僕のヒーローアカデミア ─とある男の物語─(仮)   作:楽園の主

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原作に戻って参りました。
前回までに比べると少しだけ短めです。
あ、最近投稿頻度上がってますが、油断してはいけませんよ。
突然消えたりするかもしれませんが故。気分屋なものでね。へへ。


第32話 ─名前をつけようの会─

体育祭の疲れも癒え、2日後の登校日は生憎の雨だった。

傘を差して歩く香月。通常ならばズボンの裾などが濡れてしまう雨の日、しかし香月はそれを"個性"により防いでいた。

レーザーを出したりするその力で、薄く壁を張り、傘から内側へ雨が、水溜まりから跳ねた水が入らないようにしているのだ。

"個性"の使用は原則、ヒーロー免許や、特殊免許など国からの許可が必要だ。

だが、日常生活の小さな部分では事実上黙認されている。

本来自転車というのは車両扱いだが、歩道を走っていたり歩行者専用の信号で通行していたりしても全てに指導される訳では無い事にも近い。

故に意外と細々したところでは"個性"とはよく使われるものだ。

 

「お、おはよう梅雨ちゃん。早いね、まさか俺より早いとは。」

「おはよう玲ちゃん、昨日ぶりね。雨で気分が上がってて、思ったより早く家を出ていたみたいね。」

 

途中で会ったクラスメイトに挨拶をしながら教室を目指す。

教室にクラスメイトは居らず、2人が1番乗りだ。

しばらく会話していると続々と集まり、ワイワイと賑わい始める。

話題は専ら世間の反応のことだ。

雄英体育祭に影響により生徒たちは有名になった。

登校中に声をかけられることも多く、そうでなくても視線を集めることになる。

瀬呂に至ってはドンマイコールをされる始末。

 

「香月もベスト4だろ?大分声かけられたんじゃね?」

「いや、そうでもないぞ。」

「え?うっそだぁ。漏れ出るカリスマオーラで人ひきよせるまであるって。」

「バッカにしてくれちゃってェ。ま、気配消してるもんでよ。あと来るのかなり早かったしな。」

 

香月はそう語るものの、やはりたった一日で注目の的になる、というその事実に雄英の凄さに驚いた生徒たちであった。

学校のチャイムとともに、相澤先生が教室に来た。

彼のおはよう、の挨拶でクラスは一瞬で静まる。

その姿は包帯まみれの姿ではなく、いつもの姿だ。

 

「相澤先生包帯取れたのね。良かったわ。」

 

蛙吹がそう呟く。

相澤先生はリカバリーガールの処置が大袈裟すぎるだけだ、とだけ答えて本題へと直ぐに入った。

1限目、ヒーロー情報学。本日は少し特別だ、と告げる。

 

「コードネーム……ヒーロー名の考案だ。」

「「「「「胸膨らむヤツきたああああ!!!」」」」」

 

クラスのほとんどが立ち上がりながらハイテンションで叫ぶ。

瞬間、ザワ、と相澤先生の髪が逆立つ。瞬間的にクラスと鎮静化、静かに戻った。

先日から言っていたプロからのドラフト指名に関係してくること。

使命が本格化するのは経験を積み、即戦力が期待できると判断できる2年、3年からだ。

1年の時の指名というのはその将来性に興味があるから、という意味に近い。

本屋でふと目にした本を手に取ってみる、というようなこと。

卒業までに興味が削がれたら一方的にキャンセルなんてのはよくある話だ。

まぁ、生徒からすればなんと勝手なことか、と感じるだろうが、それが社会だ。

要は、貰った指名というのは自分へのハードルへとそのまま反映される。

 

「で、その使命の集計結果がこれだ。例年はもっとバラけるんだが、3人に注目が偏った。」

 

そういいながら相澤先生は黒板をコン、と軽く叩く。

轟が4123、爆豪が3556、香月が2514と3名に大量の使命が来ていた。

その下には常闇360、飯田301、上鳴272、八百万108、切島68、麗日20、瀬呂14と続く。

その他の人間には指名がなかったようだ。

 

「ははっ!1位と2位逆転してんぞ爆豪。」

「まぁ表彰台で暴れるから拘束された奴とかビビるよな。」

「ビビってんじゃねーよプロが!!」

 

楽しそうに笑う香月に、瀬呂は確かにそうだと追従する。

爆豪はもはやいつも通りというか、怒号で返した。

 

「だーーー!白黒ついた!」

「見る目無いよね、プロ。」

 

