死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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どうも今日誕生日を迎えた黒い死神です!

それでは本編どうぞ!


第19話

家に帰った後、俺は浮かんだ歌詞を忘れないうちに繋ぎ合わせ曲を完成させた

 

「やっと終わったー!いやー間に合ってよかったわ」

 

今回は松原に感謝せねばならんな

 

「間に合ったじゃないですか。明日奏斗さんも呼んでそれやりましょうよ」

 

「そうだな。Roseliaに見本で提供するのに丁度いい」

 

だがその前に歌詞を重ねての音源を作らねばならない。ここはパソコンを使うのが1番速い

 

「これをこうして...できたな。柏、確認頼むわ」

 

「了解しました。...中々いい出来じゃないですか」

 

「後は華蓮にも聴かせて納得がいけば完成だ」

 

「曲名は決めてあるんですか?」

 

「あぁ。彼奴らにぴったりなやつを用意しといた」

 

明日バイト休むって言ってあるからなぁ...暇だ

 

「明日どうする?俺バイト無いから暇なんだよ」

 

「私は花音さんのバンドの練習に行きますが...お兄様はやめといた方がよさそうです」

 

「何故に?」

 

「花音さんのいるバンドのボーカルなんですが...あの弦巻家の令嬢だそうです」

 

「マジかよ。場所は?」

 

「弦巻の家だそうです。お兄様は顔が割れてますし行くのは危険かと」

 

世界でトップの財閥の御曹司が犯罪者ということは1部のうちと関わりの深い連中だけ知っている。弦巻グループもその1つだ

 

「あの家の娘はバカと聞いているが、親の方は多分知ってるだろうな」

 

「偽名も通じる可能性は低いと思います。私は顔も名前も知られてないので」

 

「羨ましぃな...肩身の狭い俺は家に引きこもるとするよ」

 

「そっその、花音さんとは連絡先交換してるので今から断ることもできますよ?」

 

「いつの間に交換してたのかよ。別に構わんぞ。お前はお前のやりたいことをやれ。自由に生きろ」

 

「お兄様...ありがとうございます」

 

「それにしても華蓮遅くないか?」

 

「確かに...暫くは仕事の終わりも早いと言っていたのに」

 

「ただいま〜」

 

そう言った矢先華蓮が帰って来たのだが

 

「おかえりってお前ボロボロじゃねえか!」

 

華蓮は所々血が出てて服もボロボロになっていた

 

「いや〜、帰り道で奴らに奇襲かけられて。ねじ伏せたけど」

 

「あのなぁ。連絡くらいしろやぼけなす」

 

「忘れてた。それより歌詞は浮かんだ?」

 

「お陰様で完成したよ。それより風呂入ってこい。傷を洗ってその後軽く手当する」

 

「スーパーで買い物した後だったから荷物守るので必死で...夜ご飯作ってくれない?」

 

「優先順位を考えろや。分かったよ、何が食べたい?」

 

「材料的に肉じゃがかな?よろしくね」

 

「了解。柏、手伝ってくれ」

 

「分かりました。お姉様、ゆっくりなさってくださいね」

 

「ありがと」

 

華蓮を風呂に向かわせ、肉じゃが作りにかかる。そろそろ本気で潰しにかかってんな...周りから消そうってか

 

この3分後に傷口がしみて華蓮の絶叫が聞こえたのは別の話

 

次の日の夜

 

「お邪魔しま〜す。咲夜、来たぞ」

 

「いらっしゃい、待ってたよ」

 

「これ、華蓮さんに土産だ。俺もああなるのも時間の問題かな...」

 

「縁起でもないことを言うな。あの2人はそろそろ準備を終わらせたところだ、俺たちも行くぞ」

 

そう言って俺たちは地下にあるスタジオへ向かう。今日奏斗を呼んだのはRoseliaに渡す新曲の正確な音源を作るためだ

 

「でもまさか、あの1日で完成させるとはな」

 

「松原のお陰だな。彼奴がいなけりゃ今頃死んでたわ」

 

「ははは...まぁギターが弾けるのは俺も嬉しいし、何よりこれからは4人でこんなことできるのも減るだろうから」

 

「そうだな。よし、今日は頼むぞ!」

 

「あぁ!」

 

スタジオのドアを開けると既にチューニングを終わらせた2人が待っていた

 

「おっ来たね2人とも!ギターとキーボードも軽くやっといたからあとは自分たちで調整しといて」

 

「サンキュー」

 

「華蓮さん、お土産持って来たんでよかったら食べてください」

 

「ありがとう!」

 

「柏、声の調子は大丈夫か?」

 

「バッチリです!任せてください!」

 

柏の歌は最高に上手いから心配ないな

 

「咲夜終わったか?」

 

