僕のヒーローアカデミア ─とある男の物語─(仮)   作:楽園の主

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お久しぶりです。ポケモンとか東方とか艦これとか書いてたら遅くなりました。気が向いたら書いてます。


第24話 ─爆豪VS麗日─

 

「お前浮かすやつだな丸顔。」

(丸顔て……そやけど……。)

「退くなら今退けよ。痛てぇじゃすまねぇぞ。」

 

爆豪なりの優しさなのかなんなのか。

冷静な声で麗日にそう告げた。

その言葉にすら少し怯むような動きを見せた。

 

「爆豪か……香月なら対策どうする?」

 

観客席。隣にいる上鳴がそう聞いた。

 

「ま、俺なりに考えてる事はあるが、1番詳しく考えられるのは緑谷だろ。な、緑谷。」

「対策……そうだ、緑谷くん。先程言っていた爆豪くん対策とは一体なんだったんだい?」

「ん!本当、たいしたことじゃないんだけど──」

 

爆豪は強い。本気を出した近接戦ではセンスと類稀なる反射神経の速さで隙は無く、並大抵の者ならば歯牙にもかけないだろう。

さらに"個性"の都合上長期戦になればなるほどギアは上がる。

つまり──

 

「START!!」

 

プレゼントマイクの声が響く。同時に麗日は爆豪へ向けて駆けた。

 

「速攻か。」

「なるほど!とにかく浮かしてしまえば主導権を握れる、ということか!」

「事故でも触れられたら浮かされる!間合いは詰められたくないはず!だからかっちゃん的には──」

 

迎撃だ。爆豪は右手を大きく構える。

麗日は緑谷に聞いていた。爆豪は初撃に大抵、右手の大振りがくると。

だからそこを避けて、と考えていた。

しかし。

 

─ボォンッ!─

「ぶわっ!!」

 

わかってても反応出来ず、避けられなかった。

爆炎とともに白煙が立ち上る。

 

「うわぁモロ……!」

「女の子相手にマジか……!」

 

そんな声が観客席から呟かれた。

爆豪はその後、1歩引いてまた迎撃体勢をとる。

白煙の中から黒い影が再び爆豪へと向かう。

 

「ナメッ──!」

 

ナメてんのか、と言おうとしたその言葉は止まる。

黒い影に対し、掴みこもうとしたそれは麗日ではなかったからだ。

正体は麗日の着ていた上着。

咄嗟に白煙のなかで上着を浮かせ、爆豪に向かわせたのだ。

そして当人は。

 

(ここで浮かせちゃえば!)

 

白煙に乗じて爆豪の背後を取ったのだ。そのまま触れようと手を伸ばす。

しかし。

 

─ガガガッボンッ!─

「わ゛ッ!」

 

背後にいる彼女に、地面を擦るように腕を振るい、爆破して迎撃した。

爆豪は見てから反応しているのだ。それができるのならば白煙は関係ない。

触れないと発動できない"個性"。爆豪相手には不利だと言わざるを得ないだろう。

しかし麗日は間髪入れずに再突進。

 

「おらぁぁぁ!」

「おっせぇ!!」

 

爆発で迎撃。

 

「まだまだぁぁ!!」

 

彼女は突進を続ける。爆豪はそれを迎撃。

何度も、何度も続いた。

観客だけでなく、クラスのみなの顔も曇る。

 

「お茶子ちゃん……。」

「爆豪、まさかそっち系の……?」

 

蛙水と耳郎だ。耳郎に関してはもう顔を手で覆っているほど、見ていられない、と感じているようだ。

休むことなく突撃を続ける麗日。だが。

 

「あの変わり身が通じなくてヤケ起こしてる。」

「なァ、止めなくていいのか?大分クソだぞ……。」

 

そんな声が観客席から響く。他ならぬ、プロヒーロー達から。

 

「見てらんねぇ……おい!!それでもヒーロー志望かよ!!」

 

1人のプロヒーローが立ち上がり、そう叫ぶ。

 

「そんだけ実力差があるならはやく場外にでも放り出せよ!!」

「そうだそうだ!!」

 

1人が声をあげれば同調するように1部が立ち上がり、ブーイングを始める。

 

「1部からブーイングが!しかし正直俺もそう思──」

─ゴッ─

「わあ肘ッ!?何soon──」

「おい今遊んでるっつったのプロか?何年目だ?」

 