上鳴と青山がそう呟く。

数字が出てしまうと差を実感するもの。それに対し、自身への評価が正当でないと感じるのも無理は無い。

 

「さすがですわ、轟さん。」

「……ほとんど親の話題ありきだろ。」

 

褒める八百万に、ぶっきらぼうに轟はそう答えた。

 

「わあああ!」

「う、うむ。」

 

麗日は自身へ指名があったことに喜び、前にいる飯田の肩を掴んでゆっさゆっさと喜びを表すように前後へと大きく揺さぶった。

 

「すげぇな、香月。」

「ま、準決行ったし派手だったからな。」

 

ははは、と笑いながら砂藤に返す香月。

 

「ないな!やっぱ怖かったんだ。」

「んん……。」

 

緑谷に、後ろの席から峰田がそう話しかける。

さて生徒にはこの指名の有無に限らず、所謂職場体験に行くことになる。

A組は一足先に不慮の事故での遭遇という形で敵《ヴィラン》と対面したが、プロの活動を実際に体験してより実りある訓練を使用、ということだ。

それに伴い、表に出るならばと、仮のヒーロー名が必要になってくるわけだ。

本当に国へと書類を提出してけっているする訳ではないため、今後変更も可能だ。

 

「まァ仮ではあるが適当なもんは──」

「つけたら地獄を見ちゃうよ!!」

 

相澤先生の言葉を遮り、教室のドアを開きながらミッドナイト、香山先生はそういう。

実際、この時に考えた名前がそのままプロになった際の名前になってる人が多いからだ。

職場体験とはいえ、その名前がこの世に周知されるからというのもある。

が、将来自分はどうなるのか、名前を付けることでイメージが固まり、そこへと近づいていく。

名は体を表す、という、まさにその通りのことだ。

"オールマイト"などというのは典型的な例だ。

 

「ま、そういう事だ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう。俺はそういうの出来ん。」

 

みな、フリップのようなものとペンを渡され、各々考え始めた。

時間にして、15分後。

 

「じゃ、そろそろ出来た人から発表してね!」

 

その言葉と共に、教室内ザワつく。発表形式となると、度胸が必要になるもの。

そんな中、すっ、と当然のように最初に壇上に立った者がいた。

青山 優雅である。

 

「行くよ……。」

 

発表形式となると最初の人と言うのは流れを作るに重要な立ち位置だ。

そんな彼は。

 

「輝きヒーロー "I can not stop twinkling."」

「「「短文!?」」」

 

聞いていた数名が堪えきれずにツッコミを入れる。

それを隣から、香山先生はIをとってCan'tに省略した方がいい、などと助言を加えた。

 

「じゃあ次は私ね!エイリアンクイーン!!」

「2!!血が強酸性のアレを目指してるの!?やめときなさいな!!」

「ちぇー。」

 

芦戸のそれに、さすがにストップを入れた香山先生。

さてここで皆に緊張が走る。

最初に変なものが来たせいで、大喜利っぽい流れになってしまった。

次に立つものは大きな勇気がいることだろう。

そこに向かう人が1人。

 

「小学生の頃から決めていたの。フロッピー。」

「カワイイ!!親しみやすくていいわ!みんなから愛されるお手本のようなネーミングね!」

 

蛙吹であった。梅雨入りヒーロー FROPPYというフリップを掲げる。

空気をぶった切り、本来の流れへと空気感を変えた。

 

「んじゃ俺!!烈怒頼雄斗(レッドライオット)!!」

 

剛健ヒーローとともに名前を切島は発表する。

 

「赤の狂騒!これはあれね?漢気ヒーロー"紅頼雄斗(クリムゾンライオット)"のリスペクトね!」

「そっス!だいぶ古いけど俺の目指すヒーロー像は"(クリムゾン)"そのものなんス。」

「フフ……憧れの名をせおうってからには相応の重圧がついてまわるわよ。」

「覚悟の上っス!!」

 

そこから流れは変わり、どんどんとみなが発表を始める。

 

「イヤホン=ジャック。」耳郎 響香 ヒアヒーロー イヤホン=ジャック

「テンタコル。」障子 目蔵 触手ヒーロー テンタコル

「セロファン。まんまよ。」瀬呂 範太 テーピンヒーロー セロファン

「テ……テイルマン。」尾白 猿尾 武闘ヒーロー テイルマン

「被っちまった。」砂藤 力道 甘味ヒーロー シュガーマン

「ピンキー!!」芦戸 三奈 Pinky

「チャージズマ!!」上鳴 電気 スタンガンヒーロー チャージズマ

「インビジブルガール!!」葉隠 透 ステルスヒーロー インビジブルガール

「みんないいわね!どんどん行きましょう!!」

 

