僕のヒーローアカデミア ─とある男の物語─(仮)   作:楽園の主

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先日感想が来まして。肯定的な内容だったんですよ。
めがっさ嬉しかったです!
思わず1人でニコニコしてしまいました。
これじゃあ変な人ですね。はい、正解です。

あ、長いですか。ごめんなさい本編どうぞ


第6話 ー秘めたる力ー

場所は移り、モニター室。

 

「さて!2対3、しかも最初から不利な状況下で勝利をした葉隠少女と香月少年という結果になった!今回のベストは誰だと思う!?」

 

一戦目が終了した時と同じように残像が見える勢いで腕を上げるオールマイト。

その言葉を前に、皆は考察を始めていた。

戦闘において生き残り、戦闘不能にならないことはとても重要なこと。

その点においてすでに香月と耳郎の二人に絞られる。

勝った方がベストならば香月なのだが、一戦目のベストが飯田であり、敗戦した方の人がベストになることも考えられる。

 

「やっぱ香月だろ。勝ったし」

「立ち回りとしては"個性"を一番活用し、味方に貢献した耳郎女子じゃないだろうか?」

 

ざわざわと考察が行き交う。

 

「今回のベストは…僅差で香月少年だ!」

 

ばっ、と大きくポーズを取りながらオールマイトはそう言った。

生徒の皆はそれを何となくわかっていたようで驚きは少ない。

上鳴や尾白を捕獲した時、相手が音を探知できることを逆手に取った作戦、葉隠との連携。

単純な戦闘能力、被害状況から考えて香月がMVPだという判断。

"個性"をうまく活用した、という点では耳郎もそうだが、勝利したという点で香月に。

勝利したという点であれば葉隠もそうだが、純粋に戦闘が多かったにも関わらず確保されていないから香月に。

しかし、僅差、とオールマイトは言った。その理由をオールマイトは問う。

八百万が再び手を挙げていたが、もう1人手を挙げた人がいた。

 

「ム、香月少年。心当たりがあるのかな」

「…まぁ、わかってます」

 

彼は考えるような仕草と共に淡々と続ける。

上鳴と戦った時、彼の微弱な帯電を無視して蹴ったこと。

普通なら相手は未知であり、その相手が一撃必殺系の"個性"を持っていたらそこで終わりなわけだ。

尾白戦でも一撃を受けたことから同様。

耳郎戦では葉隠を囮にしたこと。こちらは被害を出していけないのだからその手は悪手だ。

さらにもう1つは窓を割って入ってきたこと。

破片が飛んで味方が怪我する可能性もあるしそもそも外から勢いよく入れるとも限らない。

そして全体的に、タイムが遅く、葉隠へのサポートが足りない。

さらに言ってしまえば捕獲したとしても相手は動けるのなら反撃の可能性はある。意識を落としてから捕獲するべき。

そこまで答え、オールマイトの方を再び見る。

 

「…言いたいことは君が言った中にある!だが…考えすぎだな。完璧を目指しすぎに加え、自分を低く見すぎだ。もう少し自分を褒めてもいいんじゃないかい!!?」

「…善処します」

 

そこまでて彼の講評は終わった。

その後も他の人の講評が続き、試合も続く。

しばらく時は経ち、戦闘訓練は順調に進んで終わりを迎えた。

 

 

ところは変わり、救護室。

 

 

オールマイトは救護室へと、緑谷に講評を伝えるために来ていた。

そこへ入った途端、オールマイトは血を吐き、そして…萎んだ。

 

「…無様なもんだね」

 

実は、ある事件のあとオールマイトは致命的なダメージを受け、いつもの平和の象徴、筋骨隆々の体でいられる時間には制限があるのだ。

その制限を越してしまうと、彼は骸骨のようにやせ細り、もはやオールマイトとは分からないほどになってしまう。

そのことを知っているのは極わずか、多くの人間には極秘としている。

 

「入学間もないってのにもう3度目だよ!?なんで止めてやらなかったオールマイト!!」

 

怒号をオールマイトに浴びせるリカバリーガール。

もちろん、緑谷出久のことについてだ。

1度目は入試の時、2度目は体力測定の時、3度目は今回。

緑谷が反動を省みず、"個性"を使用した回数だ。

それを止めなかったことを叱責している。

 

「申し訳ございません、リカバリーガール…」

「私に謝ってどうするんだい!?疲労困憊のうえ昨日の今日だ!一気に治癒してやれない!!」

 

先程も説明したとおり、体力消費を伴う治癒であるが故に、大きな傷が連日続くと傷を治癒してあげることが出来ない。

今は1度の治癒で応急手当をした。 その後は点滴が入ったら日をまたいで少しずつ治癒力を活性化させていくしかないのだ。

 

「全く…"力"を渡した愛弟子だからって甘やかすんじゃないよ!!」

 

そう。実は緑谷出久の"個性"はオールマイトから譲渡されたものなのだ。

通常、生きている人間から生きている人間へと"個性"が渡ることは絶対にない。

あるとしても、親から子へと遺伝するだけである。

オールマイトの"個性"、ワン・フォー・オールは特殊な個性であり、過去の人からまるで聖火の如く受け継がれてきた"個性"。

それの譲渡先が緑谷出久。故に、まだ使いこなせなくても当然というわけだ。

 

「…返す言葉もありません…彼の気持ちを汲んでやりたいと…躊躇しました。して…その…あまり大きな声でワン・フォー・オールの事を話すのはどうか…」

「あーはいはいナチュラルボーンヒーロー様、平和の象徴様。」

 

