死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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どうも黒い死神です!

今回は少しシリアス入るかもです

それでは本編どうぞ!


第25話

ショッピングモールに着くと、最初はゲーセンに行った。音ゲーを体験させてもらったけど、音楽が関わっているおかげで何となくだができた。翔はというと顔色ひとつ変えずにフルコンボ?していた

 

「ふぅ〜久しぶりにやったわ」

 

「随分上手なのね。さっきまで人が集まってたわよ?」

 

「この程度なんて幾らでもいるよ。さて、次何処行く?」

 

彼に敬語をなくしてもらってから一気に距離が縮まった気がする。今までは妙に距離感を感じこちらとしては少し気まずかったが、現在は全くない

 

「そうね...少し疲れたしカフェで休憩しましょう」

 

「了解」

 

カフェに行き、それぞれ飲み物を飲む。私はカフェオレで彼はブラックコーヒー。あんな苦いものを飲むなんて信じられない

 

「カフェオレって美味しいのか?俺は甘くて無理だ」

 

「そうかしら?逆に翔こそ、珈琲なんてよく飲めるわね」

 

「普通だろう。甘いのはあまり好きじゃないんだ」

 

それからそれぞれの好みを話していると気づけば夕方になっていた

 

「うわっもうこんな時間かよ...映画観れないなこれ」

 

「私は全然構わないわ。とても楽しかったから」

 

「そうか...少しトイレ行ってくる。近くで待っててくれ」

 

「分かったわ」

 

彼は一言言うとトイレへ向かって行った。その直後、後ろから声をかけられた

 

「なぁ、ちょっといい?」

 

「何かしら?」

 

話しかけてきたのは3人組の男たちだった

 

「君今1人じゃん?よかったら今からお茶しない?」

 

「お茶ならさっき友人と済ませたわ。他を当たって頂戴」

 

「そう言わずにさ、ならその友達も一緒にね?」

 

「しつこいわね...貴方たちに興味はないの。分かったら消えてくれるかしら?」

 

「口だけは1人前だな...おい!」

 

私と話していた男の合図で他の2人が私を取り押さえてきた

 

「ちょっ触らないで!」

 

「俺を馬鹿にした罰だ。安心しろ、きっちり可愛がってやるよ」

 

「やめ...て...」

 

恐怖で声が出せない。周りの人は見て見ぬ振りをして誰も助けようとはしない

 

「翔...助けて...」

 

「了解。今助けてやる」

 

押さえられる力が急になくなり私はその場に倒れかける。それを誰かが支えてくれた。紛れもない、私が愛する人だった

 

「なっ!?お前、あの時の...!」

 

「ア?誰だお前。俺の()()()()に何してんの?」

 

彼の声は酷く冷たく、聞いたものを凍てつかせる覇気を持っていた

 

「パン屋の時の借りを返してやる!テメェラ出てこい!」

 

リーダーの男の合図で周りから20人程の不良が出てきた

 

「パン屋?そうか、モカの時のか。だったら分かってる筈だ、次は殺すと」

 

「この人数でよくそんなことが言えるな。流石のお前でもこれなら...」

 

急に男の肩にナイフが見えた。否、()()()()()()

 

「っ!?いつの間に...」

 

「言ったよな?次はないって。そのナイフには毒が塗ってある。安心しろ、全身が麻痺で動けなくなるだけだ」

 

男の肩にナイフにはを刺したのは翔だった。だが、彼は一歩も動いてない

 

「く...そぉ...」

 

男はそのまま意識を失った

 

「さて、次は誰だ?いや、言い方を変えよう。誰から死にたい?」

 

彼の言葉に全員が動けなくなる。それもそうだろう。目の前で自分らのボスが簡単にやられたのだから

 

「...もういい。全員で来い。友希那に手を出したらどうなるか、思い知らせてやる」

 

流石にここまで挑発され頭に来たのか、同時に彼に襲いかかった

 