流れよくどんどん発表が続く。いい流れだ。

 

「この名に恥じぬ行いを。」八百万 百 万物ヒーロー クリエティ

「クリエイティヴ!」

「焦凍。」

「名前!?いいの!?」

「ああ。」轟 焦凍 ショート

「ツクヨミ。」常闇 踏陰 漆黒ヒーロー ツクヨミ

「夜の神様!」

「グレープジュース!!」峰田 実 モギタテヒーロー GRAPE JUICE

「ポップ&キッチュ!!」

「……。」口田 甲司 ふれあいヒーロー アニマ

「うん!!」

「爆殺王。」

「そういうのはやめた方がいいわね。」

 

至極冷静に、爆豪のそれに香山先生は注意を促す。

 

「なんでだよ!!」

「や、普通に。」

「爆発さん太郎は!?」

「バカにしてんのかてめェ!!」

 

そのまま爆豪は再考となり席へ戻った。その後に、麗日が続く。

 

「考えてありました。」麗日 お茶子 ウラビティ

「シャレてるわね!」

 

香山先生が思ったよりもスムーズに発表は終わっていく。

残ったのは再考の爆豪と、香月、飯田、緑谷だ。

飯田は、思い出していた。病院で、兄に言われたことを。

彼の兄は敵の手にかかり、重傷を負った。

命は助かったが、それの後遺症として足の感覚がなくなってしまっていた。

彼の兄はヒーロー インゲニウム。足を失っては自慢のスピードを出せはしない。

ヒーローとして終わってしまった、という言葉は重く突き刺さる。

故に、彼の兄は託した。"インゲニウム"の名を。

しかし、彼は悩んだ末に。

 

「……。」飯田 天哉 天哉

「あなたも名前ね。」

 

その名を、書くことは無かった。彼にとって"インゲニウム"とは憧れであり、彼自身にとってもヒーローだ。

自分にはまだその名を名乗れる資格はない、と思ったのだろう。

そう、真剣に長考して飯田は自身の名前を書いたフリップを発表とした。

 

「ではゼロで。」

「なるほど、名前の玲と数字の零をかけてるのね。」

「ま、そんなとこです。」香月 玲 ゼロ

 

その飯田の後、ぬるっと入ってスっと発表して香月は戻って行った。

その次は、緑谷。

フリップをみなにみせた時、少しだけざわついた。

いいのかそれは、と。

 

「うん。今までは、好きじゃなかった。」

 

しかし、ある人に。とあるクラスメイトに、別の意味を変えてもらった。

それは彼にとって衝撃であり、嬉しかった。

 

「これが僕のヒーロー名です。」緑谷 出久 デク

 

その名を、みなに緊張しながらの笑顔で発表した。

みな、にっこりと微笑ましい目で見ていた。

 

「爆殺卿!!」

「違うそうじゃなくて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「職場体験の機会は1週間だ。」

 

肝心の職場だが、指名のあった者は個別にリストを渡すことになっており、その中から自分で選択する、という形になっている。

指名のない者は予めオファーした全国の受け入れ可能な事務所を40件用意されており、その中から選ぶ、ということになっている。

"個性"上それぞれ得意なジャンルや活動地域が異なる。

たとえばUSJでも言った通り、13号先生などは事故や災害などの人命救助が中心、と言ったような感じだ。

 

「今週末までに提出しろよ。」

「あと2日しかねーの!?」

 

プリントを渡され、授業は終わる。

休み時間、みなはプリントを眺めながら各々どこへ行くのか、ということをワイワイと話し合っていた。

 

「香月はどうすんだ?」

「んー……どうしようかな。こういうの詳しいだろ?みど──」

ブツブツ「まずこの40名の受け入れヒーローたちの得意な活動条件を調べて系統別に分けた後事件・事故解決件数をデビューから現在までの期間でピックアップして僕が今必要な要素を最も備えてる人を割り出さないといけないな……こんな貴重な経験そうそうないし慎重に決めるぞそもそも事件がない時の過ごし方も参考にしないと行けないな忙しくなるぞうひょー」ブツブツ

 

もはや恒例と言うまである緑谷の高速独り言にみなはニッコリとそれを見守った。

芸かよ最早、なんて思いながら。

 

「……職場体験、かぁ。」

 

溜息をつきながらそう、香月は呟いた。

悩ましい目線で、プリントやクラスメイトを見ていた。

 

