死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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どうも黒い死神です!

今日の昼からドリフェスだぁ!爆死の未来が見えるよ...

多分今日が今年最後の投稿です。それでは本編どうぞ!


第16話

咲夜side

 

Roseliaとの初めての練習を終えてスタジオを出ると、受付では華蓮がまりなさんと話していた

 

「あっ翔。おかえり〜」

 

「ただいま...何やってんの?」

 

「何って、翔のバイト先の見学に来たんだよ」

 

「もう終わりだけど」

 

「うん知ってる。だから一緒に帰ろうかなって」

 

「あっ祐奈先生だ!こんばんわ!」

 

「ん?ひまりに巴にモカにつぐみ?それと友希那ちゃんもいるけど...」

 

「私たちは蘭も加えての5人でAfterglowってバンドやってます!」

 

「へ〜。今時の高校生はみんなバンドやってんの?後ろの子たちは例のRoselia?」

 

「こんばんわ祐奈さん。昨日ぶりです」

 

「ヤッホー友希那ちゃん」

 

「失礼ですが、貴女は?」

 

「あっ他のみんなは知らないんだ。私は神道祐奈。翔の姉で、Xaharの最後のメンバーです!」

 

「えぇ!?すっすみません!」

 

「いいよそんなにかしこまらなくても」

 

「何だよ。友希那さんとは面識ありか?」

 

「昨日の昼休みにね。貴方のことを探してたからちょっと関係を聞いといただけ」

 

てことは湊は華蓮が教師をやってるのは知ってるわけか...いや待てよ?

 

「友希那さん、姉さんの年齢知ってる?」

 

「知ってるけど...」

 

おい!それじゃあ今教師をやってるのはおかしいってばれてるだろ!

 

俺は無言で華蓮を睨みつけた。すると華蓮は申し訳なさそうな顔で項垂れる

 

「祐奈さんは教師をやっているのですよね?だったら今の年齢では...」

 

「「わーっ!!!」」

 

ほらいたよ!此処にも詳しい奴が!

 

「そこのアイスブルーの髪の子、ちょっとお話ししようか!」

 

「え?ちょっと待ってください!」

 

氷川が華蓮に連れてかれた。最悪だ...

 

「何だか昨日もあった気がするわ...」

 

「友希那さん、このことは内緒でお願いします」

 

「えぇ。分かっているわ」

 

後で説教が必要みたいだ

 

「おい翔。早く帰ろう」

 

奏斗が腹が減ったのか帰ろうと急かしてくる。俺も帰りたいのだが華蓮の説得が終わらない限りは帰れない

 

「...何だか私、嫌な予感しかしないんですが」

 

柏が縁起でもないことを言ってくる

 

「あっ帰ってきた」

 

「ハァ...私この先大丈夫かなぁ?」

 

「その、うちの姉がすみません」

 

「いえ、そちらにも色々と事情があるのでしょうし」

 

「紗夜ちゃんお願いね」

 

「分かりました」

 

「ねぇ、さっきからどうしたの?」

 

Afterglowの奴らはこの状況が理解できてないみたいだ。まぁ俺としてはそっちの方が良い

 

「ちょっと姉貴が暴走してな。気をつけて帰れよ」

 

全く心配の気持ちはないが一応声掛けだけしておく

 

「うん、また明日」

 

「じゃ〜ね〜しょ〜君」

 

「またな」

 

Afterglowの奴らは先に帰って行った

 

「さぁ、私たちも帰りましょう」

 

「賛成!あーもうお腹空いたよ」

 

「じゃあみんなでファミレス...」

 

「「行かないわ」」

 

一瞬で論破されたあこ。それに伴い白金が慰めにかかる

 

「あははは!Roseliaって面白いね!」

 

「勝手にツボってないで帰るぞ。今日は昨日の鍋の残りだ」

 

「はーい」

 

CiRCLEを出て入り口で別れると湊と今井が同じ方向であることが分かった。そのため華蓮は湊と、柏は今井とずっと喋っている

 

「そういえば、柏には華蓮さんが住むことは話してあるのか?」

 

「一応な。理由までは話していない」

 

「そうか」

 

柏は華蓮のことを好いている様だが、彼女が住むのは一時的なものだ。今話せばおそらく悲しむだろう

 

「今日の練習どうだった?楽しめたか?」

 

急に奏斗がそんなことを聞いてくるが、そんなもの答えは1つだけだ

 

「...あぁ。()()()()()

 

前の方では他愛もない会話が続いている

 

「初めてだよ。感情に対してここまで憎悪感が湧いて来なかったのは。案外良いものだと、そう感じた」

 

「それが日常的になればもっと楽しいのにな。それとその鈍感も多少は治るだろうに」

 

「?」

 

俺が鈍感?何の話だ?