「完璧だ。準備できたぞ」

 

「録画も録音もできてるからいつでもいけるよ」

 

「そうか。じゃあ華蓮、最初頼むぞ」

 

「了解!じゃあ行くよ!曲の名は...」

 

 

Legendary

 

 

 

〜♪〜

 

 

 

 

「ふぅ...どうだった?」

 

「最高だ。やっぱりお前らチートじゃね?ほぼ初見で完成させやがって」

 

「それは咲夜も同じだろう。俺なんかCiRCLEでずっと練習してたからな」

 

「私たちも帰ってからやや5時間くらいやってたね」

 

「疲れました...」

 

「お疲れ様、Roseliaも満足だろう」

 

「そうね。それじゃあ片付けしましょう」

 

とりあえず上手くいってよかった。この歌詞には俺の想いが込もってるから、彼奴らに伝わるといいけど...

 

「伝わるわ、きっと」

 

「...そうだな。ありがとう」

 

「それじゃあ俺は帰りまーす」

 

「おう、わざわざ悪いな」

 

「今度つぐみの店で奢りな。じゃあな」

 

「ありがとな」

 

奏斗は頷くと帰って行った

 

「私たちはお風呂入ってくるかな。ドラム叩いたら汗かいちゃった」

 

「また叫ぶなよ?心臓に悪いんだよ」

 

「だって...痛かったもん」

 

「湯船に浸からなきゃいい話だろ!とっとと入れ!」

「はーい」

 

あとは明日を待つだけだ。Roseliaが気に入ることを祈ろう

 

友希那side

 

今日は待ちに待った金曜日だ。翔が何かを用意しているみたいだが、何かは全く知らない

 

(何を用意しているのかしら...楽しみね)

 

午前の授業を終えリサとともに屋上へ行くとやはりというか翔と琉太、Afterglowのメンバーが揃っていた

 

「おっ友希那さん、こんにちは」

 

「今日の練習は楽しみにしてていいかしら?」

 

「えぇ、気に入るかは分かりませんが」

 

そうは言いながらも彼の目は自身でいっぱいだった

 

「祐奈さんも来るのでしょう?何か怪我をしたって聞いたけど...」

 

「もう2年の方まで情報行ってんのか...姉さんなら元気ですよ」

 

「それなら良かったわ。お昼、ご一緒させていただくわ」

 

「了解」

 

私は彼と話すのが好きだ。音楽の話で盛り上がれるし、何より初めてできた男の子の友達だから

 

「琉太、今日の予約は?」

 

「Roseliaだけだったぞ。誰かが早く来ればその分休憩も長く取れるだろう」

 

「そうなってくれるとありがたいな」

 

彼はそう言いながら私に視線を送ってくる。おそらく、早く来てくれということだろう

 

「ハァ...分かったわ。その代わり、私の自主練に付き合ってもらうわよ」

 

「喜んでお受けいたします」

 

台詞が勇者みたいになってるが、彼が言うと妙にしっくりくる。顔はイケメンの部類に入るし凛々しい声もよく似合っている。何より、2年の間ではこの2人はとても人気だからあまり関わると殺意の視線を送られる

 

「そういえば、高校入ってから翔告白1回も受けてないな」

 

「えっ翔君そんなにモテテたの?」

 

「まぁ朝のHR前に1回、昼休みに1回、放課後に1回と少なくとも中学の頃最低3回は告白されてたぞ」

 

「「「「「「「えぇ!?」」」」」」」

 

「いつの話だよ。時間が削られるもんだからたまったもんじゃねえぞ」

 

正直、そこまでモテモテだとは思わなかった

 

「いや〜翔すごいね!2年の間では翔も琉太も人気だからそのうち告白の嵐が来るかもね」

 

「縁起でもないことを言わないでくださいコミュ力お化けさん」

 

「酷い!?」

 

「俺は1日に1回で済んでたから良かったけどな」

 

「「「「「「「えぇ!?」」」」」」」

 

この2人何故元女子校の所に来たのだろうか?

 

「1年の間でも人気だもんね〜。あんまり一緒にいると凄く怖い目で見られるもん」

 

「アタシもたまにあるな。殺意の塊みたいなもんだ」

 

これからは少し会う回数を減らした方がいいかもしれない。たまに学校ですれ違う時音楽の話で盛り上がってしまうのだが、その時のクラスの視線がまた痛い

 

その時昼休み終了のチャイムが鳴った

 

「もう時間かよ...眠い」

 

「モカちゃんは寝るのだ〜」

 

「お前は何故授業寝ててそんないい点数が取れるんだよ」

 

「万年学年1位のてめぇがほざいてんじゃねえ」

 

彼は容姿も良ければ頭も良いらしい

 

「起きてるからな」

 

「話全く聞いてないだろ。1回死ね」

 

「りゅっ琉太君、落ち着いて」

 

「そうだそうだ」

 

「ぶっ殺す」

 

「殺し合いか?受けてたとう」

 

この2人中がいいのか悪いのか...

