友希那side
私は何が起きたのか全く分からなかった。偶然翔に会い顔色が悪かったため話しかけただけなのに...ただ1つ分かったことは、彼に拒絶されたということ
「何で...教えてよ...」
あまりの出来事に思考が追いつかなくなっていた。頭の中が真っ白になり、気がつけば家に着いていた
「ただいま...」
「おかえり友希那。どうしたのよ、元気ないわよ?」
「少し体調が悪くて。今日は昼も夜もご飯いらないから...」
もうご飯を食べる気にすらなれなかった。誰とも話したくなかった。初恋の人に拒絶され、関わるなと言われた
どうしたらいいのか分からない。リサや紗夜、あこも燐子もRoseliaの大事な仲間だ。翔や花梨がそのことに気づかせてくれた。彼がマネージャーになって、私たちを支えてくれて、私を守ってくれて...
「あぁ...」
泣いてることにも気づかず私の意識は闇に落ちた
咲夜side
湊を俺から遠ざけることに成功した。今までの俺だったら喜んでいただろう。だが、今回は
「もう何も食べる気になれねえな...帰るか」
珍しく腹減ったという言葉は何処に行ったんだかね。結局家に帰ると不可解なことがあった。玄関の鍵開いてんじゃん
「誰かいるのか?いるなら出てこい」
中に入り呼びかけるが返事は帰ってこない。念のためナイフを2本用意し、リビングに突入すると華蓮が倒れていた
「おい華蓮!しっかりしろ!」
「ん...咲夜?」
外傷はない。強いて言うなら倒れたときに頭をぶつけて少しフラフラしている
「とりあえず何があった」
「えっと...学校の仕事終わらせて家に帰って来て。脱力感で意識飛んじゃって...」
「はい?」
つまりこいつは仕事が終わった安心感で倒れて寝たと?俺は問答無用で華蓮の頭を床に叩きつけた
「いだい!?」
「せめてソファーで寝ろや。床で寝るバカが何処にいるんだ」
「だって...折角仕事が終わった瞬間先輩から色々押し付けられたんだもん。それを最近ほとんど寝ないでやってたら2日で終わったんだけど」
「眠すぎて家に着いたら場所関係なしに寝たと。心配かけてんじゃねえバカ姉貴」
「ごめん...お昼ご飯は食べた?」
「食おうと思った瞬間松原に会ったり色々あって食べてない」
「松原?誰よその人」
「松原花音。ハローハッピーワールド!とかいうバンドのドラムをやってるやつだ」
「ドラム!?今度練習行きたい!」
「いや、ボーカルが弦巻の令嬢でな...」
「えっ」
「普段は弦巻の家でやってるらしいから俺たちが行った瞬間終わる」
「マジですか...あの子1回だけ会ったけど、とんでもない子よ」
「だから行きたくない。松原が今度1人でCiRCLE来るらしいからそのとき来れば?」
「そうするわ。一緒にお昼食べ行こうよ。あんた顔色悪いけど」
「え?顔色?いつも通りだろ」
「姉を舐めんじゃないわよ。弟の変化くらい分かるわよ」
「...お前には敵わんな。クソジジイに言われたんだ、湊たちから離れろってな」
「それって...」
「俺が近くにいたら彼奴らに危害が加わるかもしれないからって。俺も前から分かっていたさ。いつかは消えなきゃって」
「さっき帰って来る前、湊に会ったんだ。そのときに彼奴を拒絶してしまった。そしてそのまま逃げた」
「...そういうことだったのね。咲夜、貴方はこのままでいいの?」
「いい訳ないだろ。彼奴は、湊友希那は俺に道をくれた。だから
「見守るだけ?それだけでいいの?お爺様の言う通り、貴方と関わる限り常に命が危なくなる。だからこそ、貴方が側にいて守らなきゃいけないの」
「側に...」
「友希那ちゃんだけじゃないんでしょ?貴方が気にかけてる子は。その子たちのことも守ってあげなさい」
「でも、今更拒絶した湊とどう会えばいいのか分からない。また拒絶しそうで怖い」
「次のRoseliaの練習、私も行ってあげるから。友希那ちゃんは絶対に貴方を待ってる」
「...ありがとな」
「このくらい姉として当然よ」
果たして彼女は俺を許してくれるだろうか?いや、この際許されなくてもいい。俺は向き合わなきゃいけない
たとえ月読命咲夜だと知られても彼奴といられるように
リサside
今日はRoseliaの練習があるんだー!頑張らないとって思ったら友希那の元気が全くなくて聞いても何でもないって
「友希那、そろそろ休憩しよ?さっきから音外しっぱなしだよ?」
「...ごめんなさい」
「湊さん、集中できないなら今日は...」
「大丈夫よ」
絶対何かあると思うんだけどなぁ。翔も来てないし
「ヤッホー!みんなやってるかー!」
「祐奈先生!今は休憩中です」
「今は先生いらないから。教師なんて副業だし」
副業?他に何かやってるのかな?
