僕のヒーローアカデミア ─とある男の物語─(仮)   作:楽園の主

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ちょいとぶりですね。準決勝、爆豪戦です。
描きたいことを書きますぞよ。

文字大きくしたり揺らしたりするエフェクトの使い方がわからない〜。
でもルビの振り方とアンケートは覚えました。


第28話 ─爆豪VS香月─

 

 

《STARTォォォ!!》

 

その合図の瞬間、爆発を伴い飛び出したのは爆豪。

香月が今まで初動、動かず後手に回っていたことは見ていた。

だったらそれに乗ってやろう、ということなのだろうか。

瞬時に肉薄し、放つは右手の大振り。

 

「さすが、速いッ!」

 

それを見た香月は前方向へ近づき、爆破を回避。

爆豪の"個性"、爆破は掌の汗腺からでたニトロのようなものを爆破させている。

つまり掌よりも近づいてしまえば爆破"は"受けない。

その後、左手で斜めに拳を振り上げる。

空中にいる爆豪は避けられないはずだがそこは"個性"を使い、空中で動いて避けた。

さらに避けながら爆破で反撃して見せた。

香月は回避するも爆破の余波を受ける。

さらに追撃しようとする爆豪に香月は。

 

─パァンッ!─

「ッ!!」

 

ねこだましをした。

爆豪は香月の戦闘技術が高いことは理解しており、1度でもくらって怯んでしまえば連撃を受けると考えていた。

香月の動向に集中しているところにねこだましだ。

一瞬怯む爆豪、蹴りあげるため脚を動かす香月。

しかし追撃を受ける訳には行かないと大きく爆破で香月を攻撃しつつ下がる。

 

「ッ!……ふー……どうしたもんかなぁ。」

 

爆破を受けた彼は所々火傷をしているものの大きなダメージでは無いのか考えながら頭をポリポリとかいている。

 

(……こいつが明らかな隙を見せるわけねぇ……なんかあるな。)

 

爆豪は足を止め、じり、と近づくに留めた。

 

「……さて、こないならこちらから仕掛けるぞ。」

 

そう告げ、ぐっ、と右足を前に踏み込む。

爆豪は警戒して足を下げ、体勢を少し低く、香月に集中。

さて中央から来るか、迎撃を避けての横か。

 

(どっからでも関係ねェ!来やがれ!!)

 

パンッ、と。闘志に呼応するように彼の掌から小さな爆破が起きた。

 

「はいよっと!!」

 

もう1歩踏み込むと同時に背後に光球を設置、レーザーを4本放った。

爆豪はそれを斜め前に飛ぶことで回避。

近寄ってくると考え、回避しながら攻勢に出るためだ。

しかし香月は前へと出ておらず、逆に下がっていた。

 

「そぉらまだまだだ!」

 

さらに両手に光球を構えたかと思えばそこから大量のレーザーを放つ香月。

全てが真っ直ぐではなく、緩やかにホーミングして爆豪を追い立てた。

それを上下左右に爆破によって飛び回りつつ回避していく。

一際大きな爆破をしたかと思えば、回避をしつつ彼の後ろを取っていた。

 

「オラァ!!」

「ぬッ!!」

 

爆破を至近距離で食らう香月だがその勢いを利用して距離を取った。

しかしそれを逃す爆豪では無い。爆破を推進力に使って追う。

途中。

 

「がッ──」

「"仕掛ける"と言ったぞ、俺は。」

 

下から強烈な衝撃が発生し、爆豪は吹き飛ばされる。

USJで、主犯2人に仕掛けたものと同じ技だ。

空中に放り出された爆豪に対して複数のレーザーで追撃を試みる。

 

「ちィッ!!」

 

爆破を用いて回避しつつ体勢を立て直し、着地した。

 

「せやァ!」

 

