死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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どうも黒い死神です!

今回で第一章が終わりなのですが、1つにまとめたら長くなってしまいました。最後まで読んでいただけると光栄です!

それでは本編どうぞ!


第20話

「それでは早速、これをどうぞ」

 

「これは?」

 

彼から渡されたのは折りたたまれた複数枚の紙だった

 

「開けてみれば分かりますよ」

 

彼に促され5人で開けると中には知らない曲の楽譜が書かれていた

 

「これは...楽譜?」

 

「えぇ。何の曲だと思います?」

 

私はこの曲を知らない。他のメンバーに視線で聞くが、みんな知らないらしい

 

「まぁ知らないでしょう。そりゃ昨日できたんだし」

 

「どういうこと?」

 

「火曜日の夜と水曜日で俺が作ったんですよ。貴女たちRoseliaの曲としてね」

 

「!?まさか...2日でこれを完成させたの?」

 

「何とかね。それと、これ音源です。欲しいですか?」

 

「勿論もらうわ。今から聴いてもいいかしら?」

 

「いいですよ。まぁ気に入ってもらえるかは分かりませんけど」

 

「それは分からないけど、貴方の作った曲ならきっと気に入るわ」

 

曲の名前は...Legendaryね。どんな曲なのかしら?

 

〜♪〜

 

凄い。この曲に込められた想いが伝わってくる。それだけじゃない。これを演奏している人の技術もRoseliaを上回っている

 

「この曲、演奏技術が他とは比べ物にならない。まさか...」

 

紗夜が演奏者に気付いたようだ。私も分かる。これは

 

「お察しの通り、これを演奏してるのは俺たちXaharです」

 

「凄いカッコよかったです!りんりんもそう思うよね!」

 

「うん...とてもかっこよかった」

 

「これをわざわざアタシたちに作ってくれたの?」

 

「Roseliaじゃなかったら作ってませんよ」

 

「早速練習していいかしら?」

 

「勿論。ならそれを今日含めて1週間で完成させてください」

 

「1週間で!?何故ですか?」

 

「友希那さん、この前俺にマネージャーになって欲しいと言いましたよね?」

 

「えぇ。でもあの時は貴方が...」

 

「この曲、俺が作ったLegendaryを1週間で完成させたなら俺はRoseliaのマネージャーになる」

 

「えっいいの?」

 

「俺はRoseliaに賭けているんです。俺の人生を預けていいのか」

 

「人生を?どうしてそこまで...」

 

彼が私たちにそこまで賭ける意味が分からない

 

「俺は今まで生きる道がなかった。花梨がいなかったら生きようなんて思ってなかったでしょう」

 

「初めてRoseliaの演奏を見たとき、光が見えたんです。賭けてもいいんじゃないかって。その曲は貴女たちに渡しますよ。この賭けに出るかは貴女たち次第です」

 

私は祐奈さんに言われたことを思い出した

 

『翔を救ってあげて』

 

祐奈さんに約束した以上、答えは1つしかなかった

 

「その賭け、受けて立つわ!」

 

「友希那!?本気なの?1週間でって、アタシたちでもできるかどうか」

 

「翔が私たちにここまでしてくれた。この歌詞には彼の想いが込められていた。私はそれに答えたい」

 

彼の想い。それは『貴女たちと進んでいきます』

 

そんな感じだった。彼と一緒に頂点に立ちたい

 

「気付いてくれたんですね。よかった」

 

「湊さんが言うのなら、私はどこまでもついていきます」

 

「あこもやります!」

 

「私も...友希那さんについていきます」

 

「みんな...そうだよね。翔がここまでしてくれたんだもん。アタシもやるよ!」

 

「Roseliaは貴方の賭けに乗るわ。それでいいわよね?」

 

「ありがとな、湊友希那」

 

「翔?」

 

「賭けてよかったです。Legendaryについては俺は一切口出しはしません。姉さんか花梨にアドバイスをもらってください」

 

「分かっているわ。私たちに賭けてくれてありがとう。みんな、やるわよ!」

 

「「「「はい!」」」」

 

「どうします?早速今日からやるか、それとも今日は別のをやるか」

 

「そんなもの、決まっているでしょう?」

 

「...そうですね。なら行きますよ。時間が勿体無い」

 

「えっ練習には参加しないんじゃ」

 

「誰も練習には参加しないと言ってませんけど?Legendaryだけは俺は何も言わないと言ったんです。準備や片付けは全力でサポートしますよ」

 

「本当にありがとう。まずは個人で練習しましょう。それから少しずつ合わせてやるわ」

 

タイムリミットは今日含めて1週間。頂点に立つため。そして、彼の期待に応えるために必ず勝ってみせる!