「今日は翔さん来ないんですか?あこ、前よりもできるとか増えたから見てもらいたかったのに...」
「あ〜翔は今死にかけっていうか...」
「ちょっ大丈夫なんですか!?」
「まぁなんとかなるでしょ。無傷で帰ってこれるか分からないけど」
え〜。幾ら何でも酷すぎるでしょ...アタシこの人恐くなってきた
「弟の扱い酷くないですか?」
「いーのいーの。それより休憩中なら友希那ちゃん借りていい?少しお話があるから」
「友希那、どうする?」
正直、今の状態で話せるとは思わない
「...分かりました。貴女たちは時間になったら練習再開しといて」
「オッケー」
「それじゃあ行きましょうか。琉太君呼んでくるから、紗夜ちゃん」
「なっ何で私なんですか?」
「だって紗夜ちゃん琉太君のこと好きでしょ?」
「なっ!?そっそんなんじゃありません!///」
うわぁ分かりやすい。ていうか祐奈さん容赦ないな...
「おーい琉太君、こっちきてー」
「なんすか?俺眠いんですけど」
「紗夜ちゃんが来てくれないと死んじゃうって「そんなこと言ってません!」とにかくRoselia見てあげて」
「あははははは!」
「あっあこちゃん、笑いすぎだよ...」
「宇田川さん、後で覚えておきなさい」
「ごめんなさい!」
「ププッ!あははははは!」
「いっ今井さん!」
「うけるー!」
「俺帰っていいですか?」
「ダメ!」
ヤバイ超笑えるんだけど!紗夜が恋してるんだよ!?笑わない人なんている?
「それじゃ頑張れ」
「ハァ...眠い」
友希那side
私は祐奈さんに呼ばれてCiRCLEのカフェテリアにいた。話の内容は分かっている。私としては1番話したくないことだが
「さて、早速本題に入るよ。友希那ちゃんが元気ないのは翔に拒絶されたから、そうでしょ?」
「...はい」
やはり、そのことを知っていた。リサたちは知らないが、この人の情報網は侮れない
「翔の元気がなかったから問い詰めたら白状したわよ。貴女を傷つけてしまったって」
「今まで全く気づかなかった。私が彼の重荷になっていたことに。今更拒絶されてもおかしくないですよね」
いつの間にか私は彼を追い詰めていたのかもしれない。最初はマネージャーを断られ、何とか彼と近づきたくて練習を見るだけという条件を出させてもらった。あの日、Legendaryの楽譜を渡され課題をクリアしマネージャーになってもらったと同時に私は彼への想いを自覚した。それからというもの、彼と接触する機会も増え距離を縮めた。それが彼を追い詰めていた
「翔はね、友希那ちゃんを拒絶したことを凄く後悔してた」
「え?」
「自分に道をくれた貴女を傷つけてしまって、どうしたらいいのか彼自身分からなくなってた。あの子、ああ見えて繊細でね。少し触れただけで壊れちゃうの」
「だから、彼を許してあげて。そしてこれからも彼の側にいてあげて」
「私にそんな資格はありません。私は知らぬ間に彼を傷つけた。そんな私に彼と一緒にいることなんて...」
「...貴女はこのままでいいの?」
「っ...それは...」
いい訳がない。私は祐奈さんと約束したんだ。彼を救うと。このままでいい訳がない
「この際だから友希那ちゃんにだけ言っとくね。はっきり言って、私たちと関わるのはあまりにも危険すぎる」
「だったらその理由を教えてください!何も知らずに拒絶され、どうしたらいいのか分からない!私は...どうすればいいんですか!?」
「理由は言えない。知ったら待ってるのは闇だけ。もう未来はない」
「そんな...」
「翔と私、そして琉太君は命を狙われてる。いずれ貴女たちにも被害が及ぶかもしれない。だから自分から遠ざけるために翔は貴女を拒絶した」
「一体誰に?何故そんなことに...」
「知らない方がいいよ。翔は今、羽沢珈琲店で休んでる筈。彼のところに行ってあげて」
「...分かりました」
「Roseliaは私と琉太君に任せておけばいいから。彼を救えるのは今は友希那ちゃんしかいないの」
「よろしくお願いします」
私は全速力で走り出した。走るのに夢中で信号も無視したかもしれない。轢かれなかったのは幸いだった
10分後、目的地である羽沢珈琲店に辿り着いた。私は1度深呼吸をして目の前にあるドアを開けた
彼の待つその先へ
読了ありがとうございました!
最近なかなか4000文字以上書けないんですよねぇ...
☆8評価をしてくださったcepheid様ありがとうございます!
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