「翔!逃げて!」

 

ようやく声を出せるようになった私は何とか彼に向かって叫ぶ。でも、彼は動いてくれなかった

 

「心配するな。すぐに終わらせてやる」

 

翔は懐から更に2本のナイフを出して、襲いかかったうちの10人程の膝の関節裏を一瞬で切り裂いた

 

「おい!逃げるぞ!彼奴は化け物だ!」

 

完全に怖気ついた人たちが次々に逃げて行く。足を切られ、立てなくなり逃げられなくなっている仲間を置いて

 

「逃がさねぇ」

 

彼は逃げて行く人たちとの間合いを一瞬で詰めて次々に足を切り裂いていった

 

「ひいぃ...助けて、命だけは」

 

「お前らみたいなゴミが死んだところで世間は何も言わないんだよ」

 

「死神...死神だ」

 

「!?」

 

誰かが呟いたその声で翔の動きが途端に止まった。それどころか、彼の身体はかすかに震えている

 

「どいつもこいつも...人を死神呼ばわりしやがって!」

 

「翔!危ない!」

 

背後から人影が見え咄嗟に声をかけるも間に合わず

 

「死ねぇ!」

 

さっきまで倒れていた筈のリーダーの男が刺されたナイフで翔を切りつけた

 

「がはっ!テメェ...チッ!」

 

「これでお前も毒で倒れる...ざまぁみろ」

 

「話す気力ないな...とっとと寝てろ」

 

翔は何事もなくリーダーを倒し、残る者はいなくなっていた

 

「もしもし...俺だすまない、後処理頼む。あぁ、殺してはいない」

 

彼は誰かに電話をかけ、終わるとその場に倒れた

 

「翔!しっかりして!」

 

「友希那...すまない、俺がしっかりしてれば」

 

「どうして...私なんかのために!貴方が死んだら私は...」

 

「泣くな。死なねえから、それより疲れたし帰りたい」

 

「でも、背中の傷が」

 

「家でどうとでもできる。悪い、肩貸してくれ」

 

彼の肩に私の肩を貸し、なんとか立たせる

 

「この人たちはどうするの?」

 

「知り合いに頼んだ。これは2時間くらい説教受けそうだ」

 

「家は何処?送るわ」

 

「大丈夫だ。人が来る前に抜けるぞ」

 

急いでショッピングモールから出て帰りにつく。彼の足はふらついている

 

「此処でいい。気をつけて帰れよ」

 

「やっぱり家まで...」

 

「早く帰って休め。明日も練習だろ。じゃあな」

 

彼の目には光は灯っておらず、それでいて無表情だった

 

私はその場に立ち尽くし彼を見送っていた

 

咲夜side

 

湊と別れた後、家に帰り華蓮に手当てをしてもらった

 

「これでよしっと。珍しいわね、貴方が雑魚相手に怪我なんて」

 

「昔のことを思い出しちまってな。反応できなかった」

 

「昔のこと?」

 

「俺の呼び名だ。誰かがそう呟いてな、急に動けなくなって...」

 

「そう...まぁ今日は休みなさい。お爺様から近いうちに咲夜を本家に連れてこいって言われてるから」

 

「おいおい、あのクソジジイからも説教か?冗談じゃねぇ」

 

「色々積もる話があるのよ。肉じゃができてるから、早く食べましょう」

 

「まさか俺の方が帰りが遅いとはな」

 

「友希那ちゃんと出かけるなら連絡くらいしなさいよ。誰もいないからビックリしたわ」

 

「柏は?」

 

「疲れて寝てるわ。カラオケで歌いすぎたんでしょう」

 

「点数気になるな。柏がカラオケで歌ったらどうなるのか」

 

「明日聞きましょう。貴方は予定ある?」

 

「バイト兼Roseliaの練習。どうしよう、明日湊と顔合わせにくい」

 

「頑張って。それじゃ、いただきまーす!」

 

「いただきまーす」

 