やせ細った姿と怪我の件は一部のプロや教師には周知の事実である。

しかし、"個性"を譲渡した、という話はリカバリーガール、雄英高校の校長、そして彼の親しき友人、後はこの緑谷のみの秘密らしい。

バレてしまえば、オールマイトの力を狙うものがたくさん現れてしまう。

故に、信じられる少数のみにしか教えてないのだ。

 

「トップで胡座かいていたいってわけじゃないんだろうがさ。そんなに大事かね、"ナチュラルボーンヒーロー"に、"平和の象徴"がさ」

「いなくなれば、この超人社会は悪に拐かされます!…これは、この"力"を持ったものの責任なのです!!」

 

No1ヒーロー。彼がいるからこそ、彼を恐れている敵も多い。

むしろ、恐れているからこそ敵が敵とならないのだ。

その彼が消えれば、敵は増え、活動も活発になってしまう。

だからこそ、何があっても。平和の象徴は平和の象徴として。No1ヒーローとして。

常に皆の前に居続けなければならないのだ、と彼は言う。

 

「……それなら尚更…導く立場ってのをちゃんと学びんさい」

 

そう言って、またリカバリーガールは緑谷の方へと向き直る。

処置をしている間、申し訳なさそうにオールマイトは緑谷を見ていた。

 

 

 

再びところは変わり、教室。

 

 

 

「それじゃ、HRを終わる。今いな緑谷人は救護室にいる。訓練の反省は各自でやれ、わざわざ時間は取らないからな。」

 

合理的にやれよ、という言葉を残して相澤先生は教室から出ていった。

途端、皆は席を立ち上がり、中央に集まり始める。

放課後のこの時間を使ってみんなで反省会をしようという訳だ。

何から話そうか、という所で爆豪はその輪に加わらず、教室から出ていこうとしていた。

切島が反省会をしようと声をかけるも彼は黙ったまま教室を出て帰っていってしまう。

 

「なぁ香月!"個性"、いい加減教えてくれよ!」

 

そんな彼はさておき、切島は彼にそう話しかけた。

"個性"ありの体力測定の時、帰りになら考えると言った彼。

しかしその時は答えを皆に言っていなかったのだ。

皆がさあ聞こうと思って香月のところへ向かおうとした時には既に彼は帰宅しており、いなかったからである。

 

「まぁ待てよ!それはみんなが気になってる事だしよ、最後にしようぜ!トリってやつ!」

 

提案したのは砂藤だった。皆もそれに肯定し、まずは皆の反省会から始まった。

攻めすぎた、とか、もっとできることがあったとか。いろんな意見が飛び交う。

そして、しばらくたった頃。

 

「さぁ香月のターンだぜ!教えてもらおうか!」

 

瀬呂のその言葉の後、皆の目線も彼に向く。

 

「うん、ではまずは皆の考えを聞こうか。どんな"個性"だと思う?」

 

逆に質問する香月。皆はうぅん、と考えながら考えを捻り出す。

 

「わかった!サイコキネシスだ!」

「たしかにサイコキネシスで説明できるところは多いけどよ、じゃあ武器出しはどう説明すんだ?」

「んん、たしかに…」

「武器出しということならどこか、異空間に物を収納出来る"個性"では無いか?」

「でもそれだとレーザーが説明出来ないよねー」

「レーザーを出せる武器を収納してるとか…」

「とするなら肉体強化は?」

 

ざわざわと皆で話し合うも答えが出ない。

 

「あーもう答え教えてくれよ!」

 

話し合いに答えが見えなくなって来て、焦れったくなったのか1人の男子生徒がそう言った。

 

「それはだな…」

 

言おうとした瞬間、再び教室のドアの開く音が聞こえた。その音に、皆は目を向ける。

そこには緑谷がいた。

 

「おお!緑谷!おつかれさん!」

 

クラスの半数ほどが緑谷の元へと集まる。

今回の訓練において一番派手に、一番皆の印象に残った人が爆豪と緑谷の2人だからだ。

熱い展開をみせ、勝った方が傷だらけ、負けた方が無傷という異様な結果を見せた故に当然でもある。

クラスの半数ほどが緑谷へと意識を向ける中、香月に話しかける男が1人。

 

「…しかし、何故そこまで隠そうとするんだ?」

 

常闇だった。確かに、と言った風に、ここに残った人達は頷く。

なにか余程話したくない理由でもあるのか、と思っていたのだ。

 

「いや、皆がああだこうだと考えているのを聞いているのが楽しくってな」

 

ははは、と笑いながら彼はそう言った。極単純に、楽しんでいただけであった。

 

「っつーのもあるが…いつか、クラスの人間と戦うことになるかもしれないだろう?"個性"を隠しておけば、有利になるかと思ってね」

 

確かにその通りである。

相対する時に"個性"が未知であるのと既知であるのとでも大きな差がある。

 

「…しかし些かそれは卑怯か。次、披露する時があれば今度こそ説明するさ」

「結局言わないのか…」

 

また笑いながらそういう彼。

ちょうどそのタイミングで相澤先生が現れ、帰るように促されたため、皆は帰り始めた。

初の戦闘訓練も無事終了。また明日も、学校がある。

明日はどんなことが待ち受けているのだろうか───




少し短めですね。書き溜めはいくつかしてるので気が向いた時にポロッと置きに来ますね。

ちなみに梓さんの最推しは爆豪や緑谷、トガちゃんや耳郎です。基本は箱推しなんですけどね!
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