「わわ私が独特な姿勢で来た!!!」

 

なんて言葉と共に扉が勢いよく開かれ、緑谷は連れていかれた。

 

「香月どうすんの?」

「んー……そうだな……サイコロで決めようかな?」

「おいおいおいやめとけってよく考えようって。」

「冗談だよ。ま!なんか考えるよ。」

 

ははは、と笑いながら彼はそう語る。1人の人間を気にしながら。

そんな話はありつつも一日は普通に過ぎていく。

勉学に励む学校の一日は終わり、帰り道。本日は一日雨で、上がるのは予報では夜。

その予報通り、学校帰りもしとしとと甘雨が降っている。

香月の目線には、草むらだろうか、そこに目を向けてしゃがむクラスメイトが目に止まった。

 

「梅雨ちゃん、どしたこんな所で。」

「玲ちゃん。」

 

聞けば、草むらに捨て猫がいたと言う。

自分は拾って帰ることは出来ないが、傘を立ててあげるつもりらしい。

 

「梅雨ちゃんが濡れるだろ。」

「私はカエルだから大丈夫よ。」

「何言ってんだ、蛙の"個性"を持った女の子、だろ。ほら、一緒に駅まで行こうぜ?」

 

ずい、と自分の傘の範囲に入るよう、蛙吹に香月は近寄った。

 

「ありがと、玲ちゃん。嬉しいわ。」

「いいってことよ。」

 

帰り道として、駅を通ると香月は遠回りになるのだが、それでも彼は着いていくことにしたようだ。

 

「玲ちゃんはどこへ行くのかしら。」

「自分で言うのもなんだが俺はやれることが多いからな。悩ましいところだよ。帰ってからしっかり調べないとな。」

「ケロ、パソコンの使い所ね。」

「お、たしかに。あの子に頑張ってもらうとしよう。」

 

そんな話をしながらと彼はあることに気がついていた。

 

「梅雨ちゃん肩濡れてるだろ。もうちょい寄りな。」

「いえ、大丈夫よ。玲ちゃんに悪いわ。」

 

人にはパーソナルスペースがある。あまり詰め寄っては嫌に感じる人もいる。

蛙吹は傘のスペースを借りてる人間だ。彼女自身は距離としては気にしないが、彼を気にして距離を取った方がいいと思った。

傘の持ち主である香月を雨に晒す訳にも行かないから自分が少し離れて、という訳だ。

それを察知してか、ぐい、と蛙吹の肩を抱き寄せて距離を詰めた。

 

「!」

「俺は気にしないよ。むしろ梅雨ちゃんを濡らしてしまったら俺が悪く見られる。だから、な?」

「ケロ……ありがとう、玲ちゃん。」

 

ニッコリ、と笑いながら礼を言った。

 

「あ、梅雨ちゃんが俺と近いのが嫌って訳か……?」

「そんな事ないわよ、嫌ならはっきり言っているわ。」

「よかったよかった。これで嫌がられてたら俺すげぇ寒いヤツってことになるからな。ははっ。」

「いいえ、とってもかっこよかったわ、玲ちゃん。」

「お、ほんとか?格好つけて言ったんだ、それは嬉しいね。」

「でも、あまり良くないかもしれないわね。勘違いされてしまうかもしれないすわ。」

「はは、そりゃ無いさ。誰でも出来ることをしてるだけだし。」

「それが意外と難しいことなのよ。」

「んーそうかねぇ。」

 

そんな会話とともに、駅に到着。そこのコンビニで蛙吹は傘を購入し、香月と別れた。

 

(……"個性"の中に傘も入れとくか。)

 

そんなことをふと、彼は思ったとか。

 

 

 

 

 

そして、数日後。職場体験、当日。最寄り駅に、クラス全員が集まっていた。

 

「コスチューム持ったな?本来なら公共の場じゃ着用厳禁の身だ、落としたりするなよ。」

「はーい!!」

「伸ばすな"はい"だ芦戸。くれぐれも失礼のないように!じゃあ行け。」

 

その言葉と共に、みな自身の体験する職場へと向かう。

 

「飯田くん。」

 

緑谷は、声をかけた。

体育祭後、ニュースで聞いた、インゲニウム、つまりは彼の兄の事件。

逃走中の犯人。それは神出鬼没にして過去に17名ものヒーローを殺害、23名ものヒーローを再起不能に陥れた。ヒーロー殺し、(ヴィラン)名"ステイン"。

飯田からは、何も聞いていない。何も言って、くれなかった。

 