 

「柏には感謝しろよ。少しは彼奴のお陰なんだから」

 

「あぁ。分かってる」

 

「これからどうする?奴らがいつ仕掛けてくるかも分からないし、かと言ってバイトの数を減らすと金はないし」

 

「比べる所が全然違う気がするんだが...」

 

「咲夜はこのままだとあの爺さんに消されかねんぞ?どうするつもりだ?」

 

()()()だったらどうでもよかっただろう。でも今は違う。少し賭けに出ようかと思う」

 

「Roseliaに賭けるつもりか?」

 

「あぁ。特に湊には何か別のものを感じる。それを確かめたい」

 

「そうか...頑張れよ」

 

「ありがとう」

 

「2人ともおそーい!速く〜」

 

いつの間にか湊と今井はいなくなっていた

 

「今行きまーす!ほら、行くぞ咲夜」

 

「へいへい」

 

10年間生きる道を見つけることができなかった俺にようやく道ができた。Roseliaに賭けて何が生まれるのか、楽しみだな...奏斗に言われた通り、久し振りに曲でも作るかな

 

俺はそんなことを思いながら前にいる女子2人のもとへ走って行った

 

友希那side

 

私はリサと一緒に帰ろうとすると翔たちと帰り道が同じだったので一緒に帰ることにした

 

リサは花梨と、私は祐奈さんと一緒に話しながら帰っていた。翔と琉太は後ろで何かを話している

 

「友希那ちゃんはボーカルでしょ?今度聴かせてよ、その歌声」

 

「なら今度のライブよければ来てください」

 

「しっかし、翔が貴女たちの練習に付き合うなんてね〜」

 

「そこまで珍しいんですか?」

 

確かに最初は断っていたからそう感じるのも仕方ないかもしれない

 

「あの子小さい頃に色々あってね。自ら人と関わろうとなんて全くなかったもの」

 

「何があったんですか?」

 

「それは言えないけど、いつか話す時が来るかもね。その時は覚悟を持って聴いてほしいな」

 

「...分かりました」

 

「次のRoseliaの練習っていつ?」

 

「次は...金曜日を予定してます。予約もしてあるので」

 

「そっか。じゃあその日は私も行こうかな」

 

「お仕事は大丈夫ですか?」

 

「ちょっと訳ありで暫くは翔と一緒に行動しなきゃいけなくて。多分あの子もその日に合わせてバイトするだろうから」

 

「その時は色々アドバイスお願いしてもよろしいですか?」

 

「いいよ!ベース以外なら何でも聞いて!」

 

彼女はベースが苦手らしい。Xaharのメンバーはそれぞれ苦手な楽器が違うからバランスは良さそうだ

 

「そんなこと言いながらベースもできるのでしょう?」

 

「ある程度はね。ベースは花梨が1番かな?私はドラムが得意だけど」

 

「そうですか」

 

「この前はごめんね。あの時の私の目、恐かった?」

 

「えっえぇ。結構寒気がしました」

 

思い出しただけで未だに鳥肌が立つ

 

「最初は何が目的なんだろうなって思って...あの子に何かあったら私嫌だからさ。ついあんな態度取っちゃった」

 

「弟想いなんですね。祐奈さんは」

 

「逆だよ」

 

「え?」

 

「私は弟想いなんかじゃない。逆に彼を見捨てた、姉として最低なことをした。多分あの子は私を恨んでるよ」

 

言っている意味が分からなかった。でも1つだけ、神道家の過去には知ってはいけない闇があることだけ分かった

 