距離がある状態で香月はアッパーのように拳を振り上げる。

するとその軌跡を追うように、斬撃のような波導が発生する。

しかし、それは爆豪へと高速で飛ばされる訳ではなく、とてもゆっくりと前進している。

そのままだととてもじゃないが当たりそうにない。

なんだ、と爆豪に思わせるが早いか、逆の手に溜められた"個性"を投げるように放つ香月。

球状のそれは爆豪の頭上を通り過ぎるような軌道を描く。

一瞬、爆豪の目線はそれに寄せられる。

同時に香月は"個性"を発動、紅いレーザーを放とうと掌に溜めていた。

爆豪はそれに気づき、回避体勢をとる。

その瞬間、バシュッ、と音を立てて最初に放たれた斬撃のような波導が急加速。

そのままの軌道ならば爆豪には当たらない、少し横の軌道。しかし、少しだけ爆豪をホーミングしているため、そのままじっとしていれば弧を描いてヒットするだろう、といったところか。

どういうことだ、と考えるが直感するより早く後ろからの攻撃が迫る。ヂッ、と爆豪の頬を掠めた。

2手目の、爆豪の後ろに投げられた球状の"個性"だ。

それが彼の後ろで滞空、連続で光の球を放っていたのだ。

溜められた紅いレーザーは爆豪に向けて放たれる。

それは中心より少しだけ左。爆豪は立ち止まっていては背後からの光の球も受けることになる。

反射的に右へと避けた。するとそこに、斬撃のような波導が迫る。

 

「チッ!!!」

 

大きな舌打ちと共にガードしつつそれ自体に爆破をぶつけてそれの勢いを軽減しつつ受けた。

その隙に香月はくる、と回りながら周囲に無数の球を放つ。

それはレーザーを放ったり、爆豪に迫ったりはせずに滞空。ステージ全体に機雷のように疎らに配置された。

 

((トラップ)か!)

 

香月の周囲には比較的多く設置されていることから爆豪のその予想はおそらく正しいだろう。

大きさとしては直径10cmほどで、大きくは無い。

だが、ステージ全体に疎らにある上に当たるとダメージになるとあれば、爆豪の動きは阻害される。

さらに香月は手を打つ。

 

「下がれ。」

 

左手を振るうと赤いものを1つ、その後右手を振るうと青いものを2つ、両手から巨大な球を放った。

それらは決して早くは無いが、緩やかに爆豪を追い続ける。

赤色のものは途中で止まり、停滞。青いものはずっと追いかけて来るようだ。

 

「チッ!!」

 

舌打ちしながら爆破により飛び上がり、空中に出る。

巨大な球2つを多少誘導しつつ、空中から急降下して香月に接近した。

小さな爆破で軌道を変え、機雷のようなそれを回避しつつ接近しているのは流石のセンスと言ったところか。

 

「でやぁッ!」

 

下から上へとレーザーを、横へと複数展開し壁のように爆豪との間に放つ。それを何層かに渡って放っていた。

接近拒否をしつつ、範囲を広げることで生半可な回避なら巻き込むつもりだろう。

それを爆破によって上方向へ回転し、香月後ろへと移動。背後から爆破を構えた。

 

「裏のケアぐらいしているぞ爆豪!」

突然複数の球が爆豪の周りに現れ、破裂。爆豪は爆破により緊急脱出してダメージのほとんどを逃れた。

が、ゆっくりと追ってくる球が回避先へと存在しており、その1つに当たって爆発、爆豪はダメージを受けて吹き飛んだ。

吹き飛んだ先には赤い球があり、それにも当たって破裂、弾かれるようにさらに吹き飛んだ。

 

「うッぜェなぁぁぁアアア!!」

 

香月から距離をとって手を合わせ、前方広範囲に大きな爆破を放ち、設置された機雷や追ってくる球ごと香月に向けて爆破。

 

「あンぶねぇな!!」

 

斬撃のような攻撃を放って爆破の軌道を裂いて衝撃から逃れた。

斬撃のようなそれは爆破により消え、そのまま爆豪を攻撃、とはいかなかった。

 

「おいおい、せっかく出したんだ!消すなよ!」

「消すに決まってんだろうがバァカ!!!」

 

 

 

 

 

 

──

 

 

 

 

「なんつーかさすがだなあいつら!」

「爆豪が素早くなっても香月も負けてねぇな!」

 

A組の連中が興奮したように戦況を見守りながらそう叫ぶ。

 

「爆豪くんのセンスもさすがだが……。」

「香月の戦場コントロール、か。」

「うむ。」

 