「……本当にどうしようもなくなったら、言ってね。友だちだろ。」

 

この時。

 

「ああ。」

 

もっと強く言葉をかけるべきだったらと。

彼はこの日を、やがて後悔することになる。

 

「よ、飯田。」

「!香月くん。君もこちらの方向かい?」

「ああ。というか、同じ事務所だ。よろしくな。」

「そうなのかい?……こちらこそよろしく頼む。」

 

そう言って、彼らは同じ電車に乗って、同じ場所を目指す。

向かう間での2人に、言葉は少ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新幹線で45分。緑谷はようやくその場所へともう着く、と言ったところだ。

オールマイトは言った。1件だけ、遅れて指名が来ていると。

その者とは、グラントリノ。

かつて雄英高校で1年間だけ教師をしていた、オールマイトの担任であった人だ。

ワン・フォー・オールのこともよく知っている人であり、むしろその事で緑谷に指名を出したのだろう。

その際、オールマイトは。

 

「私の指導不足を見かねての指名か、あえてかつての名を出して指名を出してきたということは……怖ぇ怖ぇよ……!くっ!震えるなこの足め!」

(オールマイトがガチ震えしてる!?)

ガタガタ「とにかく……君を育てるのは本来は私の責務なのだが……せせせ折角の指名だ……存分にしごかれてくるくく……るといィいィィィ……。」ガタガタ

(どどどれだけ恐ろしい人なんだー!?)

 

ガチでビビっていたらしい。

ヒーローオタクである緑谷ですらグラントリノの名は聞いたことは無かった。

しかし、オールマイトが恐れるということはすごい人に違いない、と信じていた。

しかし、記された住所にはオンボロもオンボロ、ボロクソの建物が立っていた。

しかし間違いでないことを確認すると、恐る恐る入って挨拶をする。

 

「雄英高校から来ましたー……緑谷出久です……よろしく──」

 

そこには、赤い液体をぶちまけてうつ伏せに倒れる人が。

 

「お願いしまぁぁぁああ死んでる!?!?」

「生きとる!!」ガバア!!

「生きてる!!」ホッ

 

どうやらソーセージにケチャップかけて運んでいたら転んでしまったようだ。

 

「誰だ君は!?」

「雄英高校から来た緑谷出久です!」

「なんて!?」

「緑谷出久です!!」

「誰だ君は!!」

(や……やべェ!!)

 

話の噛み合わなさに驚く緑谷。

オールマイトの先生だから相当なお歳だとは確かにオールマイトから聞いていた。

 

「俊典!!」

「違います!!」

 

その仕上がりっぷりをオールマイトに連絡しようと、電話を取りだして外に出ようとしたその時だった。

 

「打って来なさいよ!ワン・フォー・オール!」

 

ぴた、と緑谷の動きが止まる。

 

「どの程度扱えるのか知っときたい!」

 

急にはっきりとした態度に、緑谷は困惑する。

 

「や、えと、そんなことし──」

「良いコスじゃんホレ着て撃て!」

 

しかし次の瞬間。

 

「誰だ君は!?」

「うわああ!!」

 

振り回されっぱなしである。だが、彼もここでのんびりしている訳には行かないと感じていた。

 

「僕、早く力を扱えるようにならなきゃ行けないんです……!オールマイトには、もう時間が残されてないから……だから、おじいさんに付き合ってられる時間は無いんです!」

 

きっぱりとそう言い切って、再び踵を帰し、外へ出てオールマイトに連絡を取ろうとする。

しかし。

 

─WAAM WAM WAM KRASH!!─

「だったら尚更、撃ってこいや受精卵小僧。」

 

後ろにいた、オトボケていたお爺さんだと思っていたその人は、瞬間的に動き、天井、壁、床と経由して、一瞬にして緑谷の上を陣取った。

扉と天井の間の、壁に指を食い込ませ、緑谷にそれを言い放つ。

緑谷 出久の職業体験。グラントリノとの組手、開始。




クラッシュのスペルはcrashですが、原作漫画ではKRASHだったのでそのまま書いておきます。
海外の効果音表記だとそうだったりするんでしょうか?

現在小説内では、原作をなんとなくしか知らない人向けにこの二次創作の主人公が出ないシーンもそこそこ書いてます。それについてですが……。

  • このまま書いてて欲しい
  • もっと詳しく書いて欲しい
  • 今より少し簡略化して書いてて欲しい
  • 回想程度くらいまで簡略化して書いて欲しい
  • ほとんど書かなくていい。情報程度でいい
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