僕のヒーローアカデミア ─とある男の物語─(仮)   作:楽園の主

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今回は香月の戦闘は無しです。



第4話 ─戦闘訓練─

「さぁ始めようか有精卵ども!!戦闘訓練のお時間だ!!」

 

生徒が全員揃った。ヒーロー服へと着替えて。

ちなみに香月のヒーロー服はと言うと。

上下ともに赤と黒を主色とした服装で、動きやすそうなズボンに靴も黒と赤を主色としたハイカットシューズ。

服はシャツの上にパーカーを着ており、黒く薄い手袋をしていた。

私服、と言われても通じるような服装だ。

"個性"の仕様上、特に特殊な機能は必要は無いのだろうか?

 

「いいじゃないかみんな!かっこいいぜ!」

 

そう、オールマイトは皆に告げる。

しかしここで疑問を投げかけた者がいた。飯田だ。

疑問は、と言うと皆が来たこの場所は入試の時の実技試験会場と同じ場所。

またロボを倒す市街地演習を行うのか、ということだ。

 

「いいや!今回はそのもう2歩先を行く!!屋内での対人演習だ!!」

 

敵退治は主に屋外で行われているように思われる。

たしかに、民衆がよく見るのはそれだ。

しかし統計的には屋内の方が外よりも凶悪な敵の出現率はかなり高い。

監禁、軟禁、裏商売など。このヒーロー飽和社会では屋外で暴れる敵などまだまだもいいところ。

真に賢しい敵は屋内に潜む。

故に今回はヒーロー組と敵組にわかれ、屋内での対人演習を行うわけだ。

もちろんクラス全員で一気に行うわけでなく、2対2で行う。

 

「基礎訓練もなしに?」

 

クラスの蛙吹梅雨がそう質問する。

オールマイトはその基礎を知るための実践だ、と答えた。

いくら座学で勉強したところで一回の実践には劣る、というわけである。

そしてさらに、今回は壊せば終いのロボットでないこともミソだ。

そこまで皆に説明すると、皆の疑問が次々と投げかけられる。

 

「勝敗のシステムはどうなってますの?」「ぶっ飛ばしてもいいんスか」「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか……?」「奇数なんですが?」「分かれるとはどのような分かれ方をすればいいのですか?」「設定とかあるんですか?」「このマントやばくない?」

 

「ううう~ん聖徳太子ィィ!!」

 

皆に一気に質問を投げかけられて聞き取りきれないし答えきれない気持ちが現れているのか拳を作って唸りながら震えている。

一つ、質問ではないものが混ざっていたが。

 

「いいかい?みんな!?」

 

そう言いつつピラ、と紙を取り出してオールマイトは説明を始めた。

状況設定は敵がアジトに核兵器を隠していてヒーローはそれを処理しようとしているというものだ。

ヒーローは制限時間内に核兵器を回収するか、敵を全て確保するかで勝利となる。

逆に敵は制限時間内核兵器を守りきるか、ヒーローを全て確保するかで勝利だ。

そしてコンビの決め方はくじだ。

 

「適当なのですか!?」

 

飯田がそう言った瞬間、横から緑谷が仮説を言う。

プロのヒーローは他事務所と急遽チームアップすることも少なくないからじゃないのか?と。

 

「そうか…!先を見据えた計らい…失礼致しました!!」

「いいよ!早くやろ!!」

 

謝る飯田をオールマイト許し、その後皆はくじを引いて行った。

A~Kと書かれた玉を引いていくわけだ。そして、チームは決まった。

Aチーム 緑谷出久&麗日お茶子

Bチーム 轟焦凍&障子目蔵

Cチーム 八百万百&峰田実

Dチーム 飯田天哉&爆豪勝己

Eチーム 青山優雅&芦戸三奈

Fチーム 砂藤力道&口田甲司

Gチーム 耳郎響香&上鳴電気

Hチーム 蛙吹梅雨&常闇踏陰

Iチーム 尾白猿尾&葉隠透

Jチーム 切島鋭児郎&瀬呂範太

そしてKチーム。香月玲。奇数だから一人あぶれるのだ。

 

「一人なんですけど?」

 

チームが決まると香月はオールマイトに言った。

 

「それは特別枠だ!」

 