爆豪の反射神経や戦闘センス、攻撃威力に上がっていく動きはさすがと言ったところだ。

しかし対する彼も、爆豪が直進できないよう機雷のようなそれで進路を複雑化させ、裏を取られても球状の攻撃でケア、相手を無理矢理にでも動くように緩やかに追う大きな球のそれと、戦場コントロール能力には目を見張るものがある。

場合によっては相手に得意なことをさせず、土俵立たせないといった戦いも見られるかもしれない。

 

「この体育祭に限って言えば今のところ威力とか派手さというと爆豪や轟に目が行くけど……。」

「武術や技術というか……そういったものがえぐい感じか。」

 

 

 

 

 

──

 

 

 

 

 

「さぁて次はどうするか、なッ!!」

 

そう言いながら香月はビッ、と頬に付いた血を指で拭い、言い終わると同時に爆豪の方へと踏み込んだ。

 

「ナメてんじゃねェぞ!!」

 

爆豪はそれを迎撃するため、腕を振るう。

 

「ほらよッ!」

 

その腕を拳に纏われたエネルギーとともに裏拳、別方向へ力を加えることによって強く弾き、大きく体勢を崩させた。

ゲーム的に説明するならパリィ、といったところか。

その後爆豪を掴み、空へと投げ飛ばし、レーザーによって追い討ち。

爆豪は空中で爆破を起こし、そのレーザーから逃れる。

瞬時に追加で爆破、勢いよく香月に接近し、着地。斜め上に打ち上げるように香月を爆破した。

その勢いを利用して距離を離し、即座にレーザーを放って反撃。爆豪はそれを避けた。

 

「ん〜キツイか。流石のセンスだな。」

「なんで本気を出さねぇ。」

「ん?」

 

わなわな、と怒りに震えながら言う爆豪。

ギリ、と歯を食いしばる。

 

「使ってこいよ!!全力で!!全部!!」

 

怒号が飛ぶ。USJで見せた"個性"や武器など、彼はまだ使ってないものが多い。

その本当の理由はどうであれ、爆豪にとってはそれが気に食わないのだ。

 

「……ああ、"個性"の話か。いや、断るよ。」

「あ゙ぁ゙!?」

 

さらりと言う香月に苛立つ感情を耐えきれず吐き出す爆豪。

 

「全国放送だしな。ちょっと見栄えが……。」

「はァ!?」

「それに面白く無さそうだしな。」

「舐め腐ってんじゃねェぞ死ね!!」

 

爆破しながら暴言で返す爆豪。香月は笑いながられを避けた。

 

「まぁそれはさすがに冗談として……使わない理由、爆豪も聞いてたはずだし、それにあの時見ただろ?使うと自分が危険にもなるからな。さすがに──」

「それは周り見て使ってるからだろうがよ!!」

 

爆豪は爆破によって接近しつつそういう。

彼は香月を見ていて"個性"の仮説をたてていた。

USJ襲撃時、瘴気を用いて主犯2人と戦っていた時だ。

香月に関して明らかに行動が早く、強く、ビームの"個性"も強くなって見えた。

それは瘴気の影響だ、と。瘴気を出していると肉体強化、"個性"出力上昇がある、と。考えていた。

その後、敵の主犯が言い放った「猛毒」という言葉。

吐血していたことと加え、自分へのダメージがあることは見てわかった。

爆豪の直感はそこからだ。

 

「"それ"を体に溜め込まねェで外に放ってりゃダメージはてめェには返ってこねぇんじゃねぇのか。」

「……なるほど?いい直感だな。」

 

ニヤリ、と香月は笑う。

 

「確かにそうだ、と返しておこう。」

「うっぜェ煽ってんじゃねェ!!」

「煽ったつもりはないが!?」

「嘘つけクソカス!!」

 

ぱちぱち、と賞賛するように拍手をした彼に向かって爆破、それを上半身を仰け反らせることで回避した。

 

「……うーん、本当ならこれを使うつもりは全くなかったが……爆豪、勝ち負けではなく、全力の勝負がしたいと。そういうことだな?」

「勝手にてめぇが勝つ前提で話してんじゃねェ!!負けるかよ俺が!!全力のテメェをぶっ殺す!!そんで半分野郎もぶっ殺して、俺が完膚無きまでの1位だ!!」

「いや別に俺が勝つ前提で話したつもりはないんだが、そうか……。」

 