 

咲夜side

 

湊たちとの賭けに出て10分後、華蓮と柏がやってきた

 

「ヤッホー!今日はよろしくね!」

 

「祐奈さん、こんにちは」

 

「お兄様、曲は渡せましたか?」

 

「あぁ」

 

「友希那ちゃん、ありがとね。翔は何も言えないんだし、私たちがサポートしてあげるから」

 

「ありがとうございます」

 

「あまり余計なこと言わないでよ姉さん」

 

「分かってるよ。Roseliaの音、楽しみだなぁ」

 

さて、俺はどうするかなぁ...口出ししないと言った以上見ることしかできないわけだが

 

そうだ。今井に言っとかなきゃいけないことあったわ

 

「リサさん、ちょっと来てください」

 

「なになに?お姉さんに相談かな?」

 

「二度と喋れなくしてもいいんですけど?」

 

「ごめんなさい」

 

やっぱり今井は嫌いだ

 

「今回成功するにはリサさん、貴女が鍵です」

 

「私が?」

 

「えぇ。リサさんはRoseliaの足りないことに気付いている。他のメンバーにどう気付かせるか、それができれば必ずできる」

 

「おそらく...友希那さんと氷川さんは周りが見えなくなる。あの2人をしっかりなだめてあげてください」

 

「うん、分かった!」

 

「それでは戻りますか。機材に異変があれば言ってください。それくらいはやりますから」

 

「オッケー」

 

Roseliaに賭けた甲斐があったみたいで良かった。きっと彼女らなら...俺たちを超えられる

 

俺はそんなことを思いながらスタジオに戻った

 

友希那side

 

早速練習に取り掛かろうとしたところでリサが翔に呼ばれていった。何やら真剣な顔つきで話している。どんな話かは分からないが、何故か羨ましかった

 

(何なの?この胸が締め付けられる感じは...)

 

彼がリサと話しているのを見ると胸が苦しくなる。今まではそんなことなかったのに...

 

「友希那さん、どうしたんですか?顔色悪いですよ?」

 

花梨に言われてなるべく平気な様に振る舞う

 

「いえ、大丈夫よ。コーチング、お願いできるかしら?」

 

「勿論です。この前も言いましたが、無茶はしないでくださいね」

 

「分かっているわ」

 

30分程個人で練習した後部分的に合わせてやってみた。やはり、それぞれミスが多く曲として不十分だ。私も結構音を外してしまった

 

「まだ合わせるには早いわね...流石に30分はきついか」

 

「お姉様、1時間もかからずで完成してませんでしたっけ?」

 

「そういう花梨だってベースと歌それぞれ30分ずつで大体掴んでたじゃん」

 

やはりこの人たち、人間ハズレの実力を持っている

 

「今日は合わせるのはやめにしよっか。これじゃ埒が明かないわ」

 

「花梨は友希那ちゃんとリサちゃんお願いね。私は他の3人見るから」

 

「分かりました」

 

祐奈さんは紗夜たちの方へ向かって行った。そして花梨は私たちを見ることになった

 

「さて、まずはイントロからやりましょう。何か聞きたいことはありますか?」

 

「ここなんだけど、どうやるのが1番やりやすい?」

 

「ここは...ベース貸してください。まぁ人によりますがこんな感じでやればいいと思います」

 

「おっホントだ!ありがとう!」

 

こんな感じで今日の練習は終わった。次の練習は日曜日だ

 

「各自今日できなかったところを重点的にやってきて。次回である程度合わせられるようにできるように」

 