プレゼントマイクの言葉を肘打ちで中断させて相澤先生がマイクに声を入れる。

 

「シラフで言ってんならもう見る意味ねぇから帰れ。帰って転職サイトでも見てろ。」

 

そう。爆豪はなにも麗日を虐げている訳では無いのだ。

ここまで上がってきた相手の力を認めている。だからこそ警戒しているのだ。

本気で勝とうとしているからこそ、油断も手加減もできないのだ。

 

(まだだ。こいつ……死んでねぇ。)

 

麗日を見据え、そう確信する。強い眼差しで爆豪を睨む麗日。

 

「そろそろ、か、な……ありがとう、爆豪くん……油断してくれなくて。」

「あ……?」

 

すっと両手を上げ、指先を合わせた。

 

「いいね、私は"こういうの"好きだな。」

「香月、こういうのとは一体?」

 

背もたれに体重を預けつつそう呟く香月に、常闇が話しかけた。

それに指を上にあげつつ答える。

 

「上だ。」

 

低姿勢での突進で視野を下へと集中させて固定。

さらに絶え間ない突進と爆煙で視野を狭める。

そうして爆豪に悟らせなかった。武器を蓄えていたのだ。

 

「勝ああァァつ!!!」

 

途端、空中から瓦礫が雨あられと降り注ぐ。

 

「流星群ー!!!」

「気付けよ。」

 

そう。爆破によって削られたステージの欠片。

それを全て"個性"によって空中へ。今、一斉に解除して攻勢としたのだ。

1度や2度じゃない。何度も何度も繰り返した。

これだけの量、迎撃にしろ回避にしろ隙は出来るはず。

その隙を狙うつもりだ。

 

(勝つ!!勝って、私も──)

 

麗日は思っていた。緑谷はすごい人だ、と。

出会った時から、時間が経てば経つほど凄いところが見えてくると。

騎馬戦の時、彼女は仲がいい人と組んだ方がやりやすい、と考えてチームを組んだ。

しかし今振り返れば、彼女自身、緑谷に頼ろうとしてたのかもしれないと思っていた。

だからこそ。飯田が緑谷の勧誘を断り、挑戦する、と言った時。

自身に恥を感じたという。

試合前。緑谷は爆豪をよく知るからという理由で、麗日に付け焼き刃だが作戦を考えていた。

しかし、麗日はそれを断った。

自分で、自分の力で。爆豪に勝って。

 

(デクくんみたいに──)

 

指を合わせ、"個性"を発動し、自身を浮かせて突進する。

瓦礫の雨に麗日の突進。

捨て身の、彼女が出せる全力。

 

しかし。

 

 

─ドカァァァァンッ!!!─

 

 

爆豪は、真上へ向けて爆破を放った。全力で。

 

「デクの野郎とつるんでっからなてめェ。なんか企みあるとは思ってたが──」

 

それだけで。

 

「…………一撃、て……!」

 

瓦礫は全て吹き飛ばされた。麗日の捨て身は。彼の一撃で叩き伏せられた。

麗日の秘策を堂々の正面突破。

 

「……危ねぇな。」

 

しかしながらも余裕ではなかったのか、爆豪はそう呟く。

 

(私が今できる最大限……全く通じひんかった!!)

 

彼女は足に力を込める。再び、立ち上がって爆豪へと向かう。

 

(それでも!!)

「いいぜ、こっから本番だ。"麗日"。」

 

しかし。

 

─カクンッ─

 

彼女の膝は折れ、体は地に落ちた。

 

「ハァッ!ハァッ!んのっ……体、言うこと……きかん……ッ!」

 

全身に力を込めても。今度は立ち上がることは出来ず、体が起きることもなかった。

許容範囲はすでに超えていた。

そこへ、審判役のミッドナイトが走り寄り、試合を一旦中断させて麗日の状態を確認する。

 

「まだ……!……父、ちゃん……!!」

 

ズリ、と地を這ってでも戦うと、気持ちは向いていた。

 

「……。麗日さん行動不能。2回戦進出、爆豪くん!!」

 

判定は、火を見るより明らかだった。

担架を呼び、麗日をリカバリーガールの元へと送る。

爆豪はそのまま、門をくぐってこの場を去っていった。

 

「あぁ麗日……ウン。爆豪1回戦とっぱ。」

「やるならちゃんとやれよ……。」

 