引き気味に返事した後、そうさなぁ、と考える香月。

爆豪は、動かない。戦いの手は止まり、ステージは静寂に包まれている。

 

 

 

 

──

 

 

 

 

《ありゃ?なーにしてんだアイツら?なんか会話してんぞ?》

 

実況のプレゼントマイクも、観客もなんだなんだとどよめく。

 

「香月はまだ分かるけど爆豪まで動かねぇって、なにしてんだ?」

 

それはA組とて例外では無い。荒れ狂うような気性の爆豪がただ立ち止まってるだけなど、クラスメイトには何があったと思われるレベルだ。

 

「多分、香月君に本気出せって言ってるんだと思う。」

「あー……言いそうだなー。体育祭中の香月、"個性"を全力で使ったことないっぽいしなぁ。」

「頑なに内容も言ってくれないもんな。」

 

現在クラスメイトが知る香月の"個性"。

レーザーに衝撃波、肉体強化は恐らくあるだろう身体能力、武器をどこからか出してくる。

そして1部のクラスメイト見ていないが、毒々しい瘴気を放つこと。

一貫性はなく、真実の見えないそれ。

思えば、敵に対してならば多く使ったものの、対クラスメイトや体育祭では使った"個性"も肉体強化とレーザーくらいだ。

当たり前だがそれが、爆豪の気に食わない。

 

 

 

 

 

──

 

 

 

 

「……よしわかった。全ては使えんが1部をここで使うとしよう。」

「……チッ!!」

「理解してくれ、これでも爆豪への敬意で譲歩したんだ。」

 

すぅ、と息を吸い。

 

「……さて、始めようか。」

 

香月はそう言いながら一歩踏み出す。すると、口の端から毒々しい瘴気が少しだけ発せられた。それは僅かなもので、空気を侵すようなものでは無い。

それをみた爆豪はギヒ、と笑う。

 

「見下してんじゃねェよクソがァ!!!」

 

爆破で飛び出しながら爆豪はそう叫ぶ。

それに対して、踏み込んで爆豪を迎撃する。

 

(速ェッ!)

 

今までの肉体強化よりも随分と速くなったことを爆豪は驚いた。

顔に向けて放たれる拳が近づいてくる。

反射的に爆豪は爆破を下へ、体を上へと浮かせることで回避した。

回避の後、爆破によって体を回転させ、香月へと蹴りを放つ。

爆破ではなく蹴りを放ったのは、この至近距離で爆破を使えばまた彼の姿を一瞬視界から消してしまうからだ。

爆豪の蹴りに、香月は合わせる。

 

─ヒュッ─

「ッ!!」

 

爆豪は直感で危険を感じ取った。再び爆破によって自身の体を香月から反対方向へと無理矢理移動させた。

香月の腕は空を切る。

 

「足を掴んでやるつもりだったんだがな。まぁいいか。」

 

呟く香月と少し距離を取った位置に爆豪は着地する。

 

「逃さんぞ。」

 

右腕をグッとかまえると、掌に光が集まったかのように仄かに光る。

それはサイドスローの様に振るわれると炸裂し、まるで散弾のように光の弾が無数に発射された。

高速で爆豪を襲う。試合序盤の、レーザーの比ではない速度。

爆豪は爆破により飛び上がりそれを何とか回避。

光の弾はスタジアムの壁に当たり、炸裂して大きな音を奏でた。

 

「せェいッ!」

 

香月は薄暗い球を放つ、が、それは彼の目の前で停止。爆豪に向かってくることは無かった。

またトラップか、とトラップごと爆破し、準備をさせまいと瞬時に爆豪は爆破を推進力に接近した。

 

「かァッ!」

 

接近したところに、高速で赤い球を放つ。真っ直ぐと爆豪に向かっていく。

爆豪はそれを腕で防御、ダメージを避けるが衝撃により吹き飛ばされる。

 

「消え去れ。」

 

吹き飛ばされた位置に手をかざすと、香月が扱うエネルギーのようなものが、爆豪が吹き飛ばされた位置へと収縮する。

爆豪がちょうど飛んでくるだろう瞬間にそれは独特な音を奏でながら爆発。

爆豪は空中で体を捻り、爆破により起動を変えてそれを回避。

しかし、回避先に矢のようなものが複数射出されていた。香月が最初に設置した薄暗い球から放たれたようだ。

それのいくつかが爆豪の体を捕える。

 

(うぜェが大した威力じゃねェ!!)