「「「「はい!」」」」

 

メンバーに来週の予定を聞いたところ、リサのバイトや紗夜の部活など用事があり全体での練習は日曜日含めてあと3回しかない

 

「まりなさーん、お先に失礼します」

 

「お疲れ様!Roseliaのみんなも頑張ってね!」

 

「琉太はもう帰ったのね」

 

「みたいですね。今日はAfterglowもいなかったからやることやってシフト通りに帰ったんでしょう」

 

「翔、今日の晩御飯何にする?」

 

「肉じゃが食べ切っちゃったしなぁ...ファミレス行くか」

 

「あんたお金ないでしょ」

 

「お姉様の奢りで」

 

「花梨!?私まだ給料もらえてないんだけど」

 

「金あるだろうが。とっとと行くぞ」

 

「うぅ...」

 

「アタシたちはどうする?今日は普通に帰る?」

 

「当たり前でしょう。早く帰って練習しないと」

 

紗夜の言う通りだ。家でもしっかり練習しなければ間に合わない

 

「それじゃあ俺たちはここらでお別れですね。また今度」

 

「今日は本当にありがとう」

 

翔たちが帰り私たちもすぐに帰った。帰り道、私はリサにある相談をした

 

「リサ、少し聴いて欲しいことがあるのだけど...」

 

「どうしたの?」

 

「練習が始まる前、翔と話をしていたでしょう?何故かあの時、胸が苦しくなったの」

 

「どうしてかは分からない。けれど、貴女が翔と話しているのを見るととても羨ましかった。この気持ちは何なの?」

 

「友希那、それはアタシからは言えないよ。だってそれは友希那自信が気付かなきゃいけないことだから」

 

「そう...ありがとう。少し気が楽になったわ」

 

いつかこの気持ちに気付けることを祈って私は家に帰った

 

 

 

 

日曜日

 

今日はまりなさんが体調不良でいないため、翔は練習に来れない。祐奈さんは用事で花梨は来ることができた

 

「最初はまた個人で練習しましょう。分からないことがあれば私を呼んでください」

 

花梨の一言で練習が始まった。今日は前よりも良くなっていて、合わせたときはだいぶ曲として成り立っていた

 

「前よりは良くなってると思います。ただ、氷川さんが最後アウトロで音外したのが気になりました。あこも途中ずれたときがあったから修正しといて」

 

「すみません...」

 

「うぅ〜」

 

「まぁある程度は完成してますよ」

 

ある程度じゃダメなんだ。せっかく翔が私たちに全てを賭けてくれたのに、中途半端な演奏はできない

 

「...もう1回やりましょう」

 

「ちょっ!?あれから休憩なしで何時間やってると思ってるんですか!少し休んでください!」

 

「時間がないのよ!このままじゃ...」

 

そう言った瞬間、予想外のことが起きた。少し距離のあった私と花梨だが、花梨は一瞬でその距離を詰め私の足を払い抑えてきた

 

「分からず屋ですね!お兄様も友希那さんが倒れることは望んでないんですよ!...何なら今ここで死にます?」

 

「花梨さん!やり過ぎです!」

 

「...チッ」

 

紗夜の制止のお陰で花梨は拘束を解いてくれた。でも、私は上手く立てず声も出せない

 

「ごめんなさい。少しやり過ぎました」

 

「花梨、この前のこと言っていい?」

 

「...いいですよ。友希那さん、リサさんの言うことをしっかり聴いてください」

 

「...分かったわ」

 

ようやく声が出せた。それでもまだ震えている

 

「この前花梨が友希那の代わりに歌ったことあったの覚えてる?」

 

「...えぇ」

 

 

「あの時、花梨が歌う前なんて言ってたか覚えてる?」

 

「歌う前に...!」

 

『私を信じてください。私も貴女方を信じます』

 

「今井さん、まさか」

 

「うん、Roseliaに足りないのはお互いの信じる心。アタシたちはまだお互いを完全には信じ切れていなかったんだよ」

 

私のせいだ。私がいつも厳しい態度を取りすぎたせいでこうなったんだ

 