思いっきりテンションが下がった調子で言うプレゼントマイク。

 

「はー……さぁ気を取り直して!」

「私情すげぇな……。」

「1回戦は一通り終わったァ!小休憩挟んだら早速2回戦行くぞー!」

 

その声とともに1部の人は立ち上がり、休憩に入った。

2回戦目の初戦の2人。緑谷と轟は控え室へと向かう。

 

「うし!んじゃあ俺も行ってくる!待ってろよ香月!」

「展開的には鉄哲が勝った方が面白いんだがな。」

「ひっでぇな!!」

「ま、俺個人としては応援してるさ。」

「!おう!!」

 

切島は鉄哲とダブルノックダウンしたので、簡単な勝負で決まることになっている。

この後すぐそれがあると言う。

ほぼ宣戦布告のように言う切島に、茶化しながらもひらひらと手を振りながら応援した香月だった。

 

 

 

 

 

ところは変わり、爆豪は。

 

「!うわぁ、かっちゃん……。」

「んだテメェ何の用だ死ねカス!!」

 

緑谷と出会っていた。流れるような早口の罵倒を繰り広げる爆豪。

もはや反射行動ではないだろうか。

 

「いや……次僕だから……控え室に。あと1回戦おめでとう……じゃあ……。」

 

触れすぎない方が分かっているのだろう。それだけ言って立ち去ろうとした。

 

「テメェの入れ知恵だろ。あの捨て身のクソ策は。厄介なことしやがってふざけんじゃ──」

「違う。」

 

瓦礫を雨あられと降らせた策のことだ。

仲がいいことを知っていた。自分をよく知ることも分かっている。だから、麗日のあの策は緑谷の考えたものでは無いかと考えたのだ。

しかし、それを緑谷は否定。事実、麗日は緑谷から策を受け取ることを拒否している。

全て麗日自身が勝つために考え抜いた策なのだ。

厄介だ、と感じたのならそれは。

 

「麗日さんが君を翻弄したんだ。」

「…………。」

 

会話はそこで終わった。緑谷は立ち去り、爆豪はクラスメイトの元へと戻っていく。

そして、席の近くへと戻るなり。

 

「おーうなんだか大変だったな悪人面!」

「組み合わせの妙とはいえ見事なヒールっぷりだったわ爆豪ちゃん。」

 

瀬呂と蛙水だ。

たしかに今回の戦いは本人たちは真剣勝負であるが、傍から見れば爆豪が悪人に見えてしまう。

 

「うぅるっせぇんだよ黙れ!!!」

 

不機嫌そうに大きく足音をたてながら席へと向かう。

 

「まぁーしかし、か弱い女の子によくあんな思い切りの良い爆破出来るな。」

「フンッ!!!」

 

上鳴は爆豪を指さしながらそう言う。

爆豪はドカッ、と椅子に座りながら呟く。

 

「……何処がか弱ぇんだよ。」

 

いつもの、相手を舐めるような、侮るような表情ではなく。真剣な表情でそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麗日はまだ控え室を退いておらず、そこにいた。

 

「負けてしまった。」

 

パァア、と明るい笑顔で頭をかく麗日。緑谷が控え室に入って直後のことだ。

 

「最後いけると思って調子に乗ってしまったよ。くっそー……。」

 

そう言う彼女に、怪我が大丈夫かと心配を口にする緑谷。

もちろん麗日はリカバリーガールに治癒を受けており、体力を削らない程度の治癒なため擦り傷を残したものの大方回復を終えていた。

 

「いっやー!やっぱ強いねぇ爆豪くんは!完膚なかったよ。もっと頑張らんともいかんな私も!」

 

くう、と悔しそうに握り拳をぶんぶんと上下に振る。

その様子を黙ったまま見つめる緑谷。

堪らず麗日はポケ、と見返してしまう。

 

「…………大丈夫……?」

 

空元気ではないか、と思ってかの発言だ。

 

「大丈夫!意外と大丈夫!……デクくんだって先を見据えてやってるし、負けたからって……負けてられんよ。」

「そんな──」

 

その言葉になにか返そうとした時、遮るように場内に声が響いた。

 

「あーーーおォ!そして今切島VS鉄哲の進出の行方がァ!?」

 

簡単な試合で、というのは腕相撲だった。

 

「んんんんんんんんんん!!」

「んんんんんんんん゙んッ!!」

 