 

爆豪が空中にいることもあり、当たった衝撃は逃げやすい。精々、彼の体感でひとつ辺り拳1発分と言ったところか。

幸いにも当たったところが良く、ダメージは少ない。

 

「轟けッ!」

 

香月が真上へと跳ねた。すると、彼の体は暗いエネルギーに包まれ、その状態で急降下、床に足を叩きつけた。

すると、床から上へとレーザーと共に噴出するエネルギーが波のように爆豪へと迫る。

 

(パワーが上がっても戦闘スタイルは変わらねェってことかァ!?)

 

あと少し、というところで爆破によって体を横に、レーザーをギリギリで回避した。噴出するエネルギーに少し身を焼かれるがダメージを許容し、相手の視界から逃れることを選んだ。

そこから爆豪は爆破によって前方へと急加速。香月はそれと同時に大きく前へと踏み込んだ。

並大抵の者なら反応すらできないだろう、しかし爆豪は反応し、爆破を構える。

香月は拳を握り、深く構えていた。

爆豪はそのまま爆破で攻撃。香月はまともに受けながらも拳を振り抜いた。

爆豪は空中で身を動かして何とか直撃を避ける。

 

「クソがッ!!」

 

さらに爆豪を蹴りで追撃、それを腕で防いだ。

重い衝撃で吹き飛ばされるも空中で身を翻して着地。翻した瞬間、ほんの一瞬。香月から目線が離れた。

次に目線を戻すと、香月は目の前にいた。

直後、振り抜かれる拳。爆豪は体で、大きく避けた。

USJにて、香月が瘴気を腕から放っていたのを見ていたからだ。

攻撃と同時に瘴気を放たれた場合、ギリギリの回避では瘴気を食らってしまう可能性がある。

まぁ、実際のところは瘴気を放ってはいないが。

 

《香月ギアが上がったかァ!?爆豪を追い詰めるゥ!!》

 

さらに中段の蹴りが爆豪を追う。爆破で攻撃しつつ後ろへと下がって蹴りを透かす。

爆破をものともせず香月は前方へステップ、拳で追撃。

それを爆破で回避しつつ香月の上を越えて後方へと飛び退く。

香月は振り向きつつ、グッと溜めて床に手を勢いよく突き刺したかと思えば、土台の床板を1枚、爆豪に向けて畳返しのように投げ飛ばす。

爆豪はそれを爆破で砕き、直撃を避ける。が、砕いた瞬間、目の前には香月。

再び爆破で攻撃しつつ退避しようとしたが、爆破の直後、爆破のために出した腕をダメージを受けつつも怯まず香月は掴んだ。

そのまま引き寄せつつ、腹に攻撃を叩き込む。

手にはエネルギーが握られており、直撃と同時に破裂、独特な音を奏でながら爆豪は一瞬宙を舞う。

瞬間、香月はクラウチングスタートの姿勢を取り、大きく溜めた。

握力でステージの床に亀裂が走り、オーラのようなものが発生する。

爆豪は爆破にて体勢を整える。

香月は溜めていた力を解放、爆豪の方へ跳んだ。

その速度は高速、もはや跳んだのではなく射出されたかのようだった。

そのまま爆豪の腹へと拳を叩き込んだ。

 

《重いのはいったァ!》

 

 

 

 

 

 

──

 

 

 

 

 

「なぁ、もしかして……。」

「そうですわね……。」

「大丈夫なんかな、香月。」

 

上鳴、八百万、耳郎は呟く。

一瞬見えた瘴気、それに加えて動きのギアが上がったこと。

そこから例の"個性"を使ったのだ、と分かった。

その後どうなったか、というのは間近で見ていた彼らにはわかる。

 

「なんか……急に動き良くなってない?」

「あ、尾白は見てなかったか。」

 

瘴気を使っている香月を見た事がない尾白は驚きの声を上げた。

その瘴気は使い始めると香月の動きがとてつもなく良くなること、また瘴気自体には毒のような性質があるだろうこと、彼自身にも反動があるらしいこと。

USJで初めて使い、主犯格に対して毒霧のように使っていたことも伝えた。

 

