死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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第26話

友希那side

 

何故飛び出してしまったのだろう...あの2人は何も悪くない。あれは事故で、仕組まれたものではないのに。2人がキスをしているのを見て胸が締め付けられて泣きそうだった

 

「どうして...悪いのは全部私なのに」

 

そもそも、彼が倒れたのは昨日の傷が痛んだからだろう。それに、毒を塗ってあると言っていたからまだ抜けていないのかもしれない

 

何も考えず走っていたら、いつの間にか公園に着いていた。私は椅子に座り心を落ち着かせようとするが、上手く思考が働かない

 

「あれ、湊さんじゃないですか。こんなところで何やってるんですか?」

 

不意に後ろから声をかけられ振り返ると、Afterglowの面倒を見ている琉太がいた

 

「琉太こそ、こんなところで何をやっているの?」

 

「午後からバイトだし、CiRCLEで昼寝でもしようかなと。今日はRoselia練習でしょう?」

 

「えぇ。でも、今それどころじゃなくて...」

 

「翔と何があったんですか?」

 

「!?どうしてそれを...」

 

「何となく分かりますよ。大方、昨日出かけたとき何かあったんでしょう?俺で良ければ相談には乗りますよ」

 

「実は...」

 

 

その頃CiRCLE 咲夜side

 

「友希那、どうしたんだろう...」

 

湊が急に飛び出したことでRoseliaの奴らも困惑してるみたいだった。俺も正直困っている

 

「何だか友希那さん、朝から元気なかったよね...りんりん何か知らない?」

 

「私も分からないかな...」

 

「今井さんは心当たりはないのですか?」

 

「アタシも全然。翔は何か知らない?昨日友希那と出かけたんでしょ?」

 

「俺のせいか...」

 

「翔?」

 

「原因自体は何となく分かりましたが、それの理由が分からない」

 

「心当たりがあるのなら話していただけませんか?」

 

心当たり言ってもな...昨日不良に絡まれたから元気がないとしか。まぁ話せばいっか

 

「昨日不良に絡まれたから、ですかね?」

 

「え?」

 

「帰る前、俺が少し目を離した隙に友希那さんが不良に絡まれたんですよ。助けたはいいけど、20人くらいいてですね。さっき倒れたのはそのとき背中を切られたのが痛んだだけです」

 

「まだ恐怖が残ってるのか...それとも他に理由があるのか。まぁ俺から言えるのはこれくらいですかね」

 

「何で分からないの?」

 

「何がですか?」

 

「友希那の元気がない理由だよ!友希那は責任を感じてるんだよ?自分のせいで翔が怪我したんだって」

 

「あれは反応できなかった俺が悪いんです。彼女が責任を感じる意味が分からない」

 

「そんなの決まってるじゃん!友希那は翔のこと...ごめん、ちょっと興奮しちゃって」

 

今井の言っている意味が分からない。聞いてるだけで不愉快極まりない

 

「分からねえよ」

 

「え?」

 

「他人の感情なんざ知らねえよ!俺には感情がない(人の気持ちが分からない)!んなもんはとっくの昔に捨ててやった!」

 

「そんな...」

 

「感情なんて自分を苦しめるだけだ!そんなものを持って何になる?」

 

理性はどこに行ったのやら俺はひたすら本心を話していた

 

「おかしいよ。そんなの」

 

「確かに感情があれば苦しむこともあるかもしれない。逆に楽しいこともあるんだよ?嬉しいって思えるんだよ?それを捨てるなんて...悲しすぎるよ」

 

「何で...そこまで俺にこだわるんですか?」

 

「翔が来てから友希那、前より笑うようになったんだ。今までこんなことなかったけど...翔が友希那を変えてくれた」

 

冷静になり今井の話を聞く

 

「それに、翔はRoseliaのマネージャーで大切な仲間だから」

 

「っ!?」

 

「翔に何があったのかは知らない。きっと話したくないことなんだと思う。でも、人として...もっと自分を大事にしてよ」

 

「...どうやら俺はリサさんのことを勘違いしてたみたいですね」

 