「...ごめん...なさい」

 

私は涙を抑えることができなくなってしまった

 

「友希那さん、時間はまだ残っています。このままやっても無駄なのは貴女が1番分かっているはず。今1番心の安らぎにできる人のところへ行って来てください」

 

私の中で浮かんだのは翔の姿だった

 

「...失礼するわ」

 

私はスタジオから出て受付の机に突っ伏している翔の元へ向かった。気配を感じたのか、翔は顔を上げ

 

「友希那さん、どうしたんですか?」

 

まるで全てを知っているかのような口調で言ってきた。彼が立ち上がると同時に私は彼に抱きついた

 

「私...私...」

 

「何も言わなくていい。泣きたければ泣けばいい。貴女がしたいことをすればいい」

 

私が身を彼に身を預けると、彼は優しく抱きしめてくれた

 

私は時間を忘れる程に泣いた。涙が枯れるまで、ずっと

 

「...落ち着けたわ。ありがとう」

 

「お役に立てたなら何よりです。さ、戻ってあげてください。今度こそR()o()s()e()l()i()a()()()()()。」

 

「えぇ!」

 

覚悟は決まった。あとはやるだけだ

 

私はスタジオに戻るとすぐに頭を下げて謝った。みんなはそんな私を許してくれた。こんなにもいい仲間を持っていたのに...

 

「全く、あの方は本当に...友希那さん、覚悟は決まりましたか?」

 

「えぇ」

 

「もうどうなっても知りませんからね。みなさん、友希那さんについて来れますか?」

 

「もちろん!」

 

「当たり前です」

 

「あこも!」

 

「私も...」

 

「それではもう1回合わせてください。貴女たちならできるはずです」

 

この後は休憩をこまめに取り練習した。終わってからも、家では早めに寝た

 

残り2回の練習は都合上花梨も来れないとのことで私たちだけでやった

 

「リサ、もっと一つ一つの音をはっきりさせて!」

 

「紗夜は音のズレがあるからそこを直して!」

 

2回とも厳しい練習だった。だけど、今までとどこか違った

 

 

 

 

あれから1週間、遂に翔に聴かせる時が来た

 

花梨も来たし、祐奈さんは仕事をほったらかしにして来たそうだ

 

「待ってましたよ。聴かせてください、Roseliaの本気を」

 

「当然よ。この日のために全てを込めて来た。みんな、準備はいい?」

 

「「「「はい!」」」」

 

「それでは聴いてください」

 

 

Legendary

 

 

〜♪〜

 

 

演奏が終わり翔を見ると、彼の目からは涙が出ていた

 

「どっどうしたの?」

 

「お前らは何でそんなに俺を引き込ませるんだよ...」

 

「お兄様、答えてあげてください」

 

「最高でした。本当にありがとうございます」

 

「なら...」

 

「約束通り、今日から俺はRoseliaのマネージャーです」

 

「やったー!りんりん、私たちやったよ!」

 

「うん...よかった」

 

「翔、Roseliaに全てを賭ける覚悟はある?」

 

私の問いかけに彼は

 

「そんなもの決まっているでしょう。俺はRoseliaに全てを賭ける」

 

彼は心の底からの笑顔で答えてくれた。その時、また胸が締め付けられた

 

あぁ、そうだったんだ。私は彼に恋をしたんだ

 

「おめでとう友希那ちゃん!翔をこれからよろしくね!」

 

「はい」

 

「よーし!今日はみんなでファミレス行くぞ!私が奢るよ!」

 

「やったー!」

 

「姉さんこの前金ないとか言いながらよくそんなことできるね」

 

「細かいことは気にしないの!ほら、片付けて行くよ!」

 

祐奈さんの言葉で全員で片付けを始める

 

「友希那さん、これからよろしくお願いします」

 

「こちらこそ、よろしく。これから頼むわよ翔」

 

「えぇ」

 

こうして、Roseliaは神道翔をマネージャーとして迎え入れることができた

 

 




読了ありがとうございました!

次回から第二章が始まります!今後も死神と歌姫たちの物語をよろしくお願いします!

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