「そんなの隠してたのか……。」

「まぁ香月から聞いたわけじゃねぇからだいたい推測だけどな。」

「もうどこまで隠してんのかわかんねぇよ俺らも。」

 

レーザーや武器を取りだしたりしたこと、毒のような瘴気、肉体強化。

ここまで見せられてしまえばもう何を隠していても驚きはしない。

 

「というか怯みもせんやん……。」

 

麗日が、そう呟く。

1回戦にて、爆豪と戦った彼女はその威力を身をもって体感している。

爆撃を何度も受けつつ、怯みもせず反撃し続けることの異常性を、理解した。

 

「アレ出てからだよな?なんだ?無敵か?」

 

砂藤が頭を抱えながらそう呟く。

 

「いや、よく見ろ。ノーダメージじゃない。」

 

爆撃を受けた香月の皮膚は火傷しているところや血が出ているところが多数あった。

 

「痛みを無視してるだけってことか?」

「クレバーだなおい。」

「それにUSJの襲撃事件の時、彼は重体で運ばれた。しかし、たった数日で完治した。」

 

その事実がある以上、もしかしたら香月自身の"個性"に回復効果があるのかもしれない、という訳だ。

その場で瞬時に回復出来るならUSJで倒れるようなことにはなっていない。

時間が経てば回復するような、ゲームで言うリジェネ効果に通ずるものか。

しかし、だとするなら。

 

「でも……あの時の香月のダメージ、多分ほとんどが自分の"個性"のダメージだけだろ?だからほら、爆豪から受けた怪我は治ってないし。」

「なんか条件があんのかもな。うーん……。」

 

香月の"個性"の考察に意見が飛び交う。

緑谷と自身のノートに香月の"個性"のことは沢山書き込んでいた。

自分なりの予想や、使い方まで。みなの意見も総合し、冷静に考える。

 

(あれ、今……悩んだ……?)

 

観客席で見ていた緑谷は振り返って床板を投げる前の間、一瞬静止した香月に気がついた。

瘴気を放つのを迷ったのだろうか。

他にも瘴気を放つタイミングは沢山あった。にも関わらず放たないというのはやはりなにかの理由があっての事か。

しかし、考えれば考えるほど彼の"個性"には謎が多い。というかやれることが多い。

 

(どう考えても普通じゃない。あれじゃあ───)

 

ふと、1つの映像が緑谷の脳裏によぎる。

脳がむき出しの大男。脳無とよばれたそれを。

しかしそれとは見た目、行動、思考。あらゆる面が違う。

そんなわけはない。考えを振り切った。

 

 

 

 

 

 

──

 

 

 

 

 

 

「クソがッ!」

 

空中で体を捻り、体勢を立て直して着地、ザザ、と地面を擦りながら勢いを殺す。

先程のダメージを爆破で自身を後ろへ飛ばすことによって軽減してすぐさま体勢を整える辺り、やはりそのセンスたるや天才か。

前を向けば既に腕を構えている香月。即座にレーザーが発射される。

それを横へ回避。既にそこには香月がいた。

爆豪は掴まれそうになるが、それを避けて逆に香月を掴み、爆破しながら地に叩きつけた。

その衝撃とともに体を下げ、少し距離を取った。

 

「ん゙ん゙っ、さすがだな。」

 

息を切らせながら香月はそういい立ち上がる。その時、爆豪は気付いた。

 

(あいつ、目が──)

 

よくよく見れば、片方の目の白目、結膜に相当する部分の1部が瘴気と同じ色に染っていることに気がついた。

瞬間的に、自身を蝕むということは、瘴気をため続けるということは、爆豪と同じく、ギアが上がっていく"個性"だと理解した。

 

(コンスタントに放たねェのはそういうことかよ!!)