 

「ほら、早く戻るよ。授業遅れるし」

 

「「へ〜い」」

 

「このことを花梨に報告すればどうなるのかしら?2人が学校で殺し合いをしかけたなんて言ったら」

 

「「お願いですからやめてください!」」

 

「冗談よ」

 

そう言うと彼らは心の底から安心したような素振りをみせる。そこまで花梨が怖いのかしら?まぁ確かに彼女の殺気は恐ろしいものだけど

 

「それじゃあ翔、また後で」

 

「もうどうせなら一緒にCiRCLE行きましょうよ。その方が楽だし」

 

「そうね...分かったわ。先に終わった方から門の前で待つとしましょう」

 

「了解」

 

あと約3時間、かなり面倒だがそこは耐えるしかなさそうだ

 

...周りからの殺意の込もった視線に耐えられるかしら

 

咲夜side

 

午後の授業を何とか耐え切り俺は速足で校門前に向かった。何にしろ少し楽しみにしてたものなんでな

 

「もぅ2年いるなぁ〜。おっ湊発見」

 

約束通り門の前にいたので声をかけると湊は何だか困ったような顔でこちらを見てきた

 

「どうしたんですか?そんな顔して。美人が勿体無いですよ」

 

「ちょっ!?びっ美人...///」

 

何故か顔を赤くしてるし...感情って難しいね

 

「あの、ここでそういうこと言われると困るのだけど///」

 

「何でですか?」

 

「まっ周りからの視線が...」

 

そう言われて軽く辺りを見回すと全員がこちらを睨んでいた。解せぬ

 

「なんか悪いことしたかな?まぁいっか、速く行きましょう」

 

物凄く居心地が悪そうだったので湊の手を引っ張りCiRCLEへと向かった

 

友希那side

 

HRを終えて、校門へ向かうとまだ翔は来ていなかった。私たちが少し早く終わったのもあるだろうから、ここで待っていよう

 

10分くらい待ったところで彼が走ってくるのが見えた。周りの視線は彼に釘付けだ。そして彼が私の名前を呼ぶのでその視線はこちらに向き殺意の込もった物へと変わる

 

「どうしたんですか?そんな顔して、美人が勿体無いですよ」

 

「ちょっ!?びっ美人...///」

 

貴方のせいと言いたかったが、不意打ちを喰らってしまいそれどころではなくなってしまった

 

「あの、ここでそういうこと言われると困るのだけど///」

 

「何でですか?」

 

鈍感にも程がある。どう考えても彼のせいしかないというのに

 

「まっ周りからの視線が...」

 

そろそろ本当にまずい気がしてきた。今にも後ろから刺されかねない

 

「なんか悪いことしたかな?まぁいっか、速く行きましょう」

 

私の居心地の悪さを感じたのか彼は私の手を引っ張り歩きだした。少し嬉しかったが、今は逆効果にしかならない

 

それでも、このままでいたいと感じている自分もいたのであった

 

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CiRCLEに着くやら何やら、彼は受付をすぐに済ませ軽く掃除をしたら休憩していいと言われていた

 

「ふぅ〜。やっと終わった」

 

「終わるの早過ぎないかしら?まだ私の準備ができてないのだけど」

 

「じゃあ楽器の調整やっとくんで」

 

「ありがとう」

 

ここまでしてくれるのならマネージャーになって欲しかった。以前は彼の自虐的な精神に何も言えず、諦めてしまった。しかし、私としては彼にマネージャーになって欲しい

 

「終わりましたよ。何演奏しますか?」

 

「なら、BLACK SHOUTのドラムをお願いしたいのだけど」

 

「了解です」

 

そして練習に取り掛かろうとしたとこで

 

「失礼します」

 

紗夜が少し息を切らせながらスタジオに入って来た

 

「お2人とも早いですね...他の方はまだですか?」

 

「リサはもう少しで来るわ。今日は祐奈さんも来てくれることになってるから」

 

「そうなんですか?お仕事の方は...」

 

「姉さん暇人なんで問題ないです」

 

「そっそうですか...そういえば、翔さんは何か用意しておくと言っていましたが」

 

「もう用意はできてますよ。みんなが揃ったときか練習終わりどちらがいいですか?」

 

「気になって練習に集中できないのも困るし先に渡してくれるかしら?」

 

「分かりました」

 

それから紗夜も交えての練習をして、他の3人がやって来た

 

「全員揃いましたね。では少々お待ちください」

 

そう言って彼は鞄の中を探り始めた。とても楽しみだ




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