死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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どうも黒い死神です!

3連休が全て部活で潰されるという悲しい事実

それでは本編どうぞ


第22話

友希那side

 

春の暖かい空気も薄くなり、まだ夏と言うには早い時期。私は家で曲作りに励んでいた

 

本来なら今日は翔と一緒に出かけるつもりだった。もっと彼との距離を縮めて、近づきたくて私から誘ったのだ

 

しかし、彼は緊急で呼び出されたということで来れなくなってしまった。呼び出したのはあの白鷺千聖とのこと。リサにも頼んで服装まで考えてもらったのに台無しにされ私は機嫌が悪かった

 

「ハァ...翔、今頃何やってるのかしら?」

 

彼への想いを自覚してからというもの、時間さえあれば彼のことを考えるようになった。リサにこのことが知られたらからかわれそうだが...そんな時、スマホにメールが来たので休憩も兼ねて見ることにした。相手はリサだった

 

『ヤッホー友希那!翔とのデートは如何かな?』

 

リサには翔が来れなくなったことは言っていないので今頃出かけてると思っているのだろう

 

『翔なら用事ができて来れなくなったわ。今家で曲作ってるところよ』

 

思い出しただけで更に気分が悪くなる。白鷺さんを恨みたくなる

 

『そっか。じゃあ今から一緒に出かけない?友希那のことだし、どうせ気分悪いんでしょ?』

 

つくづく彼女の洞察力には驚かされる。これが幼馴染の勘というものなのだろうか?

 

『分かったわ。何時から行くの?』

 

『じゃあ15分後くらいに友希那の家に行くね!』

 

『分かったわ』

 

気分転換には丁度よさそうだ。曲作りも全く捗らなかったし、また今度出かける時にある程度知っといた方がいいだろう

 

約束通り、リサは15分後に私の家に来た

 

「ヤッホー。お、早速着てるじゃんその服」

 

「折角リサが選んでくれたんだし、似合うかどうか確認したかったから」

 

「よく似合ってるよ!これなら翔も友希那にメロメロだね〜」

 

「///」

 

いい加減リサのからかいには慣れたつもりだったが、まだまだみたいだ

 

「それより早く行きましょう。時間が勿体無いわ」

 

「そうだね。友希那はどこ行くつもりだったの?」

 

「...考えてなかったわ。その時に話し合えばいいと思ってたし」

 

「もう!そんなんじゃめちゃくちゃになって振り向いてもらえないよ?ある程度の計画は立てとかないと!」

 

「そっそう言われても...」

 

「今日は下見も兼ねて行くよ。アタシがしっかりレクチャーしてあげるから!」

 

「えぇ、ありがとう」

 

リサはこういったことは豊富に知識を持っているだろうし、頼りにはなりそうだ

 

リサside

 

アタシは自宅でベースの練習をしていた。午前中はRoseliaで練習だったから、その時の課題をやっていたところだ

 

実は今、友希那は翔とデートしている...筈。前に友希那が分からないって言ってた気持ちも理解して距離を縮めるにはどうしたらいいと聞かれた

 

アタシが買い物に2人で行けばいいと提案したら、それ以外思いつかなかったのかすぐに承諾した

 

まずは服装からということで友希那のコーディネートをしてあげた。でも翔はあまり興味なさそうだけどな...

 

何してるのか気になったアタシは友希那にメールで聞いてみた。すると珍しくすぐに返信が来て

 

『翔なら用事ができて来れなくなったわ。今家で曲作ってるところよ』

 

ありゃりゃりゃ...これは友希那機嫌悪そう

 

『そっか。じゃあ今から一緒に出かけない?どうせ友希那のことだし機嫌悪いんでしょ?』

 

翔が用事を優先するってことは何か緊急の呼び出しでも受けたのかな?ここは気分転換させないとね

 

『分かったわ。何時から行くの?』

 

意外とあっさり引き受けてくれた。やっぱり機嫌が悪いらしい

 

『じゃあ15分後くらいに友希那の家に行くね!』

 

『分かったわ』

 

ここは幼馴染としての腕の見せ所だね。しっかり友希那の機嫌をとらないと

 

アタシは急いで支度をして約束通り15分後に友希那の家に行った。家がすぐ近くだからとても楽なんだよね

 

「ヤッホー。おっ早速着てるじゃんその服」

 

友希那はアタシが今日のデートのために選んだ服を着て来てくれた

 

「折角リサが選んでくれたんだし、似合うかどうか確認したかったから」

 

友希那はたまに優しくなるときがあるんだよねえ...普段からこんな感じならもうちょっと好感度上げられるのに...

