僕のヒーローアカデミア ─とある男の物語─(仮)   作:楽園の主

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突然始まった体力テスト。主人公は乗り切ることが出来るのだろうか。


第3話 ー"個性"判断体力テストー

第一種目は、50m走だ。出席番号順に、2名ずつ計測していく。

つまり香月は5回目の計測時に走るのだ。

それまでの人間で特別早かったのは飯田天哉だ。

記録は3秒04。"個性"は【エンジン】。

足の部分にエンジンがついており、見たままだ。とにかく足が速い。

しばらくして、香月の順になった。

 

「よーい…START!!」

 

その声とともに、彼はクラウチングスタートでスタートをした。

普通の人間の走りとは一線を画した速さ。紛れもなく"個性"を使っていると分かる。

そのままゴールへと向かい、その記録は4秒94。一番でなくとも、いい記録だ。

両足を地につけ、砂煙を少し起こしながらブレーキをして彼は止まる。そしてこのことについて、一部の人は考えていた。

彼の"個性"はなんだろうか、と。

そのうちの数人が実技試験の時、腕を振るってレーザーを放ったり、エネルギーの塊を放って遠くの仮想敵を攻撃していたのを見ていた。

どうも全体的に一つにまとまらない。

肉体強化、と言ってもレーザーはどう説明するのか。

ではレーザーを放つと言っては、肉体強化をどう説明するのか。

 

(いったい、どんな"個性"なんだろ…)

 

クラスメイトの数人が、そんなことを考えた。

ゴールしたあとのふぅ、とため息をつく香月の後ろ姿を見る緑谷。

すると彼の近くから、オーラのような何かが一瞬みえた。

なんだ、と思って緑谷は目をこする。そして、もう一度見る頃にはそれはなくなっていた。

 

(…?気のせいかな)

 

気のせいだ、と結論づけて彼はまた準備に戻る。

またしばらくして、緑谷の順番がやって来た。

彼が走る時、香月はすごい記録を期待していた。

実技試験に出てきた巨大な仮想敵を一撃で倒すほどのパワー。

速くないわけがないと思ったからだ。

しかし、記録は7秒05。

 

(なんだ…?不調か?)

 

しかし、推測の域はでない。そのまま、第二種目へと移行し、恙無く進行して行った。

その間、香月は中の上くらいの記録を出し、緑谷はというと常人に出せるような記録ばかりを出していた。

そして、第5種目。ソフトボール投げの時。

香月は、というと。自身の番が来るとボールを受け取り、円の中に入ってまっすぐ立つ。

そして、大きく上空へ投げあげた。

瞬間、ぱっと手を開いたかと思えばそこに光が収縮し、何かが現れる。

右手でそれを持つ。それは身の丈ほどもある鉄の塊。

巨大なハンマーが現れた。ぐっと振りかぶり、大きく、まるでアイスホッケーでパックを飛ばすかのように、後ろから前へと振り回す。

ちょうど、そこへボールが落ちてきた。

 

「吹き飛べッ!!」

 

ボールはハンマーのヘッドに当たり、歪な形に変形する。

それを振り抜くと同時に衝撃波が発生した。

ボールはとてつもないスピードで飛んでいく。

記録は、480m。香月はハンマーを地につけ、ふぅ、と一つ息を吐いた。

 

「武器まで出せるのか…!?」

「私と似たような…」

 

そんな声がざわざわと生徒達の間で起こる。

そして先生の一言。

 

「香月。お前のそれは怪しいラインだ。次は素手で投げろ」

「…んーまぁそうですね。そりゃそうか」

 

しかしルール上、その行為は何か問題があったようで記録は一応帳消し。

1度目の計測は仮として0mの扱いとなった。

顎に指を当てながら考えるような仕草をしたあと、再びまた円の中に立つ。

ボールを持ったままぐっ、と構える。

そのまま普通に投げる。が、肉体強化がされているのか普通よりも速く大きく飛んでいく。

先程よりも大きく記録は下がったが、118.9mになった。

皆のところへと戻ると、大勢に話しかけられる。

 

「なぁ、お前の"個性"なんなんだ!?」

「全く予想がつかないぞ!」

「…答え合わせか。帰りに、ということなら考えておこう」

「えー!」

 

そんな会話をした。そのしばらくあと、緑谷の出番がやってくる。

今までぱっとしない記録ばかりを出していた。このままでは最下位で、除籍である。

ブツブツと何かを言い続けながら測定の円の上に立つ。

一投目。決意をしたような顔で振りかぶる。

"個性"をここに来てやっと使うか、と、思われた。

が……

 

「46m」

 

記録は、普通だった。

 

「な…今確かに使おうって…」

 

彼自身は使おうとした。意識して、"個性"を集中させていた。

しかし、投げる直前にそれが消えたのだ。まるで"個性"が抹消したかのように。

 

「"個性"を消した。…まったく…つくづく合理性に欠くよあの試験は。お前のような者も入学できてしまう」

 