うん美味い。やっぱり教師じゃなくて店出せや

 

「なぁ、そろそろ店出したら?」

 

「教師の方が咲夜を監視できるってお爺様に言われてそうしたのよ。無理矢理勉強させられたし」

 

「何から何まで余計だな。さっさとくたばれ」

 

ていうか何故にそこまで俺が嫌いなのかね...さっぱり分からん

 

「そうそう聞いてよ咲夜。今日さ...」

 

それから華蓮の愚痴を聴きながら肉じゃがを食べ風呂に入った。傷口しみてマジで痛かった

 

「それじゃあお休み。華蓮は明日どうする?」

 

「まだ学校の仕事を終わってないからさっさと済ませるわ。明日には終わると思う」

 

大変だね...俺の監視と学校の教師とか休む暇ないじゃん

 

「終わったら労いで何か作ってやるよ。おやすみ」

 

「おやすみ〜」

 

明日から夏休みと...バイト行きたくないな。湊と何話せばいい?もういいや、今井使おう

 

俺はそんなことを考えながら眠りについた

 

 

次の日

 

 

「お疲れ様翔君。休憩いいよ」

 

「了解です。琉太は午後からですか?」

 

「うん。Afterglowが午後で予約してたからそれに合わせてくれって」

 

「成る程...まりなさんも休んでくださいね」

 

「ありがと」

 

さて、今からRoseliaの練習だ。最初に来たのが氷川だったから湊とはまだ話していない。それどころか話せない

 

「やべーマジで気まずい。なるべく視線を合わせないようにと...」

 

「こんにちは〜神道です。今日もよろしくです」

 

「あっ翔さんだ!見てください!あこ、ここできるようになりましたよ!」

 

「とりあえず落ち着け。自信があるなら演奏でみせてくれ」

 

「湊さん、翔さんも来たので最初から合わせますか?」

 

「...」

 

「湊さん?どうしました?」

 

「!ごめんなさい。もう1度お願いできる?」

 

「その、翔さんが来たので最初から合わせようかと思うのですが」

 

「...そうね。そうしましょう」

 

「友希那、朝から元気ないよ?1回休んだ方が...」

 

「大丈夫よ。始めましょう」

 

「ちょっと〜翔からも何か言って...翔?」

 

「ほぇ?どうしました?」

 

ボーッとしてて何も聞いてなかった

 

「もー!2人ともしっかりしてよ!ほらほら休憩!クッキーあるからそれ食べよ!」

 

今井のお陰で今回は助かった。気まずくて何も言えない

 

「...」

 

湊まで無言じゃねえかっていつものことか

 

「翔さんも仕事で疲れてるのでは?今日は練習には付き合わなくても...」

 

「ご心配なく、問題ありませんから...っ!」

 

急に背中に痛みを感じ体制が崩れる

 

「翔さん!?しっかりしてください!」

 

毒が完全には抜けてないのか思った以上に力が入らない。俺を支えた氷川だが、身長差のお陰で倒れる俺を支えきれず一緒に倒れてしまった

 

「あ...」

 

聞こえたのは湊の声。痛みをこらえながら目を開けると...

 

 

目の前に氷川の顔があり、唇が触れ合っていた

 

「...ごめんなさい。いきなり倒れてしまって」

 

「いっいえ...///」

 

クソ、更に気まずくなったじゃねえか

 

「2人とも大丈夫!?」

 

こうやってすぐに人を心配するのは今井のいい所だと思うけどな

 

「俺は大丈夫です」

 

「私も問題ありません。少し驚いただけです」

 

「よかった〜。友希那?」

 

「ごめんなさい。少し1人にさせてほしいの」

 

そう言って湊はスタジオを飛び出してしまった

 

「友希那!待って!」

 

「来ないで!」

 

スタジオに流れるのは静かな空気。この状況に誰も声が出せなかった

 

「友希那...」

 

俺はどうすることもできなかった

 




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