなのか、名前を呼ぶことなのか、指を指すことなのか。
幾多ある選択肢をなるべく潰すため、手を封じた、というわけだ。
「もし話に頷いてくれるならば"個性"を教えて欲しい。洗脳であっているのならば、トリガーも聞きたいところだ」
しかし心操はなにも答えない。
懐疑の意思だろうか、強い目線を向けるだけだった。
「宣戦布告をしてきた普通科に対してなぜ話を持ち込んだか、というような目だな。感情としては気に入らない、といったところか」
香月は続け、今度は目を合わせて言う。
「どこの科に属しているか、というのは関係はないのだ」
彼は勝利を目指す為に心操人使という人間を味方につければ大きく有利になると思ったから話を持ちかけた。
そこに、普通科だとか、宣戦布告をした、だとかは全く関係ない。
ましてや彼はヒーロー科以外を見下したり、他の科を弱者だとも思ったことは無い。
心操人使の、洗脳という"個性"。そして。
「心操の目からは強い意志を感じる。察するにヒーロー科、諦めてないだろう?」
香月は心操から強い意志を感じていた。
普通科の中でも、そしてヒーロー科にも劣らない意思の力。
彼が弱いはずがない、と香月は確信していた。
「我らが組めば必ず先へ行ける。そこに不確定要素はない、現れても俺が吹き飛ばそう。今一度言う。俺と組まないか?」
手を前に差し出す。握手を求めているようだった。
心操は、深く悩むように目線が泳ぐ。
「………俺の"個性"は洗脳。問いかけに対して答えたやつを洗脳する。強い衝撃や痛みで解除される」
「……」
「勘違いするなよ。勝つために仕方なく組む。それだけだ。」
握手には応えなかったが、チームを組むことには承諾したようだった。
「あと2人、か。…ん?」
ふと見回すと近くに尾白がいた。
「なぁ、尾白。組まないか?」
「香月。俺と?構わないけど…他は?」
「騎手として普通科の心操が1人。あと一人いればいいが…」
「普通科?」
後ろにいる黙ったままの心操を見て、訝しげな顔をする。
宣戦布告してきた相手だと覚えていたからだ。
心操が黙ったままなのは洗脳した方が早いと思っているからだ。
「彼の"個性"は?」
「そうだな、見せてもらおうか。心操、頼めるか?」
「…ああ」
心操は近くにいたB組の庄田二連撃に話しかけ、"個性"を発動した。
洗脳状態となった庄田はこっちに来い、という心操の言葉通りにこちらへと来た。
「こういうことだ。」
「なるほど、洗脳か…」
「作戦は───」
立てた作戦を香月は尾白に伝えた。
「体力や"個性"を温存したまま先に進めるいい作戦だと思うが、協力してくれるか?」
「力の振るいどころがないのは残念だけど、協力する。利点は多いし」
「ま、断っても心操に洗脳してもらうけどな」
「おい」
「はっはは!冗談だ」
こうして、彼ら4人のチームができたのだった。
──────
「ポイントの散り方は今のところ把握してる、あとしばらくだな」
「狙いにくくなるとすれば上位に轟、爆豪、緑谷が居座られることだけど」
「確かにそうだな。さて、どうなるかな」
「……そうだな」
香月たちは大きくは動かず、潜み、虎視眈々と上位を狙っていた。
気が向いたら書いてます。