「だからこそ、友希那ちゃんに頼みたいことがあるの」

 

「何でしょう?」

 

「翔を救ってあげて。あの子がここまで貴女に接触するってことは何かを見つけたということ。だから...お願い」

 

彼が私に何を感じたのかは分からない。でも、答えは1つしかなかった

 

「勿論です。必ず私が、私たちRoseliaが」

 

「ありがとう」

 

「それでは私たちはこの辺で」

 

「うん!また今度」

 

「さようなら」

 

私は祐奈さんと別れリサと合流すると家に帰り翔について考えた

 

咲夜side

 

家に帰り奏斗に鍋の残りを少し渡した後3人で晩飯を食べていた

 

「柏は学校どう?友達はできた?」

 

「クラスの大半は仲良くできましたよ。それにあこもいたので結構楽しいです」

 

「あこって誰?」

 

「Roseliaのドラム担当だ。あの中では最年少だし身体も小さいが、よくもまぁあそこまでドラム叩けるよ」

 

「あの小さい子か!ドラムなんだね...名字は?」

 

「宇田川です。お姉様のクラスにもいるのでは?」

 

「巴のこと?そういえばさっき巴もいたなぁ。まさか巴もドラム?」

 

「そのまさかだ。姉妹揃ってドラムやってんだよ」

 

「へぇ〜。今度みっちり鍛えてやろうかな」

 

「華蓮も来るのか?」

 

「友希那ちゃんに聞いたら金曜日にやるらしいからそのときに行こうかなと」

 

「練習の日程なら湊からメールで貰ってる。後で送ってやるよ」

 

「ありがと。今日は火曜日だっけ?バイトは週に何回なの?」

 

「本当は金ないし毎日働こうとしたんだが柏に止められてな。条件付きで週5でやることになった」

 

「柏、よくやった」

 

「お兄様は私に無理するなと言っときながら自分は無理するのでどうしようもないです」

 

何か妹にここまで言われると悲しくなってくるな

 

「なぁ華蓮、柏にここまで言われる俺って大丈夫か?」

 

「大丈夫じゃないね」

 

「...2人とも遠回しに私のことディスってますよね?」

 

「今日含めてあと3日か...明日と明後日はバイト休むか」

 

「急にどうしたの?」

 

「Roseliaに曲作ろうかなと思ってな。久し振りだし時間がいる」

 

「ようやく決まったみたいね。貴方のやりたいこと」

 

「あぁ。俺はRoseliaに賭ける」

 

「...頑張ってくださいね」

 

そう言っている柏の顔は何処かとても寂しそうだった

 

「あぁ、ありがとう」

 

「友希那ちゃんから聞いたけど、貴方マネージャーは断ったんでしょ?」

 

「だから曲を作るんだ。作った曲を1週間で完成させたら俺はマネージャーを引き受ける」

 

「1週間って相当きついんじゃ...」

 

「あのフェスに出るならそのくらいの実力は必要だからな。現にお前ら、俺が作った曲3日くらいで完成させたじゃねえか」

 

「まぁ良いんじゃない?」

 

「その間俺は一切口出しはしない。彼奴らがお互いをいかに信じ合って協力するかが鍵だ」

 

「貴方の口から信じるって言葉が出るなんてね」

 

「うるせぇ。いつまでもこのままでいたら先に進めないんだ。感情とも向き合わないとな。逃げてばっかじゃ駄目だ」

 

「私は応援するよ。咲夜がここまでやる気になるなんて珍しいからね」

 

「...ご馳走様です。少し疲れたので先にお風呂入っていいですか?」

 

「別に構わんぞ。片付けは俺たちで済ましておくから」

 

「ありがとうございます」

 

柏の寂しそうな顔はまだ戻っていなかった

 

「柏...」

 

華蓮は何かを知っているみたいだ

 

「お前は知ってるのか?」

 

「予想だけどね。後で2人で話してみるよ」

 

「俺には分からないからな。頼む」

 

「任せて」

 

また知らない間に柏を悲しませたんだとしたら、俺は彼奴に会わせる顔がねえな..

 

今は華蓮に任せよう

 




読了ありがとうございました!

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それでは良いお年を!

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