 

「よく似合ってるよ!これなら翔も友希那にメロメロだね〜」

 

「///」

 

友希那をからかうのって本当楽しいよね。今も耳まで赤くしてるし

 

「それより早く行きましょう。時間が勿体無いわ」

 

あっ今明らかに話逸らしたよね。まぁこれ以上は可哀想だから辞めておこうかな

 

「そうだね。友希那はどこ行くつもりだったの?」

 

「...考えてなかったわ。その時に話し合えばいいと思ってたし」

 

「もう!そんなんじゃめちゃくちゃになって振り向いてもらえないよ?ある程度の計画は立てとかないと!」

 

普通は男子が計画立てる方なんだろうけどね

 

「そっそう言われても...」

 

「今日は下見も兼ねて行くよ。アタシがしっかりレクチャーしてあげるから!」

 

「えぇ、ありがとう」

 

ちゃんと幼馴染の恋は応援しなきゃね。でも、羨ましいな...

 

アタシと友希那は早速ショッピングモールに向かった

 

友希那side

 

リサと一緒にショッピングモールを周りカフェなどの下見をしていると気づけば夕方になっていた

 

「いや〜たくさん周ったね。どう?少しは立てられそう?」

 

「えぇ、お陰様で私が行きたいところは大体決まったわ」

 

「そっか。それならよかった」

 

「ありがとう、リサ」

 

リサには感謝しなければならない。私の悩みのためにここまでしてくれたのだから

 

「どういたしまして。今度頑張ってね!」

 

「もう1つ聞いていいかしら?」

 

「ん?」

 

「翔と話すとき、やっぱり音楽の話で盛り上がるのよ。折角だから他の話もしたいのだけど...」

 

学校で話すときも音楽の話しか出てこなくてそれしか話していない。デートのときくらいは普通に話したい

 

「う〜ん...お互いを知るために好きなものとか趣味とか簡単なものから話してみたら?そっからどんどん広がってくものだよ」

 

「そうなのね。やってみるわ」

 

「でも1番は翔を楽しませることだから、翔が好きそうな話をするのがいいかな?最も、全く知らないけど」

 

私は彼の趣味を知らない。彼は自分の素性を他人に明かさない人なのか、好きな食べ物すら知らない。祐奈さんから唯一過去に何かがあったということだけ聞いている

 

「それにしても、翔って何だか不思議だよね」

 

「どうして?」

 

「だって急にRoseliaのマネージャーになるって言ったり人生まで賭けるとか言い出したり...」

 

「そうね...言われてみれば」

 

私は彼の過去を知らないから何も言えない。彼の口からは絶対に聞くことはほぼないだろう

 

「明日は何か予定あるの?」

 

「午前はスタジオ予約してあるから1人で自主練するわ。2週間後にはライブもあるし」

 

「あ〜忘れてた。アタシも頑張らなきゃな」

 

「セットリスト考えといて。ラストでLegendaryやるつもりだから」

 

「あっいいこと思いついた!」

 

急にリサが大声を出すから少しびっくりしてしまった

 

「あっごめんね。そのライブの最後でさ、翔呼ばない?ゲストとしてさ」

 

「確かにいいかもしれないわね。今度会ったとき聞いてみるわ」

 

「電話したら?翔は用事が終わってないかもしれないし、花梨に聞いてみたら?」

 

「そうね。ちょっと待ってて」

 

私は花梨に電話をすることにした。少ししてから花梨は電話に出た

 

『もしもし友希那さん?どうしたんですか?』

 

「翔はいるかしら?彼に聞きたいことがあって」

 

『お兄様ならまだ帰って来てないですよ。千聖さんに呼ばれて物凄く不機嫌でしたから』

 

「そうなの?珍しいのね」

 

『何を着て行けばいいか散々聞いてきましたから、余程楽しみだったのでしょう』

 

花梨の言葉を聞いて私はとても嬉しかった。彼が私との買い物にそこまで楽しみにしてくれたのが

 

『そろそろ帰ってくると思いますけどね。後でまた連絡するように「柏ー!ご飯何食べたい?」お姉様!?今電話中なんですが!』

 

「柏?誰のことらしら?」

 

『なっ何でもありません!お兄様には後で連絡するように言っておくので!ではまた今度!』

 

「あっちょっと花梨!」

 

「どっどうしたの?何だか荒れてたけど」

 

「分からないわ。何だか祐奈さんが花梨のこと『柏』って呼んでた気がするのだけど...」

 

「気のせいじゃない?それで翔はどうだった?」

 

「まだ家に帰ってないみたいよ」

 

「そうなんだ。あっもう家に着いたね」

 

「今日は本当にありがとう。お陰で気分転換にもなったわ」

 

「それならよかったよ。デート頑張ってね!」

 

「えぇ、また月曜日会いましょう」

 

「うん!じゃあね!」

 

こうしてリサとのデートの下見は終わった

 




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