死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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今回結構短いです


第27話

俺は今、月読命家の本家に居る。理由は俺の祖父にあたる月読命源十郎に呼び出されたからだ

 

「ハァ...面倒くさ〜い。ここに来るのにも結構時間かかるってのに何で来なきゃいけないんだよ」

 

多分説教だろう。組織の奴ら1人殺しちゃったし、湊守るときに連中ボコボコにしちゃったからな...

 

「失礼すんぞー!くたばってねえかクソジジイ!」

 

「喧しいぞ。とっとと入れ人殺しが」

 

「全くよぉ〜説教は勘弁しろや。こっちも色々調べてんだよ」

 

「黙っていろ。情報が入ったから呼び出しただけだ」

 

「何それ?そっち何かとセコくない?」

 

「脱獄したものの中にバカ息子がいた。人数は恐らく20人。奴が筆頭で動いている」

 

「...そうか。理由はそれだけじゃないはずだ」

 

「最近何かと楽しんでるみたいだな。貴様にその資格がどこにある?生きる道も持てない貴様が」

 

「道なら見つかったさ。Roseliaと共に前に進む。それだけだ」

 

「お前が気にかけているのは湊友希那という輩のことか...咲夜、今すぐそいつらから離れろ」

 

「はぁ?舐めたこと言ってんじゃ...」

 

「お前なら分かる筈だ。最近組織の動きが活発になって来ている。この前だってそうだ。いずれRoseliaに、湊友希那に危害が及ぶことになる」

 

「っ!」

 

分かっていたさ。このままじゃ湊にまで被害が拡大する。彼奴だけじゃない。モカやイヴたちにまでいずれ...

 

「本来ならそうなる前にお前を消すのが最善なんだ。周りに感謝しろ」

 

「...話は他にあるか?」

 

「忠告はした。他にない」

 

「帰る」

 

朝から気分は最悪だな...家には誰もいないしコンビニで昼飯買うか

 

♭ ♯ ♪ ♭ ♯ ♪

 

コンビニに行く途中、久し振りに迷子に会った。めんどくせえな...

 

「花音さん、何やってるんですか?こうして会うの何回目だと思ってます?」

 

「ふえぇ〜翔君が恐いよ〜」

 

「軽口叩いてないで、何処に行きたいんですか?」

 

面倒だけどここまで話して見放す程クズじゃない

 

「えっと、羽沢珈琲店に行きたいなって」

 

「何回も行ってるじゃないですか...ちなみに、俺と会わなかったらどうするつもりだったんです?」

 

「そのうち着けるかな〜って...」

 

こいつは外にでない方がいいと思う

 

「次回から出前をお勧めします。俺も珈琲は飲みたかったし一緒に行きましょう」

 

「ありがとう翔君。えへへ...」

 

こいつは何ニヤニヤしてんだよ。俺の顔になんかついてんのか?

 

「俺の顔になんかついてます?さっきからニヤニヤして」

 

「翔君と一緒に行けるのが嬉しいなぁ〜って」

 

「意味が分からん」

 

「もう、鈍感なんだから...」

 

何かブツブツ言ってるけど気にしない。気にしたら負けな気がするから

 

「そういえば、最近何かとそちらのバンドの練習に花梨が顔出してるみたいですが」

 

「うん、凄い勉強になるよ。翔君も来ない?」

 

「俺はRoseliaの方があるので少し厳しいですね」

 

あと行ったら弦巻の親にバレて俺が死ぬ

 

「そっか...しょうがないね」

 

「CiRCLEに来れば暇なら見ますよ。ドラムなら人並みにはできるので」

 

「じゃあこころちゃんに聞いてみるね」

 

「いや、花音さん1人の方がいいです」

 

「え?」

 

「弦巻家の令嬢ハチャメチャって聞いてるんで関わりたくないんです。その分花音さんは大人しいし」

 

「そっか...じゃあ今度スタジオ予約しないとね」

 

「安くしとくんでいつでも」

 

「ありがとう」

 

今思ったけど、俺って何でここまで松原に加担するんだ?何かよく分かんなくなってきたな...