本来10チームのため、箱の中にA~Jの書かれた玉を一つずつ入れておき、ヒーロー側は〇チーム、敵側は〇チーム、と言ったように二つ引くことでどちら側になるか決めるのがルールだ。

しかしこのクラス人数だと11チーム出来るため、対戦上でもあぶれる。

だから、Kの玉が出た地点で演習のしてないチームでもう1度ヒーロー側と敵側を決め直し、Kチームの人はそのどちらかに入ることになる。

つまりは、3対2だ。ヒーロー側が3なのか、敵側が3なのかはその時に決めるのだ。

ただ、このままだとKチームが必ず3人側になってしまう。

公平を期すためにさらに集まった5人でヒーローと書かれた玉が3個、敵と書かれた玉が3個入ったくじを引いて、3対2に分かれるのだ。

 

「ご説明ありがとうございます」

「いいよ!さて!まずは誰が戦うか決めようか!!」

 

ズボッ、と箱の中に手を入れ、勢いよく二つの玉を取り出す。

左手にはA、右手にはDと書かれた玉があった。

Aコンビは緑谷出久と麗日お茶子、Dコンビは爆豪勝己と飯田天哉だ。

そしてAコンビがヒーロー側、Dコンビが敵側というわけだ。

敵チームは先に入ってセッティングをしておき、5分後にヒーローチームが潜入でスタートとなり、戦闘時間は15分だ。

ほかの皆はその間モニターで観察することとなるため、そこから立ち去ってモニター室へ移動する。

敵側であるDコンビは準備のためにビルの中へと入っていった。

 

(緑谷…どうするつもりだ?)

 

コントロールのできない"個性"を持つ彼の動向が気になる香月。

あんなパワーを対人として使えば人を殺しかねないし、それ以外の用途に使おうともビルも倒壊させかねない。

つまりは、土壇場でコントロール出来るよう願って放つか"個性"をそもそも使わないという手段しか無いように思われる。

しかしそれは現実的ではない。相手は"個性"を使ってくるわけで、例えるならば戦車に対して非武装の自転車をぶつけるようなものだ。

 

「屋内対人戦闘訓練開始だ!さぁみんなも考えてみるのだぞ!」

 

香月があれやこれやと考えているうちに訓練は始まった。

ちなみにだが訓練中の声はモニター室には通じない。聞こえるのは先生だけである。

ビル一階の窓から緑谷と麗日が侵入、警戒しながら探索を続けていた。

途端、爆豪が現れて掌を爆発させながら二人を奇襲。が、緑谷が麗日をかばいながら回避。

顔に掠らせる程度でダメージはすんだ。

 

「爆豪すっげぇ!奇襲なんて男らしくねぇ!!」

 

切島がそうつっこむがツッコミどころはそこなのだろうか。

 

「奇襲も戦略!彼らは今実践の最中なんだぜ!?」

 

奇襲も作戦のうち。集団戦になるとそれの効果は顕著だ。

 

「緑谷くんよく避けれたな!」

 

芦戸が興奮しながらそういう。

さらに爆豪は距離を詰め、右腕を振るいながら緑谷を攻撃しようとする。

緑谷はそれを避けることなく、むしろ距離をさらに詰めた。

零距離。そして爆豪の右腕を掴み、床に投げ、叩きつけた。

 

(なるほど…初動を抑えるのか)

 

どんな"個性"でも初動は必ず存在する。

相手が爆豪ならば爆発する前の段階で腕を抑え、射線上から外れてしまえば攻撃は受けない。

腕を押さえ、投げ技につなげるもよし。射線上から外れて逃げるもよし。

手はいくらでも存在する。だがそれは、相手がどう攻撃するかわかればの話だ。

 

(なぜ、あの段階で右手の大振りが来るとわかったんだ…?)

 

明らかに緑谷の動くタイミングが早かった。まるで、爆豪がどう動くかわかっていたかのように。

その後、彼らは何かを会話していた。

 

「アイツ何話してんだ?定点カメラで音声ないとわかんねぇな」

 

喋ったのは切島だ。定点カメラは通常上の方に設置されており口元は遠く、見えにくい。

マイクも設置はされていないためクラスの皆に会話や音が伝わることは無い。

故に、何かそういった"個性"がなければ聞くことは出来ないのだ。

 

「小型無線でコンビと話しているのさ!」

 

