死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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遅れて申し訳ありません。夜中に書こうとするたびに寝落ちするというこの始末...

今回からユーザーネームを変えさせていただきます

それでは本編どうぞ


第37話

モカside

 

今日はしょ〜君とりゅ〜君をトレードするって言ってた。そう聞いた瞬間あたしはとても嬉しかった。朝、湊さんと

寝ている写真を見て今までにないくらい嫉妬した。あたしもしょ〜君と一緒にいたいのに...なかなかその機会がない

 

「というわけで、今日はよろしくな。ギターは当てにならないから、姉さんに聞いてくれ」

 

「翔君写真見たよ!友希那さんとは恋人なの?」

 

ひ〜ちゃんがそう言った瞬間自分でもバレバレだと思うくらいに反応してしまった。しょ〜君は黒いオーラを出して

 

「ひまり、それ以上喋ると首が飛ぶぞ?」

 

「ごめんなさい!」

 

「ただでさえ向こうにいたら気まずいからAfterglowの面倒を見ることにしたんだ。こっちでも触れられても困る」

 

「でも否定しないってことはやっぱりこいび...」

 

「あ?巴まで死にたいか?」

 

「申し訳ありませんでした!」

 

口調からして明らかに怒っている。少なくとも恋人ではなさそうだ

 

「ほら、無駄話はそこまでにして早くやるよ。最初はどうすればいい?」

 

「じゃあ2,3曲合わせてそこから個人練習にしようか。ギターは琉太君からメニュー聞いてるだろうしそこやればいいよ」

 

「分かりました」

 

〜♪〜

 

「モカ、今日は随分と調子良いな。何かいいことでもあったか?」

 

「別に〜?なんでもないよ〜」

 

確かに、いつもミスしてしまうような場所も今日は余裕でできた。やっぱり近くにしょ〜君がいるからかな?

 

「モカって案外単純だよね。表情がニヤニヤしてるもん」

 

「!?」

 

あたしそこまで分かりやすかっただろうか?よりにもよってひ〜ちゃんに気づかれてしまうとは

 

「モカちゃん、凄く顔に出てるよ...」

 

つぐにもバレてた。ポーカーフェイスのモカちゃんからしてはこれは失態だ。しょ〜君にバレてないといいが...

 

「何だかよく分からんが、調子が良いのは良いことだ。今から個人練習に入る。ギターとドラムは姉さんに、キーボードとベースは俺に聞け」

 

しょ〜君はギターが苦手だからあたしたちのことを見ることは殆どない。せめて、教えてもらえなくてもいいから...あたしを見てよ...

 

「翔!悪いんだけど、モカのこと見てあげてくれない?」

 

「は?いや、俺ギター無理って言ってるでしょ?全然教えれないのに見るのはモカに...」

 

失礼とでも言いたいのだろうか?そんなわけない。しょ〜君がいるからこそ、あたしは『いつも通り』が出しやすくなる

 

「しょ〜君、あたしからもお願いしま〜す」

 

彼の言葉を遮りいつも通りの口調で頼み込む

 

「モカにまで頼まれちゃあ仕方ないな...あまり期待はすんなよ?」

 

「イェーイ」

 

この後のあたしは今までで最高に良かった

 

紗夜side

 

今日は翔さんと琉太が入れ替わり、普段とは違った練習となっていた。最近は彼の個人レッスンを受けることができていなかったので、成長した私を見せる良い機会だ

 

「どうかしら?前と比べて大分良くなってると思うのだけれど」

 

「久し振りに紗夜のギターの音聴いたけど、確かに格段にレベルが上がってるな。弾き方も安定してるし、凄く良かったよ」

 

どうやら彼には好評だったらしい。Xaharの中でギターはトップの実力を誇る琉太からこれだけの評価をもらえたのだ。少しは自分の音に自信を持ってもいいかもしれない

 

「貴方にそこまで言われるんなら心配はなさそうね。何か他に直すようなところはあるかしら?」

 

「特にはないな...ただ、音の強弱をもう少しはっきりさせた方がいいと思う」

 

「分かったわ」

 

「じゃあ俺は白金さん見てくるな。また戻ってくるからそのときまでに直しといてくれ」

 

本当は行って欲しくないが、バンドのレベル向上のため仕方ない。琉太は普段Afterglowの面倒を見ているから、美竹さんよりも関われる機会が少ない。だからこそ、この少ない時間を使い距離を縮めなければならない

 

「...今は練習に集中しなければ。音の強弱...此処のことかしら?」

 

