死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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皆さんこんばんは、今回でようやく十話突入です!

では本編をどうぞ!


第10話

柏side

 

Roseliaのメンバー個人にアドバイスをした後もう一度通してやってみた

 

「どうだったかしら?」

 

「先程言ったことがしっかりできていて良かったです。まだまだ荒削りですが、これからも頑張ってください」

 

「ありがとう。皆、そろそろ時間だから片付けるわよ」

 

「じゃあアタシは受付に言ってくるね!」

 

「待って、受付は彼よ?リサが行ったら嫌がるだろうし私が行くわ」

 

「む〜」

 

この人たちはどれだけお兄様に近づくのかしら?

 

「お兄様には私から言っておくので大丈夫ですよ?」

 

「そっそれはありがたいのだけど...その殺気を抑えてくれないかしら?」

 

「ですから何のことか分かりませんね」

 

「とっとりあえずお願いするわ」

 

「了解しました」

 

私はスタジオから出て受付に向かう

 

「お兄様、Roselia終わりましたよ」

 

「そうか...手続きしておく」

 

「やはり実力は確かなものですね。お兄様の言った通り、1つ足りませんが」

 

「俺が言えたことじゃねえが彼奴らもう少しお互いを信用しねえとこれから先前に進めねえよ」

 

「私の方からアドバイスしたら今井さんは気付きましたよ」

 

「あのコミュ力お化けがか。まぁお化けなら分かるかもな」

 

「こっコミュ力お化け...」

 

流石にその呼び方は酷いのではないだろうか。確かに彼女のコミュ力は異次元だが、何もそこまで言わなくても...

 

「あっそうだ。今日晩飯華蓮来るから奏斗に言って来てくれ」

 

「お姉様が?分かりました」

 

お姉様と会うのは何年振りだろうか。バンドを解散して以来だろうから2年振りくらいだと思うが

 

「最近お前ら会ってないだろ?それに華蓮も柏と話したいらしいからから」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

「翔君〜今日はもう予約入ってないから上がっていいよ〜」

 

「分かりました。花梨、琉太にも頼む」

 

「了解しました」

 

お兄様は本名と偽名の使い分けがとても上手い。本名から急に偽名に変えるのは今だに難しくて間違えそうになる

 

「かな...琉太さんは何処に?」

 

ほら間違えた

 

「外のカフェ」

 

「ありがとうございます」

 

居場所を聞いて外に出ると奏斗さんが何やらやつれた顔で立っていた

 

「あの、琉太さん?大丈夫ですか?」

 

「バイトキツイ...人間嫌い」

 

「お兄様みたいなこと言わないで戻って来てください。今日は終わりらしいです。それと、お姉様が夕飯いらっしゃるらしいので」

 

「ん?華蓮さんがか、分かった」

 

奏斗さんは明らかに疲れている。流石の奏斗さんでも初めてのことはキツイらしい。それに先程のお兄様も顔には出ていなかったが何処か疲れていた。私には無理はするなと言いながら自分はしてるんじゃ...

 

「お兄様、少し疲れてました。夕飯も作るのにこれじゃ倒れちゃいますよ」

 

「確かにここんとこ彼奴妙に周りに気を使ってんな...もしかして」

 

「どうしました?」

 

「いや、なんでもない。ただ華蓮さんに聞かなきゃいけないことができただけだ」

 

「?」

 

お姉様に聞かなきゃいけないことってなんだろう?気になったが奏斗さんの顔がいつになく真剣だったので聞くのは辞めておいた

 

「まりなさんお疲れ様でした」

 

「あっお疲れ琉太君。後片付けは私がやっとくから今日はもういいよ。今度シフト表作っとくね」

 

「俺ら基本暇なんで毎日来れますよ」

 

「流石に高校生を毎日働かせるなんて無理だよ」

 

「俺らお金無いんでお願いします」

 

「翔君も!?う〜ん...じゃあ週に2日は最低休むこと。つまり週に5日間来る。これならいいよ」

 

「ありがとうございます」

 

正気なのか?ただでさえ最近無理してるのにこれ以上は...