 

自分は既にかなりギアは上がっている。香月にこれ以上ギアをあげさせる訳にはいかない。

ここから短期決戦にするつもりで、爆豪は爆破で接近した。

放つのは高火力の爆破。それに、香月は対抗しようと動く。

 

「死ねェェェエエエ!!!」

 

両手を前へ、香月に向かって爆破を全力で放つ。

それでありながら、爆破の衝撃で後ろへと下がり、さらなる小さな爆破で体勢を整えて着地する。

 

「……ふむ、見事だ、爆豪。」

 

香月に爆破による傷はほとんどない。何らかの手段で攻撃を防いだのだろう。

しかし、爆破の衝撃で大きく下がったらしく、立ち位置は場外であった。

 

《あーっと香月ィ!?爆破の衝撃で場外へ!!っつーことはァ!!》

 

プレゼントマイクは興奮気味にそう言った。

 

「香月くん場外!爆豪くん勝利!」

 

ミッドナイト先生による判定により、香月は準決勝敗退。

決勝に進んだのは爆豪だ。会場が大きく沸いた。

 

「香月という少年、遠距離に攻撃する"個性"をとんでもない精度で扱っているな。」

「罠としての機能、直接射出……できることが多い。」

「どういった"個性"なのか、ということはさておいて、これが1年か?というほどの技量だ。」

「対する爆豪もかなりいいぞ、火力、機動力、センス。かなり有望だ。」

「だんだん"個性"が上がっていくのもいいな。長時間であればあるほど、というのは逃げる(ヴィラン)を追いやすいし。」

「ただ性格と言動がなぁ……。」

 

プロの評価も続々と続いていた。

 

「あ〜香月ダメだったか!」

 

激しい驚きと共に大声をあげる砂藤。

 

「さすがにダメージを防いだにしろ衝撃までは殺せなかったって感じか?」

「やっぱすげぇな爆豪、あの後の展開も考えてたもんな!」

 

わいわいとクラス内も騒がしく話をしている。

どちらが勝ってもおかしくないカードの試合だった故か、香月の負けに、と言うより、試合そのものに沸いているように見える。

 

「しっかしこれで決勝は轟と爆豪か!」

「いやー準決から一気に興奮する試合ばっかだな!」

「あそこに立てないのはくやしーけどね!」

 

興奮冷めやらぬ、といったところ。そんな中。

 

「は?」

 

爆豪の短いその言葉に反応せず、そのままに退場していこうと立ち上がる香月。

 

「ふ、ふざけんじゃねぇぞテメェ……!!」

 

それに対し、怒りを露わにして香月に詰め寄った。

 

「なんで使わねェ!!」

 

胸ぐらを掴もうとした手を、香月に払われるも言葉を言い切った。

 

「てめェなら最後の攻撃防ぐだけじゃなく回避だって反撃だって出来たはずだろォが!!」

 

香月を強者と認めるからこそ、そう信じていた。

だから高火力の爆撃をしつつ、反撃を潰せるように離れた位置に着地、警戒していたのだ。

 

「瘴気の"個性"だって使いきってねェ!迷って使うのやめただろてめェ!!」

 

今にも掴みかかりそうな雰囲気で言い放つ。

 

「爆豪、後にしろ。……観客の前だ。」

「……チッ!!絶対だ、聞かせろ。」

 

関係ない、と怒号を上げようとしたが、香月の言葉に少しだけ冷静さを取り戻したのか、一瞬の間の後、特大の舌打ちをし、爆豪は振り返って言葉を残し、ズンズンと不満そうな足取りで戻って行った。

戻っていくことを確認した香月は同じく逆の門へと歩いて向かっていく。

幸い、歓声によって声はかき消されていたらしく、会話内容までは皆には聞こえていなかった。

 

爆豪勝利、決勝進出。

香月、準決勝にて敗退、ベスト4。

 




本当はこの後のちょろんとも含め、決勝戦直前まで書くつもりでしたが少し多くなりそうなのでここで切りました。

そういえばアンケートありがとうございます。
結果としては「"男がいい"のがかなり多く、"女がいい"が少ない、"気にしない"もまた少ない」と言った感じですね。
この後の展開になにか変わるわけではありませんが、なんとなく皆さんの意見を理解した、というところです。
あは〜ありがと〜って感じ。

最近TSがそこそこ世の中に受け入れられてきたことかと思います。なんとなくこの主人公女の子にしてみたいと感じた次第です。それに加えて女主人公を書いてみたかったりしたのでアンケートしてみます。アンケートの結果によって書くことが変わったりは多分しません。なんとなくみんなはどう思うかなって感じです、

  • [男のまま]やめろい。男のままがいいぜ。
  • [男→女へTS]女の子にしてみようぜ。
  • [我関せず]気にしないぜ。
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