 

「そろそろ着きますよ。イヴいねぇかなぁ...」

 

あれからたまに此処に来ると、イヴがいる時は必ず彼奴に珈琲を淹れてもらってる。彼奴の旨いんだよね

 

「いらっしゃいませ!あっ翔君に花音さん、こんにちは」

 

「よっ。イヴはいるか?」

 

「イヴちゃんは今日は仕事でいないんだ...ごめんね」

 

「そうか。じゃあつぐみの珈琲頼む」

 

「私はカフェオレお願いできるかな?」

 

「少々お待ちください!」

 

知り合い相手でもご丁寧に言っちゃって..真面目だな

 

「つぐみちゃん真面目だよね。お店凄く頑張ってて、それにバンドの方も」

 

「何処にそんな体力があるのか知りたいですね。俺は何かを頑張る気力もない」

 

「そうかな?私はそんなことないと思うな」

 

「...何がですか?」

 

知ったような口調で言いやがって...こっちはただでさえ気分が悪いというのに

 

「ごっごめんね、怒らせちゃった?でもさ、翔君は今CiRCLEのバイトとRoseliaのサポートやってるじゃん?それを両立させるのって凄い難しいことだと思うんだ。だから、自分では分からなくても頑張ってるんだと思うよ」

 

やめろ

 

「別に、このくらい大したことないです」

 

「花梨ちゃん言ってたよ、最近翔君が頑張ってるって。今まで何事にも興味を示さなかった翔君がRoseliaの為に色々考えてるって」

 

やめろ

 

「...」

 

「それに、私はそんな翔君がかっこいいと思う。貴方はとても優しくて、私を何度も助けてくれて...」

 

やめてくれ。俺はそんな人間じゃない

 

「何か悩みがあったらいつでも相談乗るからね!」

 

「...ありがとうございます」

 

4人目か...

 

「お待たせしました!珈琲とカフェオレです!」

 

つぐみが頼んだ飲み物を置き、新しい客の対応に回ってゆく

 

「あの、1つお願いがあるんだけど...」

 

「何でしょう?」

 

「連絡先交換して欲しいな。私もいつか相談したいし、翔君と話すの好きだから」

 

こいつといると妙に自然体でいられてしまう。ならやることは1つ、俺はこいつからも距離を取らなければならない

 

「連絡先だけなら、いいですよ。ただし、あまり俺と会わない方がいい」

 

「ふぇ?どうして...」

 

「危険すぎる。いつかその身に被害が及ぶ前に俺との関係をできる限り薄くしなきゃならない」

 

「そんな...」

 

「貴女のことが嫌いなわけじゃない。むしろ、他と比べたら信用している方だ。完全に断つわけじゃない。そこは理解してほしい」

 

「...分かった。その代わり、毎晩連絡してもいい?」

 

「勿論、あまり遅くにならなければ」

 

「よかった...ありがとう」

 

「さて、それじゃあ帰りましょうか。奢りますよ」

 

「いっいいよそんなの...自分で払うから...」

 

「こういうのは俺が払うって花梨に教わってるんでね」

 

「...ありがとう」

 

何だか腑に落ちないといった顔であるが、無視した方が良さそうだ

 

「家への地図見せてください。送るので」

 

「ありがとう。はいこれ」

 

「...何でこんな近いのに迷うんですか?どう考えても小学生でも行けるレベルでしょう」

 

「うっ」

 

「ハァ...行きますよ」

 

「あっ待ってよぉ〜!」

 

この後家まで送ったら母親に彼氏と間違われ説明するのにめっちゃ時間かかった

 

 

それから30分後、俺はあることに気がついた

 

「コンビニ行くの忘れた...しまったな、つぐみんとこで何か食べときゃよかった」

 

俺は普段少食であまり食べない。普段はそこまで腹も減らないのだが、今日は珍しく腹減った

 

「どうすっかな...商店街にいたなら山吹ベーカリー行けば楽なのに。戻るか」

 

俺は山吹ベーカリーに行くことにした。しかし、その選択は間違いだった

 

 

湊に出会ってしまったのだ

 

「友希...那...」

 

「翔?こんなとこでどうしたのよ。それに顔色凄い悪いわよ?」

 

何をしてる。早くこの場から立ち去らなきゃいけないのに、身体が動いてくれない

 

「ちょっと、大丈夫なの?体調悪いなら病院に...」

 

湊が手を出して来る。だが、俺はその手を払い言ってしまった

 

「触るな!」

 

「っ!しょ...う?」

 

「あっ...すまない。体調は問題ないから。それと、これからはあまり必要以上に俺と関わるな。いつかお前を壊すことになる」

 

「そんな...待って!」

 

湊の静止も聞かず俺は走り出した。彼奴の顔も見ないでひたすら

 

 

 

 

本当にごめん、()()()




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