今年も死神と歌姫たちの物語をよろしくお願いします!
それでは本編どうぞ!
柏side
私はお兄様たちに頼んで先にお風呂に入らせてもらった。お兄様の話を聞いていると悲しくなってきてしょうがなかった
「ふぅ...」
私はお兄様の感情を取り戻すため、生きる道を見つける手伝いをするために生きてきたといっても過言ではない
お兄様の話を聞いて私はとても嬉しかった。10年間ずっとそのことだけを考えてきたのだから。でも、それと同時に悲しかった
私が10年かけてもできなかったことを彼女、湊友希那は少し話しただけでやってみせた。とても悔しかった。会って数日の彼女が何故あれだけでお兄様の心を開くことができたのか不思議でならない
「柏ー!私もお風呂入りたいから一緒に入っていい?」
お姉様が呼びかけてきたのでしっかりと答えておく
「大丈夫ですよ〜」
「お邪魔しまーす」
その瞬間、お姉様はすぐに入ってきた。この人、私の許可が取れなくても入るつもりだっのでは?
「こうやって2人でお風呂入るのも何年ぶりだろうね〜」
「あのとき以来ですから10年ぶりですかね...」
「もう10年か...早いなぁ」
「何おばあちゃんみたいなこと言ってるんですか。まだ18歳でしょう」
「そうだけどさぁ...ハァ。何悩んでんの?」
「え?」
「さっきからそんな悲しそうな顔してさ。まぁどうせ咲夜のことでしょうけど」
お姉様はお兄様と違って人の気持ちに鋭い。ちょっとした変化ですぐに見抜かれてしまう
「...やっぱり、お姉様には敵いませんね」
「友希那ちゃんのこと、恨んでる?」
「勿論、彼女が憎いです。でもそれ以上に何もできなかった自分が憎いです」
お兄様を救うと言いながら結局何もできなかった。全て友希那さんに先を越されて、想いも伝えられずこの始末。私という存在に反吐が出る
「私が10年間してきたことは無駄だったのでしょうか?お兄様を救うという夢も、お兄様のことが好きだという想いも、全部無駄だったのでしょうか?」
「...呆れて言い返す気にもなれないわ」
「っ!お姉様に何が...」
「確かに結果的に咲夜に感情と向き合わせて道を持たせたのは友希那ちゃんかもしれない。でもさ、どれもこれもきっかけは貴女でしょ?」
「きっかけが...私?」
「だってそうでしょ?柏がバンドを組みたいと言わなければRoseliaのライブに行くことは無かった。それが無ければ2人が出会うことも無かった。全てのきっかけは柏、貴女にあるのよ」
「それでも...やっぱり私は」
「それに、咲夜は貴女に感謝してるわ」
「お兄様が、私に?」
「えぇ。さっき言った様に、貴女がいなければ友希那ちゃんと、Roseliaと出会うことは無かったし、何より生きることも諦めていたかもしれないって言ってたわ」
「お兄様...」
私は思わず泣いてしまった。最近泣いてばかりだ
「それに、咲夜の中では友希那ちゃん以外にもちょっと気になる子がいるみたいだから早くしないと取られちゃうよ?」
「いつかはこの想いを伝えたい。でも、今はそのときじゃないと思います」
「そっか...頑張ってね。それと、これからも咲夜をお願い」
「はい!」
どうやら私の想い違いみたいでよかった。そしてこの後お姉様に身体を弄られたのは別の話
咲夜side
華蓮と素早く片付けを終わらせ、俺は早速曲作りに取り掛かった。Xaharの作詞・作曲は全て俺がやっていたのだが、久し振りのため中々良い案が浮かばない
「くそっ...こんなんじゃ金曜に間に合わねぇ。何とか彼奴らに合った歌詞を書かないと...」
曲は何となくできたのだがそれに合う歌詞が浮かばない
「お兄様ー!お風呂空きましたよ!」
「咲夜ー!とっとと入りなさーい!」
どうやらあの2人が上がったみたいだ。休憩したいと思ってたし丁度良い
「今行く!」
部屋から出て風呂場に向かうと
「あっ曲はできた?」
華蓮が聞いてきた。いや、そんなすぐに終わるわけねえだろうが...昔ですら丸2日はかかったというのに
「終わるわけねえだろうが。歌詞が全然浮かばねえんだよ」
「ありゃりゃりゃ、あんた歌詞は得意でしょうに」
「頭が疲れた。おやすみ」
「まだ寝ないわよ。色々情報集めなきゃいけないし」
「あぁ〜そっちもあったな...」
参ったな...曲作りに夢中になりすぎてすっかりそのこと忘れてた。俺が頭を抱えていると
「貴方は曲作りに専念しなさい。こっちは時間はたくさんある。それに奏斗君もいるんだから」
「...すまない」
「もう!こういうときは素直にお礼を言うの!謝ってばかりだと相手は嬉しくないよ!」
「ごめ...ありがとう」
「それでいいの。私はこれくらいしかできないから」
「まぁとにかくありがとな。じゃあ風呂で休んでくるよ」
「そのまま寝ないでよ?」
「そんなことするわけ...ごめんなさい」
華蓮に睨まれてとっさに謝罪する
俺は疲れた状態で風呂に入るとたまに寝ることがあるのだ。そして朝風呂から出ると寒暖差で風邪を引き柏にめちゃくちゃ怒られる
「そういえば柏は?一緒に出たんじゃないのか?」
「あの子、鍋食べ過ぎてお腹痛いってトイレ行ったわ」
「えぇ〜」
彼奴もたまに抜けてるよな
「じゃあ華蓮も頑張れよ」
「えぇ」
今は風呂で頭と身体を休めるとしよう
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次の日
「かれ〜ん、金くれ」
「朝起きて第一声がそれ?おはようはないの?」
「...おはよう。とにかく金くれ」
「お金がないのは知ってるけどなんでそんなに?」
「今日の朝飯の材料がほとんどないんだよ」
昨日は俺がモカと一緒にパンを買いに行ったので辛うじて柏の分だけ作ることができた。しかし、今日は無理
「それなら大丈夫よ。本家から結構な量持ってきたから」
「そうなのか?...ホントだ、めっちゃあるじゃん」
いつ冷蔵庫に入れたんだ?