相澤先生が、そう言った。髪の毛は重力に逆らって少しだけ逆立ち、首元の布を緩めていた。

その布の隙間からは、ゴーグルがみえた。

その時、香月の眉がぴくりを動いた。それは、彼の正体がわかったからだ。

 

(あの服装と髪、それに首元の布…やっぱり彼は抹消ヒーローイレイザー・ヘッド)

 

抹消ヒーロー イレイザー・ヘッド。プロのヒーローだ。

しかし認知度は低い。何故か、といえば。

別に貢献していないわけでも、弱いわけでもない。

ただ、メディアへの露出を嫌っているが故に認知度が低いのだ。

なぜ嫌うか。それは合理性に欠くから、だそうだ。

そして彼は、見ただけで相手の"個性"を消すという"個性"を有している。

彼は緑谷に向けてこちらへと聞こえないくらいの声で何かを言った。

その後、またブツブツと何かを言い続けながら測定の円の中心に戻っていく。

 

(このままでは除籍…どうするつもりだろう、緑谷は)

 

そしてまた、振りかぶる。先ほどとは違って、"個性"をまだ発動していない。

このままではまた50m弱の記録で終わる。しかし、そうはならなかった。

ボールを投げるまでの間。その間の実に一瞬。

投げる直前の人差し指。そこにのみ"個性"を集中させてボールを投げた。

 

「Smash!!!」

 

ボールは空高く飛んでいき、見えなくなる。

記録は705.3m。爆豪の記録を僅かだが超える記録。

しかし、代償として"個性"を集中させていた人差し指が真っ赤に腫れ上がっていた。

皆が賞賛する中、一人の男が大層驚いた顔をしていた。

爆豪勝己だ。

よもや自分の記録を抜かれるとは思っていなかったのだろうか?

 

「どういうことだデクテメェ訳を言えぇぇぇ!!!」

 

そう言って手のひらから爆発を起こしながら緑谷へと走る。

理由はわからない、が、止めるべく香月は動いた。

ピッ、と足の方へと指を指す。そうするとまるで誰かに突然足を掴まれたかのように爆豪は転けた。

それと同時に、爆発も消える。

 

「ったく、何度も"個性"を使わせるなよ…俺はドライアイなんだ」

 

動きを香月の"個性"で足止め、"個性"を相澤先生の"個性"で止めたのだ。

しかしながら相澤先生のドライアイは相手を見て"個性"を消すという"個性"故に致命的である。

それはさておき、爆豪はしぶしぶ皆の元へと戻った。

香月はその後の種目もそこそこの成績で突破し、緑谷は痛みに耐えながら続け、"個性"を使わずぱっとしない成績のまま終わりを迎えた。

そして、成績開示の時が来る。

 

「トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明するのは時間の無駄なので一喝開示する」

 

そう言ってスマートフォンのようなものを地面と水平に持つと、そこから光が現れて結果が表示される。

香月は、というと9位という平均より少し上あたりに位置していた。

可もなく不可もなく、と言ったところだが本人は満足しているようだ。

緑谷は、というと。最下位の場所に、表示されていた。

香月は心配そうに緑谷を見ようと、緑谷は下を向いて何かを思おうとしたその時。

 

「ちなみに除籍はウソな」

 

その言葉に、クラスの大半は!?と目を丸くして固まる。

理解が追いついていないのか、信じられないのか。

さらに、続けて言った。

 

「君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」

 

ハッ、と笑いながら彼はそう言った。

 

「はーーーーーー!!!??」

 

大層大声をあげて驚く生徒。

そんな中、八百万 百を始めとした数人は嘘だと思っていたようだが。

果たして除籍の話は本当の話なのかどうかはわからない。

言った、相澤本人にしか。

なお、香月は最下位が除籍、じゃなくて才能がない奴が除籍だった、と仮説を立てていた。

相澤先生は緑谷に保健室へ行くように指示をし、皆には教室にあるカリキュラムなどの書類を読むように促して立ち去って行った。

 

「なぁ香月、"個性"、教えてくれよ」

「まずは君たちがどんな"個性"かと思っているかを聞く所からだな」

 

会話をしながら更衣室へ皆は向かう。

そんな中、緑谷はというと。

相澤の言われた通りに保健室へと向かってリカバリーガールに治療をしてもらっていたようだ。

かなり疲労した様子で保健室を出る。

リカバリーガールの"個性"は治癒を促進させること。

傷を回復するのにも体力がいる。それを促進させるということは体力をかなり消耗するのだ。

つまりは、怪我をしすぎると体力を消耗しすぎで逆に死ぬということだ。

 

(疲れた…でも、早く着替えて教室戻って資料見ないと)

 

更衣室へ早足で急ぎ向かう緑谷。治療にそこまで時間を費やしていないとはいえこのままでは資料を読む時間が少ない。

確かに持ち帰って読めばいい話なのではあるが、もしわからないところができたらどうしようかということ。

教師に連絡すればいい、と言われればそれはそうなのだが、やはりクラスの人に気軽に聞く方が勝手が良い、というわけだ。

やっぱり大きいドアだな、と思いつつ更衣室のドアノブに手をかける。

大きいドアの理由はもちろんバリアフリー。個性で体が大きな人もいるからだ。

ドアノブも高さ別にいくつかついてある。

それの一番下に手をかけて引き戸を開き、着替えも終えたあと緑谷は教室へ向かうことにした。

途中、ちらほらと帰り始める生徒が見える。それを見て少々急ぎ足で教室に戻った。

そこで資料を読んで帰ろうとしたのだが疲労でなんとも集中出来なく、帰ることに。

 