 

「ちょっお兄様!」

 

私はすかさず止めに入った

 

「ん?どうした?」

 

「どうしたじゃないですよ!最近お兄様は無理をしすぎです!家事も私が手伝おうとしても拒否するしこれ以上はお兄様の身体が持ちません!」

 

「前にも言っただろ。普段お前には迷惑かけてんだ。このくらいはしないと俺の気が済まない」

 

「その無理がこちらの迷惑になってるんです!」

 

「おい花梨少し落ち着け!」

 

「琉太さんは黙っててください!」

 

「何の騒ぎ?」

 

「あっ湊さん...ちょっとこっちに」

 

「花梨、何だか怒ってるみたいだけど」

 

「週5日間でバイトしたいって言ったら無理しすぎっつって花梨がキレて...」

 

「そういうことね。でも彼変なところで頑固そうだけど...」

 

「そのせいで花梨があんな感じに」

 

隣で何か言ってるが関係ない

 

「別に俺が倒れようが死のうが誰も何も思わんだろ」

 

「...ざけ...で」

 

「ん?」

 

「ふざけないで!」

 

「 っ!」

 

「お兄様が死んでも誰も何も思わない?寝言も大概にしてください!お兄様、前に私に言いましたよね」

 

『お前だけは失いたくないんだ。だから...無理をするな』

 

「あの言葉で私は救われた。貴方がいたからこうして私が生きているんです。それに...」

 

「?」

 

「私はお兄様が死んだら悲しいです」

 

「!?」

 

私は無意識にお兄様に抱きついていた

 

「だから...もう2度とそんなこと言わないでください」

 

「花梨...すまない」

 

「いえ、こちらこそ生意気なこと言ってごめんなさい」

 

「ハァ...おい翔」

 

「何だ?」

 

「外出て頭冷やしてこい。そして自分なりの答えだしてこい」

 

「...分かった」

 

奏斗さんに言われてお兄様は外に出ていった

 

「すみません。見苦しいところを見せてしまって」

 

「ううん、そっちにも色々と事情があるもんね。でもどうする?彼、結構真剣だったけど」

 

確かに、実際お金がないのは事実なのでお兄様は絶対譲らないだろう。私に家事ができればいいのだがあまりやったことない

 

「だったら...私をここで働かせてください」

 

「えぇ!?」

 

「花梨!お前まだ中学生だろ!それに彼奴だってお前に無理はして欲しくなかろうに」

 

「お兄様のお手伝いとしてここで雇ってください。給料はいりません。週に2、3日程やらせていただければ結構です」

 

「そんなこと言われても...」

 

「お願いします。これ以上...お兄様に負担をかけたくないんです」

 

「...なら、翔君としっかりお話ししてから決めようか。彼が許してくれたらいいよ」

 

「ありがとうございます」

 

「仕方ない。俺も手伝ってやる」

 

「琉太さん...」

 

まりなさんからの許可は得た。後はお兄様を説得できれば...

 

咲夜side

 

俺は奏斗に言われて外の空気を吸っていた。柏とあんな喧嘩をしたのはいつ頃だっけ?

 

「湊たちにも見られちったしな...しゃあないか」

 

それにしてもさっきの柏の言葉

 

『私はお兄様が死んだら悲しいです』

 

今まで俺が死んでも誰も何も思わないものだと思っていた。俺は柏の感情を読み取れないしずっと彼奴を苦しめてると、そう思っていた。しかし何故か今日は彼奴の感情が分かった。柏は怒り悲しんでいた、ということだけ

 

「何で、俺は...」

 

感情を捨ててから他人の気持ちさえ分からなくなってしまったのに何故今日は分かったのだろうか?そしてあの言葉を聞いて俺はどうしようもない感じになった

 

「認めたくはないが、どうやら認めるしかなさそうだな」

 

俺は少しずつ感情を取り戻しつつあるのかもしれない。だがこのままでは昔の過ちを繰り返すだけ。また自分が苦しむだけ。そうなるくらいなら俺は感情を捨て続ける

 

「...戻るか」

 

十分に考えたので俺は中に戻ることにした

 

「あっお兄様、1つお願いがあるんです」

 

「何?」

 

「私も一緒にここで働かせてください。週に2、3日程お兄様のお手伝いでやらせてください」

 

「働くつったってお前中学生だろう」

 

「これがここで週に5日間働く条件です」

 

参ったな...こうなると柏は自分の想いを貫くだろうな...