「それにもう作ってあるわ。柏起こしてくるから先に食べてなさい」
「下で何か音すると思ったら料理の音か」
「起きてたの?」
「起きてたも何も、一睡もしてねぇよ」
「はぁ!?あんたまさか、ずっと歌詞で悩んでたんじゃないでしょうね!?」
「そのまさかだ。結局何も思いつかんかったが」
「あんたね、1回倒れた柏にあれだけ言われてまだ懲りないの?こんなのが柏に知れたら...」
何やら華蓮が目を見開き固まっていたので俺もその方向を見ると...満面の笑みを浮かべた柏がいた
顔は笑ってるのに目が笑ってない。ヤバイ
「お・に・い・さ・ま?詳しく聞かせていただけますでしょうか?」
「えっと...その...」
「ほら、行ってきなさい」
「お姉様も、さらっと私のことディスりましたよね?」
「うっ」
「ちょっとそこで正座しててください。少しでも崩したら...分かってますよね?」
「「...承知しました」」
この後柏にめちゃくちゃ怒られて3人して学校に遅れそうになったのは別の話
学校に着いてからも俺はずっと歌詞作りに専念していた。授業もろくに聞かず考えたのだが...ダメだ。周りの音が邪魔で全く頭に入らない
そうこうしてるうちにあっという間に昼休みになってしまった
「翔君大丈夫?元気ないけど...」
つぐみが心配したのか俺に声をかけてくる
「あぁ、昨日の夜からずっと曲を作ってるんだが...どうも歌詞が浮かばなくてな」
「へぇ、翔君曲作れるんだね」
「まぁ担当が俺だったしな」
「そうだ!良かったらうちの店来ない?彼処なら静かで集中しやすいと思うけど」
「いいのか?そういえば、つぐみの店は喫茶店か何かだっけ?じゃあお邪魔させてもらうわ」
「帰ったら席とっとくね!」
「ありがとな」
「これからみんなでお昼ご飯屋上で食べるんだけど一緒に食べようよ!琉太君も行ってるよ」
「そうか。分かった、準備してから行くよ」
「うん、先行ってるね」
喫茶店なら美味い珈琲飲めるのかな?山吹ベーカリーでパン買っときゃよかった...最も、金ないけど
華蓮に作ってもらった弁当を持ち屋上に行くと、奏斗とAfterglow、何故か湊に今井、そして知らない奴が1人いた
「おっ翔来た。速くこいよ」
「なぁ、何で友希那さんたちいるの?そしてもう1人誰?」
「あら、私たちもたまに此処で食べるのよ?」
「そうなんですか...で、そこの人は誰?」
俺の発言で全員がありえないといった顔をして来た。何かおかしいことでも言っただろうか?
「翔、流石にそれはないわ...」
「しょ〜君常識知らず〜」
更には悪口言われるし...モカに関しては凄くムカつく
「日菜、一応挨拶しておきな」
「そうだね。あたしは氷川日菜、Pastel*Palettesっていうアイドルバンドでギターやってます!」
「白鷺と同じグループか...ん?氷川?」
「日菜は紗夜の妹よ」
「はぁ!?」
何それ!?性格真逆じゃん!
「翔君面白いね。るんって来た!」
「What?」
意味が分からない
「というか、何故俺の名前を?」
「そりゃこの学園では有名だもん!それに翔君も琉太君もあたしのクラスではめっちゃ人気なんだよ!」
「ハァ...そういうことか」
「というわけで翔君も一緒に食べるよ!」
「分かりました」
色々向き合うと言った手前心が折れそうになる。何こいつ、コミュ力とかそんなんじゃねぇ
「随分疲れた顔してるわね。大丈夫なの?」
「色々あって一睡もしてないんですよ...珈琲飲みたい」
「体調には気を付けなさいよ」
「ありがとうございます」
「ゆっ友希那が...他人の心配してる」
「しっ失礼ね!私だって人の心配はするわ!」
「ふ〜ん?」
「なっ何よ...」
「な〜んでもな〜い」
「ハァ...」
すげぇ...今井最強かよ。あの湊を何の問題もなくコミュ力で圧倒してるぞ
「琉太、俺今日と明日でバイト休むからまりなさんに言っといてくれ」
「ん」
あっさりと引き受けてくれた。おそらく、理由も分かっているのだろう
「あら、今日は休むのね?」
「ちょっとやることがありますので」
「そう...今日は自主練でスタジオ予約してあったから見てもらおうと思ったけど」
「すみません」
「いいのよ。こっちが無理を言って頼んでることだし」
「代わりと言っては何ですが、金曜日楽しみにしててください」
「?分かったわ」
言った後で気付いた。これだけ悩んでるのに金曜日に間に合うか分からねえじゃん。やらかした
「翔、食ったら戻るぞ。手伝ってやる」
「サンキュー」
「ねぇ、翔はさっきから何やってんの?」
「此処では言えない。つぐみ、絶対言うなよ?」
「うん!」
「え?つぐ知ってるの?」
「さて、戻ってやるか。ではお先に失礼します」
「えぇ。金曜日、期待してるわ」
放課後柏も連れて行くかな...
結局午後の授業でも考えたがいい歌詞は浮かばなかった
読了ありがとうございました!
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