敵側、ヒーロー側の双方に味方との連携が取れるよう小型無線機をわたしていた。

それと、建物の見取り図。敵側なら核を置く場所の相談や待ち伏せ、挟撃の場所の相談など。

ヒーロー側なら潜入したのち敵ならどこに隠すかの相談や地図を見ながらの探索の使用などに使えるからだ。

そして最後に確保証明のテープ。

これを相手に巻き付けた時点で捉えた証明になる。

 

「制限時間は15分間で"核"の場所はヒーロー側の人には知らされないんですよね?」

「yes!その通りだとも!」

 

生徒の質問にビッ、と親指を立てつつ返事するオールマイト。

 

「げ、それだとヒーロー側が圧倒的に不利ですよねコレ」

 

苦々しい顔で芦戸は先生に向けてそう言った。

 

「相澤くんにも言われたろ?アレだよ。せーの!」

 

掛け声とともにクラスの大半がオールマイトの方を向き、またオールマイトも生徒の方を向いた。

そして、両腕を高らかにあげながら大きな声で皆でいう。

 

「Plus U「あ ムッシュ爆豪が!」ltra!!」

 

Plus Ultra。皆がそう言っている最中に青山優雅が被せて、モニターを指さし言った。

その所業にオールマイトは体勢を変えず、顔だけを青山優雅へ向ける。

表情は変わらずとも悲しそうな、寂しそうな雰囲気を醸し出していた。

勿論、香月は掛け声に参加はしていない。故に、その光景がよく目に付いた。

 

「青山のやつ…空気読めねぇのな」

 

ぼそり、と上鳴電気がそう言った。

そうこうしてるうちにも訓練は進んでいる。

爆豪と緑谷が戦っているうちに麗日は"核"を探すというように役割を分担したようだ。

爆豪は麗日を追うことなく、苛立ちながらも緑谷の相手をしていた。

緑谷はフロア移動をせずに逃げつつ隠れつつ戦うという選択をした。

その間に麗日は5階にて"核"を発見、しかし飯田がいたため隠れながらその時を待っていた。

そしてしばらく経つと何故か麗日が吹き出して笑い、飯田に隠れていることがバレた。

飯田がなにか独り言でも言っていたのだろうか。

飯田のいる部屋にはものは一切なく、あるのは"核"のみ。

これは麗日の"個性"を理解した上での対策だ。

麗日お茶子の"個性"は無重力(ゼログラビティ)。触れたものの重力を無くし、浮遊させる能力。

物があればそれが武器になる。故に、麗日が来る前にここの部屋の物をすべてどこかへ持っていったのだろう。

そのまま、じりじりと麗日へと近づいて行っていた。

その頃、爆豪と緑谷はと言うと面と向かったまま、何かを会話しているようだ。

爆豪は、腕を前に、掲げたままニヤリと笑っていた。

彼のヒーロースーツは腕に手榴弾を模した篭手を装備している。

その篭手の、手榴弾でいう安全装置がついているだろう部分を引っ張った。

外の部分がずれ、中身が見え、その中にあるピンのようなものに指をかける。

 

「爆豪少年ストップだ!殺す気か!!」

 

オールマイトが、大きな声でマイクに向けて言った。

なんと言ったかはわからないが、オールマイトに対して何かを伝えた後、ピンを引き抜く。

次の瞬間、激烈な爆風が爆豪の前方へと発射された。

その爆風は緑谷の少し横を吹っ飛ばす。威力は強大で、なんと3階までは吹き飛ばしていた。

爆豪 勝己。"個性" 爆破。

掌の汗腺からニトロのような汗を出して爆発させる。

動けば動くほど溜まり、そして溜まれば溜まるほどその威力は増していく。

おそらく、遠距離にも対応できるように噴出する爆発を放てるようヒーロースーツの要望を出したのだろう。

爆豪がこの爆発を起こしたのがビルの端の方から外に向けてでよかったものの、もし中央で、もしくは端から中央に向けて放てばビルが倒壊していた。

その辺は、彼も考えていたのだろうか。

爆発の音と揺れ。それによって5階にいる飯田には隙が生じていた。

瞬間、麗日が動いた。飯田はその進行方向を遮るように動く。

しかし麗日はその飯田の頭の上を、軽々と飛び越えて、いや、跳び越えて行った。

 

「なるほど…自分をも浮かせることが出来るのか」

 