お互い"個性"を発動しながら全力で踏ん張る。

 

「ガァッ!!」

「引き分けの末キップを手に入れたのは鉄哲だァ!!」

 

プレゼントマイクのその言葉と共に歓声が沸く。

 

「く、くく、くっそォォォ!!」

「ッしゃァ!!!直前に付け焼き刃とはいえ鉄分を補給したかいがあったぜ!!」

 

膝から崩れ落ちる切島とガッツポーズを高らかに掲げる鉄哲。

そして。

 

「ギリッギリの、いい、勝負だった!」

「……おう!」

 

鉄哲は掲げた手を下ろし、切島に差し伸べる。

その手に応じて立ち上がり、そのまま握手をした。

 

「じゃあそろそろ始めるか2回戦ッ!」

 

最後の進出者が決まり、次に続ける声。

 

「決着……もう……!」

 

ザワ、と緑谷は背筋に緊張を感じた。

 

「ああごめんデクくん私おってデクくん準備が……!」

 

ガタ、と急いで立ち上がり、控え室を出ようとする。

その直前。

 

「見とるね。頑張って!」

 

激励。それだけ残して彼女は去った。

今までの笑顔は、悔しさを押し殺したものだと緑谷は分かっていた。

助けになれれば、なんて思っていた。

しかしそれは叶わなかった。なにもしてあげられなかった。

にも関わらず、背中を押された。

その事実に、涙さえ浮かぶ。こちらも別種とはいえ、悔しさからか。

そんなことを考えながらも足をスタジアムへと運ぶ。

 

「おォ、いたいた。」

「エッ……エンデヴァー!?なんでこんな所に……。」

 

フレイムヒーローエンデヴァー。オールマイトに次ぐ実力と実績を持つNo.2ヒーローである。

 

(近くで見るとすごい威圧感だ……!)

 

髭や目元、足元にヒーロースーツをX字。

全身各所に炎が立ち上るように燃え盛っており、威圧感を強く感じる。

力を誇示するためだ。

 

「君の活躍、見せてもらったよ。素晴らしい"個性"だね。指を弾くだけであの風圧……パワーだけで言えばオールマイトに匹敵する"個性"だ。」

「!?」

 

緑谷出久。"個性"は"ワン・フォー・オール"。

オールマイトから聖火の如く受け継いだ、力の結晶だ。

オールマイトの"個性"は一般的には秘匿とされており、内容はともかく、緑谷に受け継いだことなど知るものはほぼ0に近い。

もちろん、バレてはいけない。

まるで核心をつくような言葉を放つエンデヴァーに一瞬動揺する緑谷だが、口振りからはなんとなく知らないような雰囲気を受けた。

そのまま横を通り、立ち去ろうとする。

その背中に、エンデヴァーは言葉を続ける。

 

「ウチの焦凍には、オールマイトを超える義務がある。君との試合は有益なテストベッドになるだろう。……くれぐれもみっともない試合はしないでくれたまえ。」

 

その時、緑谷は。

 

─クソ親父の"個性"なんざなくたって……いや、使わず"1番になる"ことで奴を完全否定する─

 

本戦に入る前に。轟が言った言葉を想起させられた。

 

「言いたいのはそれだけだ。直前に失礼した。」

 

そう言ってエンデヴァーは立ち去ろうとする。

が、今度は緑谷が口を開く。

 

「……僕は、オールマイトじゃありません……。」

 

そんなことは当たり前のことだと、エンデヴァーは言おうとしたが、それを遮り、緑谷は続ける。

 

「当たり前の、ことですよね。……轟くんも、あなたじゃない。」

 

それだけを残し、緑谷は試合へと向かった。

エンデヴァーからの返答は、なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ステージ。

轟は目を閉じ、精神統一をしていた。そして。

 

「来たな。」

「……。」

 

言葉少なく、試合開始の合図を待つ。

 

「今回の体育祭両者トップクラスの成績!!まさしく両雄並び立ち今!!轟VS緑谷ァ!!」

 

歓声も今までよりも大きく感じる。それは両者が好成績を残しているからだ。

しかし、その歓声も2人には届いていないだろう。

お互いがみているのは、お互いだけ。

 

「今!!STARTォォ!!」

 

試合、開始。




暑いですね。熱中症にはお気を付けて。汗を沢山かいてします状況なら1時間に400ml前後は飲みましょうね。塩分もとりましょう。
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