「どういうこと?」

 

「昔から他人と話すのは嫌いでね。人を全く信じようとしなかった。最初貴女がグイグイ来るもんだから結構面倒だと思ってましたよ」

 

「うっごめんなさい」

 

「それでも、他人への気遣いができる人だった。正直言ってRoseliaの練習見てると誰が倒れるかハラハラしましたよ。ねぇ氷川さん」

 

「私ですか!?」

 

「貴女と友希那さんですよ。リサさんに感謝してくださいね?」

 

「分かっています」

 

「さっきは急にキレたりしてごめんなさい。もう俺は感情を持つつもりはない。でも、向き合ってみようと思います」

 

「そっか...」

 

「今は友希那さんを待ちましょう。それまで俺が練習見ますから」

 

「そうですね。早速ここなんですが...」

 

「ギターは俺に聞かないでくれ!」

 

 

再び戻って友希那side

 

琉太に昨日あったことを全て話し、どうしたらいいのか相談していた

 

「翔、全然目を合わせてくれなかった。嫌われたかしらね」

 

「ただ単に気まずかっただけですよそれ。彼奴に気まずいという感情があること自体驚きだわ」

 

「どういうこと?」

 

「翔には...人としての感情がないんですよ」

 

一瞬時が止まったような気がした。彼に感情がない?それじゃあ今までのあの笑顔は...そう思った途端泣きそうになってしまった

 

「小さい頃に色々あって、苦しみから逃れるために捨てたんですよ。俺も1時期ありましたよ」

 

「でも、花梨や祐奈さんに言われて向き合ったからこそ今の俺があるんです。今まで俺たちは彼奴の感情を取り戻すために尽くしてきた。でも、なかなかそう上手くはいかなかった」

 

「...彼に初めて会ったとき、まるで作り物のような笑顔だった。彼の心の底からの笑顔が見たいと思った。そして彼がマネージャーになると言ったときのあの顔、とても綺麗だった」

 

「でも、それも全部嘘だったのかしら?」

 

「そんなわけないでしょう。嘘なら今頃Roseliaのマネージャーなんてやってませんよ」

 

「でも彼には...」

 

「彼奴はRoseliaに賭ける際、感情と向き合ってもいいかもと言っていた。今までの彼奴の笑顔は間違いなく本物だった」

 

「それじゃあ...」

 

「何も湊さんのことなんて嫌ってませんよ。むしろ俺たちを覗いて1番信頼してるじゃないですか?」

 

「そう...だと良いわね」

 

口ではそう言っているが、実際は今までで1番嬉しかった

 

「そもそも湊さん、翔のこと好きなんですか?」

 

「!?えっと...」

 

「彼奴は感情がない分鈍感ですからね。正直に言わない限り絶対進展しませんからね」

 

「随分と難しい恋をしたわね」

 

「まぁ俺もなるべくサポートしますよ。他にも彼奴のことを気にしてる奴は山ほどいますけど」

 

「...ハードル高すぎないかしら?」

 

「頑張ってください。さて、そろそろ戻りましょうか。暇なんで俺も付き合いますよ。今頃、紗夜さんにギター聞かれて喚いてるところでしょうから」

 

「そうね...行きましょう」

 

モヤモヤしたのも綺麗に消え、私は上機嫌でCiRCLEへ向かった

 

奏斗side

 

湊さんの相談を受け終えた後、今回は俺もRoseliaの練習に付き合うことになった。昼寝はしたかったけど、ギターは弾きたいし丁度良い

 

「まりなさんこんにちは〜」

 

「あれ?琉太君早くない?それに友希那ちゃんも...さっき飛び出して行ったけど大丈夫?」

 

「えぇ、大丈夫です」

 

「ちょっとRoseliaの練習行ってきますね。シフト来たら教えてください」

 

「オッケー」

 

とりあえずスタジオに入ると必死に練習している他の4人と1人ずつ...紗夜さん以外の3人を見て回っていいる咲夜がいた

 

「あっ友希那さんおかえりなさい」

 