「指は治ったのかい?」

「わ!飯田くん…!うん、リカバリーガールのおかげで…」

 

その時に飯田天哉と出会った。

 

「しかし相澤先生にはやられたよ。俺は「これが最高峰!」と思ってしまった!まさか教師が嘘で生徒を鼓舞するとは…」

(飯田くん…入試の時は怖い人なのかなって思ってたけど真面目なだけなんだ)

 

緑谷はある1件で入試の時、飯田天哉の注意を受けていた。

いじめられっ子だった故か、とても怖く見えていたらしい。

その誤解も今解けたようだ。

 

「おーい!お二人さーん!駅まで?待ってー!」

「君は…∞女子!」

「麗日お茶子です!」

 

今度は麗日お茶子、だ。∞女子、と呼ばれている理由は、体力測定の時の出来事だ。

ソフトボール投げの時、彼女は∞という記録を叩き出したのだ。

それは"個性"【無重力】によるもの。触ったものを無重力状態に出来る。

入試の実技試験の時、落下する緑谷を助けたのもこの"個性"だ。

 

「飯田天哉くんに緑谷…デクくん!だよね!」

「デク!!?」

「え?だってテストの時爆豪って人が…デクてめェー!

って」

 

それはそうなのだが、緑谷の名前は出久(いずく)である。

木偶の坊とかけてバカにしてデクと呼んでいるのだ。

要は、蔑称である。

 

「でもデクって…頑張れ!って感じでなんか好きだ私。響きが!」

「デクです」

「緑谷くん!!浅いぞ!!蔑称なんだろ!?」

 

そんなことを話しながら、3人は下校していく。

激動の1日が過ぎ、皆は帰っていく。そして、次の日。初授業の日だ。

憧れの高校だという期待と昨日のことがあってからの不安が入り乱れる一日目の授業。

しかし、その期待と不安は両方ながらも半分砕かれることになる。

 

「んじゃあ次の英文のうち間違っているのはどれだ?おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれーー!!!」

((((((普通だ))))))

 

午前、英語などの必修科目の授業。とてつもなく普通だった。

変わった部分はといえばただひとつ、先生がヒーローだということだけ。

内容というものは普通も普通。難度も本人達的には極度に高いわけでもなかった。

そして、お昼はと言うと。

雄英高校の大食堂で一流の料理を安価で頂けるのである。

料理を作るのはクックヒーローランチラッシュだ。

彼いわく、白米に落ち着くよね最終的に!!だそうだ。

そして、午後の授業。ヒーロー基礎学。

ヒーローの素地を作る為、様々な訓練を行う課目。

単位数ももちろん一番多い。

 

 

 

「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!!」

 

 

 

ドアを開き、高らかに笑いながらオールマイトが現れた。

オールマイトが現れたことによって皆はざわつく。

本当に先生をやっていることに驚くものや、見た目が普通の人と違い、例えるなら画風が違うと言ったようなことに鳥肌を立てるもの。

様々な反応が生徒達から見られた。

 

「初めてのヒーロー基礎学!!いきなりだが…コレ!!戦闘訓練!!これをやってもらう!」

 

ぐぐぐ、と溜めたあとバッ、とBATTLEと書かれたカードを取り出す。

ざわ、と教室内が一瞬騒がしくなる。

 

「そしてそいつに伴って…こちら!!!」

 

その言葉とともにピ、とリモコンのようなもののボタンを押すと教室の端の壁からガゴッ、と音がした。

ゴゴゴ、と言ってせり出してきたのだ。そこには区画分けされて1~21までの数字が書かれていた。

そこには入学前に皆が送った個性届と要望に沿ってあつらえた戦闘服が入っている。

それに着替えたら順次グラウンド・βに集まるように指示を受けた。

形格好から入ることも重要だ。そして彼ら生徒も自覚させられる。

自分も、ヒーローに成りえる存在なのだということを。

皆は各自、着替えてグラウンド・βに徒歩で向かう。遠くはない。

 

「さぁ!始めようか!!有精卵共!!」

 

各々のヒーロースーツに着替え、皆は凱旋した。

試験とはいえ。模擬とはいえ。戦闘の場へと。

激戦が今、始まる────




誤字脱字報告待ってます。

趣味書きなのですごい適当ですが伝わると嬉しいです

追記(?):ハンドボール投げにて、彼が武器を使った時に相澤先生が"怪しいラインだ"と言った理由はいずれ出します。
ではヤオモモとか全部だめになるじゃん、となるのも当然の意見ですが、明確に彼が怪しいラインでヤオモモが大丈夫な区別理由も考えてありますので、悪しからず(?)。
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