それをモニターで見ていた常闇はそう呟く。

ここまで使わなかった辺り、奥の手なのだろう。

そのまま、"核"に触れて訓練終了、とはならなかった。

触れる少し前に飯田がものすごいスピードで"核"を抱えて回避させたのだ。

5階の攻防は平行線。しかし、1階の2人には動きがあった。

ニヤリと笑ったまま、緑谷の方へと爆豪は近づいて行っていた。

 

「先生止めた方がいいって!爆豪あいつ相当クレイジーだ!緑谷のこと殺しちまうぜ!?」

 

切島が先生に向かって言った。

 

「爆豪少年。次それを撃ったら強制終了で負けとする。屋内戦において大規模攻撃は守るべき牙城の損壊を招く!ヒーローとしても敵としても愚策だそれは!大幅減点だからな!!」

 

爆豪に対して通信をいれたのだろう言葉を発する。その表情には葛藤があった。

その言葉に爆豪はかなり苛立ってそうな雰囲気で、爆発をバネに少し飛びながら緑谷の方へと近づいていった。

空中では体勢を変えられないと考えた緑谷は反撃へと出る、が爆豪はそれを回避する。

反撃が当たる直前、滞空中にさらに爆破を起こし、体を斜め上へと飛ばしたのだ。

それによって緑谷の後ろをとり、背中を爆破によって攻撃。

その爆破によって自身が後ろへと飛ばされ、緑谷との距離が離れないよう後ろへも爆破を起こす。

 

「目くらましを兼ねた爆発で起動変更、即座にもう1回……考えるタイプには見えねえが意外と繊細なんだな」

 

轟焦凍が冷静に分析する。

 

「慣性を殺しつつ有効打を与えるには左右の爆破を微調整しなきゃなりませんしね」

 

さらに加えて八百万が分析した。

 

「才能マンだ、あーヤダヤダ」

 

うげえ、と嫌そうな顔をして上鳴は言う。

その隣に峰田がいるのだが、彼は真剣に何かを見ていた。

それはモニターではない。八百万の、胸だった。

それを見た香月は峰田があらぬ方向を見ていることに近付き、一言。

 

「…真面目に訓練を見たらどうだ」

「何言ってんだ香月。男には何より大切なもんってあるだろ?」

 

いい顔をしながらサムズアップをする峰田。

それを見ている香月は呆れ、ため息を一つ吐きながらモニターへと視線を戻す。

そこには爆豪と緑谷がなにか言い合っていた。感情をむきだしにして。

激しく攻撃されたあとなのだろう、緑谷は負傷した傷が多かった。

にもかかわらず、何故か爆豪の方が余裕が無いように見えた。

少なくとも、香月の目にはそう映っていた。

真っ向勝負。2人はお互いに距離を詰めて行く。

2人とも"個性"を発動していた。そう、2人とも。

 

「先生!!やばそうだってコレ!!」

「先生!!」

 

オールマイトは葛藤していた。止めるか、否か。

悩んだ末、双方、中止。その言葉を発そうとした。

しかし、ハッとした顔をしてその言葉を止めた。

爆豪の爆破は緑谷の頭を吹き飛ばさんと腕を振り回す。

緑谷は、回避しなかった。左腕で軽く頭を守っただけ。

彼の右腕は、下から上に、振るわれた。その一撃は爆豪には当たらず、空を切る。

しかし、"個性"を発動した緑谷の一撃は余波で1階から最上階まで、大穴を開ける。

何か、意味があるのか。もちろん、ある。それも、勝利への一手だ。

緑谷が放った衝撃波。それは麗日たちがいた。

麗日は柱に捕まっており、そこの真下から衝撃波が貫く。

麗日に怪我はない。そして、彼女は柱に両手でしっかり捕まっていた。

そのまま、巨大な柱を振り回した。

あたりに飛んでいた瓦礫や石の礫を飯田の方へ飛ばしたのだ。

無数の飛び道具が飯田を襲う。それに気を取られた瞬間、麗日は自身を浮かせて"核"の方へと飛んでいき、タッチする。

これにより、"核"を回収したと判断された。

 

「ヒーローチーム!!Wiiiiiiiin!!!」

 

オールマイトの宣言によりヒーローチームは勝利した。

勝った方が無傷で、負けた方が倒れていたが、勝負はついたのだ。

こうして、一戦目は終了した───




後書きって何書いたらいいんでしょうね。
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