どの場所かまでは教えてくれなかったので、自分で考える必要がある。彼の教え方はこんな風に自分で考えさせてくれるのでとてもためになる。プロに教わるよりもずっと良さそうだ

 

ふと他の方の状況が気になったので周りを見てみると、何やら真剣な顔つきでパソコンを睨みつけている湊さんがいた

 

「湊さん、何をやっているのですか?」

 

「紗夜...新曲の案がまとまってきたから仕上げているところよ。翔は歌詞を作り終えているみたいだし、私も急がないと...」

 

「そうですか。楽しみにしてますね」

 

「ありがとう。細かい調整は彼がやってくれるみたいだから、できれば午前中に終わらせておくわ。紗夜の方はどうかしら?いつもより調子が良いように聴こえたけれど」

 

「そうですか?琉太には強弱をはっきりさせろと言われましたけどね」

 

頂点に立つためには必要なことだろうが、やはり私たちとは基準のレベルが高すぎる。言うなれば天と地の差だ

 

「確かにその方が良いかもしれないわね。お互い頑張りましょう」

 

「勿論です。バンドの方も...恋についても」

 

「そっその話は今はしないでもらえるかしら...///」

 

私が少し話を変えてみると湊さんは頬を朱に染めて目を逸らしてしまった。やはり、今朝の件を気にしているらしい

 

「ふふふ、私も湊さんのように大胆にできれば良いのですけどね。羨ましいです」

 

「っ〜〜〜〜〜///」

 

案外湊さんも人なのだと思える。彼女が音楽以外でここまで反応をするなんて考えられない

 

「紗夜、無駄話をする前に改善点を直して頂戴。お昼ご飯は翔と琉太が作るのだし、早くしないと見てもらえなくなるわよ」

 

「そうですね。湊さんも頑張ってください」

 

「えぇ」

 

それから自分なりに考えながら曲ごとに強弱をつけ、30分くらいしたところで琉太が帰って来た

 

「よっ。調子はどうだ?」

 

「今何処を変えればいいか探しているところよ。もう少し時間をくれるかしら?」

 

「紗夜がそうしたいんなら好きなように...と言いたかったけど、今回はちょっと難しかったかもな。ほら、今からつきっきりで教えてやる」

 

(ちっ近い...少し良い匂いがするわね。シャンプーの香りかしら?///)

 

今私の目の前には彼の顔がすぐ近くにある。その所為で私としたことが集中できなくて話の内容が全然入ってこない

 

「〜でここはだな...って紗夜、聞いてますか?」

 

「ほぇ?ごっごめんなさい。もう1回お願いできる?」

 

ぼっーとしすぎて思わず変な声が出てしまった。彼に気づかれてないといいけれど...

 

「...」

 

「琉太?」

 

どうしたのだろうか?先程から急に黙り込んで

 

「ふふふ...あはははは!」

 

「え?」

 

今度は急に笑い出す始末。1度病院に連れて行った方が...

 

「ほぇ?だってよ!何それ可愛すぎでしょ!?あはははは!」

 

「なぁ!?」

 

きっ気づいてたの!?そう思った瞬間羞恥で顔が真っ赤になるのが嫌という程分かった。きっと耳まで赤くなっていることだろう。でも、可愛いと言われて少し嬉しかった。ふと周りを見ると全員の視線がこちらへ集まっている。湊さんや今井さんはあっけに取られているし、宇田川さんや白金さんも何事かと言わんばかりにこちらを見ている。唯一花梨さんが琉太のことをゴミを見るような目で見ていた

 

「あ〜疲れた。というわけでもう1回説明するからちゃんと聞いとおけ...よ?」

 

「っ〜〜〜〜〜///」

 

「紗夜!?え、どうした!?顔めっちゃ赫いけど」

 

「もう知りません!」

 

「えぇ!?」

 

誰の所為でこうなったと思っているのだろうか?後で絶対に今井さんにからかわれることだろう

 

「全く...貴方はたらしなのかそれとも無意識でやってます?はっきり言ってお兄様並みに酷いですよ」

 

「彼奴と一緒にするのはやめていただこうか。紗夜、その悪かったから機嫌直していただけますか?フライドポテト幾らでも作るので許していただけませんかね?」

 

「そっそれなら...」

 

「チョロすぎですね...こんなのでよく生きてこれましたね」

 

「というわけで今からフライドポテト作ってくるから」

 

そう言って彼はスタジオから出て行ってしまった。まぁ私はジャンクフードなんかに興味はありませんが...

 

この後食堂の半分を占める大量のフライドポテトが出てきたのはまた別の話




読了ありがとうございました

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