「あー!友希那さん帰って来た!」

 

「琉太もいるじゃん。どういう組み合わせ?」

 

「まぁたまたま会っただけですよ」

 

「さっきはごめんなさい。急に飛び出してしまって...」

 

「それならその分を今からの練習で取り戻せばいいでしょう。湊さん、早速やりましょう」

 

「えぇ...ところで、貴方たちは何をやっているのかしら?」

 

みんなが話している間、俺はというと咲夜を正座させていた

 

「俺が言いたいことは分かるな?はぐらかした瞬間殺すぞ」

 

「はい...誠に申し訳ございませんでした」

 

「昨日説教したばっかだよな?それなのに何故あんなことをするのかね?」

 

「あれはしょうがないというか...」

 

「その言葉何回も聞いたわ!お前が何かする度に彗人さんに怒られんだよ!ついでにあの爺さんにも説教喰らうんだぞ!?とばっちりを喰らう俺の身にもなれや!」

 

「んなこと言ったらお互い様だ!俺だって好きでやってるわけじゃねえんだよ!」

 

この野郎!

 

「最後には開き直りやがって!ぶっ殺す!」

 

「あ?殺るか?」

 

「ちょっと2人とも落ち着いて...」

 

「翔」

 

「琉太さん」

 

隣から最高に冷え切った湊さんと紗夜さんの名前を呼ぶ声が聞こえてきた

 

「何でしょ...う...」

 

「なぁ翔、嫌な予感がするのは俺だけか?」

 

「それはないな。モーレツにやばい気がする」

 

「紗夜、琉太は頼んだわよ。私は翔をやるから」

 

「分かりました」

 

「「ごめんなさい!」」

 

周り気にしてなかった。この2人怒らせたらどうなるのか分かったもんじゃない

 

「ハァ...2人ともこんなところで喧嘩なんてしないでくださいね?」

 

「はい...」

 

「全く...早くやるわよ。全体で合わせましょう」

 

「「「「はい!」」」」

 

危ねえ。死ぬところだったわ

 

「さて、どのくらい成長してるかなぁ」

 

「少なくとも前のライブよりは相当上がってる筈だ。まぁ楽しみにしとけ」

 

「あぁ」

 

耳を澄まして聞いてみればえげつない程にレベルが上がってたのは別の話

 

咲夜side

 

スタジオの予約の終わりの時間が来たため俺たちは片付けをしていた。奏斗はシフトのため抜けて、俺はバイトの一環で機材の片付けをしていた。こういうときってバイトと同時進行でできるから楽なんだよね

 

「ふぅ〜終わったね。アタシは受付行ってくるね」

 

「手続き俺がやるんでご一緒します」

 

大体次の予約の日は俺と今井で話し合い決めている。その辺1番しっかりしてるのは今井だし、他の連中は当てにならんしな

 

「じゃあ次はこの日にしようかな。翔は来れそう?」

 

「基本的には行けると思います。呼び出しを喰らわない限りは」

 

「誰に呼ばれるの?」

 

「色々ですね。俺は悪くないのにいつも説教されるんですよ」

 

「あはは...今日花梨いる?」

 

「いますけど」

 

「友希那とアタシと翔と花梨でどっか出かけようよ。折角夏休みだしさ」

 

「昨日の今日でですか...まぁいいでしょう」

 

「ヤッター!」

 

「リサ、次の予約はいつ?」

 

片付けを終わらせた湊たちがこちらへと向かってきた

 

「2日後だよ」

 

「それでは私たちは先に帰りますね。お疲れ様です」

 

「リサ姉じゃあねー!友希那さんと翔さんもまた今度!」

 

「さようなら...」

 

相変わらずあこは元気だねぇ...

 

「アタシたちも帰ろっか。友希那、この後出かけない?花梨も入れての4人で」

 

「え?でも...」

 

「俺のことなら心配しなくていいですよ」

 

今井によれば昨日のことを気にしてるみたいだからな、声かけくらいはしないと

 

「...分かったわ。映画も観れてなかったし」

 

そんなこんなでまた出かけることが決まった




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