 

「...分かった」

 

「ありがとうございます!」

 

「全く、翔。俺からも条件だ。花梨に家事教えろ」

 

「いや、家事は俺がや「お に い さ ま ?」...分かりました」

 

「よし、すみませんお先に失礼します」

 

「はーい、気を付けて帰ってね〜」

 

「帰るか」

 

「はい!」

 

「私たちも帰りましょう」

 

「そうだね!ねぇ、皆でファミレス行かない?」

 

「「行かないわ」」

 

「うっごめんなさい」

 

「それじゃあお疲れ様でした!」

 

「お疲れさま...です」

 

「皆さん頑張ってくださいね」

 

「貴方たちは明日も来るのかしら?」

 

「えぇ、そのつもりです」

 

「まりなさん、明日はスタジオ空いてますか?」

 

「えっと...明日はAfterglowしか入ってないからいけるよ」

 

「ではお願いします」

 

「了解ね」

 

「時間があったら見てもらえると嬉しいわ」

 

「なるべく頑張ります」

 

「また明日」

 

「さようなら」

 

今日は人数多いし季節外れだが鍋でもしますか

 

「おい、季節外れだが鍋するぞ。何がいい?」

 

「私はレモンがいいです」

 

「俺はキムチかな...」

 

「だったら両方買えばいいか...スーパー行くぞ」

 

「分かりました」

 

「俺は商店街で野菜買って来るわ」

 

「頼む」

 

奏斗はこういうときに気が利くのでとてもありがたい

 

俺は柏とともにスーパーへ材料を買いに向かった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

柏と買い物を終え家に帰ると既に華蓮が帰って来てた。奏斗も来ていた

 

「あっおかえり2人とも、柏〜久しぶり!」

 

「お久しぶりです、お姉様」

 

「変わったね柏も!咲夜といい奏斗くんといい皆変わりすぎ!」

 

「そりゃ2年も会ってなきゃ少しは変わったように見えるだろ。今日は鍋にするから華蓮は柏と話してろ」

 

「料理できるの〜?」

 

「舐めんな。それにそこらはお前を引き継いでるらしい」

 

「私は姉だから引き継ぐのはないと思うけど...」

 

「気にしたら負け」

 

「アハハ...なら心配ないか。奏斗君も一緒にお話ししよ!咲夜の部屋で」

 

「おい、柏の部屋でしろ。お前荒らすだろ」

 

「む〜」

 

「まぁまぁ、それじゃあ咲夜よろしくな」

 

「あぁ」

 

それにしても今日の野菜は鮮度が良い。奏斗が全部選んで来たのだが彼奴目利き術持ってんのかな?今度聞いてみよう

 

「変わったのはお前もだろうよ。華蓮」

 

華蓮も随分と丸くなったと思う。昔なんか気が荒くて怒らせると手がつけられなくなったからな...俺と奏斗で何とか鎮めたけど

 

「変わるのは構わんがあの事を忘れたとは言わせねえぞ...俺はあの件を許したわけじゃないからな...」

 

華蓮side

 

私は柏と奏斗君と一緒に仲良くおしゃべり中。ずっと本家で暮らしてたからこんな感じはとても興奮する

 

「そういえば咲夜友希那ちゃんのバンド面倒見ることになったんでしょ?」

 

「えぇ、最初は断ってたんですけどどういうつもりなのか急に引き受けたんですよ」

 

「1番変わったのは咲夜か...」

 

「それと華蓮さんに報告しようと思って、今日起きたことを」

 

「え?何それ?」

 

「実は今日お兄様と喧嘩してしまって」

 

この2人が喧嘩なんて珍しい

 

「あんたたちが喧嘩って何があったの?」

 

「お金がなくてバイトしようとして俺ら基本暇だし毎日来れると言ったら柏が咲夜に無理しすぎだと言ったら...」

 

「お兄様が死んでも誰も何も思わないと言い出して何だか頭にきちゃって」

 

「ふ〜ん...やっぱ根は変わってないな」

 

「でも、私の声が届いたんです」

 

「咲夜は徐々に感情を取り戻しつつある。多分今日のことで彼奴も自覚したでしょう。でも彼奴はそれを拒み捨て続けると思います」

 

「そっか。ありがとう」

 

「貴女が言っていた今のやり方では完全には戻らないというのはどういう意味ですか?」

 

「教えるのもありだけど強い刺激を与えた方が影響を与えやすい。現に柏が咲夜に怒りと悲しみをぶつけたから感じることができた」

 

「強い刺激...ですか」

 

「多分今日の件で他人の感情を感じるのは多少できるようになったと思うよ」

 

「なら良いのですが...」

 

やはり話した方がいいかもしれない

 

「2人には話しておくよ。あの子が感情を捨てた本当の理由を」

 

「本当の理由?」

 

「確かに親戚や信じてた人に一瞬で裏切られ人の愚かさを知った。そして感情は自分を苦しめるだけ、それで捨てたのもあるけどそれは1部に過ぎない」

 

「お兄様は何故あそこまで拒絶するのですか?」

 

「私のせいなの」

 

「え?」

 

「咲夜が感情を捨てたのは...私のせいなの」

 

私の声はかすかに震えていた




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